2013年10月25日金曜日

マリナー&アカデミー室内管のメンデルスゾーン:交響曲第3・4番

イギリスの指揮者
ネヴィル・マリナー(Neville Marriner 1924.4-)の指揮する

イギリスのオーケストラ
アカデミー室内管弦楽団(Academy of St. Martin-in-the-Fields)による

ドイツの作曲家
フェリックス・メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn 1809.2-1847.11)の
交響曲第3・4番を聴きました。


メンデルスゾーン
交響曲 第3番 イ短調 作品56《スコットランド》
交響曲 第4番 イ長調 作品90《イタリア》

アカデミー室内管弦楽団
ネヴィル・マリナー指揮
録音:1993年7月8-10日 ロンドン
【UCCD-7084】

メンデルスゾーンの交響曲といえば、
《スコットランド》と《イタリア》が取り上げられることが多いのですが、

これまでこの曲を聴いて、
特別な感動を味わったことがあるかと問われると、

それほど心惹かれる演奏に出会ったことはなく、
あまり深く印象に残らない曲でありました。


ドイツの作曲家なのですが、
ベートーヴェンやブラームスのように、

精神的にずっしり響いてくるところがないので、
どこを聴けばいいのか捉えどころがなかったのだと思います。


今回、古本屋で偶然手に入れた、
マリナー指揮/アカデミー室内管弦楽団のCDを聴いて、

初めてこの曲の真価がわかったように思いました。


マリナー氏のメンデルスゾーンは、

しみじみと丁寧に、どこも野暮ったくならずに、
典雅で上品なメンデルスゾーンの本質を、

見事に再現した演奏であるように思われました。


ふつうに振る舞いながら、
どこも美しく共感に満ちた音楽が広がっていき、
心から楽しむことができました。


いったん曲がわかってみると、
もう少し個性的な演奏の魅力もわかって来るかもしれません。

他の指揮者の演奏も、
いろいろ聴いてみようと思います。


マリナー氏が、
かつて頻繁に録音を発表されていたころは、
何でも取り上げ過ぎて、特徴をつかみにくいところがありました。

最近改めて、録音を聴き直してみると、
極上なのはやはりイギリス音楽であり、

後は同じ路線の、それほど深刻ぶらずに、
典雅な、上品な、愉悦な音そのものを楽しみたい時には、

最善の仕事をされていると感じました。


  ***

以下、
メンデルスゾーンの交響曲について、
自らの心覚えのためにまとめました。


メンデルスゾーンの交響曲は、

12-14歳の時(1821-1823)に
「弦楽のための交響曲」全13曲が作曲されていますが、
(3楽章形式の第1-12番と、単1楽章の1曲)

こちらは習作扱いされることが多く、

15歳の時(1824)に作曲された
最初の管弦楽のための交響曲が、

◎交響曲第1番 ハ短調 作品11

として出版されました(初演:1827年)。


その後、

23歳の時(1832)に

 交響曲 第5番 ニ長調《宗教改革》作品107

24歳の時(1833)に

 交響曲 第4番 イ長調《イタリア》作品90

が初演されているのですが、

この2曲は生前中に出版されなかったため、
没後の出版順に、第4・5番の番号がふられることになりました。


それから、

31歳の時(1840)に

◎交響曲 第2番 変ロ長調《賛歌》作品52

33歳の時(1842)に

◎交響曲 第3番 イ短調《スコットランド》作品56

が初演されています。

このうち ◎第1-3番 が、
メンデルスゾーンの生前に出版された交響曲ということになります。


  ***

このCDに収録されている
《スコットランド》と《イタリア》について
もう少し詳しく見ておくと、


交響曲 第3番 イ短調《スコットランド》作品56

は、20歳の時のイギリス旅行(1829.5-)で着想を得、
33歳の年に完成し、初演(1842.3)され、
翌年(1843)出版された作品です。


交響曲 第4番 イ長調《イタリア》作品90

は、21歳の時のイタリア旅行(1830.10-)で着想を得、
24歳の時に完成し、初演(1833.5)された作品です。

その後、亡くなるまで改訂作業が続けられたため、
生前に出版されることはありませんでした(初出版:1851)。


※Wikipediaの「アカデミー室内管弦楽団」「ネヴィル・マリナー」「フェリックス・メンデルスゾーン」「メンデルスゾーンの作品一覧」

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