ネヴィル・マリナー(Neville Marriner 1924.4-)の指揮する
イギリスのオーケストラ
アカデミー室内管弦楽団(Academy of St. Martin-in-the-Fields)による
ドイツの作曲家
フェリックス・メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn 1809.2-1847.11)の
交響曲第3・4番を聴きました。
メンデルスゾーン
交響曲 第3番 イ短調 作品56《スコットランド》
交響曲 第4番 イ長調 作品90《イタリア》
アカデミー室内管弦楽団
ネヴィル・マリナー指揮
録音:1993年7月8-10日 ロンドン
【UCCD-7084】
メンデルスゾーンの交響曲といえば、
《スコットランド》と《イタリア》が取り上げられることが多いのですが、
これまでこの曲を聴いて、
特別な感動を味わったことがあるかと問われると、
それほど心惹かれる演奏に出会ったことはなく、
あまり深く印象に残らない曲でありました。
ドイツの作曲家なのですが、
ベートーヴェンやブラームスのように、
精神的にずっしり響いてくるところがないので、
どこを聴けばいいのか捉えどころがなかったのだと思います。
今回、古本屋で偶然手に入れた、
マリナー指揮/アカデミー室内管弦楽団のCDを聴いて、
初めてこの曲の真価がわかったように思いました。
マリナー氏のメンデルスゾーンは、
しみじみと丁寧に、どこも野暮ったくならずに、
典雅で上品なメンデルスゾーンの本質を、
見事に再現した演奏であるように思われました。
ふつうに振る舞いながら、
どこも美しく共感に満ちた音楽が広がっていき、
心から楽しむことができました。
いったん曲がわかってみると、
もう少し個性的な演奏の魅力もわかって来るかもしれません。
他の指揮者の演奏も、
いろいろ聴いてみようと思います。
マリナー氏が、
かつて頻繁に録音を発表されていたころは、
何でも取り上げ過ぎて、特徴をつかみにくいところがありました。
最近改めて、録音を聴き直してみると、
極上なのはやはりイギリス音楽であり、
後は同じ路線の、それほど深刻ぶらずに、
典雅な、上品な、愉悦な音そのものを楽しみたい時には、
最善の仕事をされていると感じました。
***
以下、
メンデルスゾーンの交響曲について、
自らの心覚えのためにまとめました。
メンデルスゾーンの交響曲は、
12-14歳の時(1821-1823)に
「弦楽のための交響曲」全13曲が作曲されていますが、
(3楽章形式の第1-12番と、単1楽章の1曲)
こちらは習作扱いされることが多く、
15歳の時(1824)に作曲された
最初の管弦楽のための交響曲が、
◎交響曲第1番 ハ短調 作品11
として出版されました(初演:1827年)。
その後、
23歳の時(1832)に
交響曲 第5番 ニ長調《宗教改革》作品107
24歳の時(1833)に
交響曲 第4番 イ長調《イタリア》作品90
が初演されているのですが、
この2曲は生前中に出版されなかったため、
没後の出版順に、第4・5番の番号がふられることになりました。
それから、
31歳の時(1840)に
◎交響曲 第2番 変ロ長調《賛歌》作品52
33歳の時(1842)に
◎交響曲 第3番 イ短調《スコットランド》作品56
が初演されています。
このうち ◎第1-3番 が、
メンデルスゾーンの生前に出版された交響曲ということになります。
***
このCDに収録されている
《スコットランド》と《イタリア》について
もう少し詳しく見ておくと、
交響曲 第3番 イ短調《スコットランド》作品56
は、20歳の時のイギリス旅行(1829.5-)で着想を得、
33歳の年に完成し、初演(1842.3)され、
翌年(1843)出版された作品です。
交響曲 第4番 イ長調《イタリア》作品90
は、21歳の時のイタリア旅行(1830.10-)で着想を得、
24歳の時に完成し、初演(1833.5)された作品です。
その後、亡くなるまで改訂作業が続けられたため、
生前に出版されることはありませんでした(初出版:1851)。
※Wikipediaの「アカデミー室内管弦楽団」「ネヴィル・マリナー」「フェリックス・メンデルスゾーン」「メンデルスゾーンの作品一覧」
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