2011年6月23日木曜日

大町陽一郎&九響のシュトラウス・ファミリー名曲集

少し前に、
石丸寛さんと九州交響楽団によるブラームスを取り上げて、
九州交響楽団のCDを探していたところ、

大町陽一郎さんと
ウィンナ・ワルツをCD2枚分も、
まとめて取り上げていることに気が付きました。

大町さんといえば、
かねてよりウィンナ・ワルツには一家言ある方であり、
いずれまとめて録音してくれたらいいな、
とかねてより思っておりましたので、
早速購入して聴いてみました。

シュトラウス・ファミリー名曲集

シュトラウス・ファミリー名曲集
ヨハン・シュトラウスⅡ/喜歌劇「こうもり」序曲
同 / ワルツ「ウィーンの森の物語」
エドゥアルト・シュトラウス/ポルカ「テープは切られた」
ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「我が人生は愛と喜び」
ヨハン・シュトラウスⅡ/新ピチカート・ポルカ
同 / 「千一夜物語」間奏曲
同 / ワルツ「美しく青きドナウ」
同 / ポルカ「浮気心」
同 / ワルツ「芸術家の生涯」
ヨハン・シュトラウスⅠ/ラデツキー行進曲〈原典版〉


大町陽一郎(指揮)
九州交響楽団
河野直人(ツィター)


録音:2006年5月6~8日
Center Culturel SUENAGA
【FOCD9291】


これはすばらしいです。

オケの鳴らし方、響かせ方が、
ウィンナ・ワルツにうってつけで、どこをとっても美しく、
気品のあるワルツの世界を堪能させてくれます。

いま世界中で、
これだけ雰囲気のあるウィンナ・ワルツを振れる指揮者って、
いないんじゃないかしら。

ゆったりとした空間に投げ出されるかのような
「美しく青きドナウ」の調べに、初めて涙がこぼれました。

なるほど、このように聴かせてくれたら、
ドナウも飛び切りの名曲に感じられます。

「いわく言い難し」(大町陽一郎)
といわれるウィンナ・ワルツの真髄にふれられる、
めったにない演奏だと思います。

これはぜひ、パート2も聴いてみたいと思います。

2011年6月20日月曜日

スメタナ四重奏団のベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9・10番

スメタナ四重奏団のベートーヴェン、
4枚目はラズモフスキー第3番とハープ。



ベートーヴェン
弦楽四重奏曲 第9番 ハ長調 《ラズモフスキー第3番》作品59の3
弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調《ハープ》作品74

スメタナ四重奏団
イルジー・ノヴァーク(第1ヴァイオリン)
ルボミール・コステツキー(第2ヴァイオリン)
ミラン・シュカンパ(ヴィオラ)
アントニーン・コホウト(チェロ)

録音:1979年10月14~20日
プラハ、芸術家の家、ドヴォルザーク・ホール

スプラフォンとの共同制作
【COCO-73169】



これは何だ?
ラズモフスキー第3番の方は、
最初聴いたとき、何だかよくわけがわからないまま、
音が目の前を通りすぎて行く感じで、
斬新過ぎる印象を受けました。

しかし数回聴くうちに、曲全体の構造が見えて来て、
なるほどこれは、ラズモフスキーの3曲を締めくくるにふさわしい、
意欲的な名曲だと思うようになりました。

でもこれは、まとめ方がむつかしい曲でしょう。

次のハープは、
もう少しこなれて、落ち着いた感じがあります。
斬新な手法よりも、曲の内面に向かって、
より充実度を増しているようです。

次は、5枚目です。

2011年6月15日水曜日

ギーゼキングのモーツァルト:ピアノ・ソナタ 第1~5番



モーツァルト
ピアノ・ソナタ 第1番 ハ長調 K.279
ピアノ・ソナタ 第2番 ヘ長調 K.280
ピアノ・ソナタ 第3番 変ロ長調 K.281
ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 K.282
ピアノ・ソナタ 第5番 ト長調 K.283

ワルター・ギーゼキング(ピアノ)

録音:1953年8月1・2日
Abbey Road Studios, London
【TOCE14198】



モーツァルトのピアノ・ソナタは、楽譜がシンプル過ぎるからか、
なかなか心から楽しめる、納得のいく演奏にめぐり会えないものです。

LP時代によく聴いたのは、
イングリット・ヘブラーさんの全集で、
とてもよい演奏であった記憶がありますが、
ここしばらく復刻されていません。

その後、
宇野功芳さんの導きで、
エリック・ハイドシェック、リリー・クラウス、鳥羽泰子の演奏に親しみました。

ハイドシェックさんの演奏は、
モーツァルトとしては自己主張し過ぎで、
あまり楽しめませんでした。

クラウスさんの演奏は、
演奏以前に録音が良くなくて、評価の対象外でしたが、
最近ようやく音のよいものが出たので、
またゆっくり聴き直したいと思っています。

鳥羽さんの演奏は、
この三者の中では一番聴きやすく、
おすすめの演奏だと思います。

その後、もう少しシンプルな、
古典的な枠組みは守った上で、
じわりと感動させられる味わい深いモーツァルトはないかな、
といろいろ聴いてきましたが、

なかなか良いモーツァルトには出会いませんでした。


そんな中聴いたのがギーゼキングさんのモーツァルト。
これはいいですね。

「奇をてらうことなくシンプルな演奏スタイルを固持しながら、
曲を構成する音符一つ一つが個として独立しながら
全体の情感を作り上げる」(篠田保道)

彼のスタイルが、曲にぴったり寄り添って、
モーツァルトの良いところがそのまま伝わって来ます。

これも1枚ずつ、ゆっくり味わって行こうと思います。

2011年6月9日木曜日

スメタナ四重奏団のベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7・8番

スメタナ四重奏団によるベートーヴェン:弦楽四重奏曲、
今週はCD3枚目、第7・8番を聴いています。



ベートーヴェン
弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 《ラズモフスキー第1番》 作品59の1
弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 《ラズモフスキー第2番》 作品59の2

スメタナ四重奏団
イルジー・ノヴァーク(第1ヴァイオリン)
ルボミール・コステツキー(第2ヴァイオリン)
ミラン・シュカンパ(ヴィオラ)
アントニーン・コホウト(チェロ)

録音:1978年5月29~31日、プラハ、スプラフォン・ドモヴィナ・スタジオ(第7番)、
1979年10月8~9、12~13日、プラハ、芸術家の家、ドボルザーク・ホール(第8番)
スプラフォンとデンオンの共同制作
【DENON / COCO-70678】


おおっ!新しい!

作品18の6曲とはガラっと変わって、
新しさを感じさせる作風です。
心がウキウキと湧き立つよう。

同じ作曲家とは思えないほどですが、
この変化こそベートーヴェン。


何となく《英雄》交響曲を思い起こさせますが、
こちらのほうが曲としてのまとまりは良いように思われます。

作品18を聴きはじめたときは、
これはこれで十分楽しめたのですが、

作品59を聴いてしまうと、こちらの方が、
圧倒的におもしろく、よくできた作品だと思います。

作品18から5年をへて作曲されたのが作品59で、
《ラズモフスキー第1~3番》とも呼ばれています。

この3曲と、
作品74、作品95を合わせた計5曲が
ベートーヴェンの中期の弦楽四重奏曲とのこと、
次の1枚がとても楽しみです。

ちなみに、ラズモフスキー第1と第2では、
第1番のほうが私の好みでした。

スメタナ四重奏団さんは、
言う事なしの優れた演奏です。

2011年6月8日水曜日

柳家小三治6 落語名人会30 「藪入り・短命」(1993・88)

柳家小三治さんのCD6枚目、
「藪入り」と「短命」です。



落語名人会30
柳家小三治〈6〉

「藪入り」
 (1993年5月31日 鈴本演芸場 第29回柳家小三治独演会)
「短命」
 (1988年8月31日 鈴本演芸場 第12回柳家小三治独演会)

〔お囃子〕樋田ひさ/小口けい
〔プロデューサー〕京須偕允
【SRCL-3547】


「藪入り」は好きな話。
小三治さんの「藪入り」が一番好きです。

間合いが絶妙で、話の内容もほのぼのとして、落語っていいなあ、と思えます。
今回も、やっぱりいいな、と思いました。

「短命」はよくわからない話。
だったのですが、今回聞きなおして、
なんとなく、笑いどころがわかった気がしました。

でもこの話、だれが演じても、
じんわりした笑いを誘うのはなかなか難しいような気がします。

柳家小三治
「藪入り」93-5/31◎
「短命」88-8/31◯

2011年6月3日金曜日

スメタナ四重奏団のベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4~6番

今週も、先週にひきつづき、
スメタナ四重奏団によるベートーヴェン:弦楽四重奏曲の
CD2枚目、第4~6番を聴いています。



ベートーヴェン
弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 作品18の4
弦楽四重奏曲 第5番 イ長調 作品18の5
弦楽四重奏曲 第6番 変ロ長調 作品18の6

スメタナ四重奏団
イルジー・ノヴァーク(第1ヴァイオリン)
ルボミール・コステツキー(第2ヴァイオリン)
ミラン・シュカンパ(ヴィオラ)
アントニーン・コホウト(チェロ)

録音:1976年6月3~5、11日(第4番)、
1977年4月6~7、12~14日(第5番)、
1978年5月22~25日(第6番)
プラハ、スプラフォン・ジシコフ・スタジオ
スプラフォンとデンオンの共同制作

【DENON / COCO-70677】


すぐに耳を奪われて、
というわけではなかったのですが、
2、3度聴くうちに曲がわかってきて、
第1~3番と同じように、ふつうに楽しめました。

ハイドンやモーツァルトっぽいけど明らかにベートーヴェン的な、
交響曲第1・2番に似た、初期のピアノ・ソナタに似た、
楽しく快活な、少し押しの強い、元気の出る音楽が奏でられています。

モーツァルトのハイドン・セットよりも、好きかもしれません。

忘れたころにまた聴きましょう。
来週は、中期の名作、ラズモフスキーに入ります。