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2013年10月10日木曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第7番(1972)

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929.4-2012.1)が44-46歳のときに(1973.11)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12.8-1957.9.20)の
交響曲第7番と、交響詩《海の精》《タピオラ》を聴きました。


シベリウス
1) 交響曲 第7番 ハ長調 作品105
2) 交響詩《海の精》作品73
3) 交響詩《タピオラ》作品112

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1972年5月(1)、1972年5月7・8日(2・3)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16017】


交響曲 第7番 ハ長調 作品105 は、

シベリウスが58歳のとき(1924年)に完成され、
同年3月に初演された単一楽章の交響曲です。


第5・6・7番は48歳(1914年)のとき、
ほぼ同時期に着想されたことが知られています。

第5番が初演(1915年12月)されてから、
しばらくその改訂作業が続いたため
(1916年に改訂稿、1919年に最終稿)、

第6番の初演は、
57歳(1923年2月)まで持ち越されました。

第7番はその翌年1924年に初演されています。


シベリウスは91歳(1957年)まで長生きしますが、
第7番以降、交響曲が完成されることはありませんでした。



第7番は今回ほぼ初めて聴きました。

感動しました。

第1番から第6番まで聴いてきた中では、
明らかに一つ高いところにある音楽で、

モーツァルトのクラリネット協奏曲や五重奏曲、
ベートーヴェンの晩年のピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲のみに聴かれる、

悟りの境地にある特別な感慨を味わうことができました。

他の方の演奏もぜひ聴いてみたいと思います。


  ***

交響詩《海の精》作品73 は、

48歳(1914年)のときに完成、
同年6月4日に初演された交響詩です。
《大洋の女神》《波の娘》などとも訳されます。

第7番の初演を10年さかのぼりますが、
第5-7番の曲想を得たのは1914年なので、

第5番に取りかかる前に完成された作品ということになります。


これも初めて聴きました。
わかりやすいシンプルな曲です。

何もないところから、
終末に明確なクライマックスが築かれていくので、
第7番のスケールを小さくした感じがありました。

ただし暗めの曲想なので、
聴いた印象はだいぶ違っていると思います。


   ***

交響詩《タピオラ》作品112 は、

交響曲第7番を完成した翌年(1925年)に完成され、
翌1926年12月26日(シベリウス61歳)に初演されました。

シベリウス最後の交響詩であり、
彼の交響詩の最高傑作と評価されているそうです。

確かに、
いくつか聴いてきたシベリウスの交響詩の中では、

さまざまな要素が凝縮され、
よく創り込まれた作品であることは十分伝わって来ました。

ただし一つの管弦楽曲としてみたとき、
他を圧倒する感動を与えられるところまでは行きませんでした。

恐らく今後聴き直していくことで、
より深く気がつけるところが出てくるように思います。


   ***

さてベルグルンドとボーンマス交響楽団による
シベリウスの交響曲全集はこれで終わりです。
(あと1枚、管弦楽曲集を残しています。)

多少、録音の古さを感じさせる点をのぞけば、
どれもシベリウスの真価を教えてくれる演奏で、
楽しい有意義な時間を過ごすことができました。

ただ、この全集を聴き出してから間もなく、
格安(1,300円程)の輸入盤で同じコンビの全集が発売されました。


そんなに違わないだろうと思っていたのですが、
最近買って聴いてみたところ、

同じ演奏とは思えないほど、
冴えわたった清新さを感じさせる録音でした。

国内盤で
唯一不満だった録音の古さをまったく感じさせずに、
熱く彫りの深い演奏が繰り広げられていたので驚きました。

国内では、一番大もとの原盤にはさかのぼりにくいでしょうから、
どうしても音質面でいま一歩になりがちなのかな、と思いました。

こちらで聴くと、まったく印象が異なりますので、
輸入盤でもう一度聴き直していこうかな、と考えているところです。



※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」
「交響曲第7番(シベリウス)」「大洋の女神」「タピオラ」を参照。

2013年7月28日日曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第6番 (1973年録音)

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929.4-2012.1)が44-46歳のときに(1973.11)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第6番と、交響詩《ルオンノタル》《ポヒョラの娘》を聴きました。


シベリウス
1) 交響曲 第6番 ニ短調 作品104
  第1楽章 アレグロ・モルト・モデラート
  第2楽章 アレグレット・モデラート
  第3楽章 ポコ・ヴィヴァーチェ
  第4楽章 アレグロ・モルト

2) 交響詩《ルオンノタル》作品70
3) 交響詩《ポヒョラの娘》作品49

タル・ヴァリャッカ(ソプラノ)
パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1973年11月24日(1)、1975年6月3日(2)、1974年9月9日(3)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16017】


交響曲 第6番 ニ短調 作品104 は、

シベリウスが57歳のとき(1923年)に完成、初演された作品です。

第5・6・7番はほぼ同時期(1914年)に
着想されたことが知られていますが、

第5番が初演(1915年)された後、
しばらく第5番の改訂作業が続いたためか
(1916年に改訂稿、1919年に最終稿)、

第6番の完成は
50代の後半に入ってから、
1923年のことになりました。

ちなみにこの翌年1924年には第7番が完成しています。


今回ほぼ初めて聴きました。

フィンランドの自然の豊かさを感じる、
たいへん美しい作品ですが、

大自然の雄大さというよりも、
私の内なる世界としての、等身大の自然が描かれているように感じました。


聴きやすく
わかりやすい音楽ですが、

第5番まで一貫して感じられた
外へ外へと向かっていく覇気が、

若干減じているようにも感じられました。


飛び切り美しい出だしに耳を奪われるものの、
全体を聴き通してみて、

感動のうちに聴き終えることはなく、
あれっと思って何度も聴き返しておりましたが、

まだわかった!と言えるところにはたどりつけませんでした。


  ***

交響詩《ルオンノタル》作品70 は、

シベリウス40代後半(1913年)に作曲された
ソプラノ独唱付きの交響詩です。

歌詞は『カレワラ』第1章にもとづくそうで、
《ルオンノタル(大気の精)》と訳されることもあるようです。


同時期に作曲された

 交響曲 第4番 イ短調 作品63
 交響詩《吟遊詩人》作品64

と似た曲想をもっているように感じました。

独唱付きな分、言葉の問題があるので、
取り上げられる機会は限られてくるかもしれませんが、

独創的な出だしとともに、
別世界に持っていかれる心地のする
美しい歌曲ともいえるでしょう。


交響詩《ポヒョラの娘》作品49 は、

シベリウス40代はじめ(1906年)作曲された
『カレワラ』にもとづく交響詩で、

英雄ヴァイナモイネンについて描かれているそうです。

 交響曲第3番ハ長調作品52

とほぼ同時期に書かれていますが、

ほの暗い色調で、
曲の出だしは第6番と似た印象を受けました。


第6番と似た感じのある
飛び切り美しい出だしに心奪われますが、

後半にかけての展開はあと一歩といった感じでした。

でも十分美しい、聴いておく価値のある佳曲だと思いました。


※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」
「交響曲第6番(シベリウス)」「ポホヨラの娘」を参照。

2013年2月28日木曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第5番(1974年)

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929.4-2012.1)が45歳のときに(1974.6)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第5番と交響詩《伝説(エン・サガ)》を聴きました。

《伝説》は初めて聴きました。


シベリウス
1) 交響曲 第5番 変ホ長調 作品82
  第1楽章 テンポ・モルト・モデラート~アレグロ・モデラート~プレスト
  第2楽章 アンダンテ・モッソ・、クワジ・アレグレット
  第3楽章 アレグロ・モルト

2) 交響詩《伝説(エン・サガ)》作品9

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1974年6月14日(交響曲)、1974年6月17日(組曲)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16016】


交響曲 第5番 変ホ長調 作品82 は、

シベリウス50歳の誕生日(1915.12)に初演された作品です。

改訂が2度施され、
53歳のとき(1919.11)に初演された
2度目の改訂稿が決定稿となっています。


第3番と同じ3楽章構成で、
実際、曲調も似ているように感じました。

第3番では明るい曲調の中に、若さというか、
抽象的ともいえる純度の高い音楽が展開されていたのに対し、

第5番では、
それまでの人生の深みというか、
50歳に至るまでの人生経験が織り交ぜられて、

再び誰にもわかりやすい音楽へと、
味わい深く進化を遂げているように感じました。


第4番をじっくり聴いた後の耳には、
とてもわかりやすい音楽に聴こえました。

これまでそれほど
感銘をもって聴いた記憶がないのですが、

今回初めて、
曲の真価をつかめた気がします。


  ***

交響詩《伝説(エン・サガ)》作品9 は、

シベリウスが27歳のときに初演された作品です(1893.2)。
のちに改訂され、36歳のとき(1902.11)に改訂版が初演されています。

26歳のとき(1892.4)に初演された
《クレルヴォ交響曲》作品7 が成功したのを受けて作曲された作品です。

クレルヴォが初演ののち撤回されてしまったので、
実質的に最初の成功作になりました。


さて聴いてみると、
初期のわかりやすい音楽で、
まとまりよく仕上がっているので、
コンサートで取り上げるのにはもってこいだと思いました。

ヴァイオリン協奏曲を多少俗化したような印象で、
ふつうに楽しんで、聴き終えることができました。

交響曲第5番のあとだと明らかに聴き劣りするのですが、

これだけじっくり取り上げれば、
また印象は異なると思います。


※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「交響曲第5番(シベリウス)」「エン・サガ」を参照。

2012年12月30日日曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第3番

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が48・49歳のときに(1977・78)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第3番と組曲《ペレアスとメリザンド》を聴きました。

ペレアスは今回初めて聴きました。


ジャン・シベリウス
1) 交響曲 第3番 ハ長調 作品52
  第1楽章 アレグロ・モデラーと
  第2楽章 アンダンテ・コンモート、クワジ・アレグレット
  第3楽章 モデラート - アレグロ・ノン・タント

2) 組曲《ペレアスとメリザンド》作品46
  第1曲 城門にて
  第2曲 メリザンド
  第3曲a 海辺にて
  第3曲b 庭園の噴水
  第4曲 3人の盲目の姉妹
  第5曲 パストラーレ
  第6曲 糸を紡ぐメリザンド
  第7曲 間奏曲
  第8曲 メリザンドの死

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1977年6月20-21日(交響曲)、1978年5月6-7日(組曲)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16013】


交響曲 第3番 ハ長調 作品52 は、

シベリウスが41歳のとき(1907.9)に初演された交響曲です。

36歳(1902.3)のときに
第2番が初演されてから5年を経て、

新たな独自の世界へと足を踏み入れた、
画期となる交響曲です。


初めて聴いたわけではありませんが、
これまでは今ひとつ、つかみきれないところがありました。

しかし今回のベルグルンドさんのCDで、
ようやく開眼したようです。


心の中の鬱蒼とした霧が、
ゆるやかに晴れわたっていくような1・3楽章と、
悲しいワルツをより深化させたような2楽章。

計3楽章からなる小ぢんまりとした構成も好ましく、

ああこんなに美しかったんだと、
心洗われる、めったにない感動を味わうことができました。


今は第1・2番よりも遥かに素敵な作品に思えます。



組曲《ペレアスとメリザンド》作品46は、

ベルギーの劇作家
モーリス・メーテルリンク(1862-1949)の
戯曲『ペレアスとメリザンド』にもとづく管弦楽組曲です。

この戯曲は、
1892年にフランス語で発表されましたが、

1905年にヘルシンキで、
スウェーデン語版が上演されるのにともない、

シベリウスによって劇付随音楽が作曲され、

劇の上演後、
8曲からなる組曲に編曲しなおされたそうです。

つまり交響曲第3番とほぼ同時期、
40歳のころの作品ということになります。


『ペレアスとメリザンド』は、
他の作曲家も取り上げている題材なので、
もっと昔の作品かと思っていましたが、

『青い鳥』で知られるメーテルリンクが書いた戯曲だとは、
今回初めて知りました。

しかしその『青い鳥』すらまだ読んでいない身ですので、
何も語る資格はありませんが、
とりあえずの印象を少し。


交響曲第3番の出だしを
よりロマンティックにしたような、
心浮き立つ、はなやかな開始から心を捕らえられ、

ほどほどに悲劇的な終曲へと、
実にわかりやすい音楽で、十分に楽しんで聴き終えることができました。


今回の全集では、
交響曲以外の管弦楽曲に、
意外に楽しめるものが多く、
新しい発見が出来てたいへんありがたいです。

《フィンランディア》や《悲しいワルツ》だけではないのですね。

《ペレアスとメリザンド》も、もっと取り上げられて良い名曲だと思いました。


※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「交響曲第3番(シベリウス)」「ペレアスとメリザンド(シベリウス)」を参照。

2012年12月18日火曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第2番

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が47歳のときに(1976)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の交響曲第2番を聴きました。


ジャン・シベリウス
交響曲 第2番 ニ長調 作品43
 第1楽章 アレグレット
 第2楽章 テンポ・アンダンテ、マ・ルバート
 第3楽章 ヴィヴァチッシモ
 第4楽章 フィナーレ(アレグロ・モデラート)

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1976年11月23-24日、サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16013】


交響曲 第2番 ニ長調 作品43は、

シベリウスが36歳のとき(1902.3)に初演され、
第1番に続いて大成功を収めた交響曲です。

気分の晴れないときなどに聴くと、
前向きな方へと気持ちを押し上げてくれる作品で、

久しぶりに聴き直して、
やはり大いに感動しました。


クレルヴォ交響曲から3曲続いてきた、
民族感情を高揚させるタイプの交響曲の中でも、
良くできた名曲だと思います。


第3番からはシベリウス独自の、
内省的な世界へと深まりを見せていきますが、

誰にでもわかりやすい
シベリウスの交響曲といえば、
まずこの第2番をあげるのが穏当なところでしょう。



ベルグルンドとボーンマス交響楽団は、

時に荒々しさを感じさせるほど、
非常によくオーケストラを鳴らした演奏で、

その分、完成度では
ヘルシンキ・フィルとの録音に一歩譲るでしょうが、

バリバリにオケを鳴らしたボーンマス響との録音も、
若々しい魅力があって楽しめました。


ただしシベ2は、
他の指揮者、オーケストラの録音も数多くあるので、
これだけが飛びぬけて良いとは思いませんでした。

時に金管が荒々しく響きすぎるのは、
欠点とみることもできるでしょう。


先にブログで取り上げた
朝比奈隆&大阪フィルのライブ録音も同じ方向の演奏ですが、

朝比奈盤のほうが、より洗練されていて、
感動的な名演だったといえば、どんな演奏かイメージできるでしょうか。


それでは、第3番に進みます。

2012年11月13日火曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第1番

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が45・46歳のとき(1974・75)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865-1957)の交響曲第1番と、
組曲《歴史的情景》第1番を聴きました。


ジャン・シベリウス
1) 交響曲 第1番 ホ短調 作品39
  第1楽章 アンダンテ・マ・ノン・トロッポ(アレグロ・エネルジコ)
  第2楽章 アンダンテ(マ・ノン・トロッポ・レント)
  第3楽章 スケルツォ(アレグロ)
  第4楽章 フィナーレ クワジ・ウナ・ファンタジア(アンダンテ~アレグロ・モルト)

2) 組曲《歴史的情景》第1番 作品25
  第1曲 序曲風に
  第2曲 ある場面
  第3曲 祭り

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1974年9月9・10日〔交響曲第1番〕、1975年7月15日〔歴史的情景〕、サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16019/20】


交響曲 第1番 ホ短調 作品39は、

シベリウスが34歳のとき(1899年)に
完成し、初演された交響曲です。

クレルヴォ交響曲と同じ路線の、
民族感情を高揚させる作品ですが、
管弦楽のみでより洗練された感じがあります。

全体的にほの暗くはありますが、
わかりやすく美しいメロディに満ちており、

もう少し演奏の機会が多くても良いように思います。

ただ第2番と比べれば
まだ少しまとまりに欠ける所があるのか、

時折ライブを耳にしても、
なんだかまとまりが付かなくなって、
今ひとつ感動できないことが多いです。


このCDでは、
まずオケの凄い鳴りっぷりに驚きました。

シベリウスといえば、
寒々ひんやりとした感触で、
オケもそんなにバリバリに鳴らさない印象があったのですが、

ここまで思い切って鳴らしてもいいんだ、
と嬉しい驚きの演奏でした。

それでもシベリウスらしさを全く失わないのは、

どんなに強奏しても、
オケの音ににごりがないからなのかな、
と推測しますが、

何よりベルグルンドさんの
シベリウスへの共感度が尋常でないレベルに達していたからだろうな、と思います。


完成度の上では、
のちのヘルシンキ・フィルとの演奏の方が優れていると思いますが、

ボーンマス響との演奏は、
この曲から全く別の魅力を引き出していて、
とても感動しました。



組曲《歴史的情景》第1番 作品25は、

交響曲と同じ1899年に作曲された
歴史劇「愛国記念劇」のための音楽から、
1912年に編曲、初演された組曲(全3曲)です。

この「愛国記念劇」の音楽から、
1900年に交響詩《フィンランディア》作品26
が編曲されたことはよく知られています。

作品25と同時(1912年)に、
組曲《歴史的情景》第2番 作品66
が作曲、初演されていますが(全3曲)、

こちらは「愛国記念劇」の音楽からでなく、
改めて作曲されたものだそうです。


このCDで初めて聴いたので、
ほかと比べてどうなのかはわかりませんが、

オケの小品集として、
3曲ともふつうに楽しむことができました。

ただしあっという間に終わって、
少々軽い感じがするので、コンサートでは取り上げにくいようにも思いました。

組曲《歴史的情景》第2番

と一緒に取り上げるとちょうど良いのかもしれません。

第1・2番を収録したCDもあるようなので、
近々聴いてみようと思います。



※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「交響曲第1番(シベリウス)」

※S.suda様の「シベリウスのページ」
 〈http://members.jcom.home.ne.jp/tapiola/sibelius/index.html〉
 を参照させていただきました。


2012年10月18日木曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:クレルヴォ交響曲

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が41歳のとき(1970)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865-1957)の
クレルヴォ交響曲を聴きました。


ジャン・シベリウス(1865-1957)
1) クレルヴォ交響曲 作品7
  第1楽章 導入部(アダージョ・モデラート)
  第2楽章 クレルヴォの青春(グラーヴェ)
  第3楽章 クレルヴォとその妹(アレグロ・ヴィヴァーチェ)
  第4楽章 クレルヴォは戦場に行く(アラ・マルチア)
  第5楽章 クレルヴォの死(アンダンテ)

2) 劇付随音楽《クオレマ》より
  鶴のいる情景 作品44-2

3) 劇音楽組曲《白鳥姫》作品54より
  第2曲 ハーブ
  第3曲 薔薇を持った乙女たち
  第4曲 聞け、コマドリが歌っている
  第6曲 白鳥姫と王子

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ライリ・コスティア(メゾソプラノ)
ウスコ・ヴィータネン(バス・バリトン)
ヘルシンキ大学男声合唱団(エンスティ・ポヒョラ指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1970年11月21-22日、サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16019/20】

クレルヴォ交響曲 作品7 は、

フィンランドの民族叙事詩
「カレワラ」にもとづく合唱付きの管弦楽曲です。

原題は
「クレルヴォ ― 独唱者と合唱、管弦楽のための交響詩」ですが、
今は「クレルヴォ交響曲」の通称で呼ばれることの方が多いです。

シベリウスが27歳のとき(1892年)に初演されましたが、
その後、生前に全曲演奏されることはありませんでした。

交響曲第1番が完成するのは、
この7年後、34歳(1899年)のことなので、
シベリウスの最初の交響曲とみることもできます。

ベルグルンド指揮のこのCDが世界初録音となりました。


私は今回初めて聴きました。

『カレワラ』を読んだことがなく、
フィンランド語も解さない身なので、
深く理解するにはまだ時間がかかると思いますが、

荒削りながらも
聴く者の気持ちを高揚させる
魅惑的なメロディがたくさんあって、

「フィンランディア」や交響曲第1・2番が好きな方には
必聴の名曲だと思いました。


伊福部昭の世界をもっと洗練させた感じで、

直接の影響はないようですが、
チャイコフスキーのマンフレッド交響曲(1885年初演)を思い出しました。


構成面での弱さを、
若さでカバーしているような所もありますが、
シベリウスを語る上で外せない1曲だと思います。

わかりやすい曲なので、
もう少し演奏されても良いのでしょうが、
フィンランド語の独唱、合唱が入るのは
ネックになるのかもしれません。


  ***

劇付随音楽《クオレマ》より
「鶴のいる情景」作品44-2 は、

義兄アルヴィド・ヤルネフェルトの戯曲
「クオレマ」のために作られた劇付随音楽です。

1903年の戯曲初演に際して
まず全6曲のもの(初稿)が作られたのち、

1904年にその第1曲を改訂した
《悲しきワルツ》作品44 が上演され、
大好評を得たのを受けて、

1906年に第3・4曲を改訂した
《鶴のいる情景》が上演されましたが、
そのまま生前は再演されなかったそうです。

シベリウスが40歳前後のときに作曲された作品ということになります。


さすがに「クレルヴォ交響曲」よりこなれた筆致で、
コンサートのアンコールや、逆にコンサートの幕開けなどにふさわしい1曲かな、と思いました。

「悲しきワルツ」に似た曲想ですが、
それほど物悲しい感じはなく、もう少し情景描写の方に重きを置いてある作品です。



劇音楽組曲《白鳥姫》作品54 は、

スウェーデンの作家
ヨハン・アウグスト・ストリンドベリ(1849-1912)の
戯曲「白鳥姫」(1902年)のために作曲された
劇付随音楽にもとづく組曲(全7曲)です。

シベリウスが43歳のとき(1908年)に作曲されました。

こちらもわかりやすく、
楽しく美しい軽めの作品で、
それだけにコンサートでは取り上げにくいかもしれませんが、
聴けて良かったです。

このCDには、
全7曲の中から4曲選んで収録されています。
全曲聴けなかったのが残念です。


   ***

ボーンマス交響楽団、
フィンランドのオケだと思い込んでいましたが、
調べてみるとイギリスのオケでした。

異国の曲をこれだけハッキリくっきりと
確信を持って演奏できるのは、やはりベルグルンドの手腕によるところが大きいのでしょうか。

洗練さでは他に一歩譲りますが、
荒々しいまでの迫力の中に、寒々としたシベリウス独特の響きを実現できているのは、このオケの長所だと思いました。

次は交響曲第1番へと進みましょう。


※Wikipedia の「ジャン・シベリウス」「クレルヴォ交響曲」
「クオレマ」「白鳥姫(シベリウス)」の項目を参照。