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2012年2月20日月曜日

小林研一郎&チェコ・フィルのベートーヴェン:交響曲第4&6番「田園」



ベートーヴェン
交響曲第4番 変ロ長調 作品60
交響曲第6番 ヘ長調 作品68「田園」

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
小林研一郎(指揮)

録音:2010年11月18・19日(第6番)
   2011年10月20-22日(第4番)
   プラハ、ルドルフィヌム、ドボルザークホールにてライブ録音
【OVCL-00456】


コバケンさんのベートーヴェン、
第4番と第6番「田園」を聴きました。

強い自己主張で、
聴く人をねじ伏せるような演奏ではなく、
曲の叙情的な側面と、コバケンさんの個性とが
ほどよくブレンドされていて、

もう少し、
アクの強さを感じさせる部分があっていいかな、
とも思いますが、

聴くほどに味わいが増して来る、
曲自体の良さを再確認させられる演奏でした。

正直なところ、
はじめに聴いた時は、
さらさらと流れていくだけで、
何もしていないように聴こえて、
あれっ?と思ったのですが、

3度4度と聴き込むごとに、
コバケンさんの個性がじわりと効いてきて、
だんだんと好きな演奏になって来ました。

はじめは4番の方が良い出来に聴こえたのですが、
今は「田園」のほうが好きです。


でもやはり「田園」は難しい曲ですね。

十分に美しく、
楽しませてもらいしたが、

最高の名盤というには、
ほんの少し、欠ける部分があるようです。

今後はぜひ、
日本のオケとも解釈を練りあげて、
もう一段高いところにある「田園」を聴かせてもらえたら、
いいなあ、と思っております。

2011年12月6日火曜日

小林研一郎&読売日響のブラームス:交響曲第1番(2011/12/4)

週末、岐阜県の多治見市文化会館まで、
コバケンさんのコンサートを聴きに行って参りました。


読売日本交響楽団 コバケンスペシャル in Tajimi 2011

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68

バイオリン:荻原尚子
指揮:小林研一郎
読売日本交響楽団

2011年12月4日(日)17:00開演
多治見市文化会館大ホール

先週、コンサートのことを知り、
当日になって電話をかけてみたところ、
まだ少し残っているとのこと、
S席を購入し、電車で1時間半ほどかけて、
聴きに行って参りました。

多治見市文化会館は
ちょうど30年前の昭和56年に開館したそうです。

ほどほどの大きさの、ほどよい響きの、
昭和の多目的ホールでした。


今回の嬉しい誤算は、
メンデルスゾーンを弾いた荻原尚子さんです。

これまで存じ上げていなかったのですが、
ケルンWDR交響楽団のコンサートミストレスを務められている、
豊田市出身のヴァイオリニストだそうです。

メンコンを生で聴いて感動したことはなかったのですが、
今回は音が直接心に響いて来て、とても感動しました。

とくに奇を衒ったところはなく、
正攻法で、心にしっかりとどく音楽を奏でられる方で、
チャンスがあれば、また聴いてみたいと思いました。

アンコールとして、無伴奏曲
クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース 作品6
が演奏されました。


コバケンさんのブラームスは
10年以上前に、名フィルとの演奏で、
第2番と第3番を聴いた記憶があります。

今回の第1番、まず感じたのは
読売日本交響楽団の鳴りの良さです。

読売さんは初めてなので、
いつもこうなのかはわかりませんが、
何もここまでと思うくらい、オケが鳴りまくっていて、
ところどころ、ホールの容量をこえているように感じるくらいでした。


コバケンさんの指揮は、
重厚に踏みしめる部分の壮絶さと、
叙情的に歌わせる部分の軽やかさとのコントラストが美しく、

ブラームスの曲の良さを、十分に味わうことができました。

以前と比べて、
コバケンさんの長所を残しつつ、
より彫りの深い、曲の真実に迫る音楽が奏でられていて、
ただただ感動しました。

今後、これをこえるブラ1の実演に接するのは
いつのことになるでしょう。

私の理想からいえば、
枯れた味わいのほとんどないブラームスには、
ごくわずかに違和感があったことも確かですが、

地方公演の初日で、
鳴りの良いオケを相手に、
まずはオケを鳴らしきることに主眼をおくのは、
当然のことでもあったと思います。


最後に、
アンコールとして、弦楽合奏で、
「ダニー・ボーイ」が演奏されました。

何度かコバケンさんの演奏会に足を運んでおりますが、
やっと聴けました。

なるほど。

涙がこぼれました。


コバケンさんと萩原さん、
そして読売日本交響楽団の方々に感謝です。




追記

コバケンさんと読売さんのコンビで、
今のままで120%長所が引き出せるのは、
マーラーが一番だと思いました。

しかしより新しい試みとして、
モーツァルトの後期6大交響曲と、25番、29番あたりを
まとめて取り上げたら、面白いことになるんじゃないかな、
と強く感じました。

そんなことは、誰も感じていないかな。

でもオーソドックスな中に、曲の本質をつらぬいた、
すばらしい演奏になる気がしました。

初めて読売交響楽団を聴いた際の
ひらめきとして記しておきます。

2011年9月17日土曜日

小林研一郎&チェコ・フィルのベートーヴェン:交響曲第2・5番



ベートーヴェン
交響曲第2番ニ長調作品36
交響曲第5番ハ短調作品67「運命」

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
Czech Philharmonic Orchestra
小林研一郎(指揮)
Ken-ichiro Kobayashi (conductor)

録音:2010年4月29・30日(第2番)、
  2010年11月18・19日(第5番)、
  プラハ、ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール
【OVCL-00440】


コバケンさんとチェコ・フィルによる充実のベートーヴェン。

先に第1・7番を紹介しましたが、
その前に発売されたのが、第2・5番です。

今風の流行には背を向け、
現代的なオーケストラの威力を十分に発揮させ、
楽譜への音楽的な解釈だけで勝負するところが好ましいです。

チェコ・フィルの響きは、
いわゆるドイツ風の重々しいゴツゴツしたものではなく、
イギリス風ののっぺりした感じを
もう少し柔らかく、華やかにしたような、
しかしフランス風の軽やかさと比べれば、
もう少し重心を低くした感じで、

チェコ・フィル独自の個性的な響きをもっています。

私がこれまでイメージしていた
ベートーヴェンの響きとは少し違うのですが、
とても音楽的で、清新な感じがあって、
ベートーヴェンの異なった側面をみるようで、とても楽しいです。

指揮者によっては、
サラサラ通りすぎていくだけの、
あまり面白みのないベートーヴェンになっていたかもしれませんが、

円熟味を増しつつあるコバケンさんの指揮のもと、
説得力のある音楽的で充実した演奏を繰り広げています。


第2番は、オケを存分に歌わせた、
メロディの美しさにあふれた演奏です。

オケを素のままに鳴らした、というよりは、
細部までコバケンさんの意志が行き渡っており、
最近の流行に背を向けている分、
ああ、オケってこんなに美しい響きがするんだな、
と再発見するところの多い演奏でした。

第5番は、
オケのふくよかな響きと、音楽的な流れを重視する中で、
コバケンさんの強い意志の力も感じられる名演奏です。

全体の流れが滞ることはありませんが、
快速に飛ばしてしまうこともなく、
造形を大切にした「運命」です。

第2・5番ともに、
あまり誰それの路線で、と比喩できない、
コバケンさんの個性が刻印された、しかし音楽的な自然な流れを失わない名演だと思います。

2011年8月22日月曜日

小林研一郎&名フィルのマーラー:交響曲第3番

先日、武藤英明さんと名フィルの
ドヴォルザーク:交響曲第8番を取り上げましたが、

同じシリーズで、ぜひ聴いておいていただきたいのが、
小林研一郎さんとのマーラー:交響曲第3番です。


名古屋フィルハーモニー交響楽団ライブ・シリーズ3
《奇跡のマーラー》

マーラー:交響曲第3番ニ短調

坂本朱(アルト)
愛知県立芸術大学声楽専攻女性合唱団
名古屋少年少女合唱団
ミロスラフ・ケイマル(ポスト・ホルン)

小林研一郎(指揮)
名古屋フィルハーモニー交響楽団

録音:2002年10月2日
名古屋、愛知県芸術劇場コンサートホール
(第285回定期演奏会)
【CRCC2007/8】



コバケンさんのマーラー:交響曲第3番は、
チェコ・フィル盤(1999年3月)、
日本フィル盤(2001年4月)、
名古屋フィル盤(2002年10月)
の3種類があります。日フィルと名フィルはライブ盤です。


完成度の高いのはチェコ・フィル盤ですが、
多少完成度が低くても、ライブの熱気を伝えるほうが私は好きです。

ただし日フィル盤は、
この時期のコバケンさんとの録音でよく聴かれる短所として、
ときに響きが荒々しく、暴力的に聴こえるところがあって、
今ひとつに感じられます。

名フィルの場合、
コバケンさんの棒に対して、
音が一呼吸おいて返って来る感じで、
コバケンさんの情熱を、音楽的に包み込んでくれるところがあって、
響きがより好ましく感じられます。

コバケンさんのマーラーは、
ご自身で作曲されたかのように、
曲への共感に満ちた情熱にあふれるものです。
全体の見通しもよく、
第1楽章にわくわくドキドキしながら、
第6楽章に涙しながら、
全曲を聴き通すことができます。

私はこの第6楽章が大好きで、
ここだけ取り出して聴くこともあります。
暗いところがないので、第9の最終楽章より好きかもしれません。

今のところ、
マーラーの交響曲第3番では、
コバケン&名古屋フィルの演奏が一番好きです。

2011年7月22日金曜日

小林研一郎&チェコ・フィルのベートーヴェン:交響曲第1・7番



ベートーヴェン
交響曲 第1番 ハ長調 作品21
交響曲 第7番 イ長調 作品92


チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
小林研一郎(指揮)


2011年4月14~16日、
プラハ、ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホールにてライブ収録。
【OVCL-00445】

コバケンさんのベートーヴェンが良くなってきたのは最近のことです。

かつては、ベートーヴェンやブラームスになると、
CDでは響きが耳にうるさく、あまり楽しめなかったのですが、

60代後半に2度、大晦日に、交響曲全9曲を取り上げたあたりから、
響きにぐっと深みを増してきて、すばらしい演奏が聴かれるようになったと思います。


第3番、第2・5番と聴いてきて、
今回の第1・7番はさらに輪をかけて素晴らしい仕上がりとなりました。

コバケンさんのベートーヴェンは、
古楽器風の新しい奏法に組みすることなく、
真正面から楽譜を読み込んで、昔ながらのオケの響きを重視して、
真摯に音楽を紡いでいく正攻法。

第3番では少々力が入り過ぎている感もあったのですが、
第2・5番はうまく力がぬけて、音楽的な、歌にあふれた演奏になっていました。

今回の第1番は、第2番と同じ路線。
かつてのブルーノ・ワルターを思い出しましたが、私はこちらのほうが好きです。


第7番は、驚きました。
ここまで立派な、しかし音楽的な演奏は聴いたことがありません。
やわらかい歌にあふれながら、
全体の構成感も揺るぎないのは流石です。

第5番のときの立派さに、
第3番のときの意志の強さをかけ合わせたような、
めったに聴かれない第7になりました。

今年の秋に第4・8番を取り上げて、
あとは第9を残すのみとなるはずなので、
ぜひとも完結させていただきたいです。

欲をいえば、
この成果をもとに、日本のオーケストラとも、
さらなる高みに達したベートーヴェン全集を作ってほしいな、
と願っております。

2011年7月20日水曜日

小林研一郎&日本フィルのマーラー:交響曲第9番

山田一雄さんのを聴いて、久しぶりに、
小林研一郎さんの第9を聴き直してみました。



マーラー:交響曲第9番二長調


日本フィルハーモニー交響楽団
小林研一郎(指揮)


〔録音〕2007年1月25、26日 東京・サントリーホールにてライブ収録。
【OVCL00278】


マーラーの第9で私が好きなのは、

バーンスタイン&アムステルダム・コンセルトヘボウ管(1985年)
ワルター&ウィーン・フィル(1938年)

の2つの録音で、それにつぐのがコバケンさんと日本フィルの演奏でした。
改めて聴き直してみて、やはり別格のすばらしさだなあ、と感動しなおしました。


コバケンさんと日本フィルのマーラーは、
他にも第1・2・3・5・7・8番がCD化されていますが、
オケの完成度が一番高いのが、この第9番です。

あるいは初めてこの曲を取り上げたこともあって、
よい意味で少し力が抜けていたのかもしれませんが、
ほかのCDよりも、オケがよく響いているように感じられます。

以前は曲に没入し過ぎるからか、
オケが音楽的というよりは暴力的に響くことがあって、
とくに日本のオケを振るとき、その欠点が感じられたのですが、

このマラ9を取り上げたころから、
コバケンさんのオケの響かせ方が変わってきたように思われます。


最近は、
チェコ・フィルとのベートーヴェン交響曲全集に取り組まれ、
新たな境地を聴かせてくれているので、

今後とも大いに期待したい指揮者です。