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2015年12月7日月曜日

シュナイダーハンのメンデルスゾーン&ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲(1956&52年録音)

ウィーン生まれのヴァイオリニスト
ヴォルフガング・シュナイダーハン
(1915.5-2002.5)の演奏で、

ドイツの作曲家
メンデルスゾーンとブルッフの
ヴァイオリン協奏曲を聴きました。

メンデルスゾーンは
シュナイダーハン41歳の時(1956.9)、
ブルッフは36歳の時(1952.4)の録音です。


1) メンデルスゾーン
  ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
  ・ベルリン放送交響楽団
  ・フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
  録音:1956年9月19-23日、ベルリン、イエス・キリスト教会

2) ブルッフ
  ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26
  ・バンベルク交響楽団
  ・フェルディナント・ライトナー(指揮)
  録音:1952年4月28-30日、バンベルク、クルトゥラウム

ヴォルフガング・シュナイダーハン(ヴァイオリン)
【POCG-90175】

フェリックス・メンデルスゾーン
(1809.2-1847.11)の
ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
は、作曲者64歳の時(1945.3)に初演された作品、

マックス・ブルッフ
(1838.1-1920.10)の
ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26
は、作曲家28歳の時(1866.4)に初演された作品です。


  ***

シュナイダーハンのヴァイオリン、
それほど大曲向きには思えなかったので、
コンチェルトはあまり聴いて来なかったのですが、

偶然聴いたメンデルスゾーンが、
かなりの名演でした。

名曲の割に、
深く感動する演奏に出会いにくいのが
メンコンの難しいところなのですが、

久しぶりに、
始まりから終わりまで、
美音と粋な節回しに耳が吸い寄せられて、
ああ美しいなと思っているうちに最後まで聴き終えていました。

同郷のウィーン生まれのヴァイオリニスト、
フリッツ・クライスラー(1875.2-1962.1)と同じく、
甘く美しい音色と、品のある粋な節回しで聴かせるタイプの演奏です。

個人的には、
メンコンのベスト演奏はクライスラーなのですが、
さすがに録音が古く(1926年)、
聴きにくく感じることもあったので、

クライスラーのメンコンが好きな方にはお薦めです。


  ***

ブルッフは、
メンデルスゾーンと同じタイプの演奏ですが、
音質がメンコンよりいっそう悪い感じなので、
あまり楽しめませんでした。

あえてシュナイダーハンを選ばなくても、
ほかに良い演奏があると思います。


※「ヴォルフガング・シュナイダーハン」「フェリックス・メンデルスゾーン」「ヴァイオリン協奏曲(メンデルスゾーン)」「マックス・ブルッフ」「ヴァイオリン協奏曲第1番(ブルッフ)」を参照。

2015年10月12日月曜日

シュナイダーハンのシューベルト:ヴァイオリン・ソナタ集(1953-54年録音)

オーストリアのウィーン生まれのヴァイオリニスト
ヴォルフガング・シュナイダーハン(1915.5-2002.5)と、

ドイツのブレーメン生まれのピアニスト、
カール・ゼーマン(1910.5-1983.11)の演奏で、

オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト(1797.1-1828.11)の
ヴァイオリン・ソナタ集を聴きました。

シュナイダーハン38-39歳(1953-54年)の時の録音です。


フランツ・シューベルト
ヴァイオリン・ソナタ イ長調 作品162 D574《二重奏曲》
ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ
 第1番 ニ長調 作品137-1 D384
 第2番 イ短調 作品137-2 D385
 第3番 ト短調 作品137-3 D408

ヴォルフガング・シュナイダーハン(ヴァイオリン)
カール・ゼーマン(ピアノ)
録音:1954年12月16日、ハノーファー、ベートーヴェン・ザール《二重奏曲》。1953年9月25-27日、ウィーン、コンツェルトハウス《ソナチネ》。
【POCG-90182】※1998年12月発売。

シューベルトによる
ヴァイオリンとピアノのための作品は、
これまでほとんど聴いて来なかったので、
よく知りませんでした。

調べてみると、

1-3) ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ
   ◎第1番 ニ長調 作品137-1 D384〔1816年3月〕
   ◎第2番 イ短調 作品137-2 D385〔1816年3月〕
   ◎第3番 ト短調 作品137-3 D408〔1816年4月〕※19歳

4) ヴァイオリン・ソナタ
  ◎イ長調 作品162 D574〔1817年8月〕※20歳

5) ヴァイオリンとピアノのためのロンド
  ロ短調 作品70 D895〔1826年10月〕※29歳

6) ヴァイオリンとピアノのための幻想曲
  ハ長調 作品159 D934〔1827年12月〕※30歳

の6曲作られていることがわかりました。

シュナイダーハンの
この時(1953-54年/38-39歳)の録音では、
はじめの4曲までしか収録されていません。

12年後(1965-66年/50-51歳)に再録した時には、
全6曲を収録していますが、

50年代の録音と比べると、
シュナイダーハンならではの美音にかげりみえ、
技術面でもほんの少し衰えがみえるようで、

あまり魅力的に思えませんでした。


  ***

今回の録音、
これらの曲を知らない私が聴いても、

シューベルトの曲の美しさにしみじみ浸れる演奏で、
曲の魅力が過不足なくひきだされているように感じました。

何も特別なことはせずに、
生まれながらそこにある音楽として、
よい雰囲気が醸し出されていると思いました。

贅沢をいわなければ、
十分な名演と言って良いのですが、

モーツァルトのソナタで聴いた
奇跡的なバランスの演奏と比べると、

ほんのわずかなのですが、
あと一歩、曲の内面に切り込んでくる、
ドキッとするような要素が足りないように思われました。

繰り返し聴いて、
どんな曲なのかはよくわかって来ましたので、

ここからスタートして、
ほかの演奏にも耳を通してみようと思います。


※Wikipediaの「フランツ・シューベルト」「ヴォルフガング・シュナイダーハン 」「カール・ゼーマン」を参照。
※藤田晴子著『シューベルト 生涯と作品』(音楽之友社、2002年11月)を参照。

2015年9月21日月曜日

シュナイダーハンのモーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集 その2

オーストリアのウィーン生まれのヴァイオリニスト
ヴォルフガング・シュナイダーハン(1915.5-2002.5)と、

ドイツのブレーメン生まれのピアニスト、
カール・ゼーマン(1910.5-1983.11)の演奏で、

オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ヴァイオリン・ソナタ集を聴いていきます。

CD4枚中の2枚目を聴きました。
シュナイダーハン38-40歳(1953-55年)の時の録音です。


モーツァルト
ヴァイオリン・ソナタ第30番 ハ長調 K.306
ヴァイオリン・ソナタ第32番 ト長調 K.376
ヴァイオリン・ソナタ第33番 ホ短調 K.377

ヴォルフガング・シュナイダーハン(ヴァイオリン)
カール・ゼーマン(ピアノ)
録音:1954年12月18日、ハノーファー、ベートーヴェン・ザール〔K376〕。
1955年10月7-9日、ウィーン、コンツェルトハウス〔K306&377〕。
【POCG-90178】※1998年12月発売。

シュナイダーハンは
38歳から40歳にかけて(1953.9/1954.12/1955.12)、
モーツァルトのヴァイオリン・ソナタを計13曲録音しました。

旧全集の通番(第1-43番)に従って、
どれを録音したのか整理しておきます。

二重丸◎はこのCDの収録曲です。

「第1番 ハ長調  K.6 〔1762-64〕
 第2番 ニ長調  K.7 〔1763-64〕
 第3番 変ロ長調 K.8 〔1763-64〕
 第4番 ト長調  K.9 〔1764〕
 第5番 変ロ長調 K.10〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第6番 ト長調  K.11〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第7番 イ長調  K.12〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第8番 ヘ長調  K.13〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第9番 ハ長調  K.14〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第10番 変ロ長調 K.15〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第11番 変ホ長調 K.26〔1766〕
 第12番 ト長調  K.27〔1766〕
 第13番 ハ長調  K.28〔1766〕
 第14番 ニ長調  K.29〔1766〕
 第15番 ヘ長調  K.30〔1766〕
 第16番 変ロ長調 K.31〔1766〕

 第17番 ヘ長調  K.55 (K.Anh.C23.01)※偽作
 第18番 ハ長調  K.56 (K.Anh.C23.02)※偽作
 第19番 ヘ長調  K.57 (K.Anh.C23.03)※偽作
 第20番 変ホ長調 K.58 (K.Anh.C23.04)※偽作
 第21番 ハ短調  K.59 (K.Anh.C23.05)※偽作
 第22番 ホ短調  K.60 (K.Anh.C23.06)※偽作
 第23番 イ長調  K.61 (K.Anh.C23.07)※偽作

◯第24番 ハ長調  K296〔1778〕
◯第25番 ト長調  K301 (K<6>.293a)〔1778〕
・第26番 変ホ長調 K302 (K<6>.293b)〔1778〕
・第27番 ハ長調  K303 (K<6>.293c)〔1778〕
◯第28番 ホ短調  K304 (K<6>.300c)〔1778〕
◯第29番 イ長調  K305 (K<6>.293d)〔1778〕
◎第30番 ニ長調  K306 (K<6>.300l)〔1778〕
 第31番 変ロ長調 K372〔1781〕※未完
◎第32番 ヘ長調  K376 (K<6>.374d) 〔1781〕
◎第33番 ヘ長調  K377 (K<6>.374e)〔1781〕
◯第34番 変ロ長調 K378 (K<6>.317d)〔c.1779-81〕
◯第35番 ト長調  K379 (K<6>.373a)〔c.1781〕
◯第36番 変ホ長調 K380 (K<6>.374f)〔1781〕
 第37番 イ長調  K402 (K<6>.385e)〔1782〕※未完
 第38番 ハ長調  K403 (K<6>.385c)〔1782〕※未完
 第39番 ハ長調  K404 (K<6>.385d)〔c.1782 or c.1788〕※未完
◯第40番 変ロ長調 K454〔1784〕
◯第41番 変ホ長調 K481〔1785〕
◯第42番 イ長調  K526〔1787〕
・第43番 ヘ長調  K547〔1788〕 」

偽作の7曲(第17-23番)を境にして、
おもに後半の作品を録音しています。

未完の作品はのぞかれていますが、
完成された作品も第26・27・43番の3曲は録音されていません。

これ以前の23曲は、
偽作の7曲(第17-23番)はもちろん、

それ以前の16曲も、
モーツァルト10歳までに書かれた初期の作品なので、

ヴァイオリン・ソナタの選集を
録音する場合でも録音されないことが多いです。

  ***

ヴァイオリン・ソナタの
◎第30番 ニ長調  K306
は作曲者22歳の時(1778.11)、
◎第32番 ヘ長調  K376
◎第33番 ヘ長調  K377
は作曲者25歳の時(1781.11)に出版されています。

30番と32番の間に
 第31番 変ロ長調 K372 ※未完
がありますが、
これは25歳の時(1781.3)に、
初めのアレグロ楽章の途中まで作曲された未完の作品です。
1楽章も完成されていないので、
ふつうは演奏されません。

第30番は、
1778年11月にパリで作品1として出版された
「パリ・ソナタ」6曲(第25-30番)のうちの1曲です。

◯第25番 ト長調  K301
・第26番 変ホ長調 K302
・第27番 ハ長調  K303
◯第28番 ホ短調  K304
◯第29番 イ長調  K305
◎第30番 ニ長調  K306

第32・33番は、
1781年11月にウィーンで作品2として出版された
「アウエルンハンマー・ソナタ」6曲(第24番・第32-36番)のうちの2曲です。

◎第32番 ヘ長調  K376
○第24番 ハ長調  K296
◎第33番 ヘ長調  K377
◯第34番 変ロ長調 K378
◯第35番 ト長調  K379
◯第36番 変ホ長調 K380

  ***

これもまた、
1枚目と曲想に大きな違いはなく、

明るく清楚で、
心浮き立つ楽しい瞬間をちりばめた
モーツァルトを聴く醍醐味を満喫できる
ひと時を過ごすことができました。

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、
聴いていても退屈に感じられる録音が多く、
あまり聴き込んで来なかったのですが、

初めて満足できる録音に出会えましたので、
シュナイダーハンの演奏でしばらく聴き込んでみようと思います。


シュナイダーハンさんの若いころの演奏は、

ほどよく共鳴した時の
ヴァイオリンの響きが耳に心地良く、

音色を聴くだけで笑みがこぼれて来るのが特徴的です。

美音といっても、
オイストラフのような野太い感じではなく、
節度をわきまえた範囲での清楚な美しさ。

どちらかと言えば、
クライスラーのような趣きですが、

そこまで甘々ではなく、
技巧的にも申し分ないレベルなので、

モーツァルトにはもってこいの演奏家だと思いました。

それでは3枚目に進みましょう。


※Wikipediaの「ヴォルフガング・シュナイダーハン」「カール・ゼーマン」「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」「モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ」を参照。

2015年6月1日月曜日

シュナイダーハンのモーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集 その1

オーストリアのウィーン生まれのヴァイオリニスト
ヴォルフガング・シュナイダーハン(1915.5-2002.5)と、

ドイツのブレーメン生まれのピアニスト、
カール・ゼーマン(1910.5-1983.11)の演奏で、

オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ヴァイオリン・ソナタ集を聴いています。

CD4枚中の1枚目を聴いていきます。
シュナイダーハン38-40歳(1953-55年)の時の録音です。


モーツァルト
ヴァイオリン・ソナタ第24番 ハ長調 K.296
ヴァイオリン・ソナタ第25番 ト長調 K.301
ヴァイオリン・ソナタ第28番 ホ短調 K.304
ヴァイオリン・ソナタ第29番 イ長調 K.305

ヴォルフガング・シュナイダーハン(ヴァイオリン)
カール・ゼーマン(ピアノ)

録音:1954年12月17日、ハノーファー、ベートーヴェン・ザール〔K296〕。
1955年10月6日、ウィーン、コンツェルトハウス〔K301&305〕。
1953年9月19日、ウィーン、コンツェルトハウス〔K304〕。
【POCG-90177】

シュナイダーハンは
38歳から40歳にかけて(1953.9/1954.12/1955.12)、
モーツァルトのヴァイオリン・ソナタを計13曲録音しました。

旧全集の通番(第1-43番)に従って、
どれを録音したのか整理しておきます。

二重丸◎はこのCDの収録曲です。

「第1番 ハ長調  K.6 〔1762-64〕
 第2番 ニ長調  K.7 〔1763-64〕
 第3番 変ロ長調 K.8 〔1763-64〕
 第4番 ト長調  K.9 〔1764〕
 第5番 変ロ長調 K.10〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第6番 ト長調  K.11〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第7番 イ長調  K.12〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第8番 ヘ長調  K.13〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第9番 ハ長調  K.14〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第10番 変ロ長調 K.15〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第11番 変ホ長調 K.26〔1766〕
 第12番 ト長調  K.27〔1766〕
 第13番 ハ長調  K.28〔1766〕
 第14番 ニ長調  K.29〔1766〕
 第15番 ヘ長調  K.30〔1766〕
 第16番 変ロ長調 K.31〔1766〕

 第17番 ヘ長調  K.55 (K.Anh.C23.01)※偽作
 第18番 ハ長調  K.56 (K.Anh.C23.02)※偽作
 第19番 ヘ長調  K.57 (K.Anh.C23.03)※偽作
 第20番 変ホ長調 K.58 (K.Anh.C23.04)※偽作
 第21番 ハ短調  K.59 (K.Anh.C23.05)※偽作
 第22番 ホ短調  K.60 (K.Anh.C23.06)※偽作
 第23番 イ長調  K.61 (K.Anh.C23.07)※偽作

◎第24番 ハ長調  K296〔1778〕
◎第25番 ト長調  K301 (K<6>.293a)〔1778〕
・第26番 変ホ長調 K302 (K<6>.293b)〔1778〕
・第27番 ハ長調  K303 (K<6>.293c)〔1778〕
◎第28番 ホ短調  K304 (K<6>.300c)〔1778〕
◎第29番 イ長調  K305 (K<6>.293d)〔1778〕
◯第30番 ニ長調  K306 (K<6>.300l)〔1778〕
 第31番 変ロ長調 K372〔1781〕※未完
◯第32番 ヘ長調  K376 (K<6>.374d) 〔1781〕
◯第33番 ヘ長調  K377 (K<6>.374e)〔1781〕
◯第34番 変ロ長調 K378 (K<6>.317d)〔c.1779-81〕
◯第35番 ト長調  K379 (K<6>.373a)〔c.1781〕
◯第36番 変ホ長調 K380 (K<6>.374f)〔1781〕
 第37番 イ長調  K402 (K<6>.385e)〔1782〕※未完
 第38番 ハ長調  K403 (K<6>.385c)〔1782〕※未完
 第39番 ハ長調  K404 (K<6>.385d)〔c.1782 or c.1788〕※未完
◯第40番 変ロ長調 K454〔1784〕
◯第41番 変ホ長調 K481〔1785〕
◯第42番 イ長調  K526〔1787〕
・第43番 ヘ長調  K547〔1788〕 」


偽作の7曲(第17-23番)を境にして、
後半の作品中、未完成の作品をのぞいて録音していますが、

第26・27・43番の3曲は、
完成品であるにもかかわらず録音されていません。

この3曲を外した理由はよくわかりませんが、

録音日をみると、
年に1回数曲ずつ録音するのを
3回繰り返して計13曲収録しているので、

もしかしたら残りの3曲も、
翌年あたりに録音する計画があったのかもしれません。

これ以前の23曲は、
偽作の7曲(第17-23番)はもちろん、

それ以前の16曲も、
モーツァルト10歳までに書かれた初期の作品なので、

ヴァイオリン・ソナタを
選集として録音する場合には
収録されないことが多いです。


  ***

ヴァイオリン・ソナタの

 第24番 ハ長調 K.296
 第25番 ト長調 K.301 (K<6>.293a)
 第28番 ホ短調 K.304 (K<6>.300c)
 第29番 イ長調 K.305 (K<6>.293d)

は作曲者22歳の時(1778)に作曲されました。

第25-30番の6曲は、
同年(1778)11月にパリで作品1として出版されたので、
「パリ・ソナタ」とも呼ばれています。

◎第25番 ト長調  K301 (K<6>.293a)
・第26番 変ホ長調 K302 (K<6>.293b)
・第27番 ハ長調  K303 (K<6>.293c)
◎第28番 ホ短調  K304 (K<6>.300c)
◎第29番 イ長調  K305 (K<6>.293d)
◯第30番 ニ長調  K306 (K<6>.300l)

の6曲です。

第28番のホ短調を含めて、
それほど深さを感じる曲ではありませんが、

BGMとして聴き流すには惜しい、
軽やかな美しさに包まれた名曲揃いです。


  ***

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、

これまで納得できる演奏に出会えずに、
曲の真価についてわからぬまま生きて来ました。

それほどいろいろ聴いて来たわけでもありませんが、

グリュミオー&ハスキル盤は、
良い演奏のはずなのですが、
音質に難がありました。

グリュミオー&クリーン盤は、
旧盤に比べて数段劣りました。

オイストラフ&パドゥラ=スコダ盤、
パールマン&バレンボイム盤、
ムター&オーキス盤は、
様式的に多少無理がありました。

これこそはと思った
シェリング&ヘブラー盤も、
あんまり楽しそうでない生真面目な演奏が続いて、
すぐに退屈していました。

西崎たか子&ヤンドー盤、
前橋汀子&エッシェンバッハ盤は、
ヴァイオリンの鳴り方に癖があり、
リズムの切れにも難がありました。


シュナイダーハンの演奏は
初めて聴きますが、

どこまでも美しい音色と
軽やかなリズム感に支えられた
明るく伸びのある演奏でした。

ほとんど初めて、
モーツァルトのヴァイオリン・ソナタを、

まったく飽きることなく楽しみながら、
全体を聴き通すことができました。

シュナイダーハンの演奏、
これまでも聴いてきたはずなのですが、

こんなに音色の美しい方だとは気がつきませんでした。

どうやら50年代から60年代にかけて、
演奏スタイルを若干変えているようで、

個人的には、
50年代のモノラル期の録音の方が、
60年代のステレオ期の録音よりも、
圧倒的に美しいと思いました。

60年代の録音は、
技術的な衰えを精神性を前に出すことで補おうとして、
失敗しているように感じました。

もともと精神的な面を
強く押し出すタイプの演奏家ではないので、
50年代の清楚でひたすら美しい演奏にこそ、
シュナイダーハンの真価は現れているように思いました。

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタで、
しばらく聴き込んでいきたい演奏に出会えました。


※Wikipediaの「ヴォルフガング・シュナイダーハン」「カール・ゼーマン」「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」「モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ」を参照。