2011年8月31日水曜日

レーゼル&ゲヴァントハウス四重奏団のシューマン:ピアノ五重奏曲&四重奏曲

最近、インターネット上で、

辻井伸行さんとタカーチ弦楽四重奏団の演奏で、
シューマンのピアノ五重奏曲を聴く機会がありました。

シューマンのこの曲は、
今まで聴いたことがなかったのですが、

思いのほか親しみやすい、
情熱的で明るい感じの名曲でしたので、
CDを探してみました。

辻井さんの演奏は、CD化されていません。

たまたまアルゲリッチさんが
仲間たちと取り上げたライブCDを目にして買ってみましたが、
これは臨時編成のためか、粗雑な感じで、
CDでくり返し聴くには、今ひとつの出来でした。

次に見つけたのが、
ペーター・レーゼルさんのピアノと、
ゲヴァントハウス弦楽四重奏団による演奏で、
これは十分に満足のいく演奏でした。



シューマン
ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44
ピアノ四重奏曲 変ホ長調 作品47


ペーター・レーゼル(ピアノ)
ゲヴァントハウス弦楽四重奏団
カール・ズスケ(ヴァイオリン)
ギョルギォ・クレーナー(ヴァイオリン)
ディートマル・ハルマン(ヴィオラ)
ユルンヤーコブ・ティム(チェロ)


録音:1983-84年、ドレスデン・ルーカス教会
【KICC3565】


シューマンは、
私にとってまだどちらかと言えば、
わからないところが多い作曲家です。

それでも、交響曲第3番「ライン」のような、
気持ちを高揚させる、前向きの曲は大好きです。

この曲も、それほど深遠さは感じませんが、
落ち込みがちなときに気分を持ち上げてくれる、
よくできた作品だと思います。

コンサートで取り上げても、聴きばえしそうです。

ピアノ四重奏曲のほうが、
どちらかと言えば、幻想的な色合いが強めですが、
全体的な曲調は、五重奏曲に似ている感じでした。
とくに第3楽章の歌には心惹かれました。


室内楽は、
これまで網羅的に聴いてきているわけではないので、
まだまだ知らない名曲に出会うことは多そうです。

これからの楽しみが増えていきます。

2011年8月24日水曜日

ギーゼキングのモーツァルト:ピアノ・ソナタ第10~13番

ワルター・ギーゼキングのモーツァルト、
ピアノ・ソナタ全集の3枚目です。



モーツァルト
ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調K.330
同 第11番 イ長調 K.331《トルコ行進曲》
同 第12番 ヘ長調 K.332
同 第13番 変ロ長調 K.333


ワルター・ギーゼキング(ピアノ)
録音:1953年8月4~6日、ロンドン、Abbey Road Studios
【TOCE14209】

2枚目の出来が、
録音の加減か若干不満の残る内容でしたので、
3枚目に手がのびるのに少し時間がかかりました。

これは、良いです。

聴いてすぐに耳を奪われるような
きらびやかな演奏ではないのですが、

どういう曲なのかがよくわかる、
見通しの良い、説得力のある演奏です。

テンポはほとんどゆらさないのですが、
強弱の幅を大きく取ることで、
メロディをしっかり歌わせることに成功し、
無味乾燥に陥ることを防いでいます。

全体的に明るい色調で、
モーツァルトらしい楽しさも感じられて、
味わいあるモーツァルトを堪能させてくれます。


難点は、
1950年代の録音とあって、
やはりそれほど音が良くないことです。

私の中ではぎりぎりセーフなのですが、
より良い音を好まれる方はいるかもしれません。

2011年8月23日火曜日

ウィーン室内合奏団のモーツァルト&ブラームス:クラリネット五重奏曲

最近、別のグループの演奏を聴いて、がっかりしたこともあって、
私にとっての定盤をひっぱり出して聴いてみました。




モーツァルト
クラリネット五重奏曲 イ長調 KV581

ブラームス
クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115

ウィーン室内合奏団
アルフレート・プリンツ(クラリネット)
ゲルハルト・ヘッツェル(ヴァイオリン)
クラウス・メッツル(ヴァイオリン)
ルドルフ・シュトレンク(ヴィオラ)
アダルベルト・スコチッチ(チェロ)


録音:1979年9月23~25日(モーツァルト)
1980年4月(ブラームス)
ウィーン・ポリヒムニア・スタジオ
【COCO6789】

モーツァルトとブラームスのクラリネット五重奏曲は、
はじめて聴いたときから、相当に美しい音楽であることはわかりましたが、
その味わい深さが本当に感じ取れるようになって来たのは最近のことです。

人生の寂しさ、孤独感、といったものを感じ取るには、
私の中でも、少し時間が必要だったようです。

聴き込むにつれ、しだいに心の奥深いところに響いてくる、
一人ひとりの人生に寄り添うような、佳曲だと思います。


この合奏団を率いてゐるのが、
ゲルハルト・ヘッツェルさんだ、と気がついたのはごく最近のことですが、
やはりいい仕事をしています。

出しゃばったことは決してしないので、
このCDだけを聴いていると、あまり気がつかないのですが、
他と比べると、その音楽的なセンスの良さは明かです。

クラリネットのプリンツさんについては、
他との違いがわかるほど色々聴いていないのですが、
私にはこれくらい聴かせてもらえれば十分です。

今後もたびたび聴き返したくなる
名演奏です。

2011年8月22日月曜日

小林研一郎&名フィルのマーラー:交響曲第3番

先日、武藤英明さんと名フィルの
ドヴォルザーク:交響曲第8番を取り上げましたが、

同じシリーズで、ぜひ聴いておいていただきたいのが、
小林研一郎さんとのマーラー:交響曲第3番です。


名古屋フィルハーモニー交響楽団ライブ・シリーズ3
《奇跡のマーラー》

マーラー:交響曲第3番ニ短調

坂本朱(アルト)
愛知県立芸術大学声楽専攻女性合唱団
名古屋少年少女合唱団
ミロスラフ・ケイマル(ポスト・ホルン)

小林研一郎(指揮)
名古屋フィルハーモニー交響楽団

録音:2002年10月2日
名古屋、愛知県芸術劇場コンサートホール
(第285回定期演奏会)
【CRCC2007/8】



コバケンさんのマーラー:交響曲第3番は、
チェコ・フィル盤(1999年3月)、
日本フィル盤(2001年4月)、
名古屋フィル盤(2002年10月)
の3種類があります。日フィルと名フィルはライブ盤です。


完成度の高いのはチェコ・フィル盤ですが、
多少完成度が低くても、ライブの熱気を伝えるほうが私は好きです。

ただし日フィル盤は、
この時期のコバケンさんとの録音でよく聴かれる短所として、
ときに響きが荒々しく、暴力的に聴こえるところがあって、
今ひとつに感じられます。

名フィルの場合、
コバケンさんの棒に対して、
音が一呼吸おいて返って来る感じで、
コバケンさんの情熱を、音楽的に包み込んでくれるところがあって、
響きがより好ましく感じられます。

コバケンさんのマーラーは、
ご自身で作曲されたかのように、
曲への共感に満ちた情熱にあふれるものです。
全体の見通しもよく、
第1楽章にわくわくドキドキしながら、
第6楽章に涙しながら、
全曲を聴き通すことができます。

私はこの第6楽章が大好きで、
ここだけ取り出して聴くこともあります。
暗いところがないので、第9の最終楽章より好きかもしれません。

今のところ、
マーラーの交響曲第3番では、
コバケン&名古屋フィルの演奏が一番好きです。

2011年8月19日金曜日

はいだしょうこ『みんなでうたう童謡・唱歌』3

はいだしょうこさんの童謡・唱歌、
第三弾です。



はいだしょうこ『みんなでうたう童謡・唱歌』3

 1.いぬのおまわりさん (作詞:佐藤義美 /作曲:大中恩)
 2.アイアイ (作詞:相田裕美 /作曲:宇野誠一郎)
※コーラス:ひつじキッズ
 3.とんとんともだち (作詞:サトウハチロー /作曲:中田喜直)
 4.おうま (作詞:林柳波 /作曲:松島つね)
 5.きゅっ きゅっ きゅっ (作詞:相良和子 /作曲:芥川也寸志)
 6.ペチカ (作詞:北原白秋 /作曲:山田耕筰)
 7.春よ来い (作詞:相馬柳風 /作曲:弘田龍太郎)
 8.一ねんせいになったら (作詞:まど・みちお /作曲:山本直純)
 9.冬景色 (文部省唱歌)
10.波浮の港 (作詞:野口雨情 /作曲:中山晋平)
11.そらでえんそくしてみたい (作詞:悠木一政 /作曲:早川史郎)
12.おなかのへるうた (作詞:阪田寛夫 /作曲:大中恩)
13.マーチング・マーチ (作詞:阪田寛夫 /作曲:服部公一)
14.さくらさくら (日本古謡)
15.べこの子うしの子 (作詞:サトウハチロー /作曲:中田喜直)
16.下の前歯がぬけちゃった (作詞:立原えりか /作曲:吉岡しげ美)
17.赤い風船とんだ (作詞:今野政一 /作曲:湯山昭)
18.あひるの行列 (作詞:小林純一 /作曲:中田喜直)
19.心の中のオルゴール (作詞:小林純一 /作曲:中田喜直)
20.おやすみなさい (作詞:宮田滋子 /作曲:早川史郎)

うた:はいだしょうこ
プラチナオーケストラ
編曲:馬飼野康二

録音時期:不明(発売は2010年1月)
【PCCG-01036】



楽しい一枚です。

ただし、
子どもとお母さんが一緒に聴いて楽しいかどうか、
というコンセプトで、曲の選定と編曲が行なわれているようです。

車の窓を開け放ち、
男一人でこのCDをかけるのは若干勇気が入りますが、
最後まで飽きることなく一気に聴かせてくれる、
よくできたCDだと思います。


収録された歌のうち、

  3.とんとんともだち
  5.きゅっ きゅっ きゅっ
 11.そらでえんそくしてみたい
 15.べこの子うしの子
 16.下の前歯がぬけちゃった
 19.心の中のオルゴール
 20.おやすみなさい

は今回はじめて知りました。
芥川也寸志さんに「きゅっ きゅっ きゅっ」なんて歌があるとは。
耳に残るユーモラスな歌いっぷりです。

  1.いぬのおまわりさん
  2.アイアイ
  8.一ねんせいになったら
 12.おなかのへるうた
 13.マーチング・マーチ
 18.あひるの行列

などは子どもの頃のよく耳に馴染んだ曲です。
はじめのうち編曲に違和感があったのですが、
少し聴き込んでくると、むしろこうでなくては、
と思うようになりました。

  4.おうま
  6.ペチカ
  7.春よ来い
  9.冬景色
 10.波浮の港
 14.さくらさくら
 17.赤い風船とんだ
 19.心の中のオルゴール
 20.おやすみなさい

などの正調な歌い方も余裕があって好感が持てました。

私がもともと興味があったのは、
どちらかと言えば、もう少し昔の童謡・唱歌だったので、
はじめの思惑とは少し違ってきましたが、
新しい発見がたくさんあって、
これはこれでありでしょう。

次は第4弾!

2011年8月16日火曜日

武藤英明&名フィルのドヴォルザーク:交響曲第8番

お盆です。

うだるような暑さが続く中、
聴き返してみたのはドヴォルザークの交響曲第8番。
この曲は、武藤英明さんと名フィルによる名演がCD化されています。
前々からのお気に入りなのですが、今回聴き直し、感動を新たにしました。



ドヴォルザーク
交響曲 第8番 ト長調 作品88 B.163
スラブ舞曲第9番ロ長調作品72の1
スラブ舞曲第15番ハ長調作品72の7

武藤英明(指揮)
名古屋フィルハーモニー交響楽団
録音:2004年5月23日、プラハ、スメタナ・ホール

【CRCC-2001~2】


これは2004年、
「プラハの春」国際音楽祭に
名フィルが正式招待された際の記録です。
(竹内貴久雄さんのCD解説参照。)

2枚組みのCDです。
2枚目には、武藤さんの翌日、
トマーシュ・ハヌスさんが指揮された演奏会から、
ドヴォルザーク:
交響曲第2番 変ロ長調 作品4 B.12
スラブ舞曲第13番作品72の5
が収録されています。
こちらは曲自体の力によるものか、
あまり楽しめませんでした。

しかし
1枚目に収録された武藤さんとの演奏は
稀に聴く、すばらしい仕上がりとなっています。

武藤さんは、
主にチェコで活躍されている指揮者です。
強烈な個性で自ら仕切っていくよりは、
楽譜への共感に満ちた音楽を、
じっくり時間をかけて仕上げていく、
職人気質の指揮者(のよう)です。

オクタヴィアから、チェコ・フィルを指揮した
モーツァルトの交響曲第40番と第41番も発売されており、
そちらもなかなか良い演奏なのですが、

ライブ独特の熱さ、
曲への共感に満ちた味わい深い表現が、
8番って、こんなに良い曲だったんだなと思わせられる
説得力にあふれています。名フィルとの演奏の方が、
武藤さんの真価を示しているように思います。

ドヴォルザークの8番は、
武藤さんのCDを耳にして、
初めてその良さがわかりました。

武藤さんの他のドヴォルザークの交響曲も聴いてみたいですし、
シューベルトやブラームスとの相性も良さそうです。

この演奏当時、50代前半。
そろそろ60代の半ばにさしかかるはずです。

これまで目立ったオケの主要なポストには着かれていないようですが、
ぜひともこれから、に期待したい指揮者のひとりです。

名フィルと、ドヴォルザーク:交響曲全集を録音する!
なんて意欲的な企画は不可能でしょうか。

言ってみなければ何も始まらないので、
期待をこめて、書いてみました。

2011年8月12日金曜日

辻井伸行 自作集 ~ 神様のカルテ

辻井伸行さんの自作集「神様のカルテ」を聴きました。



神様のカルテ~辻井伸行 自作集
 1.神様のカルテ
 2.風の家
 3.コルトナの朝
 4.ショパンへのオマージュ
 5.音の絵
 6.風がはこんできたもの
 7.神様のカルテ = 手紙 =
 8.それでも、生きてゆく
 9.ロックフェラーの天使の羽
10.花水木の咲く頃
11.セーヌ川のロンド
12.高尾山の風
13.川のささやき
14.ヴェネツィアの風に吹かれて
15.神様のカルテ = エンディング =
 (オーケストラ編曲:松谷卓/岩村力指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 15のみ)


録音(1) 2010年9月24日 松本ハーモニーホール
   (2)~(5) 2011年1月29日 トッパンホール
   (8)(14) 2011年6月7日 トッパンホール
   (6)(15) 2011年2月28日 すみだトリフォニーホール
   (7) 2010年11月17日 Sound lnn
   (9)~(13) 2007年1月17~19日 サラマンカホール
【AVCL25736】

辻井さんの存在は、
デビュー当初から知っていましたが、
さすがにまだ若かったこともあって、
また、それが彼の長所でもあるわけですが、
屈託の無い「明るさ」に、若干相容れないものを感じ、
遠ざけて来たように思います。

その印象は、
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝されてからも、
あまり変化していなかったのですが、

時折テレビ等で耳にする彼のピアノの音に、
少しずつ心を動かされるようになっていました。

その中で特に心を奪われたが、自作の演奏です。

あるテレビ局で、アンコール曲として演奏された
「コルトナの朝」
を聴いて以来、彼のファンになりました。

太陽のような包み込む暖かさ、明るさは彼の大きな長所だと思うので、
ぜひこのまま良い方向に、成長を続けていってほしいです。


さて今回の2度目の自作集、
すべてが良い、といったら、贔屓の引き倒しになるでしょう。

続けて1、2時間、
自分の曲だけで間をもたせることは、
もともと意図していなかったことだと思いますので、
すべてを一気に聴くと、同じような音楽に聴こえて来てしまう弱さは、
まだあると思います。

またこれは、
聴く人によって違った印象をもたれると思いますが、
私は、短調の曲には、まだそれほどの魅力を感じませんでした。

しかし、明るさを基調にした作品、その中でも

1.神様のカルテ
2.風の家
3.コルトナの朝
6.風がはこんできたもの
13.川のささやき
14.ヴェネツィアの風に吹かれて

の6曲は、この世にこんな美しい音楽があって良いのだろうか、
と思うくらい、心を明るく和やかにしてくれる、佳曲だと思いました。


恐らく、ごくふつうに音楽大学に進んで、
作曲の勉強をしていたのなら、こんな素直な優しい曲は、
書けなかったのではないでしょうか。

誰にでもわかる美しい曲で勝負することは、
ほんとは一番難しい、勇気のいることです。

これから楽しみにしていきたいピアニストです。

2011年8月10日水曜日

スメタナ四重奏団のベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15・16番

スメタナ四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集。
ようやく最後の8枚目にたどり着きました。



ベートーヴェン
弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 作品132
弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 作品135
スメタナ四重奏団
イルジー・ノヴァーク(第1ヴァイオリン)
ルボミール・コステツキー(第2ヴァイオリン)
ミラン・シュカンパ(ヴィオラ)
アントニーン・コホウト(チェロ)
録音:1983年12月7,9,12,14日、プラハ、スプラフォン・スタジオ(15番)
   1985年6月13~20日、プラハ、ルドルフィヌム(芸術家の家)、ドヴォルザーク・ホール(16番)
スプラフォンとの共同制作
【COCO-70683】


第16番は第14番と同じような印象を受けました。
よくまとまった佳曲です。

飛び抜けていたのが第15番。
私の中では、全16曲中のベスト・ワンです。

とくに第3楽章 Molto adagio - Andante が絶品ですが、
全体のまとまりもよく、曲としての統一感にも欠けていません。

あまり弦楽四重奏曲に興味がない方でも、
この1曲は耳にしておかないと勿体ないと思います。

後期の作品は、
はじめの数曲は若干まとまりが悪く感じられたのですが、
第14~16番はよくまとまっていて、わかりやすい作品でした。
晩年の3曲のピアノ・ソナタを連想しました。

今後もくり返し聴きこんで行きたいと思っております。

全16曲を聴いてきて、中期の作品にも
良いものがあることに気がつけたのは、今回の収穫でした。

スメタナ四重奏団は、
4人がとても均等なバランスを保っていて、
オルガンの響きを聴いているようなところがあり、
楽譜に最大限忠実に演奏されていますので、
はじめて全曲を聴き通すには、もってこいでした。

また少し時間をおいて、
バリリ四重奏団や、アルバン・ベルク四重奏団の
全集にも挑戦しようと思っています。

ただ次は、ピアノ・ソナタ全32曲に挑戦しようかな、
と考えています。恐らく、ケンプさんの全集になるでしょう。

2011年8月3日水曜日

大友直人&東響の佐村河内守:交響曲第1番

話題作です。
佐村河内守さんの新作交響曲です。
聴いてみました。



佐村河内守
交響曲第1番《HIROSHIMA》


東京交響楽団
大友直人(指揮)
録音:2011年4月11・12日、パルテノン多摩(大ホール)
世界初録音
【DENON/COCQ84901】

数年前に自伝『交響曲第一番』(講談社、平成19年11月)が出版され、
その後いくつかのメディアで取り上げられていましたが、
あまり興味がなくそのままになっておりました。

この度のCDも、
《HIROSHIMA》という題名に若干の政治性を感じ、
はじめは聴くつもりがなかったのですが、
たまたま最終楽章の動画を拝見し、その圧倒的な音楽に感銘を受け、
全曲を聴いてみることにしました。

恐らく今後、自伝をひもといたり、
くり返し聴いたりすることで、
違った感想を抱くことになると思いますが、
まずは大まかな印象を、つづらせていただきます。

全3楽章。
全体の印象としては、救いのあるショスタコービッチ。
時にチャイコフスキーやラフマニノフを思わせる美しい場面もあって、
わかりにくい音楽ではありません。

ただし曲全体の構成には、問題があるように感じました。

3楽章とも、ゆっくり始まってゆっくり終わる音楽で、
ブルックナーのアダージョを3つ続けて聴かされているようでした。
(20分、35分、27分。)

1楽章ずつ取り上げて聴く分には、
大変深みのある音楽だと思いますが、
3楽章続けて聴くのは少々しんどいです。

でもCDで聴く分には、
3つ続けて聴く必要はないので、
1楽章ずつ、もうしばらく味わってみようと思います。

私の好みからいえば、
第3楽章のみであれば、かなりの名曲だと思います。

他の2楽章は、まだつかみどころがありません。



※2014年2月になって、
 この作品は、佐村河内守氏の指示のもと、
 新垣隆氏が作曲された作品であることが明らかになりました。

 そのこと自体はよくある話のようですが、
 佐村河内氏の生い立ち、障害などについて、
 少なからず嘘があったのではないかと指摘され、
 現在問題になっております。

 このCD発売後、NHKなどで特集が組まれ、
 人気に火がついていたようですが、
 ふだんテレビを観ないので、
 その後のことはあまり興味がわきませんでした。

 この交響曲への評価は、上記の通りです。

 個人的にはこのあとに続く、
 交響曲第2番、第3番への期待が大きかったので、
 このような形で終わってしまったのは大変残念です(2014.2.12)。