2012年1月31日火曜日

朝比奈隆&新日本フィルのブラームス:交響曲全集(2000-01)

正月に偶然、
CD棚に目がいって、
手に取って、聴いてみて、
感動を新たにしました。



CD-1
ブラームス
交響曲第1番ハ短調 作品68
録音:2000年9月11日

CD-2
交響曲第2番ニ長調 作品73
録音:2000年10月4日

CD-3
交響曲第3番ヘ長調 作品90
録音:2001年2月26日
交響曲第4番ホ短調 作品98
録音:2001年3月19日

朝比奈隆(指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団

会場:サントリーホール
【FOCD-9206~08】


朝比奈さんが最晩年に収録された
ブラームスの交響曲全集は、
発売されたときにすぐ購入して、
一度は聴いていたのですが、

その時は、
それほどブラームスに
こだわりのある時期でなかったようで、
そのままになっていました。

ブラームスの曲調は、
やはり年齢を重ねるごとに、
心に響いて来るようになって来ました。

今回聴き直してみて、
はじめて聴いたような、
新鮮な感動がありました。

ブラームスらしい
いぶし銀のようなくすんだ音色、
というよりは、

オケともども、
明るい色調の中に、
若々しい情熱がみなぎった演奏になっています。

第2と第3は、
ふだん耳にすることが少ない分、
特別すぐれた演奏に聴こえました。

オケと録音の水準が良いのもありがたく、
愛聴盤のひとつになりそうです。

2012年1月28日土曜日

横山幸雄のショパン:ピアノ独奏曲全曲集〈2〉



プレイエルによる
ショパン・ピアノ独奏曲全曲集〈2〉

1) マズルカ風ロンド ヘ長調 作品5 (1826年)

2) ワルシャワ時代の遺作のマズルカ 計7曲
  マズルカ ニ長調 (1820年)
  マズルカ 変ロ長調 WN7 (1826年)
  マズルカ ト長調 WN8 (1826年)
  マズルカ イ短調 WN14 (1827年)
  マズルカ ハ長調 WN24 (1830年)
  マズルカ ヘ長調 WN25 (1830年)
  マズルカ ト長調 WN26 (1830年)

3) ロンド ハ長調 WN15 (1828年)

4) 4つのマズルカ 作品6 (1832年)
  第1番 嬰ヘ短調
  第2番 嬰ハ短調
  第3番 ホ長調
  第4番 変ホ短調

5) 5つのマズルカ 作品7 (1832年)
  第1番 変ロ長調
  第2番 イ短調
  第3番 ヘ短調
  第4番 変イ長調
  第5番 ハ長調

6) ロンド 変ホ長調 作品16 (1833年)

横山幸雄(ピアノ)

使用楽器:プレイエル(1910年製)
録音:2010年11月15、16日
上野学園 石橋メモリアルホール

【KICC-914】


3曲のロンドの間に、
マズルカをはさんだ構成で、
まとまりの良いプログラムです。

感傷的になり過ぎない、
しかし無表情なわけではなく、どの曲も、
その良さが素直に伝わって来る、
適度な情熱を込めた演奏でした。

苦手なはずのマズルカも、
意外に心に響く曲が多いことを再確認しました。

ロンドは恐らく
どれも初めて聴きましたが、
ふつうに楽しめました。

曲の内容に、
若書きの感じはありますが、
それでも十分にコンサートで聴いて、
楽しめるレベルだと思いました。


それとやはり
ピアノの音色がすばらしいです。

ほんの少しひなびた感じが、
ショパンの曲想にとても良く合っています。

気軽に楽しめる、
でも新たな発見も多い一枚でした。

2012年1月25日水曜日

Bruno Walter Conducts Mozart その5

ブルーノ・ワルター(1876-1962)さんの
モーツァルト(1756-1791)作品集、
5枚目を聴きました。



モーツァルト
1) ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216
2) ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219

ジノ・フランチェスカッティ(ヴァイオリン)
録音:1958年12月10・12・15・17日

3) 6つの舞踏用メヌエット K.599 ~ 第5曲ヘ長調
4) 12のメヌエット K.568 ~ 第1番ハ長調

録音:1954年12月18-30日

5) 3つのドイツ舞曲 K.605

録音:1954年8月8日

ブルーノ・ワルター(指揮)
コロンビア交響楽団
【SONY 8 86079 06832 2】CD5


ヴァイオリン協奏曲第3&5番は、
モーツアルトが19歳のときに作曲されています。

それほど深みのある曲ではありませんが、

優美で、楽しい感じの佳曲で、
久しぶりに聴いて、やっぱり良い曲だなあ、
と思いました。

フランチェスカッティのヴァイオリンは、
思っていたより線が細く、

テクニック的にも少し懐かしい感じの弾き方で、

実際のコンサートで、
耳にするような演奏でした。

他の方の演奏も、
いろいろ聴いてみたくなりました。


後半の舞曲は、
32~35歳のときに書かれています。

シュトラウスのワルツを知ってしまった耳からは、
ごくふつうの作品に思えますが、

ワルターの指揮のおかげか、
楽しく聴くことができました。

2012年1月21日土曜日

【収録曲】ハイドシェックのヘンデル:クラーヴィア組曲

年が明けてから、
ハイドシェックさんが弾いた、
ヘンデルのクラーヴィア組曲集を聴き始めました。

1974年から1977年にかけて録音されたもので、
CD4枚に計16曲が収められています。


ここでは収録曲について、
若干の問題を整理しておきます。

それはこのCDでは
第1番から第16番まで、
組曲に番号をふってあるのですが、

1859年に出版された
ドイツのブライトコプフ・ウント・ヘルテル社による、
ヘンデルのクラーヴィア作品集(第1集~第4集)をみると、
順番に若干の異同があり、抜けている組曲もあることがわかります。


また、ヘンデルの作品番号(HWV)は、
1978年から1986年にかけて、ドイツの学者
ベルント・バーゼルト氏が整理したものなので、

1974~1977年に収録されたこのCDに、
HWVの番号は記されておりません。


これらの点を補正した上で、
収録曲を掲げると次のとおりです。

CD-1
 組曲 第5番 ホ長調 (第1集~第5番)HWV430
 「調子の良い鍛冶屋」
 組曲 第8番 ヘ短調 (第1集~第8番)HWV433
 組曲 第6番 嬰ヘ短調(第1集~第6番)HWV431
 組曲 第7番 ト短調 (第1集~第7番)HWV432
録音:1974年頃
【CASSIOPEE 969 192】



CD-2
 組曲 第3番 ニ短調 (第1集~第3番)HWV428
 組曲 第13番 変ロ長調(第2集~第7番)HWV440
 組曲 第2番 ヘ長調 (第1集~第2番)HWV427
 組曲 第15番 ニ短調 (第3集~第1番)HWV447
 組曲 第1番 イ長調 (第1集~第1番)HWV426
録音:1975年頃
【CASSIOPEE 969 193】



CD-3
 組曲 第4番 ホ短調(第1集~第4番)HWV429
 組曲 第10番 ト長調(第2集~第3番)HWV436
 組曲 第16番 ト短調(第3集~第2番)HWV451
録音:1977年頃
【CASSIOPEE 969 208】



CD-4
 組曲 第9番 ト短調(第2集~第6番)HWV439
 組曲 第11番 ニ短調(第2集~第4番)HWV437
 組曲 第14番 ト長調(第2集~第8番)HWV441
 組曲 第12番 ホ短調(第2集~第5番)HWV438
録音:1977年頃
【CASSIOPEE 969 209】



曲順に並べなおすと次のとおりです。

 組曲 第1番(第1集~第1番)HWV426
 組曲 第2番(第1集~第2番)HWV427
 組曲 第3番(第1集~第3番)HWV428
 組曲 第4番(第1集~第4番)HWV429
 組曲 第5番(第1集~第5番)HWV430
 組曲 第6番(第1集~第6番)HWV431
 組曲 第7番(第1集~第7番)HWV432
 組曲 第8番(第1集~第8番)HWV433

 組曲 第9番(第2集~第6番)HWV439
 組曲 第10番(第2集~第3番)HWV436
 組曲 第11番(第2集~第4番)HWV437
 組曲 第12番(第2集~第5番)HWV438
 組曲 第13番(第2集~第7番)HWV440
 組曲 第14番(第2集~第8番)HWV441

 組曲 第15番(第3集~第1番)HWV447
 組曲 第16番(第3集~第2番)HWV451


第1集の全8曲はすべて収録されています。

第2集は、始めの第1・2番と、
最後の第9番が省略されています。

 組曲 変ロ長調  (第2集~第1番)HWV434
 シャコンヌ ト長調(第2集~第2番)HWV435
 シャコンヌ ト長調(第2集~第9番)HWV442

の3曲です。

このうち
第2・9番(HWV435・442)が省略されたのは、
他とは違った形式で書かれていたからでしょうか。

第1番(HWV434)を省略した理由はわかりませんが、
後にブラームスが、この曲の主題を用いて、
「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」
を作曲しています。

ハイドシェックはこのブラームスの方は
得意にして録音も行なっています。

第3集以降は、詳しく調べておりませんが、

ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社による、
ヘンデルのクラーヴィア作品集(第1集~第4集)に収録されている組曲は、
ほぼ網羅されていると言ってよいと思います。



ハイドシェックがどんな楽譜を用いたのか、
興味のあるところですが、わかりませんでした。


また現在、ヘンデルの
一番新しい校訂楽譜はどれを選ぶのが適当なのか、
これもわかりませんでした。


とりあえず、 
わかったところまで記しておきます。
次からは、CDの感想を記して行きます。



※日本ヘンデル教会
【http://www.handel-institute-japan.org/index.htm】
※ペティナ・ピアノ曲事典「ヘンデル」
【http://www.piano.or.jp/enc/composers/index/64】
※ペトルッチ楽譜ライブラリー「ヘンデル」
【http://imslp.org/wiki/Category:Handel,_George_Frideric】
を参照しました。

2012年1月13日金曜日

ティーレマンのモーツァルト:レクイエム

先にワルターの指揮で、
良さを再認識したレクイエム。

早速これは!という1枚に出会えました。



モーツァルト
レクイエム ニ短調 K.626

シビッラ・ルーベンス(ソプラノ)
リオバ・ブラウン(メゾ・ソプラノ)
スティーヴ・ダヴィスリム(テノール)
ゲオルク・ツェッペンフェルト(バス)

バイエルン放送合唱団
(合唱指揮:ペーター・ダイクストラ)

ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
フリーデマン・ヴィンクルホーファー(オルガン)

指揮:クリスティアン・ティーレマン

録音:2006年2月 ミュンヘン(ライブ)
【UCCG-50098】


ティーレマンは
まだ若く、今一つの録音も多いのですが、
これは非常な名演だと思います。

一番、ワルターに近い印象を受けました。

といっても、
スタイルをまねしているわけではありません。

十分に感情を込めて曲想をえぐっていく、
巨匠風のスタイルなのですが、

オケの響きは意外と軽めです。

曲にもよるのでしょうが、
モーツァルトにはちょうど良い加減で、
合唱ともども、耳に心地よく響いて来ました。

また、キビキビとした
小気味のよい早めのテンポで進んでいくので、

これまで若干、
違和感をもちつつ聴いていた中間部も、
感動をもって聴き通すことができました。


他に聴いたのは、
ベーム、カラヤン、バーンスタイン、
ムーティ、コープマンなど。

まだ他によい演奏を聴き落としていることでしょう。

ベームとバーンスタインは、
私には少し押しが強すぎる感じがしました。

逆にカラヤンは響きに空虚さがありました。

ムーティは合唱の響かせ方が、
私の好みとは違う方に向いていました。

コープマンの演奏は結構好きです。


ティーレマンの録音を基準に、
これからもいろいろ聴いていきます。

2012年1月9日月曜日

柳家小三治11 落語名人会35 「猫の災難・粗忽の釘」(1988・85)

柳家小三治さん、
落語名人会のシリーズ、
11枚目を聴きました。

「猫の災難」と「粗忽の釘」です。



落語名人会35
柳家小三治〈11〉

「猫の災難(ねこのさいなん)」
(1988年5月31日 鈴本演芸場 第6回柳家小三治独演会)
〔お囃子〕樋田ひさ/小口けい

「粗忽の釘(そこつのくぎ)」
(1985年4月16日 本多劇場 第7回本多寄席 柳家小三治独演会)
〔お囃子〕森本規子

〔プロデューサー〕京須偕允
【SRCL-3558】


「猫の災難」は
のんべえの楽しいお話です。

よくつくりこんである分、
音だけでは多少間延びするようにも感じました。


「粗忽の釘」は、
そそっかしいお話しです。

これは何度聴いてもおもしろい、
小三治さんの魅力がいっぱいつまった
おすすめの口演です。

今回もやっぱり大笑いしました。

柳家小三治
「猫の災難」88-5/31◯
「粗忽の釘」85-4/16◎

2012年1月4日水曜日

横山幸雄のショパン:ピアノ独奏曲全曲集 その1(2010年録音)



プレイエルによる
ショパン・ピアノ独奏曲全曲集〈1〉

1) ロンド ハ短調 作品1
2) ピアノ・ソナタ第1番 ハ短調 作品4
3) 12の練習曲 作品10

横山幸雄(ピアノ)

使用楽器:プレイエル(1910年製)
録音:2010年10月17、18日
上野学園 石橋メモリアルホール

【KICC-913】


横山幸雄さんはまだ40歳になったばかり。
日本を代表するピアニストの一人です。

弾け過ぎるくらいに弾ける方なのですが、
音楽的な味わい深さには、ほんの少し欠ける所があって、
これまであまり聴くことはありませんでした。

しかしショパンは、
あんまり感情を込め過ぎると、
かえってうっとうしく感じられるところもあって、
楽譜どおりにバリバリ弾いてもらえた方が、
安心して楽しめることもあります。

とはいえ、
ただショパンを録音しただけであれば、
あまり気にならなかったと思うのですが、

1910年製のプレイエルを使っている
ところにひかれて購入してみました。

これが大正解!

若干ひなびた感じの音色が
味わい深い雰囲気を醸し出していて、

どれだけ楽器を鳴らしても
耳にうるさく響くところがないので、
とても聴きやすいです。

横山さんの演奏も、楽器の弾きにくさが
技巧にほどほどにセーブをかけているのか、

テクニックよりも
曲そのものの良さがすなおに伝わって来て、
飽きることなく1枚聴き終えていました。

1) ロンド ハ短調 作品1
2) ピアノ・ソナタ第1番 ハ短調 作品4

は初めて聴きました。

ところどころ若さも感じられますが、
それもまた長所として、曲の魅力を味わうことができました。

12枚すべてこのレベルを維持しているのかはわかりませんが、
ショパンの独奏曲をすべて聴く機会はあまりないので、
この機会に聴き進めていこうと思います。