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2016年9月12日月曜日

広上淳一&京都市響定期演奏会:名曲ライブシリーズ3(2012-13年録音)

広上淳一(1958年5月- )氏の指揮する
京都市交響楽団第559・566回定期演奏会
のライブCDを聴きました。


広上淳一指揮
京都市交響楽団定期演奏会/名曲ライブシリーズ3

①R.シュトラウス:13管楽器のためのセレナード変ホ長調op.7
②R.シュトラウス:交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》op.28
③R.シュトラウス:歌劇《ばらの騎士》組曲
④ハチャトリアン:組曲《仮面舞踏会》

京都市交響楽団
広上淳一(指揮)
コンサートマスター:泉原隆志(②③)、渡邉穰(④)
録音:2012年7月20日(①-③/第559回定期演奏会)、2013年3月24日(第566回定期演奏会)、京都コンサートホール
【KSOL1004】2013年9月発売

広上淳一&京都市響のリヒャルト・シュトラウスを中心としたプログラム。

①13楽器のためのセレナードは、
モーツァルトを聴くような可憐な美しい作品でした。

初めて聴いたので、
他と比べてどうなのかはわかりませんが、
とても充実した内容の作品に聴こえました。

②《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》と、
③《ばらの騎士》組曲は、
どちらも広上氏らしい個性に彩られた名演で、
今まで聴いてきたどの演奏よりも強い説得力にあふれ、
この曲の面白さにようやく気がつくことができました。

リヒャルト・シュトラウスは、
ライブだとオケの弱さを感じることが多いのですが、
3曲ともオケの状態がいいのか、
機能の面で不満を感じることは全くありませんでした。

④のハチャトリアンは、
少し長めのアンコールを聴くような印象で、
本来そこまで内容のない曲を、
深くえぐり抜いて手に汗握る演奏に仕上げていました。


広上淳一氏で個人的に好きなのはベートーヴェンなのですが、

リヒャルト・シュトラウスやレスピーギなど、
オーケストラの機能を最大限に引き出す曲目も得意なようです。

京都市響とはリヒャルト・シュトラウスに力を入れているようなので、
個人的には苦手な作曲家なのですが、この機会に聴き込んでみたいと思っています。

2016年8月29日月曜日

広上淳一&京都市響定期演奏会:名曲ライブシリーズ2(2011年録音)

広上淳一(1958年5月- )氏の指揮する
京都市交響楽団第549回定期演奏会
のライブCDを聴きました。


広上淳一指揮
京都市交響楽団定期演奏会/名曲ライブシリーズ2

①ドヴォルザーク:序曲《謝肉祭》作品92
②レスピーギ:交響詩《ローマの祭》
③R.シュトラウス:交響詩《ドン・キホーテ》作品35

京都市交響楽団
独奏:上村昇(京響ソロ主席チェロ奏者)
   店村眞積(ビオラ)
コンサートマスター:渡邉穣
広上淳一(指揮)

録音:2011年8月5日、京都コンサートホール大ホール(京都市交響楽団第549回定期演奏会)
【KSOL1003】2012年2月発売

随分前に手に入れていたのですが、
《ローマの松》の印象が強すぎて他が霞んでしまったので、
しばらく時間を置いて聴き直してみました。

やはり②《ローマの祭》が、
広上氏独特の個性的な解釈が光る、
強い印象の残る熱演でした。

若い頃、日本フィルと収録した
ローマ三部作のCDもかなりの名演だったので、
広上氏の自信曲なのでしょう。

①《謝肉祭》はごく普通の演奏です。
別に不満はないのですが、
それほど深い印象は残りませんでした。


③《ドン・キホーテ》は
初めて聴く曲であることと、

直前の《ローマの祭》の印象が強く残り過ぎて、
今一つ良くわからない演奏だったのですが、

時間を置いて《ドン・キホーテ》だけ繰り返し聴いていると、
どんな曲なのかは良くわかってきました。

ライブとしてはかなりレベルの高い演奏だと思いますが、
他を圧倒する何かがあるかといわれると、
もう一押し説得力が足りないように感じました。

ほかの演奏を知らないので、
いくつかCDを聴いてから、
もう一度聴き直してみようと思います。


全体として聴くと、
②《ローマの祭》の印象が強く残りすぎるので、
定演をそのまま収録するにせよ、
1枚のCDとしては、曲順のバランスが悪いように感じました。

①《謝肉祭》と③《ドン・キホーテ》も、
ライブでこの演奏が聴けたら
十分満足できるレベルだと思います。


広上氏はそういえば、
リヒャルト・シュトラウスを頻繁に取り上げているので、
日本フィルでの録音も含めて、
改めて聴き直していこうと思います。

2015年9月14日月曜日

渡邉暁雄&日本フィルのシベリウス:交響曲全集(1962年録音)

渡邉暁雄(1919.6-1990.6)の指揮する
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で、

フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(Jean Sibelius 1865.12-1957.9)の
交響曲全集を聴いていきます。

渡邉暁雄と日本フィルは、
シベリウスの交響曲全集を、
1962年と1981年の2回録音しています。

渡邉氏42-3歳そして62-3歳のときの録音です。
今回聴くのは旧盤(1962)のほうです。

私の渡邉氏に対する印象を、
大きく改めるきっかけになったCDです。

渡邊暁雄&日本フィル
シベリウス交響曲全集(第1回録音)

シベリウス
交響曲第1番 ホ短調 Op.39
〔録音:1962年5月7・8日、東京文化会館〕
交響曲第2番 ニ長調 Op.43
〔録音:1962年、杉並公会堂〕
交響曲第3番 ハ長調 Op.52
〔録音:1962年8月7・8日、東京文化会館〕
交響曲第4番 イ短調 Op.63
〔録音:1962年6月20・21日、東京文化会館〕
交響曲第5番 変ホ長調 Op.82
〔録音:1962年2月18日、文京公会堂〕
交響曲第6番 ニ短調 Op.104
〔録音:1962年、文京公会堂〕
交響曲第7番 ハ長調 Op.105
〔録音:1962年3月7日、杉並公会堂〕

渡邊暁雄(指揮I
日本フィルハーモニー交響楽団
【TWCO-29/32】※2007年5月発売

旧盤より早く、
新盤(1981)のほうを手に入れていたのですが、

新盤はオケのレベルによるのか、
あるいは始まったばかりのデジタル録音で、
録音する側の不慣れなところが影響したのか、

フォルテは暴力的で耳にうるさく、
ピアノも胸に響いてこない、
残響も何もない即物的な録音で、

どれも聴き通すことができませんでした。

リマスターし直せば、
違った印象になる可能性もありますが、

私が所有している盤(2007年発売)についていえば、
歴史的な価値以上のものは見出し難かったです。

初めてシベリウスの全集に挑戦される場合、
新盤(1981)は避けたほうが賢明です。


渡邊暁雄&日本フィル
シベリウス交響曲全集(デジタル再録音盤)

シベリウス
交響曲第1番 ホ短調 Op.39
 〔録音:1981年9月8日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第2番 ニ長調 Op.43
 〔録音:1981年6月25日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第3番 ハ長調 Op.52
 〔録音:1981年6月19日、習志野文化ホール〕
交響曲第4番 イ短調 Op.63
 〔録音:1981年9月9日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第5番 変ホ長調 Op.82
 〔録音:1981年7月2日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第6番 ニ短調 Op.104
 〔録音:1981年6月22日、習志野文化ホール〕
交響曲第7番 ハ長調 Op.105
 〔録音:1981年7月1日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響詩「トゥオネラの白鳥」Op.22-2
 〔録音:1981年9月8日、昭和女子大学人見記念講堂〕
悲しきワルツ Op.44-1
 〔録音:1981年9月9日、昭和女子大学人見記念講堂〕

渡邊暁雄(指揮)
日本フィルハーモニー交響楽団
【COCQ-84283-6】※2007年5月発売

  ***

そもそも渡邉氏のシベリウスは、
京都市交響楽団とのセッション録音を聴いたのが初めてでした。

シベリウス
劇付随音楽「テンペスト」第1組曲 Op.109
交響曲第2番ニ長調Op.43

渡邉暁雄(指揮)
京都市交響楽団
録音:1972年4月、奈良県文化会館
【TOCE-6321】1990年9月発売

《テンペスト》は全くピンと来なかったのですが、
第2番はそれなりに好感のもてる誠実で丁寧な演奏でした。

とはいえ
セッション録音ゆえか生き生きとした情感には乏しく、
職人的に淡々と仕事をこなしているようにも聴こえました。


その後、
ヘルシンキ・フィルとのライブ録音を聴きました。

シベリウス
交響曲第1番ホ短調Op.39
悲しきワルツOp.44

渡邉暁雄(指揮)
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1982年1月28日、福岡サンパレス
【TDK-OC012】2003年4月発売

各誌絶賛だったのでかなり期待していたのですが、

ライブならではのキズは仕方ないにしても、
何より解釈面でお互いに手探り状態のまま演奏に臨み、
不完全燃焼なまま終わってしまったように感じました。

こちらの演奏が今ひとつだったので、
同時に発売された第4・7番のCDはまだ聴いていません。

初めてシベリウスを聴くのであれば、
それなりに満足できる演奏だとは思うのですが、

渡邉氏のベスト演奏だとはとても言えないと思いました。


それから、
東京都響とのライブ録音も聴きました。


シベリウス
交響曲第1番ホ短調Op.39
交響曲第2番ニ長調Op.43

渡邉暁雄(指揮)
東京都交響楽団
録音:1972年4月28日(第1番)、1973年4月17日(第2番)、東京文化会館
【TFMC-0010/11】2004年7月発売

こちらも、
当時の日本のオケの水準を知る上では有用な演奏で、

同曲のライブを聴きに行って、
これくらいの演奏が聴ければふつうに満足できるレベルではあるのですが、

ほかの名演をさしおいて、
このCDを選びたいかといえば、
それほど特別な魅力は感じませんでした。


 ***

ここまで聴いてきた上で、
先の日本フィルとの新全集(1981)で、
耳にうるさく響く残念なCDを聴いてしまったので、

渡邉暁雄氏のシベリウスについて、
あまり肯定的な印象は持っていませんでした。


そんな私の、
渡邉氏に対するマイナス・イメージを
一気に覆させてくれたのが、

日本フィルとの旧全集(1961)でした。

40代の渡邉氏が、
まさかこれほど覇気にあふれた
熱い演奏を聴かせていたとは思いもよりませんでした。

シベリウスの楽譜への深い読みと、
壮年期の渡辺氏による核心に満ちた解釈で、
ぐいぐいと惹き込まれる魅力のある演奏が繰り広げられていました。

驚かされるのは、
ライブでもなかなか聴けないほどの
「熱さ」が伝わって来ることで、

セッション録音で、
どんな魔法を使ったのかしらと大いに感心させられました。

分裂前の日本フィルの実力も相当なものです。

日本で、音響設備の整った
最新のホールができる前の録音なので

最新の優れた音響のCDに比べれば、
響きに若干の弱さがあることは否めないのですが、

どんな強奏でも無機的に響かず、
意味のある音楽として心に伝わって来るのはなかなかないことです。

シベリウスの交響曲を聴いて、
初めてに近い、新鮮な感動を味わうことができました。

タイプが似ているのは、
ベルグルンド&ボーンマス響
の録音(1975-75)でしょうか。

ベルグルンドの第1回目の全集は、
のちの全集よりも若々しい生命力にあふれた演奏となっていますが、

これをさらに迫力一杯にした感じで、
全然負けていません。

渡邉氏の旧全集は、
初めてシベリウスの全集を聴く方にも、
安心してお薦めできる名盤だと思います。


※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「日本フィルハーモニー交響楽団」を参照。


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2011年10月17日月曜日

広上淳一&京都市響のベートーヴェン:交響曲第4番など

広上さんの新譜、やっと手に入れました。
期待以上の出来で、とても満足しました。


広上淳一指揮 京都市交響楽団定期演奏会
名曲ライブシリーズ

CD-1
チャイコフスキー:
イタリア奇想曲 op.45

プロコフィエフ:
ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 op.63
 ※黒川侑(ヴァイオリン)

ラフマニノフ:
パガニーニの主題による狂詩曲 op.43
 ※河村尚子(ピアノ)

 ※以上、第527回定期演奏会、ライブ収録
 (京都コンサートホール、2009年8月9日)


CD-2
ベートーヴェン:
交響曲 第4番 変ロ長調 op.60

 ※第533回定期演奏会、ライブ収録
 (京都コンサートホール、2010年3月27日)

シューマン
交響曲 第3番 変ホ長調「ライン」op.97

 ※第535回定期演奏会、ライブ収録
 (京都コンサートホール、2010年5月21日)

【KSOL-1001/2】



広上淳一さんは、
私が大学生のころに指揮者としてスタートされて、
日本フィル、ノールショッピング交響楽団などでの
ご活躍を目の当たりにして来ました。

これからという時期にしばらく休養もされて、
どうなるかなあ、と思っていたところ、

アメリカのコロンバス交響楽団の音楽監督に就任されて、
いよいよ復活か、と思っていたのですが、
数年で離任することになりました。

しかしコロンバス響を離任する少し前に
常任指揮者への就任が決まった京都市交響楽団と
よい関係が築けているようです。

今回発売されたCDは、たいへん充実した内容となっております。


録音もたいへんすばらしく、
ムントさんと録音で聴いていたときの京響の響きとはまるで違っていて、
オケの洗練された、美しい響きがそのまま伝えられているのが嬉しいです。

広上さんのCDは、
なかなかライブの熱気をそのまま伝えているものが少なかったので、
たいへんありがたいです。

収録された作品のうち、
ずばぬけて良いのは、チャイコフスキーとラフマニノフです。

イタリア奇想曲のほうは、
そもそも録音があまりないのですが、
楽しい佳曲で、広上さんの魅力満載です。

河村さんのピアノはセンスのかたまりで、
広上さんとよいコンビだと思いました。

これまでそんなに好きな曲ではなかったのですが、
広上さんのふるオケともども、
ひらめきに満ちたリズムと、
叙情的な歌にあふれていて、
稀に聴く名演となりました。

今後、パガニーニ狂詩曲といえば、
この演奏を選ぶことが多くなりそうです。

プロコフィエフは、
ライブでこれだけ聴かせてくれれば
大成功といったよいレベルです。


交響曲は、ベートーヴェンの第4番に驚きました。

とくに作為的なことはしていないはずなのですが、
所々この曲こんな響きがしていたっけ、と思わせられる、
ベートーヴェンのオーケストレーションの斬新さが伝わってくる演奏でした。

それでいて大元のベートーヴェンを聴く楽しさ、
感動も十分に伝わってきて、私にとっての大収穫でした。

広上さんのベートーヴェンは、
今後注目していきたいです。


シューマンは
ベートーヴェンと同じような切り口で、
十分成功といってよい演奏だと思いますが、

わたしにはほんの少し、
曲が停滞するようにも聴こえました。

前へ前へと進んでいく推進力といったものが加味されると、
シューマンも鬼に金棒だと思いました。


やはりこれだけ新鮮な響きを、
ひらめく瞬間を多く聴かせてくれる指揮者は他にいないので、
今後も充実したお仕事を続けていただきたいです。


なお、
CDには「名曲ライブシリーズ」とあるので、
ぜひ第2弾、第3弾と続けていただきたいです。

それだけの価値ある演奏をくり広げていると思います。