2011年5月27日金曜日

金聖響のベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

私にとって、「英雄」は、
ベートーヴェンの交響曲の中で、
今ひとつ、つかみどころのない、
わかりにくいところのある曲です。

はじめて本心から、
ああいい曲だな、と思えたのは、

金聖響さんとオーケストラ・アンサンブル金沢

がベートーヴェン交響曲全集の
第1弾として録音したCDです。



ベートーヴェン
交響曲第3番 変ホ長調 作品55《英雄》
《コリオラン》序曲 作品62

オーケストラ・アンサンブル金沢
指揮:金聖響

〔録音〕2003年5月7、8、9日 石川県立音楽堂コンサートホール
(9日=ライブ録音)
【WPCS-11685】


ピリオド奏法を取り入れて、
速めのテンポで一気呵成に駆けぬけた演奏です。

響きは軽めですが、
若々しい覇気も十分に感じられ、
飽きることなく最後まで《英雄》を楽しませてくれます。

あえていえば、
もっと深い曲なのではないか、
と思えなくもないのですが、

これはこれで十分楽しめる、好演だと思います。


聖響さんのチクルスはまだ終了していませんが、
今のところ、この《英雄》が格別にいいようです。

年齢からいえば当然のことですが、
第2弾からは、若干の迷いのようなものが感じられました。

スメタナ四重奏団のベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1~3番

この1週間、この一枚を聴き続けています。



ベートーヴェン
弦楽四重奏曲 第1番 ヘ長調 作品18の1
弦楽四重奏曲 第2番 ト長調  作品18の2
弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 作品18の3


スメタナ四重奏団
イルジー・ノヴァーク(第1ヴァイオリン)
ルボミール・コステツキー(第2ヴァイオリン)
ミラン・シュカンパ(ヴィオラ)
アントニーン・コホウト(チェロ)


録音:1977年4月6~7、12~14日(第1番)、
1976年6月3~5、11日(第2番)、
1978年5月22~25日(第3番)
プラハ、スプラフォン・ジシコフ・スタジオ
スプラフォンとデンオンの共同制作


【DENON / COCO-70676】


ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、
以前、アルバン・ベルク四重奏団を中心に、
集中して聴いたことがあります。

しかしその時は、
後期の数曲が相当な名曲であろうことは感じ取れたものの、
全体的な印象は薄いまま、興味が別に移っていました。


弦楽四重奏曲は、CDで聴くと、
オーケストラに比べて楽器数が少ないため、
ヴァイオリンの高音が耳について神経にさわることが割とあって、
どちらかというと敬遠しがちです。

今回はなんとなく、
スメタナ四重奏団なら違うんじゃないか、
と買って聴いてみたところ、大正解でした。


高音が耳につくこともなく、
耳に心地よい音響のなかで、
純粋にベートーヴェンの作品の良さを味わうことができました。

CDだと7枚あるはずなので、
最後まで飽きずに聴けるかわかりませんが、

しばらくはスメタナさんで、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲に挑戦してみよう、と思っています。

2011年5月20日金曜日

柳家小三治5 落語名人会29 「らくだ」(1989.3)

何となく、日々の《落語帳》になってきたような気もしますが。

今日は小三治さんの5枚目。

「らくだ」です。



落語名人会29
柳家小三治〈5〉

「らくだ」
(1989年3月31日 鈴本演芸場 第15回柳家小三治独演会)

〔お囃子〕樋田ひさ/小口けい
〔プロデューサー〕京須偕允
【SONY RECOADS / SRCL 3546】



肩の力を抜いて、
というよりは、堂々の真剣勝負。

最後まで丁寧に、飽きさせることなく、
見事な集中力で聞かせてくれます。


私にとって「らくだ」は
まだよく分からないところのあるお話です。

でも大抵いつの間にかのめり込んで、
最後は、ああなんかすごかった、
と思えます。


人間ってすごいな、
私もがんばろう、と
今日もやっぱり思いました。


柳家小三治
「らくだ」89-3/31◎

2011年5月17日火曜日

柳家小三治4 落語名人会12 「宿屋の仇討」(1990.5)

小三治さんの落語、
4枚目は『宿屋の仇討(やどやのあだうち)』です。



落語名人会12
柳家小三治〈4〉

「宿屋の仇討」
(1990年5月31日 鈴本演芸場 第20回柳家小三治独演会)

〔お囃子〕樋田ひさ/小口けい
〔ディレクター/京須偕充〕
【SONY RECORDS/SRCL 2792】



この録音、大好きです。

小三治さんの良いところがぎっしり、
何度聴いても楽しく笑わせられます。

ああ楽しかった。


柳家小三治
「宿屋の仇討」90-5/31◎

2011年5月16日月曜日

石丸寛のブラームス:交響曲第4番(九州交響楽団)

石丸寛さんと九州交響楽団の
ブラ4を久しぶりに聴き直して、深い感銘を受けました。

ブラームスの交響曲第4番は、
このCDを聴いてから好きな曲になりました。


ブラームス
交響曲 第4番 ホ短調 作品98


九州交響楽団
指揮:石丸 寛
1997年10月16日、アクロス福岡シンフォニーホール
九州交響楽団 第200回定期演奏会
【財団法人 九州交響楽団】


指揮者・石丸寛さんが、
大腸がんで亡くなる5ヶ月前に、
九州交響楽団と取り上げたブラームスです。

同じ時期に、東京交響楽団と演奏した
交響曲第4番、ドイツ・レクイエムも発売されており、
それなりに優れた演奏なのですが、

圧倒的にすばらしいのは、
九州交響楽団との演奏のほうで、
純粋にブラ4の演奏として凄いことになっています。


基本的に、
テンポ、造形を大きく崩すことはないのですが、
枯れたところは少しもありません。

整った美しいフォルムの中で、
やむにやまれぬ情感を噴出させた、
ブラ4の熱さを強く感じさせる演奏です。

とくにすばらしいのが第2楽章で、
透明な色調の中に、あきらめの情感を強くにじませて、
心をわしづかみにされる演奏です。


今は廃盤になっているようですが、
音源は当然、保存されているはずです。

スタジオ収録されているいくつかの小品とはかなりイメージが違うので、

いずれ、縁のある九州交響楽団と行った他の演奏とともに、復活してもらえたらうれしいです。
このまま忘れ去られてしまうには、惜しい指揮者だと思います。


※九州交響楽団のホームページをみると、「九響CD&グッズ」のページに「九響主催演奏会や九響事務局でご購入いただけます」とあって、このCDが掲載されているので、まだ手に入るようです(2015.5.1)。







2011年5月15日日曜日

江藤俊哉のバッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ

最近気になっているのが、
江藤俊哉さんのヴァイオリンです。

江藤さんについては、
鈴木鎮一さんのお弟子さん、ということ以外、
さほど注目して来なかったのですが、

最近タワー・レコードで復刻されたCDを聴いてみると、

温厚誠実な人柄が伝わってくる、
骨太な明るい音色にとても魅せられました。

グリュミオーさんをもう少し骨太にした感じで、
聴くひとを大きく包みこむ、あたたかさにあふれた演奏でした。



DISC1&2
J.S.バッハ
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ(全曲)

〔録音〕1974年1月29日、4月22日、5月14・15・21日、7月11・12日、10月7日、12月3・4日
世田谷区民会館

〔オリジナル・プロデューサー〕井阪紘
〔オリジナル・エンジニア〕大野正樹
〔リマスタリング・エンジニア〕杉本一家
【SICC 1396~9】


(DISC3&4は、別の機会に紹介します。)


最近はやりの、軽い、
スマートな演奏とは対極にある、

深い精神性に支えられつつも、
あたたかさで全体を包みこむようなバッハです。

聴き終わって、
ああ、いい音楽を聴いたな、
と心から笑顔になれる無伴奏は、

意外に少ないのではないでしょうか。
これは機会があれば、ぜひ聴いておいてほしい演奏です。


◯バッハ

喜びと
その懐に
抱かれて
広さとともに
静けさを知る

微笑んで
心の中を
打ち明けて
広々とした
静けさを知る

2011年5月12日木曜日

柳家小三治3 落語名人会11 「もう半分」(1991.10)

小三治さんの落語、
3枚目は「もう半分」です。



落語名人会11
柳家小三治〈3〉

「もう半分」
(1991年10月31日 鈴本演芸場 第24回柳家小三治独演会)

〔お囃子〕樋田ひさ/小口けい
〔ディレクター/京須偕充〕
【SRCL-2791】


怖い話です。

が、前半はマクラで、
このマクラがおもしろい。

後半の本題は、
ふつうの口演だと思いますが、

私はこの話し、あまり好きではありません。
また忘れたころに聞き直してみます。

柳家小三治
「もう半分」91-10/31△

2011年5月7日土曜日

アファナシエフのバッハ:平均律クラーヴィア曲集(第1・2巻)

ヴァレリー・アファナシエフさんは、
それほど好きなピアニストではなかったのですが、
このバッハで、大きく見方を改めました。



J.S.バッハ:平均律クラーヴィア曲集 第1巻(全24曲)BWV846~869
ヴァレリー・アファナシエフ(ピアノ)
録音:1995年4月10~14日、スイス、ラ・ショー・ド・フォン、ムジカ・テアトル
【DENON/COCO-70746→47】




J.S.バッハ:平均律クラーヴィア曲集 第2巻(全24曲)BWV870~893
ヴァレリー・アファナシエフ(ピアノ)
録音:1995年11月7~11日、スイス、ラ・ショー・ド・フォン、ムジカ・テアトル
【DENON/COCO-70748→49】



勉強で聴くわけではないので、
平均律クラーヴィア曲集とはいえ、

がちがちに凝り固まった、
聴いてすぐ眠たくなるような演奏はゴメンです。

むしろバッハだからこそ、
リズムに余裕がある、遊び心のある演奏が、
理想なのかもしれません。


アファナシエフさんのピアノは、
すべての音域を、透明感のある美しい音色で、
均一に鳴らし切るところに、
独特の個性があります。

そのスタイルは、時として、
のっぺりした印象を与えてしまうこともあるので、
すべてのCDがよいとは思わないのですが、

作曲家との相性がはまったときは、
絶大な効果を発揮します。

平均律との相性は格別のようです。

あとほんの少し、
リズムに遊びがあってもいいのかな、
と思うこともあるのですが、

今のところ、ピアノ版の平均律で、
最も手にすることの多いのは、このCDです。


ちなみにアファナシエフさんで
特別に良いのはシューベルトです。
相当良いのがバッハとベートーヴェンで、
かなり良いのがブラームスです。