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2016年9月26日月曜日

オーマンディ&フィラデルフィア管のシベリウス:交響曲第2番(1957年録音)

ハンガリー出身の指揮者
ユージン・オーマンディ
(Eugene Ormandy, 1899.11-1985.3)の指揮する

アメリカのオーケストラ
フィラデルフィア管弦楽団の演奏、

ソ連のヴァイオリニスト
ダヴィッド・オイストラフ
(David Oistrakh, 1908.9-74.10)の独奏で、

フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(Jean Sibelius, 1865.12-1957.9)の
交響曲第2番ニ長調作品43と、ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47を聴きました。

交響曲は指揮者57歳の時(1957.3)、
協奏曲は指揮者60歳、独奏者51歳の時(1959.12)の録音です。


ジャン・シベリウス
①交響曲第2番ニ長調作品43
②ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47

ユージン・オーマンディ(指揮)
フィラデルフィア管弦楽団
ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン②)
録音:1957年3月(①)、1959年12月(②)
【SRCR1839】※1997年6月発売

前後の作品とともに、
初演日を掲げておきます。

《フィンランディア》作品26
(1899年11月4日初演◇33歳)

①交響曲第2番ニ長調作品43
(1902年3月8日初演◇36歳)
②ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
(1904年2月8日初演◇38歳)

交響曲第3番ハ長調作品52
(1907年9月25日初演◇41歳)


  ***

オーマンディのシベリウスを、
評価するきっかけになった1枚です。

このCD、廉価盤なのですが、
原盤を変に加工しないで復刻しているからか、

わずかに残るヒス音が、
かえって臨場感を増す結果を生んでいて、

朗々と鳴りわたるオケの深い響きに身を任せているうちに、
あっという間に最後まで聴き終わる、
感動的な名演が繰り広げられていました。

廉価盤だったこともあって、
名演かどうかはあまり気にしないで、
ふつうに聴いて、感動して、時折また取り出して、
聴いては感動してを繰り返していたのですが、

オーマンディを遥かに上回る演奏に出会っていないことも確かです。

指揮者の共感度の高い、
音楽的にバランスの取れた充実した演奏であり、
シベ2の名盤の一つだと思います。

  ***

オーマンディはどんな曲でもそつなくこなす指揮者なのですが、
シベリウスの録音は、他より一歩秀でているものが多いようです。

ぜひ他の録音も聴いてみたいと思い、
いくつか購入してみたのですが、
音質に不満のあるものが多く、今のところハズレ続きです。


こちらは8枚セットで一番お買い得だったのですが、
残念ながら安かろう悪かろうで、
一昔前の国内の廉価盤CDを聴いているような、
古ぼけた感じの痩せた音質のものばかりだったので、
途中で聴くのを止めてしまいました。

魅力的なラインナップと安さにつられて、
同じシリーズから、
ハイフェッツのベートーヴェンと、
ルービンシュタインのショパンも購入してみましたが、
いずれも安っぽい残念な音質でした。


こちらの3枚セットは、上記8枚セットとは違って、
編者の意図が強く感じられる凝った作りのCDなのですが、
廉価盤のときに聴こえていたヒス音がきれいに拭い去られて、
臨場感に乏しく、硬い音に聴こえてしまうのが難点でした。

以上、ご参考までに。

2015年11月23日月曜日

渡邉暁雄&日本フィルのシベリウス:交響曲第1番(1962年録音)

渡邉暁雄(1919.6.5-1990.6)の指揮する
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で、

フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第1番を聴きました。

指揮者42歳の時(1962.5)の録音です。


シベリウス
交響曲第1番 ホ短調 作品39

渡邊暁雄(指揮)
日本フィルハーモニー交響楽団
録音:1962年5月7・8日、東京文化会館
【TWCO-29/32】CD1 ※2012年12月発売


交響曲第1番 ホ短調 作品39 は、
シベリウスが33歳の時(1899.4)に初演されました。

同じ年(1899.11)に、
交響詩《フィンランディア》作品26
も初演されています。

この7年前、
26歳の時(1892.4)に、
クレルヴォ交響曲 作品7
が初演されていますが、
初演後、生前に再演されることはなく、
交響曲として通番が付されることはありませんでした。

第1番の初演後、3年をへて
36歳の時(1902.3)に初演されたのが、
交響曲第2番 ニ長調 作品42
です。


  ***

第1番は、
北欧のほの暗い雰囲気たっぷりの出だしで、
思わず惹きつけられるのですが、

意外にまとめにくいところがあるようで、
しばらく聴いていると間延びした感じになって、
途中で飽きが来てしまうことも多いです。


ベルグルンド&ボーンマス響
の名演を聴いて(1974年録音)、
ようやくこの曲の全体像をつかんだ気でいましたが、

渡邉暁雄&日本フィル
の旧盤を聴いて(1962年録音)、
ベルグルンドを凌ぐ感銘を受けました。

両者ともに、
楽譜への深い共感にもとづいた熱気のある演奏で、
甲乙つけがたい名演だと思いますが、

ベルグルンドのほうが、
コンサート会場で実際に聴くような、
オケ全体をひとまとめに捉えた、
野太い感じの自然な音作りなのに対して、

渡邉暁雄のほうは、
楽譜のすべての音を分離よく捉えられた、
セッション録音独特の音で、
コンサートではまず聴こえないところまで聴こえて来て、
最初のうちは多少の違和感もありました。

しかしいかにも人工的に作り込んでいるわけではなく、

不思議な統一感があって、
シベリウスの頭の中で鳴っていたはずの音が、
すべて有機的につながりをもって聴こえてくる風なので、
有無を言わさない強い説得力がありました。

  ***

ちなみに久しぶりに
渡邊暁雄&日本フィル
の新盤(1981年9月録音)も聞き直してみましたが、


オケの精度によるのか、
慣れないデジタル録音によるのか、

フォルテが耳にうるさく響き、
曲の美しさにひたる以前の問題で、
全曲聴き通すことができませんでした。

旧録音のほうが、
圧倒的に優れていると思います。


なお上に掲げた、
ベルグルンド&ボーンマス響 (1974年9月録音)
は、ぜひ輸入盤【EMI 50999 9 7366 2 5】を。

2012年6月に
日本で再販された盤もありますが、
輸入盤とはほぼ別物の残念な音質なので、
あまり評価できません。


ベルグルンドには12年後の再録音
ベルグルンド&ヘルシンキ・フィル (1986年5月録音)
もあり、そちらのほうが一般には有名ですが、

これも最近(2015年5月)、
日本で再販された盤は残念な音質なので、
選ぶなら輸入盤【EMI 7243 4 76963 2 9】だと思います。



しかしこの輸入盤を聴いても、
万全な演奏ではないように感じます。

前より解釈が深まっているのは明らかなのですが、
その分持ってまわった感じがして、
不思議と心に響いて来ないのです。

細部が今一つ明快に聴こえないところもマイナスです。

リマスター次第のようにも感じるので、
評価は別の機会に置いておきます。

2015年9月14日月曜日

渡邉暁雄&日本フィルのシベリウス:交響曲全集(1962年録音)

渡邉暁雄(1919.6-1990.6)の指揮する
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で、

フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(Jean Sibelius 1865.12-1957.9)の
交響曲全集を聴いていきます。

渡邉暁雄と日本フィルは、
シベリウスの交響曲全集を、
1962年と1981年の2回録音しています。

渡邉氏42-3歳そして62-3歳のときの録音です。
今回聴くのは旧盤(1962)のほうです。

私の渡邉氏に対する印象を、
大きく改めるきっかけになったCDです。

渡邊暁雄&日本フィル
シベリウス交響曲全集(第1回録音)

シベリウス
交響曲第1番 ホ短調 Op.39
〔録音:1962年5月7・8日、東京文化会館〕
交響曲第2番 ニ長調 Op.43
〔録音:1962年、杉並公会堂〕
交響曲第3番 ハ長調 Op.52
〔録音:1962年8月7・8日、東京文化会館〕
交響曲第4番 イ短調 Op.63
〔録音:1962年6月20・21日、東京文化会館〕
交響曲第5番 変ホ長調 Op.82
〔録音:1962年2月18日、文京公会堂〕
交響曲第6番 ニ短調 Op.104
〔録音:1962年、文京公会堂〕
交響曲第7番 ハ長調 Op.105
〔録音:1962年3月7日、杉並公会堂〕

渡邊暁雄(指揮I
日本フィルハーモニー交響楽団
【TWCO-29/32】※2007年5月発売

旧盤より早く、
新盤(1981)のほうを手に入れていたのですが、

新盤はオケのレベルによるのか、
あるいは始まったばかりのデジタル録音で、
録音する側の不慣れなところが影響したのか、

フォルテは暴力的で耳にうるさく、
ピアノも胸に響いてこない、
残響も何もない即物的な録音で、

どれも聴き通すことができませんでした。

リマスターし直せば、
違った印象になる可能性もありますが、

私が所有している盤(2007年発売)についていえば、
歴史的な価値以上のものは見出し難かったです。

初めてシベリウスの全集に挑戦される場合、
新盤(1981)は避けたほうが賢明です。


渡邊暁雄&日本フィル
シベリウス交響曲全集(デジタル再録音盤)

シベリウス
交響曲第1番 ホ短調 Op.39
 〔録音:1981年9月8日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第2番 ニ長調 Op.43
 〔録音:1981年6月25日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第3番 ハ長調 Op.52
 〔録音:1981年6月19日、習志野文化ホール〕
交響曲第4番 イ短調 Op.63
 〔録音:1981年9月9日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第5番 変ホ長調 Op.82
 〔録音:1981年7月2日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第6番 ニ短調 Op.104
 〔録音:1981年6月22日、習志野文化ホール〕
交響曲第7番 ハ長調 Op.105
 〔録音:1981年7月1日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響詩「トゥオネラの白鳥」Op.22-2
 〔録音:1981年9月8日、昭和女子大学人見記念講堂〕
悲しきワルツ Op.44-1
 〔録音:1981年9月9日、昭和女子大学人見記念講堂〕

渡邊暁雄(指揮)
日本フィルハーモニー交響楽団
【COCQ-84283-6】※2007年5月発売

  ***

そもそも渡邉氏のシベリウスは、
京都市交響楽団とのセッション録音を聴いたのが初めてでした。

シベリウス
劇付随音楽「テンペスト」第1組曲 Op.109
交響曲第2番ニ長調Op.43

渡邉暁雄(指揮)
京都市交響楽団
録音:1972年4月、奈良県文化会館
【TOCE-6321】1990年9月発売

《テンペスト》は全くピンと来なかったのですが、
第2番はそれなりに好感のもてる誠実で丁寧な演奏でした。

とはいえ
セッション録音ゆえか生き生きとした情感には乏しく、
職人的に淡々と仕事をこなしているようにも聴こえました。


その後、
ヘルシンキ・フィルとのライブ録音を聴きました。

シベリウス
交響曲第1番ホ短調Op.39
悲しきワルツOp.44

渡邉暁雄(指揮)
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1982年1月28日、福岡サンパレス
【TDK-OC012】2003年4月発売

各誌絶賛だったのでかなり期待していたのですが、

ライブならではのキズは仕方ないにしても、
何より解釈面でお互いに手探り状態のまま演奏に臨み、
不完全燃焼なまま終わってしまったように感じました。

こちらの演奏が今ひとつだったので、
同時に発売された第4・7番のCDはまだ聴いていません。

初めてシベリウスを聴くのであれば、
それなりに満足できる演奏だとは思うのですが、

渡邉氏のベスト演奏だとはとても言えないと思いました。


それから、
東京都響とのライブ録音も聴きました。


シベリウス
交響曲第1番ホ短調Op.39
交響曲第2番ニ長調Op.43

渡邉暁雄(指揮)
東京都交響楽団
録音:1972年4月28日(第1番)、1973年4月17日(第2番)、東京文化会館
【TFMC-0010/11】2004年7月発売

こちらも、
当時の日本のオケの水準を知る上では有用な演奏で、

同曲のライブを聴きに行って、
これくらいの演奏が聴ければふつうに満足できるレベルではあるのですが、

ほかの名演をさしおいて、
このCDを選びたいかといえば、
それほど特別な魅力は感じませんでした。


 ***

ここまで聴いてきた上で、
先の日本フィルとの新全集(1981)で、
耳にうるさく響く残念なCDを聴いてしまったので、

渡邉暁雄氏のシベリウスについて、
あまり肯定的な印象は持っていませんでした。


そんな私の、
渡邉氏に対するマイナス・イメージを
一気に覆させてくれたのが、

日本フィルとの旧全集(1961)でした。

40代の渡邉氏が、
まさかこれほど覇気にあふれた
熱い演奏を聴かせていたとは思いもよりませんでした。

シベリウスの楽譜への深い読みと、
壮年期の渡辺氏による核心に満ちた解釈で、
ぐいぐいと惹き込まれる魅力のある演奏が繰り広げられていました。

驚かされるのは、
ライブでもなかなか聴けないほどの
「熱さ」が伝わって来ることで、

セッション録音で、
どんな魔法を使ったのかしらと大いに感心させられました。

分裂前の日本フィルの実力も相当なものです。

日本で、音響設備の整った
最新のホールができる前の録音なので

最新の優れた音響のCDに比べれば、
響きに若干の弱さがあることは否めないのですが、

どんな強奏でも無機的に響かず、
意味のある音楽として心に伝わって来るのはなかなかないことです。

シベリウスの交響曲を聴いて、
初めてに近い、新鮮な感動を味わうことができました。

タイプが似ているのは、
ベルグルンド&ボーンマス響
の録音(1975-75)でしょうか。

ベルグルンドの第1回目の全集は、
のちの全集よりも若々しい生命力にあふれた演奏となっていますが、

これをさらに迫力一杯にした感じで、
全然負けていません。

渡邉氏の旧全集は、
初めてシベリウスの全集を聴く方にも、
安心してお薦めできる名盤だと思います。


※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「日本フィルハーモニー交響楽団」を参照。


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2014年7月31日木曜日

インキネン&ニュージーランド響のシベリウス:交響曲第2番(2008年録音)

フィンランドの指揮者
ピエタリ・インキネン(1980.4-)が指揮する
ニュージーランド交響楽団の演奏で、

フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第2番とカレリア組曲を聴きました。

シベ2はインキネン28歳の時(2008.10)、
カレリア組曲は30歳の時(2010.10)の録音です。


シベリウス
1) 交響曲第2番ニ長調作品43
2) カレリア組曲作品11

ニュージーランド交響楽団
ピエタリ・インキネン(指揮)
録音:2008年10月16-18日(1)、2010年7月27日(2)、ニュージーランド、ウェリントン、マイケル・ファーラー・センター
【NAXOS 8.572305】


1) 交響曲第2番ニ長調作品43 は、

第1番の初演から3年をへた
シベリウス36歳の時(1902.3)に、
作曲者本人の指揮によって初演された交響曲です。

次の第3番が初演されるのは、5年先の41歳の時(1907.9)のことになります。

2) カレリア組曲作品11 は、

シベリウス27歳の時(1893.11)に上演された
野外劇《カレリア》のための音楽にもとづく組曲で、

《カレリア》序曲作品10
《カレリア》組曲作品11

の2曲にまとめられています。
序曲は聴いたことがありません。

組曲の方は、
どこかで聴いたような気がしますが、
それほど強い印象はありません。

組曲は軽めの小品3曲で構成されています。


  ***

インキネンのシベリウス、
第1・3番が思いのほか良かったので、
第2番も期待していたのですが、

これは今一つの出来でした。

指揮者の思い入れが強すぎて、
本人の中でうまく整理しきれていない印象が残りました。

音楽の流れが滞りがちで、
全体の見通しがあまり良くない、

聴いているうちに段々冷めた感じになってくる、
残念な演奏でした。

第2番はよく知られた名曲ですが、
意外とまとめにくい所があるのかもしれません。

どちらかといえば、
後半の《カレリア》組曲のほうが
軽めの小品をほどよい加減でうまくまとめ上げていて、
好感が持てました。


※Wikipediaの「ピエタリ・インキネン」「ニュージーランド交響楽団」「ジャン・シベリウス」「交響曲第2番(シベリウス)」「カレリア(シベリウス)」を参照。

インキネン&ニュージーランド響のシベリウス:交響曲第1&3番(2009年録音)

フィンランドの指揮者
ピエタリ・インキネン(1980.4-)が指揮する
ニュージーランド交響楽団の演奏で、

フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第1番と第3番を聴きました。

インキネン28歳の時(2009.3)の録音です。


シベリウス
1) 交響曲第1番ホ短調作品39
2) 交響曲第3番ハ長調作品52

ニュージーランド交響楽団
ピエタリ・インキネン(指揮)
録音:2009年3月3-5日、ニュージーランド、ウェリントン、マイケル・ファーラー・センター
【NAXOS 8.572305】

1) 交響曲第1番ホ短調作品39 は、

シベリウス33歳の時(1899.4)に、
作曲者本人の指揮によって初演された交響曲です。

26歳の時(1892.4)に、
声楽を伴う「クレルヴォ交響曲」が初演されているので、

それから7年をへて作曲された、
管弦楽のみによる初めての交響曲ということになります。


第1番から3年後、
36歳の時(1902.3)に交響曲第2番が初演されますが、

それからさらに5年半をへて、
41歳の時(1907.9)に初演されたのが、

2) 交響曲第3番ハ長調作品52 でした。


  ***

インキネンのシベリウス、
前から気になっていたのですが、

日本フィルと新しい全集も企画されているようなので、

そちらを聴く前に、
ニュージーランド交響楽団との全集を
聴いていこうと思います。

とりあえず、
第1番と第3番を収録した1枚を聴いてみました。

音質は、
若干分離の悪い印象もありますが、
コンサートホールでふつうに聴いている位には聴こえてきます。

オケのレベルは、
日本のふつうの地方オケくらいでしょうか。


オケの水準も、録音の水準も、
もっと上の演奏はあると思うのですが、

指揮者のシベリウスとの相性の良さでしょうか、

不思議と耳が吸い寄せられて、
最後まで一気に聴き通してしまいました。

ふだん冗長に感じやすい第1番も、
有機的に全体像が描かれていて、

第2番と同じタイプの
名曲であることがよくわかりました。


第3番は最近お気に入りになりつつあります。

3楽章のシンプルな構成の中に、
シベリウスの魅力がつまっているようで、

こんな美しい曲があったことに
新鮮な驚きを覚えています。


インキネン28歳の時の録音で、
まだまだ改良の余地はあるのしょうが、

それなりに興味深く、楽しませてもらいました。


※Wikipediaの「ピエタリ・インキネン」「ニュージーランド交響楽団」「ジャン・シベリウス」「交響曲第1番(シベリウス)」「交響曲第3番(シベリウス)」を参照。

2013年10月10日木曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第7番(1972)

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929.4-2012.1)が44-46歳のときに(1973.11)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12.8-1957.9.20)の
交響曲第7番と、交響詩《海の精》《タピオラ》を聴きました。


シベリウス
1) 交響曲 第7番 ハ長調 作品105
2) 交響詩《海の精》作品73
3) 交響詩《タピオラ》作品112

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1972年5月(1)、1972年5月7・8日(2・3)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16017】


交響曲 第7番 ハ長調 作品105 は、

シベリウスが58歳のとき(1924年)に完成され、
同年3月に初演された単一楽章の交響曲です。


第5・6・7番は48歳(1914年)のとき、
ほぼ同時期に着想されたことが知られています。

第5番が初演(1915年12月)されてから、
しばらくその改訂作業が続いたため
(1916年に改訂稿、1919年に最終稿)、

第6番の初演は、
57歳(1923年2月)まで持ち越されました。

第7番はその翌年1924年に初演されています。


シベリウスは91歳(1957年)まで長生きしますが、
第7番以降、交響曲が完成されることはありませんでした。



第7番は今回ほぼ初めて聴きました。

感動しました。

第1番から第6番まで聴いてきた中では、
明らかに一つ高いところにある音楽で、

モーツァルトのクラリネット協奏曲や五重奏曲、
ベートーヴェンの晩年のピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲のみに聴かれる、

悟りの境地にある特別な感慨を味わうことができました。

他の方の演奏もぜひ聴いてみたいと思います。


  ***

交響詩《海の精》作品73 は、

48歳(1914年)のときに完成、
同年6月4日に初演された交響詩です。
《大洋の女神》《波の娘》などとも訳されます。

第7番の初演を10年さかのぼりますが、
第5-7番の曲想を得たのは1914年なので、

第5番に取りかかる前に完成された作品ということになります。


これも初めて聴きました。
わかりやすいシンプルな曲です。

何もないところから、
終末に明確なクライマックスが築かれていくので、
第7番のスケールを小さくした感じがありました。

ただし暗めの曲想なので、
聴いた印象はだいぶ違っていると思います。


   ***

交響詩《タピオラ》作品112 は、

交響曲第7番を完成した翌年(1925年)に完成され、
翌1926年12月26日(シベリウス61歳)に初演されました。

シベリウス最後の交響詩であり、
彼の交響詩の最高傑作と評価されているそうです。

確かに、
いくつか聴いてきたシベリウスの交響詩の中では、

さまざまな要素が凝縮され、
よく創り込まれた作品であることは十分伝わって来ました。

ただし一つの管弦楽曲としてみたとき、
他を圧倒する感動を与えられるところまでは行きませんでした。

恐らく今後聴き直していくことで、
より深く気がつけるところが出てくるように思います。


   ***

さてベルグルンドとボーンマス交響楽団による
シベリウスの交響曲全集はこれで終わりです。
(あと1枚、管弦楽曲集を残しています。)

多少、録音の古さを感じさせる点をのぞけば、
どれもシベリウスの真価を教えてくれる演奏で、
楽しい有意義な時間を過ごすことができました。

ただ、この全集を聴き出してから間もなく、
格安(1,300円程)の輸入盤で同じコンビの全集が発売されました。


そんなに違わないだろうと思っていたのですが、
最近買って聴いてみたところ、

同じ演奏とは思えないほど、
冴えわたった清新さを感じさせる録音でした。

国内盤で
唯一不満だった録音の古さをまったく感じさせずに、
熱く彫りの深い演奏が繰り広げられていたので驚きました。

国内では、一番大もとの原盤にはさかのぼりにくいでしょうから、
どうしても音質面でいま一歩になりがちなのかな、と思いました。

こちらで聴くと、まったく印象が異なりますので、
輸入盤でもう一度聴き直していこうかな、と考えているところです。



※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」
「交響曲第7番(シベリウス)」「大洋の女神」「タピオラ」を参照。

2013年7月28日日曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第6番 (1973年録音)

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929.4-2012.1)が44-46歳のときに(1973.11)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第6番と、交響詩《ルオンノタル》《ポヒョラの娘》を聴きました。


シベリウス
1) 交響曲 第6番 ニ短調 作品104
  第1楽章 アレグロ・モルト・モデラート
  第2楽章 アレグレット・モデラート
  第3楽章 ポコ・ヴィヴァーチェ
  第4楽章 アレグロ・モルト

2) 交響詩《ルオンノタル》作品70
3) 交響詩《ポヒョラの娘》作品49

タル・ヴァリャッカ(ソプラノ)
パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1973年11月24日(1)、1975年6月3日(2)、1974年9月9日(3)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16017】


交響曲 第6番 ニ短調 作品104 は、

シベリウスが57歳のとき(1923年)に完成、初演された作品です。

第5・6・7番はほぼ同時期(1914年)に
着想されたことが知られていますが、

第5番が初演(1915年)された後、
しばらく第5番の改訂作業が続いたためか
(1916年に改訂稿、1919年に最終稿)、

第6番の完成は
50代の後半に入ってから、
1923年のことになりました。

ちなみにこの翌年1924年には第7番が完成しています。


今回ほぼ初めて聴きました。

フィンランドの自然の豊かさを感じる、
たいへん美しい作品ですが、

大自然の雄大さというよりも、
私の内なる世界としての、等身大の自然が描かれているように感じました。


聴きやすく
わかりやすい音楽ですが、

第5番まで一貫して感じられた
外へ外へと向かっていく覇気が、

若干減じているようにも感じられました。


飛び切り美しい出だしに耳を奪われるものの、
全体を聴き通してみて、

感動のうちに聴き終えることはなく、
あれっと思って何度も聴き返しておりましたが、

まだわかった!と言えるところにはたどりつけませんでした。


  ***

交響詩《ルオンノタル》作品70 は、

シベリウス40代後半(1913年)に作曲された
ソプラノ独唱付きの交響詩です。

歌詞は『カレワラ』第1章にもとづくそうで、
《ルオンノタル(大気の精)》と訳されることもあるようです。


同時期に作曲された

 交響曲 第4番 イ短調 作品63
 交響詩《吟遊詩人》作品64

と似た曲想をもっているように感じました。

独唱付きな分、言葉の問題があるので、
取り上げられる機会は限られてくるかもしれませんが、

独創的な出だしとともに、
別世界に持っていかれる心地のする
美しい歌曲ともいえるでしょう。


交響詩《ポヒョラの娘》作品49 は、

シベリウス40代はじめ(1906年)作曲された
『カレワラ』にもとづく交響詩で、

英雄ヴァイナモイネンについて描かれているそうです。

 交響曲第3番ハ長調作品52

とほぼ同時期に書かれていますが、

ほの暗い色調で、
曲の出だしは第6番と似た印象を受けました。


第6番と似た感じのある
飛び切り美しい出だしに心奪われますが、

後半にかけての展開はあと一歩といった感じでした。

でも十分美しい、聴いておく価値のある佳曲だと思いました。


※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」
「交響曲第6番(シベリウス)」「ポホヨラの娘」を参照。

2013年2月28日木曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第5番(1974年)

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929.4-2012.1)が45歳のときに(1974.6)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第5番と交響詩《伝説(エン・サガ)》を聴きました。

《伝説》は初めて聴きました。


シベリウス
1) 交響曲 第5番 変ホ長調 作品82
  第1楽章 テンポ・モルト・モデラート~アレグロ・モデラート~プレスト
  第2楽章 アンダンテ・モッソ・、クワジ・アレグレット
  第3楽章 アレグロ・モルト

2) 交響詩《伝説(エン・サガ)》作品9

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1974年6月14日(交響曲)、1974年6月17日(組曲)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16016】


交響曲 第5番 変ホ長調 作品82 は、

シベリウス50歳の誕生日(1915.12)に初演された作品です。

改訂が2度施され、
53歳のとき(1919.11)に初演された
2度目の改訂稿が決定稿となっています。


第3番と同じ3楽章構成で、
実際、曲調も似ているように感じました。

第3番では明るい曲調の中に、若さというか、
抽象的ともいえる純度の高い音楽が展開されていたのに対し、

第5番では、
それまでの人生の深みというか、
50歳に至るまでの人生経験が織り交ぜられて、

再び誰にもわかりやすい音楽へと、
味わい深く進化を遂げているように感じました。


第4番をじっくり聴いた後の耳には、
とてもわかりやすい音楽に聴こえました。

これまでそれほど
感銘をもって聴いた記憶がないのですが、

今回初めて、
曲の真価をつかめた気がします。


  ***

交響詩《伝説(エン・サガ)》作品9 は、

シベリウスが27歳のときに初演された作品です(1893.2)。
のちに改訂され、36歳のとき(1902.11)に改訂版が初演されています。

26歳のとき(1892.4)に初演された
《クレルヴォ交響曲》作品7 が成功したのを受けて作曲された作品です。

クレルヴォが初演ののち撤回されてしまったので、
実質的に最初の成功作になりました。


さて聴いてみると、
初期のわかりやすい音楽で、
まとまりよく仕上がっているので、
コンサートで取り上げるのにはもってこいだと思いました。

ヴァイオリン協奏曲を多少俗化したような印象で、
ふつうに楽しんで、聴き終えることができました。

交響曲第5番のあとだと明らかに聴き劣りするのですが、

これだけじっくり取り上げれば、
また印象は異なると思います。


※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「交響曲第5番(シベリウス)」「エン・サガ」を参照。

2013年1月31日木曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第4番(1975年)

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が46・47歳のときに(1975・76)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第4番と交響詩《吟遊詩人》を聴きました。

《吟遊詩人》を聴いたのは、これが初めてです。



シベリウス
1) 交響曲 第4番 イ短調 作品63
  第1楽章 テンポ・モルト・モデラート、クワジ・アダージョ
  第2楽章 アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ
  第3楽章 イン・テンポ・ラルゴ
  第4楽章 アレグロ

2) 交響詩《吟遊詩人》作品64

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1975年6月3-4日(交響曲)、1976年6月24日(組曲)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16015】


交響曲 第4番 イ短調 作品63 は、

シベリウスが45歳のときに初演(1911.4)された交響曲です。

41歳のときに第3番が初演(1907.9)されて間もなく、
1908年に喉の腫瘍を摘出する手術を受けました。

幸い腫瘍は良性で、無事に回復できたのですが、
この時期の作品には、病の影響が色濃く出ているようです。


実際聴いてみると、
第1番のようにほの暗い色調のなか、
物思いに沈み込んだまま、浮かび上がってこない感じの曲です。

楽章の切れ目もわかりにくく、
わかりやすいメロディも影を潜めているので、

恐らく1度聴いただけでは、
何やらよくわからない方がほとんどではないでしょうか。


私も今回の録音で、今まで以上に、
曲の本質に近づけてきた感じはするのですが、

恐らくまだどんな曲なのか、
つかみ切れていない部分は残っているように思います。

でも曲の構造は大体頭に入ってきたので、
次に聴きなおすときには、

完全にわかった!と言えるような気がします。

ボーンマス響の演奏は、
金管が多少強めに聴こえるところが
個人的にはマイナスなのですが、

聴き慣れてくると、
むしろ爽快な感じにもなって来たので、
好みの問題かもしれません。



  ***

交響詩《吟遊詩人》作品64は、

シベリウス47歳のときに初演された作品です(1913.3)。
翌年に改訂が施され、1916年に初演されたものが最終稿になっています。


第4番と曲想がよく似ているので、

第4番に続けて聴くと、
曲の切れ目がわからずに、

いつの間にか《吟遊詩人》が始まっていることも
時々ありました。


しばらく聴いていると、
第4番より多少ロマンティックなところがあって
わかりやすい音楽なので、

こちらを聴きこんでから、
第4番に進むと良いのかもしれません。


ずいぶん聴き込みましたので、
とりあえず次に進みましょうか。



※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「交響曲第4番(シベリウス)」「吟遊詩人(シベリウス)」を参照。

2012年12月30日日曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第3番

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が48・49歳のときに(1977・78)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第3番と組曲《ペレアスとメリザンド》を聴きました。

ペレアスは今回初めて聴きました。


ジャン・シベリウス
1) 交響曲 第3番 ハ長調 作品52
  第1楽章 アレグロ・モデラーと
  第2楽章 アンダンテ・コンモート、クワジ・アレグレット
  第3楽章 モデラート - アレグロ・ノン・タント

2) 組曲《ペレアスとメリザンド》作品46
  第1曲 城門にて
  第2曲 メリザンド
  第3曲a 海辺にて
  第3曲b 庭園の噴水
  第4曲 3人の盲目の姉妹
  第5曲 パストラーレ
  第6曲 糸を紡ぐメリザンド
  第7曲 間奏曲
  第8曲 メリザンドの死

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1977年6月20-21日(交響曲)、1978年5月6-7日(組曲)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16013】


交響曲 第3番 ハ長調 作品52 は、

シベリウスが41歳のとき(1907.9)に初演された交響曲です。

36歳(1902.3)のときに
第2番が初演されてから5年を経て、

新たな独自の世界へと足を踏み入れた、
画期となる交響曲です。


初めて聴いたわけではありませんが、
これまでは今ひとつ、つかみきれないところがありました。

しかし今回のベルグルンドさんのCDで、
ようやく開眼したようです。


心の中の鬱蒼とした霧が、
ゆるやかに晴れわたっていくような1・3楽章と、
悲しいワルツをより深化させたような2楽章。

計3楽章からなる小ぢんまりとした構成も好ましく、

ああこんなに美しかったんだと、
心洗われる、めったにない感動を味わうことができました。


今は第1・2番よりも遥かに素敵な作品に思えます。



組曲《ペレアスとメリザンド》作品46は、

ベルギーの劇作家
モーリス・メーテルリンク(1862-1949)の
戯曲『ペレアスとメリザンド』にもとづく管弦楽組曲です。

この戯曲は、
1892年にフランス語で発表されましたが、

1905年にヘルシンキで、
スウェーデン語版が上演されるのにともない、

シベリウスによって劇付随音楽が作曲され、

劇の上演後、
8曲からなる組曲に編曲しなおされたそうです。

つまり交響曲第3番とほぼ同時期、
40歳のころの作品ということになります。


『ペレアスとメリザンド』は、
他の作曲家も取り上げている題材なので、
もっと昔の作品かと思っていましたが、

『青い鳥』で知られるメーテルリンクが書いた戯曲だとは、
今回初めて知りました。

しかしその『青い鳥』すらまだ読んでいない身ですので、
何も語る資格はありませんが、
とりあえずの印象を少し。


交響曲第3番の出だしを
よりロマンティックにしたような、
心浮き立つ、はなやかな開始から心を捕らえられ、

ほどほどに悲劇的な終曲へと、
実にわかりやすい音楽で、十分に楽しんで聴き終えることができました。


今回の全集では、
交響曲以外の管弦楽曲に、
意外に楽しめるものが多く、
新しい発見が出来てたいへんありがたいです。

《フィンランディア》や《悲しいワルツ》だけではないのですね。

《ペレアスとメリザンド》も、もっと取り上げられて良い名曲だと思いました。


※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「交響曲第3番(シベリウス)」「ペレアスとメリザンド(シベリウス)」を参照。

2012年12月18日火曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第2番

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が47歳のときに(1976)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の交響曲第2番を聴きました。


ジャン・シベリウス
交響曲 第2番 ニ長調 作品43
 第1楽章 アレグレット
 第2楽章 テンポ・アンダンテ、マ・ルバート
 第3楽章 ヴィヴァチッシモ
 第4楽章 フィナーレ(アレグロ・モデラート)

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1976年11月23-24日、サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16013】


交響曲 第2番 ニ長調 作品43は、

シベリウスが36歳のとき(1902.3)に初演され、
第1番に続いて大成功を収めた交響曲です。

気分の晴れないときなどに聴くと、
前向きな方へと気持ちを押し上げてくれる作品で、

久しぶりに聴き直して、
やはり大いに感動しました。


クレルヴォ交響曲から3曲続いてきた、
民族感情を高揚させるタイプの交響曲の中でも、
良くできた名曲だと思います。


第3番からはシベリウス独自の、
内省的な世界へと深まりを見せていきますが、

誰にでもわかりやすい
シベリウスの交響曲といえば、
まずこの第2番をあげるのが穏当なところでしょう。



ベルグルンドとボーンマス交響楽団は、

時に荒々しさを感じさせるほど、
非常によくオーケストラを鳴らした演奏で、

その分、完成度では
ヘルシンキ・フィルとの録音に一歩譲るでしょうが、

バリバリにオケを鳴らしたボーンマス響との録音も、
若々しい魅力があって楽しめました。


ただしシベ2は、
他の指揮者、オーケストラの録音も数多くあるので、
これだけが飛びぬけて良いとは思いませんでした。

時に金管が荒々しく響きすぎるのは、
欠点とみることもできるでしょう。


先にブログで取り上げた
朝比奈隆&大阪フィルのライブ録音も同じ方向の演奏ですが、

朝比奈盤のほうが、より洗練されていて、
感動的な名演だったといえば、どんな演奏かイメージできるでしょうか。


それでは、第3番に進みます。

2012年11月13日火曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第1番

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が45・46歳のとき(1974・75)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865-1957)の交響曲第1番と、
組曲《歴史的情景》第1番を聴きました。


ジャン・シベリウス
1) 交響曲 第1番 ホ短調 作品39
  第1楽章 アンダンテ・マ・ノン・トロッポ(アレグロ・エネルジコ)
  第2楽章 アンダンテ(マ・ノン・トロッポ・レント)
  第3楽章 スケルツォ(アレグロ)
  第4楽章 フィナーレ クワジ・ウナ・ファンタジア(アンダンテ~アレグロ・モルト)

2) 組曲《歴史的情景》第1番 作品25
  第1曲 序曲風に
  第2曲 ある場面
  第3曲 祭り

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1974年9月9・10日〔交響曲第1番〕、1975年7月15日〔歴史的情景〕、サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16019/20】


交響曲 第1番 ホ短調 作品39は、

シベリウスが34歳のとき(1899年)に
完成し、初演された交響曲です。

クレルヴォ交響曲と同じ路線の、
民族感情を高揚させる作品ですが、
管弦楽のみでより洗練された感じがあります。

全体的にほの暗くはありますが、
わかりやすく美しいメロディに満ちており、

もう少し演奏の機会が多くても良いように思います。

ただ第2番と比べれば
まだ少しまとまりに欠ける所があるのか、

時折ライブを耳にしても、
なんだかまとまりが付かなくなって、
今ひとつ感動できないことが多いです。


このCDでは、
まずオケの凄い鳴りっぷりに驚きました。

シベリウスといえば、
寒々ひんやりとした感触で、
オケもそんなにバリバリに鳴らさない印象があったのですが、

ここまで思い切って鳴らしてもいいんだ、
と嬉しい驚きの演奏でした。

それでもシベリウスらしさを全く失わないのは、

どんなに強奏しても、
オケの音ににごりがないからなのかな、
と推測しますが、

何よりベルグルンドさんの
シベリウスへの共感度が尋常でないレベルに達していたからだろうな、と思います。


完成度の上では、
のちのヘルシンキ・フィルとの演奏の方が優れていると思いますが、

ボーンマス響との演奏は、
この曲から全く別の魅力を引き出していて、
とても感動しました。



組曲《歴史的情景》第1番 作品25は、

交響曲と同じ1899年に作曲された
歴史劇「愛国記念劇」のための音楽から、
1912年に編曲、初演された組曲(全3曲)です。

この「愛国記念劇」の音楽から、
1900年に交響詩《フィンランディア》作品26
が編曲されたことはよく知られています。

作品25と同時(1912年)に、
組曲《歴史的情景》第2番 作品66
が作曲、初演されていますが(全3曲)、

こちらは「愛国記念劇」の音楽からでなく、
改めて作曲されたものだそうです。


このCDで初めて聴いたので、
ほかと比べてどうなのかはわかりませんが、

オケの小品集として、
3曲ともふつうに楽しむことができました。

ただしあっという間に終わって、
少々軽い感じがするので、コンサートでは取り上げにくいようにも思いました。

組曲《歴史的情景》第2番

と一緒に取り上げるとちょうど良いのかもしれません。

第1・2番を収録したCDもあるようなので、
近々聴いてみようと思います。



※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「交響曲第1番(シベリウス)」

※S.suda様の「シベリウスのページ」
 〈http://members.jcom.home.ne.jp/tapiola/sibelius/index.html〉
 を参照させていただきました。


2012年10月18日木曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:クレルヴォ交響曲

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が41歳のとき(1970)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865-1957)の
クレルヴォ交響曲を聴きました。


ジャン・シベリウス(1865-1957)
1) クレルヴォ交響曲 作品7
  第1楽章 導入部(アダージョ・モデラート)
  第2楽章 クレルヴォの青春(グラーヴェ)
  第3楽章 クレルヴォとその妹(アレグロ・ヴィヴァーチェ)
  第4楽章 クレルヴォは戦場に行く(アラ・マルチア)
  第5楽章 クレルヴォの死(アンダンテ)

2) 劇付随音楽《クオレマ》より
  鶴のいる情景 作品44-2

3) 劇音楽組曲《白鳥姫》作品54より
  第2曲 ハーブ
  第3曲 薔薇を持った乙女たち
  第4曲 聞け、コマドリが歌っている
  第6曲 白鳥姫と王子

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ライリ・コスティア(メゾソプラノ)
ウスコ・ヴィータネン(バス・バリトン)
ヘルシンキ大学男声合唱団(エンスティ・ポヒョラ指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1970年11月21-22日、サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16019/20】

クレルヴォ交響曲 作品7 は、

フィンランドの民族叙事詩
「カレワラ」にもとづく合唱付きの管弦楽曲です。

原題は
「クレルヴォ ― 独唱者と合唱、管弦楽のための交響詩」ですが、
今は「クレルヴォ交響曲」の通称で呼ばれることの方が多いです。

シベリウスが27歳のとき(1892年)に初演されましたが、
その後、生前に全曲演奏されることはありませんでした。

交響曲第1番が完成するのは、
この7年後、34歳(1899年)のことなので、
シベリウスの最初の交響曲とみることもできます。

ベルグルンド指揮のこのCDが世界初録音となりました。


私は今回初めて聴きました。

『カレワラ』を読んだことがなく、
フィンランド語も解さない身なので、
深く理解するにはまだ時間がかかると思いますが、

荒削りながらも
聴く者の気持ちを高揚させる
魅惑的なメロディがたくさんあって、

「フィンランディア」や交響曲第1・2番が好きな方には
必聴の名曲だと思いました。


伊福部昭の世界をもっと洗練させた感じで、

直接の影響はないようですが、
チャイコフスキーのマンフレッド交響曲(1885年初演)を思い出しました。


構成面での弱さを、
若さでカバーしているような所もありますが、
シベリウスを語る上で外せない1曲だと思います。

わかりやすい曲なので、
もう少し演奏されても良いのでしょうが、
フィンランド語の独唱、合唱が入るのは
ネックになるのかもしれません。


  ***

劇付随音楽《クオレマ》より
「鶴のいる情景」作品44-2 は、

義兄アルヴィド・ヤルネフェルトの戯曲
「クオレマ」のために作られた劇付随音楽です。

1903年の戯曲初演に際して
まず全6曲のもの(初稿)が作られたのち、

1904年にその第1曲を改訂した
《悲しきワルツ》作品44 が上演され、
大好評を得たのを受けて、

1906年に第3・4曲を改訂した
《鶴のいる情景》が上演されましたが、
そのまま生前は再演されなかったそうです。

シベリウスが40歳前後のときに作曲された作品ということになります。


さすがに「クレルヴォ交響曲」よりこなれた筆致で、
コンサートのアンコールや、逆にコンサートの幕開けなどにふさわしい1曲かな、と思いました。

「悲しきワルツ」に似た曲想ですが、
それほど物悲しい感じはなく、もう少し情景描写の方に重きを置いてある作品です。



劇音楽組曲《白鳥姫》作品54 は、

スウェーデンの作家
ヨハン・アウグスト・ストリンドベリ(1849-1912)の
戯曲「白鳥姫」(1902年)のために作曲された
劇付随音楽にもとづく組曲(全7曲)です。

シベリウスが43歳のとき(1908年)に作曲されました。

こちらもわかりやすく、
楽しく美しい軽めの作品で、
それだけにコンサートでは取り上げにくいかもしれませんが、
聴けて良かったです。

このCDには、
全7曲の中から4曲選んで収録されています。
全曲聴けなかったのが残念です。


   ***

ボーンマス交響楽団、
フィンランドのオケだと思い込んでいましたが、
調べてみるとイギリスのオケでした。

異国の曲をこれだけハッキリくっきりと
確信を持って演奏できるのは、やはりベルグルンドの手腕によるところが大きいのでしょうか。

洗練さでは他に一歩譲りますが、
荒々しいまでの迫力の中に、寒々としたシベリウス独特の響きを実現できているのは、このオケの長所だと思いました。

次は交響曲第1番へと進みましょう。


※Wikipedia の「ジャン・シベリウス」「クレルヴォ交響曲」
「クオレマ」「白鳥姫(シベリウス)」の項目を参照。

2011年11月29日火曜日

ベルグルンド&ヘルシンキ・フィルのシベリウス:交響曲第3・4番

フィンランドの作曲家、ジャン・シベリウス
(Jean Sibelius, 1865年12月生 1957年9月没)の交響曲、
お次は第3番と第4番です。



シベリウス
交響曲第3番ハ長調op.52
交響曲第4番イ短調op.63

パーヴォ・ベルグルンド 指揮
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1987年7月(3番)
    Culture Hall, Helsinki
   1984年2月(4番)
    All Saints Church, Tooting

【EMI 7243 4 76963 2 9】


第3番は1907年9月、
シベリウス41歳のときに初演。

第4番は1911年4月、
45歳のときに初演されています。

それぞれ作曲者40代半ばまでの作品ということになります。

しかしこの第3番からは、ほんとうに
シベリウス独特の世界が描かれており、
その分、オケと指揮者ともどもに共感に満ちた演奏をするのは難しいようで、
なかなか心から感動できる演奏には出会えないものです。

その点、ベルグルンドさんと
ヘルシンキ・フィルのペアは、万全です。
この1枚もとてもよい出来だと思います。

第3番は清明な、心洗われる、
冬の晴天に明るくやわらかな光が降りそそぐような音楽。

3楽章でよくまとまっていて、
今回はじめて聴くような感動を覚えました。

第1・2番よりも、今の私の好みに合っています。


第4番は、より内向的な作品です。

これまで聴いてきた中では、一番わかりやすく、
シベリウスの心情に近づけた気がしましたが、
やはりまだ、私には少し謎なところが残りました。

また折をみて聴き返しましょう。
今回は、第3番の真価に気がつけたのが収穫です。

2011年11月12日土曜日

ベルグルンド&ヘルシンキ・フィルのシベリウス:交響曲第1・2番

朝比奈さんのシベリウスを聴いて、そういえば、
一番の本命というべきベルグルンドさんの録音を

聴いていなかったことに気がついて、
手に入れて、聴いてみることにしました。



シベリウス
交響曲第1番ホ短調 作品39
交響曲第2番ニ短調 作品43

パーヴォ・ベルグルンド 指揮
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1986年5月(1番)、1986年12月(2番)
   Culture Hall, Helsinki
【EMI 7243 4 76963 2 9】


2枚組のCDで、
2枚目に第3・4番が収録されております。
それはまた後日に取り上げます。


ベルグルンドさんのシベリウスは、
ヨーロッパ室内管弦楽団と3度目の全集に
取り組まれたときに1枚買ってみたのですが、
それほど大きな感銘は受けなかったので、
そのままになっておりました。

ヘルシンキ・フィルとの全集は、
ベルグルンドさん2度目の全集ですが、

シベリウスの交響曲を第1番から第6番まで
初演されていることも関係しているのでしょう、
オケの鳴り方が、これまで記憶していたのと全然違います。

よく知っているはずの曲ですが、

すべての場面場面が生き生きして、
初めて聴くような感動が随所に聴かれて、
新鮮な驚きの連続でした。

とくに第1番は圧倒的な感銘を受けました。

第1と第2は、誰がどのように演奏しても
それなりに楽しめるところがありますが、

ベルグルンドさんとヘルシンキ・フィルの演奏は、
私の中で、基準の演奏になりそうです。


ジャン・シベリウス(Jean Sibelius)は
1865年生まれで、1957年に没しております。

交響曲第1番は1899年、第2番は1902年の初演です。

どちらも30代半ばに作曲されているわけで、
そろそろ40に近づいて来た身としては、
すごいなあ、と感心します。

この2曲だけでも、
おそらくイギリスの作曲家エルガーのような、
十分な評価を得ていたと思われますが、

ここからさらに、
独特の個性が刻まれた交響曲を5曲発表されています。
一つずつ、じっくり楽しんでいこうと思います。

2011年11月4日金曜日

朝比奈隆&大阪フィルのシベリウス:交響曲第2番(1978)

時々聴きたくなるのが、
シベリウスの交響曲第2番です。

第3番以降の深遠な世界には、
いずれ腰を据えてと思いながら、
未だ集中して聞く機会がないままなのですが、

第1・2番はわかりやすい名曲なのでよく聴いています。
第2番でよく聴くのが朝比奈隆&大阪フィルのCDです。


シベリウス:交響曲第2番ニ長調 作品43

ブルックナー:アダージョ第2番
(交響曲第3番第2楽章 L.ノヴァーク校訂第1稿の2)

朝比奈隆 指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

録音:1978年11月22日、大阪フェスティバルホール(シベリウス)
1983年9月16日、東京カテドラル聖マリア大聖堂(ブルックナー)
【VICC-60323】


朝比奈さんとシベリウスはあまりイメージがわかなかったのですが、
買ってびっくり、とびきりの名演でした。

めったにないくらい豪快にオケを鳴らした演奏ですが、

テンポに粘ったところがないので、
シベリウスらしい清明さも感じさせてくれて、

豪快さと清明さをあわせもつ、
朝比奈さんの個性が刻まれた名演だと思います。

70歳をこえたばかりの、
朝比奈さんの覇気に満ちた演奏を聴くことができます。

第2番だからこそ許されるのだと思いますが、
何より感動的なので、私はこの演奏が好きです。


最後に、
ブルックナーの交響曲第3番の第2楽章の異稿が収められています。

残響がよすぎて、細部が聴きとりにくいのが難ですが、
豪快なシベリウスで感動したあとには、
アンコールとして心地よく感じられます。
(17分近くありますが。)

朝比奈さんのベートーヴェン、ブルックナーも大好きなのですが、
CDがいろいろあり過ぎて、どう紹介して行こうか迷いますね。

でも、自分との関わりのもとに語る、のが正直だと思うので、
自分が好きな演奏から、また紹介していきます。