2013年4月30日火曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その9

Audite から復刻された
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集、
9枚目を聴きました。


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS

1) ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》
2) シューベルト:劇付随音楽《ロザムンデ》序曲 作品26 D644
3) ブラッハー:管弦楽のための協奏的音楽 作品10

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1952年12月8日(1)、1953年9月15日(2)、1954年4月27日(3)、ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD9

CD9には、まず
1952年12月7・8・9日に行われた
 ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》序曲
 ヒンデミット:交響曲《世界の調和》
 ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》
の3曲からなる演奏会から、

8日に演奏された《英雄》交響曲が収録されています。
(残りの曲は、CD8に収録されています。)


次に、1953年9月15・16・17日に行われた
 シューベルト:劇付随音楽《ロザムンデ》序曲
 シューベルト:交響曲第8番《未完成》
 シューベルト:交響曲第9番《ザ・グレート》
の3曲からなる演奏会から、

15日に演奏された《ロザムンデ》序曲が収録されています。
(残りの曲は、CD10に収録されています。)


最後に、1954年4月25・26・27日に行われた
 ヘンデル:合奏協奏曲 作品6-5
 ブラームス:交響曲第3番
 ブラッハー:管弦楽のための協奏的音楽
 シュトラウス:《ドン・ファン》
 ワーグナー:《トリスタンとイゾルデ》より
の5曲からなる演奏会から、

27日に演奏されたブラッハーが収録されています。
(ヘンデルはCD7に、残りはCD11に収録されています。)


   ***

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven 1770.12-1827.3)の
交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》は、
33歳のとき(1804年)に完成された作品です。

なぜか若干さめた感じに聴こえますが、
フルトヴェングラーの得意曲だけあって、

有機的な響きにほどよい推進力に導かれて、
曲の全体像がよくわかる演奏になっていました。

音質もフルトヴェングラーの録音としては良い方だと思いますが、
その分コンサート用でない、臨時の演奏会場のデッドな感じが伝わって来て、

オケの響きそのものを楽しむことは出来ませんでした。
その点、多少マイナスでした。


   ***

オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト
(Franz Schubert 1797.1-1828.11)の
劇付随音楽《ロザムンデ》序曲 作品26 D644

は、ドイツの女性作家ヘルミーネ・フォン・シェジーの
戯曲『キプロスの女王ロザムンデ』のために作曲された音楽です。
不評のため台本は散逸し、シューベルトの音楽のみが伝えられています。

序曲は、
のちに書き下ろされた独自の版(D797)もありますが、
初演時には、歌劇《アルフォンソとエストレッラ》序曲(D732)を転用、
のちに劇付随音楽《魔法の竪琴》序曲D644)が転用されました。

録音などで何も注記がないときは、
ほとんど D644 が演奏されているようです。

すぐれた演奏といって良いと思いますが、
個人的には、ボッセとの新日本フィルとの
有機的だけど軽みもある演奏に魅了された後なので、

響きが少し重々しすぎるように感じました。

フルトヴェングラーらしい
曲の内面をよく掘り下げた名演ではあります。


   ***

ドイツの作曲家
ボリス・ブラッハー
(Boris Blacher 1903.1-1975.1)の
管弦楽のための協奏的音楽 作品10
は、34歳のとき(1937)に作曲された作品です。

パガニーニの主題による変奏曲 作品26(1947)
という管弦楽曲が知られているようですが、未聴です。

どちらかというと、
今では忘れられかけている作曲家のようです。
ジャズのリズムと現代音楽の無機的な響きを合わせたような作品です。

録音も良く、
楽譜をよく読み込んだ上での演奏だと思います。

聴いていて苦痛になることはないのですが、
くり返して何度も聴きたいか、といえば、

それほどは感銘を受けない、
時代の潮流にのっただけの曲のように感じました。


※Wikipediaの
 「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
 「交響曲第3番(ベートーヴェン)」
 「フランツ・シューベルト」
 「キプロスの女王ロザムンデ」
「ボリス・ブラッハー」の各項目を参照。

※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
 仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照。
 【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】

ヤンドーのハイドン:ピアノ・ソナタ全集 その3

ハンガリーのピアニスト
イエネ・ヤンドー(1952 - )さんの
ハイドン:ピアノ・ソナタ全集

3枚目は、
ウィーン原典版の通し番号で、
第19・17・28番のソナタ3曲等を聴きました。



フランツ・ヨセフ・ハイドン(1732 - 1809)
 1) ピアノ・ソナタ 第19番 ホ短調 Hob.XVI:47bis
 2) ピアノ・ソナタ 第17番 変ホ長調 Hob.deest
 3) ピアノ・ソナタ 第28番 ニ長調 Hob.XVI:5bis

 4) アリエッタと12の変奏曲 イ長調 Hob.XVⅡ:2
 5) アレグレット ト長調 Hob.Ⅲ:41(IV)
 6) アダージョ ト長調 Hob.XV:22(II)
 7) アレグレット ト長調 Hob.XVⅡ:10
 8) アダージョ ヘ長調 Hob.XVⅡ:9
 9) ファンタジア(カプリッチョ)ハ長調 Hob.XVⅡ:4

イエネ・ヤンドー(ピアノ)
録音:1996年4月、ブダベスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.553826】


1) ピアノ・ソナタ 第19番 ホ短調 Hob.XVI:47bis

 bis とはくり返しの意で、これは
 Hob.XVI:47(第57番 ヘ長調) の異稿ということになります。

 第19番 ホ短調 Hob.XVI:47bis
  第1楽章 Adagio
  第2楽章 Allegro
  第3楽章  Finale:Tempo di Menuet

 第57番 ヘ長調 Hob.XVI:47
  第1楽章 Moderato
  第2楽章 Larghetto
  第3楽章 Allegro
 という構成で、

 第19番の第1・2楽章と、
 第57番の第2・3楽章が、
 調性を除いてほぼ同じ内容となっています。

 第19番は美しいアダージョ(第1楽章)の印象的な出だしではじまるのですが、
 フィナーレのようなアレグロ(第2楽章)のあとで、
 メヌエットがフィナーレとして置かれているのは、
 多少ちぐはぐな感じがしました。

 美しいアダージョに目をつけて、
 後年、急/緩/急に作り直したのかなとも思いましたが、
 成立については諸説あるようですので、

 第57番を聴くときに、改めて考えることにします。

 曲の内容は、
 第1楽章のアダージョが出色で、
 第2・3楽章はなくてもいい位です。



2) ピアノ・ソナタ 第17番 変ホ長調 Hob.deest

 Hob.deest とは、
 ホーボーケンの目録から省かれている作品です。
 Hob.XVI:Es2 と呼ばれることもあります。

 Hob.XVI:Es3(第18番 変ホ長調)とともに、
 1961年になってから発見された作品であり、
  ウィーン原典版(ランドン校訂)
 において第17・18番として採用されました(ヘンレ社原典版でも採用)。

 しかしその後の研究によって、
 改めてほかの作曲家の作品である可能性が想定されているそうです。

 そう言われて聴きなおすと、
 曲自体の魅力に多少欠けるところがあるようにも感じますが、

 ハイドンの初期のソナタの一つとして聴けないこともなく、
 音のみでは判断しにくいと思いました。



3) ピアノ・ソナタ 第28番 ニ長調 Hob.XVI:5bis

 1961年に楽譜が発見された2楽章のソナタです。
 第1楽章は前半を欠き、第2楽章のみ完備しています。
 (CDには「第1楽章の断片」と「第2楽章 メヌエット」を収録。)

 ハイドンには、もともと目録によって、
 冒頭主題のみ知られる8曲の紛失したソナタがあり、
   Hob.XVI:2a-2h
 に分類されていました。

 1961年になってこのうち1曲の楽譜が発見され、
  (Hob.XVI:2f)→Hob.XVI:5bis
 ウィーン原典版において第28番として整理されました。

  ※冒頭主題のみ伝わる Hob.XVI:2a~e,g,h も、
   ウィーン原典版では 第21-27番 に整理されています。

 なお番号 Hob.XVI:5bis とあるのは、
 Hob.XVI:5(ピアノ・ソナタ第8番)の異稿ではなく、
 Hob.XIV:5(ピアノと伴奏のためのディヴェルティメント)の異稿であることをさしています。

 ピアノ四重奏曲への編曲版が存在しているようですが、
 詳しくはよくわかりませんでした。


 曲の内容は、
 第1楽章は断片だけですが、
 メヌエットへと続く序奏部として聴けないこともなく、

 しばらく聴き込んでいると、
 よく組み立てられたメヌエット楽章だと思えて来ました。



4) アリエッタと12の変奏曲 イ長調 Hob.XVⅡ:2

 Hob.XVⅡ:2 には、主に3つの異稿が存在しているようです。

 〔1〕20の変奏曲 ト長調
   ハイドン自筆の草稿譜(1765年)
 〔2〕アリエッタと12の変奏曲 イ長調
   草稿譜の20年後(1789年)に出版された版。
    アリエッタと12の変奏曲 変ホ長調 Hob.XVⅡ:3
   と合わせて出版するために短くされたようです。

 〔3〕20の変奏曲 イ長調
   ト長調の草稿譜を書き上げたあと、
   20の変奏曲のままでイ長調になおした決定稿があったはず、
   との推測にもとづく版で、ヘンレ社原典版に収録。

 このうち〔2〕がこのCDに収録されているわけです。
 ウィーン原典版には〔1・2〕を収めているので、
 〔1〕の版もヤンドーさんの演奏で、そのうち聴けると思います。

 曲の内容は、
 12変奏でもほどよい長さで、
 もう1曲の Hob.XVⅡ:3 と一緒に取り上げたら、
 コンサートのプログラムとして良い趣向だと感じました。



5) アレグレット ト長調 Hob.Ⅲ:41(Ⅳ)

 Hob.Ⅲ:41 とは、
 弦楽四重奏曲 第41番ト長調 作品33-5 のことで、

 Hob.Ⅲ:41(Ⅳ) とは、
 その第4楽章の編曲であることを示しています。

 作品33 は、1781年(ハイドン49歳)に作曲された
 弦楽四重奏曲集(全6曲)で「ロシア四重奏曲」と呼ばれています。
 その第5番の第4楽章からの編曲ということになります。

 原曲は未聴ですが、3分にも満たない曲で、
 原曲を子ども向けにやさしく書きなおした感じがしました。
 美しい小品ですが、特別な印象は残りませんでした。


6) アダージョ ト長調 Hob.XV:22(Ⅱ)

 Hob.XV:22 とは、
 ピアノ三重奏曲 第22番 変ホ長調 のことで、

 Hob.XV:22(Ⅱ) とは、、
 その第2楽章の編曲であることを示していますが、
 もともとはピアノ(クラーヴィア)版のほうが先に出来ていたようです。

 これはよくまとまっている5分弱の小品で、
 とても印象に残りました。


7) アレグレット ト長調 Hob.XVⅡ:10

 音楽時計用の作品群(Hob.XIX:1~32)中の、
 Hob.XIX:27 の編曲だそうです。

 2分ほどの小品ですが、
 それなりに美しい曲なので、
 子どもさんのピアノの発表会などで取り上げたら、
 いい感じかもしれません。

8) アダージョ ヘ長調 Hob.XVⅡ:9

 1786年出版の小品集に収録。

 これもどちらかといえば、
 子ども向けに書かれた感じの曲で、
 深みに欠ける印象はありますが、
 それなりに美しく、発表会などで取り上げるのには適していると思いました。


9) ファンタジア ハ長調 Hob.XVⅡ:4

 元々「カプリッチョ(奇想曲)」と題されていたのが、
 出版に際して「ファンタジア(幻想曲)」と変えられたそうです。

 一気に駆け抜ける感じの曲なので、
 ソナタの最終楽章を独立して演奏している感じです。

 コンサートでこれだけ取り上げるのは
 難しい気もしますが、それなりに楽しく、良く出来ている作品だと思います。



  ***

さて、ピアノ・ソナタ全集その2として聴いた一つ前のCDには、

 第11番 変ロ長調 Hob.XVI:2
 第12番 イ長調 Hob.XVI:12
 第13番 ト長調 Hob.XVI:6
 第14番 ハ長調 Hob.XVI:3
 第15番 ホ長調 Hob.XVI:13
  第16番 ニ長調 Hob.XVI:14
 第18番 変ホ長調 Hob.deest

が収められていました。それに対して今回のCDには、

 第17番 変ホ長調 Hob.deest
 第19番 ホ短調 Hob.XVI:47bis

 第28番 ニ長調 Hob.XVI:5bis

が収められていました。

第21番から第27番までは、
目録で主題が伝わるのみですので、
第28番までで残るのは、あと

 第20番 変ロ長調 Op.53-3 Hob.XVI:18

1曲のみとなりました。これは次のCDに収録されているようです。



※Wikipediaの
 「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
 「ハイドンのピアノソナタ一覧」
 「ハイドンのピアノ曲一覧」
 「ホーボーケン番号」の各項目を参照。

※ピティナ・ピアノ曲事典の「ハイドン」を参照。

※ハイドン研究室「クラヴィア・ソナタの部屋」を参照。

2013年4月27日土曜日

Sir Adrian Boult conducts Elgar その2

イギリスの指揮者
エイドリアン・ボールト(1889.4-1983.2)による、

イギリスの作曲家
エドワード・エルガー(1857.6-1934.2)の録音集2枚目は、
交響曲第2番《子供の魔法の杖》第1組曲です。


エルガー
交響曲第2番 変ホ長調 作品63
《子供の魔法の杖》第1組曲 作品1a

フィルハーモニック・プロムナード管弦楽団〔交響曲〕
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団〔組曲〕
エイドリアン・ボールト(指揮)
録音:1956年(交響曲)、1953年(組曲)
【Regis RRC5010】


交響曲第2番 変ホ長調 作品63 は、

第1番の初演から2年半をへて、
1911年5月(エルガー53歳)に初演された交響曲です。

イギリス国王エドワード7世に献呈されるはずだったのが、
1910年5月に国王が崩御されたため、
その追悼に捧げられたそうです。

エルガーの交響曲第2番は、
めったに聴く機会がないこともありますが、
第1番よりもわかりにくい印象があって、
ほとんど聴いて来なかったのですが、

ボールトさんならばと期待して聴いてみました。

初めに聴いたときは、
つかみどころがない感じがして、
何だかよくわからないままだったのですが、

演奏自体は強い共感に導かれたものでしたので、
2度、3度と聴き込むうちに、

第2楽章→第4楽章→第3楽章→第1楽章

の順で耳になじんで来ました。


第2楽章「ラルゲット」は、
交響曲第1番の第3楽章「アダージョ」と同じ傾向の名曲で、
威厳に満ちた濃い内容は、こちらの方が上のようにも思いました。

ただ第1楽章は、
それほど耳になじみやすい旋律もなく、
しばらく聴き込んだあとでも、飛び切りの名曲であるようには思えませんでした。

これは国王エドワード7世に献呈すべく作曲されたことが影響しているようにも感じました。

王室に対する尊敬の念、
威厳、近づきにくさといった独特の感情が、
反映されているように感じました。

第2楽章の印象的なティンパニの打ち込みは、
ベートーヴェンの「英雄」交響曲を連想しました。

イギリス的な「英雄」交響曲として聴くと、
これまでよりこの曲を身近に感じることができました。

今後ぜひ、他の録音も聴いてみたいと思っています。



《子供の魔法の杖》第1組曲 作品1a は、

少年時代に作曲した劇附属音楽のスケッチをもとに、
エルガーが50歳のとき(1907年)に完成、初演された管弦楽のための組曲です。
翌1908年には第2組曲がまとめられ、初演されました。

これは確かに、
CD1で聴いた組曲《子供部屋》よりも
曲想が若々しい感じがしますが、

50歳を過ぎてまとめ直されているからか、
つたない感じはまったくなく、

チャイコフスキーの《くるみ割り人形》を、
品良く、イギリス風に仕立て直した風で、
それなりに楽しむことができました。

コンサートで頻繁に取り上げられるには、
より一層の個性が必要かもしれませんが、

エルガーの交響曲などと組み合わせたら、
おもしろいと思いました。



※Wikipediaの
「エドワード・エルガー」
「エルガーの楽曲一覧」
「子供の魔法の杖」
「エイドリアン・ボールト」
「Adrian Boult discography」の項目を参照。

2013年4月15日月曜日

ユボーのフォーレ:ピアノ作品全集 その2


フランスのピアニスト
ジャン・ユボー(1917-1992)
71-72歳のときに録音した

フランスの作曲家
ガブリエル・フォーレ(1845.5-1924.11)の
ピアノ曲全集(CD4枚)、
CD2枚目です。


フォーレ
ピアノ作品全集第1集より

CD2
1) 主題と変奏 嬰ハ短調 作品73(1895年)※50歳
2) 即興曲
  第1番 変ホ長調 作品25(1881年)※36歳
  第2番 ヘ短調 作品31(1883年)※38歳
  第3番 変イ長調 作品34(1883年頃)
  第4番 変ニ長調 作品91(1905-06年)※60歳
  第5番 嬰ヘ短調 作品102(1909年)※64歳
3) 3つの無言歌 作品17(1863頃)※18歳
  第1番 変イ長調
  第2番 イ短調
  第3番 変イ長調

ジャン・ユボー(ピアノ)
録音:1988年10月-89年4月、アル・アディアール、パリ
【WPCS-10982/3】


1) 主題と変奏 嬰ハ短調 作品73 は、

フォーレ50歳のとき(1895年秋)に作曲され、
翌年12月に初演された作品です。
主題と11の変奏からなります。

初めて聴きました。

フォーレらしからぬシリアスな出だしに、
すぐに思い浮かんだのが、
バッハのシャコンヌ(無伴奏Vn.のための)。

バッハのと比べると、
後半から終結部にかけてはあっさりしていて、
肩透かしにあった感じもありました。

それもまたフォーレらしいということでしょうか。

フォーレの独奏曲で、
1曲だけ選ぶのであれば、これになりそうです。
ぜひ、他の演奏家のも聴いてみたいです。


2) 即興曲 は、

30代後半に3曲、60代前半に2曲の計5曲作曲されています。

 第1番 変ホ長調 作品25(1881年)※36歳
 第2番 ヘ短調 作品31(1883年)※38歳
 第3番 変イ長調 作品34(1883年頃)

 第4番 変ニ長調 作品91(1905-06年)※60歳
 第5番 嬰ヘ短調 作品102(1909年)※64歳

まさしく「即興」風のフランス音楽で、
気軽に楽しめる小品が続きます。

よく聴くと、
後半2曲の方が深みはありそうですが、
率直なわかりやすさは、前半3曲の方が上のように思いました。

もう1曲、
ハープの原曲から編曲された1曲を、

 第6番変ニ長調 作品86 bis

とすることもあるようですが、このCDには収められていません。


3) 3つの無言歌 作品17 は、
フォーレ18歳(1863年)のころの作品と推定されています。

  第1番 変イ長調
  第2番 イ短調
  第3番 変イ長調

軽めの美しい小品です。
コンサートのアンコールなどで弾いたら、
さわやかな微風が吹き抜けていくようで、
いい感じかもしれません。


※Wikipediaの「ガブリエル・フォーレ」「フォーレの楽曲一覧」
「ジャン・ユボー」の各項目を参照。

※ピティナ・ピアノ曲事典「フォーレ」の項目を参照。