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2013年7月25日木曜日

フルトヴェングラー&RAIローマ響のワーグナー:《ニーベルングの指輪》全曲(1953年)


リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)
祝祭劇 《ニーベルングの指環》 全曲
フルトヴェングラー&RAIローマ交響楽団
1953年10・11月、ローマ、ライブ録音(モノラル)
【Membran Wallet 233411】13CD

今年の春に、
ヤノフスキ&シュターツカペレ・ドレスデンの《指輪》抜粋盤を聴いて、

いずれ全曲盤を聴こう、と思っていたところ、
フルトヴェングラー&RAIローマ交響楽団による《指輪》全曲盤が
格安(2500円)で手に入ったので、
こちらで聴いてみることにしました。

音質が心配だったのですが、
モノラルのライブ録音であることを考慮すれば、
十分に鑑賞に耐えうるレベルでした。

正直なところヤノフスキ盤の、
極上の音質に親しんだすぐあとでは
かなり聴き劣りしたことも事実なのですが、

ヤノフスキ盤から数ヶ月おいて、
音の記憶がある程度消えてから聴きなおしてみると、
思いのほか面白く、

数ヶ月かけてじっくり聴いていくつもりが、
次から次へと聴き進んで、3週間くらいのうちに全部聴き終えていました。

まだあらすじも良くわかっていない状態ではありますが、
確かにこれは音楽だけでも十分聴き応えのある、
傑作であることは感じ取ることができました。

事前に多少の知識を頭に入れておこうと思い、
堀内修 著『ワーグナーのすべて』(平凡社新書、平成25年1月)
などをひもといてみましたが、

ドイツ人ならばともかく、
日本人である私にとって、とくに興味のわかない内容でした。

しかし音楽は凄いです。

オペラの場合、はじめから
台本の細かい内容にまでこだわろうとすると、
途中で飽きてきて、挫折することが少なくありませんでした。

これからはまず取り敢えず、音だけで楽しんで、
それから台本、原作にさかのぼるのもありかな、と思い直した次第です。

フルトヴェングラーの指揮は、
《指輪》の全体像を見据えた上で、
陶酔的というよりは、音楽的にバランスの取れた、
ほどよく掘り下げられた表現で、

楽譜の読みの深さに感心しつつ、
飽きる間もなく、楽しみながら、全体を聴き通すことができました。
2500円なら十分に満足できる内容でした。

次はヤノフスキ&シュターツカペレ・ドレスデン盤も全曲聴いてみたいと思っています。


リヒャルト・ワーグナー:
《ニーベルングの指環》 序夜と3日の祝祭劇

序夜 《ラインの黄金》 全4場
 ヴォータン : フェルディナント・フランツ
 フリッカ : イーラ・マラニウク
 フライア : エリーザベト・グリュンマー
 フロー : ローレンツ・フェーエンベルガー
 ドンナー : アルフレート・ペル
 ローゲ : ヴォルフガング・ヴィントガッセン
 ミーメ : ユリウス・パツァーク
 エルダ : ルース・スチュワート
 アルベリヒ : グスタフ・ナイトリンガー
 ファゾルト : ヨーゼフ・グラインドル
 ファフナー : ゴットロープ・フリック
 ヴォークリンデ : セーナ・ユリナッチ
 ヴェルグンデ : マグダ・ガボーリ
 フロースヒルデ : ヒルデ・レッスル=マイダン
 RAIローマ交響楽団
 指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
 [録音] 1953年10月26日
 ローマ、アウディトリオ・デル・フォーロ・イタリーコ

第1日 《ワルキューレ》 全3幕
 ジークムント : ヴォルフガング・ヴィントガッセン
 ジークリンデ : ヒルデ・コネツニ
 フンディング : ゴットロープ・フリック
 ヴォータン : フェルディナント・フランツ
 ブリュンヒルデ : マルタ・メードル
 フリッカ : エルザ・カヴェルティ
 ヴァルトラウテ : ダグマー・シュメーデス
 ヘルムヴィーゲ : ユーディト・ヘリヴィック
 オルトリンデ : マグダ・ガボーリ
 ゲルヒルデ : ゲルダ・シュライヤー
 シュヴェルトライテ : ヒルデ・レッスル=マイダン
 ジークルーネ : オルガ・ベニングス
 グリムゲルデ : エルサ・カヴェルティ
 ロスヴァイゼ : イラ・マラニウク
 RAIローマ交響楽団
 指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
 [録音]1953年10月29日(第1幕)、11月3日(第2幕)、11月6日(第3幕)
 ローマ、アウディトリオ・デル・フォーロ・イタリーコ

第2日 《ジークフリート》 全3幕
 ジークフリート : ルートヴィヒ・ズートハウス
 ブリュンヒルデ : マルタ・メードル
 さすらい人 : フェルディナント・フランツ
 ミーメ : ユリウス・パツァーク
 アルベリヒ : アロイス・ペルネルシュトルファー
 ファフナー : ヨーゼフ・グラインドル
 エルダ : マルガレーテ・クローゼ
 森の小鳥 : リタ・シュトライヒ
 RAIローマ交響楽団
 指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
 [録音]1953年11月10日(第1幕)、11月13日(第2幕)、11月17日(第3幕)
 ローマ、アウディトリオ・デル・フォーロ・イタリーコ

第3日 《神々の黄昏》 序幕つき3幕
 ジークフリート : ルートヴィヒ・ズートハウス
 ブリュンヒルデ : マルタ・メードル
 アルベリヒ : アロイス・ペルネルシュトルファー
 ハーゲン : ヨーゼフ・グラインドル
 グートルーネ : セーナ・ユリナッチ
 グンター : アルフレート・ペル
 フロースヒルデ : ヒルデ・レッスル=マイダン
 ヴァルトラウテ : マルガレーテ・クローゼ
 ヴォークリンデ : セーナ・ユリナッチ
 ヴェルグンテ : マグダ・ガボーリ
 第1のノルン : マルガレーテ・クローゼ
 第2のノルン : ヒルデ・レッスル=マイダン
 第3のノルン : セーナ・ユリナッチ
 RAIローマ放送合唱団
 RAIローマ交響楽団
 指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
 [録音]1953年11月20日(序幕&第1幕)、11月24日(第2幕)、11月27日(第3幕)
 ローマ、アウディトリオ・デル・フォーロ・イタリーコ

2013年6月11日火曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その10

Audite から復刻された
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集、
10枚目を聴きました。


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS

フランツ・シューベルト
1) 交響曲第7番ロ短調《未完成》D759
2) 交響曲第8番ハ長調《ザ・グレート》D944

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1953年9月15日、ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD10

CD10には、
1953年9月15・16・17日に行われた
 シューベルト:劇付随音楽《ロザムンデ》序曲
 シューベルト:交響曲第8番《未完成》
 シューベルト:交響曲第9番《ザ・グレート》
の3曲からなる演奏会から、

15日に演奏された交響曲2曲を収録しています。
(残りの曲は、CD9に既収録。)

   ***

オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト
(Franz Schubert 1797.1-1828.11)の
交響曲第8番ロ短調《未完成》D759

は、シューベルトが25歳(1822)のときに

第1・2楽章まで完成したのち、
第3楽章の途中までで作曲をやめてしまったため、
生前は演奏されることなく、

没後37年をへた
1865年12月に初演されました。

《未完成》交響曲といえば
この1曲をさすくらい有名ですが、

シューベルトの交響曲のうち、
未完成に終わっているものは他にも5曲ほどあるようです。
いずれブログにまとめます。


交響曲第9番ハ長調《ザ・グレート》D944

は、シューベルトが29歳(1826)のときに完成された作品です。

生前は演奏されず、
没後10年をへた1839年3月に、
メンデルスゾーンの指揮で初演されました。

この曲も今では周知の名曲となっていますが、

1828年にシューベルトが亡くなってから、
1839年にシューマンが自筆譜を確認するまで、
10年はほぼ忘れ去られていたそうです。

  ***

《未完成》は、
最近ありがちな軽めの演奏ではなく、

大オーケストラで曲想をえぐりぬいた
重々しく深みのある演奏でした。

本来はもっと軽めに演奏させるのが正しい解釈なのかもしれませんが、

思っていたよりずっと深みのある曲だったのだな、
と、曲の真価を教えられた気がしました。

改めて他の演奏も聴いてみたいと思いました。


《ザ・グレート》は、
まずまず好きな曲ですが、

フルトヴェングラーの録音は、

オケが鳴りすぎたのか、
それなりに鮮明ではあるものの、
必ずしも美しいとは言いかねる威圧的な音で録れていて、
曲をそれほど堪能できないままで終わってしまいました。

フルトヴェングラーの解釈は、
一聴の価値ありと思いますが、

音質からいって、
他を押しのけてもこれを第一に推すのは気が引けます。


※Wikipediaの「フランツ・シューベルト」
 「シューベルトの楽曲一覧」の各項目を参照。

※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
 仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照。
 【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】

2013年4月30日火曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その9

Audite から復刻された
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集、
9枚目を聴きました。


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS

1) ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》
2) シューベルト:劇付随音楽《ロザムンデ》序曲 作品26 D644
3) ブラッハー:管弦楽のための協奏的音楽 作品10

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1952年12月8日(1)、1953年9月15日(2)、1954年4月27日(3)、ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD9

CD9には、まず
1952年12月7・8・9日に行われた
 ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》序曲
 ヒンデミット:交響曲《世界の調和》
 ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》
の3曲からなる演奏会から、

8日に演奏された《英雄》交響曲が収録されています。
(残りの曲は、CD8に収録されています。)


次に、1953年9月15・16・17日に行われた
 シューベルト:劇付随音楽《ロザムンデ》序曲
 シューベルト:交響曲第8番《未完成》
 シューベルト:交響曲第9番《ザ・グレート》
の3曲からなる演奏会から、

15日に演奏された《ロザムンデ》序曲が収録されています。
(残りの曲は、CD10に収録されています。)


最後に、1954年4月25・26・27日に行われた
 ヘンデル:合奏協奏曲 作品6-5
 ブラームス:交響曲第3番
 ブラッハー:管弦楽のための協奏的音楽
 シュトラウス:《ドン・ファン》
 ワーグナー:《トリスタンとイゾルデ》より
の5曲からなる演奏会から、

27日に演奏されたブラッハーが収録されています。
(ヘンデルはCD7に、残りはCD11に収録されています。)


   ***

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven 1770.12-1827.3)の
交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》は、
33歳のとき(1804年)に完成された作品です。

なぜか若干さめた感じに聴こえますが、
フルトヴェングラーの得意曲だけあって、

有機的な響きにほどよい推進力に導かれて、
曲の全体像がよくわかる演奏になっていました。

音質もフルトヴェングラーの録音としては良い方だと思いますが、
その分コンサート用でない、臨時の演奏会場のデッドな感じが伝わって来て、

オケの響きそのものを楽しむことは出来ませんでした。
その点、多少マイナスでした。


   ***

オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト
(Franz Schubert 1797.1-1828.11)の
劇付随音楽《ロザムンデ》序曲 作品26 D644

は、ドイツの女性作家ヘルミーネ・フォン・シェジーの
戯曲『キプロスの女王ロザムンデ』のために作曲された音楽です。
不評のため台本は散逸し、シューベルトの音楽のみが伝えられています。

序曲は、
のちに書き下ろされた独自の版(D797)もありますが、
初演時には、歌劇《アルフォンソとエストレッラ》序曲(D732)を転用、
のちに劇付随音楽《魔法の竪琴》序曲(D644)が転用されました。

録音などで何も注記がないときは、
ほとんど D644 が演奏されているようです。

すぐれた演奏といって良いと思いますが、
個人的には、ボッセとの新日本フィルとの
有機的だけど軽みもある演奏に魅了された後なので、

響きが少し重々しすぎるように感じました。

フルトヴェングラーらしい
曲の内面をよく掘り下げた名演ではあります。


   ***

ドイツの作曲家
ボリス・ブラッハー
(Boris Blacher 1903.1-1975.1)の
管弦楽のための協奏的音楽 作品10
は、34歳のとき(1937)に作曲された作品です。

パガニーニの主題による変奏曲 作品26(1947)
という管弦楽曲が知られているようですが、未聴です。

どちらかというと、
今では忘れられかけている作曲家のようです。
ジャズのリズムと現代音楽の無機的な響きを合わせたような作品です。

録音も良く、
楽譜をよく読み込んだ上での演奏だと思います。

聴いていて苦痛になることはないのですが、
くり返して何度も聴きたいか、といえば、

それほどは感銘を受けない、
時代の潮流にのっただけの曲のように感じました。


※Wikipediaの
 「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
 「交響曲第3番(ベートーヴェン)」
 「フランツ・シューベルト」
 「キプロスの女王ロザムンデ」
「ボリス・ブラッハー」の各項目を参照。

※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
 仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照。
 【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】

2013年2月9日土曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その8

Audite から復刻された
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集、
8枚目を聴きました。


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS

1) ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》序曲 Op.77
2) ヒンデミット:交響曲《世界の調和》

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1952年12月8日、ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD8


CD8には、
1950年12月7・8・9日に3日にわたって行われた
 ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》序曲
 ヒンデミット:交響曲《世界の調和》
 ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》
の3曲からなる演奏会から、

12月8日に演奏された
《魔弾の射手》と《世界の調和》の2曲が収録されています。

同日の《英雄》はCD9に収録されています。


   ***

ドイツの作曲家
カール・マリア・フォン・ウェーバー
(Carl Maria von Weber 1786.11-1826.6)の

歌劇《魔弾の射手》は、
ウェーバーが34歳のときに初演された作品です(1821.6)。

曲名はよく知っていて、
序曲は何度か耳にしているはずですが、
ほとんど記憶に残っていませんでした。

久しぶりに聴いて、
前半は初めて聴くようでしたが、
後半からは記憶が甦って来ました。


音質は非常に良く、
へたなステレオ録音より
よほど聴きやすいです。

フルトヴェングラーの彫りの深い演奏で、
曲の魅力を再認しました。


   ***

ドイツ出身の作曲家
パウル・ヒンデミット
(Paul Hindemith 1895.11-1963.12)の

交響曲《世界の調和》は、
同名の歌劇をもとに編曲された作品で、
56歳のときに初演されています(1952.1)。

ヒンデミットの最高傑作との評価もあるようです。

聴きやすいモノラル録音で、
フルトヴェングラーの指揮のもと、

ヒンデミットのかいた音楽が、
真摯に再現されていると思います。


しかしながら、
初めて聴いたからかもしれませんが、
私には今ひとつで、何が良いのかさっぱりわかりませんでした。

ムラヴィンスキーの録音もあるようなので、
そちらを聴くと印象が変わるかもしれませんが、

今のところ、
第二次世界大戦後間もなくの
特殊な雰囲気でのみ受け入れられた作品のように聴こえました。

また機会があれば、聴き直してみます。



※Wikipediaの
 「カール・マリア・フォン・ウェーバー」
 「魔弾の射手」
 「パウル・ヒンデミット」の各項目を参照。

※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
 仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照。
 【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】

2012年11月20日火曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その7

Audite から復刻された
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集、
7枚目を聴きました。


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS

1) ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調「英雄」作品55
2) グルック: 歌劇《アルチェステ》序曲
3) ヘンデル:12の合奏協奏曲集より第5番 ニ長調 作品6-5 HWV323

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1950年6月20日(1)、1951年9月5日(2)、
   1954年4月27日(3)、ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD7


1曲目はCD6の続きで、
1950年6月20日の演奏会から、

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)の
交響曲第3番変ホ長調「英雄」作品55 が収録されています。

ベートーヴェン30代半ばの作品で、
1804年に完成、翌年に公開初演されています。

演奏は最上レベルです。

私にとって「英雄」は、
全体的にまとまりがつかない感じがして、
特別に好きな曲とは言えないのですが、
こうした別格の演奏で聴くと、やはり名曲だと思えます。

どこまでも有機的な響きのもと、
若々しいまでの情熱で一気に駆け抜けていくさまは、

第1・2番に続く、
若き日のベートーヴェンの強い意志を
伝えてくれているようで、

「英雄」の新たな魅力を発見することができました。


残念なのは、録音が今一つなことです。

フルトヴェングラーの遺産としては、
まずまず聴きやすい部類に入ると思いますが、
最近の鮮明な録音を聴きなれた耳には、
多少辛いものがありました。


   ***

2曲目は、1951年9月5日の演奏会から、

ドイツ出身の作曲家
クリストフ・ヴィリバルト・グルック(1714-1787)の
歌劇《アルチェステ》序曲 が収録されています。

グルック50代前半、
1767年にウィーンで初演されたイタリア語の歌劇(Wq.37)です。

十年後の1776年にパリで、
フランス語への改訂版(Wp.76)が初演されています。

通常は改訂版をもとに、
イタリア語で演奏されることが多いようなので、
フルトヴェングラーも改訂版を用いた可能性が高いですが、
楽譜を見ていないので確かなところはわかりません。


さてこの録音、
びっくりするくらい良い音です。

下手なステレオ録音よりもずっと美しく聴こえます。

そして当然のことながら、
やはりいい音で聴くとより一層、
フルトヴェングラーの凄さが際立ちます。

演奏スタイルが一昔前のものなので、

身近にこの曲を聴く機会は
もうほとんどないと思いますが、

オケの有機的な深い響きに包まれた大演奏で、
ぜひ聴いてほしい1曲です。


なおこの9月5日のコンサート、
グルックの後、ベートーヴェンの第九が演奏されていますが、
このCDには収録されていません。


  ***

3曲目には、
1954年4月25-27日のコンサートから、
3日目(27日)の演奏で、

ドイツ生まれの作曲家
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
(1685-1759)の

12の合奏協奏曲集より
 第5番ニ長調作品6-5 HWV323

が収録されています。

ヘンデル54歳のとき(1739)の作品です。

CD6にも同曲集の第10番が収録されていて、

それに比べると、
はるかにいい音で録れているのですが、

やはり大オーケストラのぶっとい響きが、
強い違和感を感じさせて、変でした。

いい音で録れている分、

何度か聴いていると、
それなりにありかなとも思えて来ますが、

これを聴いて、
ヘンデルっていいな、
とは残念ながら思えませんでした。


なおこの三日間のコンサート、

最初にヘンデルが演奏された後、

 ブラームス:交響曲第3番【CD11】
 ブラッハー:管弦楽のための協奏的音楽【CD9】
 シュトラウス:交響詩《ドン・ファン》【CD11】
 ワーグナー:《トリスタンとイゾルデ》前奏曲【CD11】

が演奏されました。この全曲が、
それぞれ【CD9・11】に収録されています。



※Wikipediaの「クリストフ・ヴィリバスト・グルック」
 「Alceste(Gluck)」「ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル」
 「ヘンデルの楽曲一覧」の各項目を参照。

※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
 仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照。
 【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】

※グルックについては、
 石井宏『反音楽史』(新潮文庫)232-255頁も参照。

2012年10月8日月曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その6

Audite から復刻された
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集、
6枚目を聴きました。


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS
1) ワーグナー:ジークフリートの葬送行進曲
2) ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」~第1幕前奏曲
       ***
3) ヘンデル:合奏協奏曲 ニ短調 Op.6-10 HWV328
4) ブラームス: ハイドンの主題による変奏曲 作品56a
5) ヒンデミット:管弦楽のための協奏曲 作品38

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1949年12月19日(1・2)、1950年6月20日(3~5)
ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD6


CD6枚目は、
〈前半〉2曲と〈後半〉3曲に分けられます。


   ***

まず〈前半〉2曲には、
1949年12月18・19・20日のベルリン・フィル演奏会から、
19日の演奏が収録されています。

このとき演奏会で取り上げられた5曲のうち、
はじめの3曲がCD5に収録されたので、
残る2曲がこのCD6に収録されたことになります。

その2曲とは、ドイツの作曲家
リヒャルト・ワーグナー(1813 - 1883)の作品で、

1曲目は、楽劇「神々の黄昏」より「ジークフリートの葬送行進曲」
2曲目は、
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲

です。

音質、演奏ともに優れているのは、
「葬送行進曲」の方です。彫りの深さに度肝をぬきました。

「マイスタージンガー」前奏曲の方は、
演奏は良いはずですが、音質が今ひとつなので、
あえてこの録音でなければ、という特徴には乏しいように感じました。


   ***

続いて〈後半〉3曲には、
1950年6月20日のベルリン・フィル特別演奏会が収録されています。

演奏会の曲目4曲のうち、
最後の「英雄」交響曲をのぞく3曲が収録されています。
(「英雄」交響曲は、CD7に収録。)


1曲目は、
ドイツ生まれで、イギリスに帰化した作曲家、
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685 - 1759)の、
12の合奏協奏曲集 作品6 から 第10番ニ短調 HWV328 です。
ヘンデル54歳のとき(1739年)の作品です。

これは原曲を知らないからかもしれませんが、

聴いていても大オーケーストラが放つ音響への
違和感のほうが強く、感動以前に耳が受けつけないところがありました。


2曲目は、ドイツの作曲家
ヨハネス・ブラームス(1833 - 1897)の、
ハイドンの主題による変奏曲 作品56a です。

ブラームス40歳のとき(1873年)の作品です。
交響曲第1番ができるのはこの3年後のことです。

これは名曲の名演奏。音質も良いです。
実はこれまでそんなに感動したことはなかったのですが、
初めて、ああこんなに良い曲だったのか、
と思えました。


3曲目は、ドイツの作曲家
パウル・ヒンデミット(1895 - 1963)の、
管弦楽のための協奏曲 作品38です。

ヒンデミット30歳のとき(1925年)の作品です。
これは今回初めて聴きました。

どちらかというと無調に近い印象があるので、
ヒンデミットはほとんど聴いていません。

でもこれは予想外に面白かったです。
短い中にも素材がぎゅっと凝縮されていて、

最後が明るい感じで
さわやかに終わるところも共感を持てました。

ヒンデミットを聴いて、
いいなあと思ったのも、初めてだった気がします。


ヒンデミットさん、
非常に多作な方のようで、
いろいろな曲を書かれているので、
いずれ時期をみて、聴いて行こうと思います。

※作品については、wikipedia の「リヒャルト・ワーグナー」「ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル」「ヨハネス・ブラームス」「パウル・ヒンデミット」の各項目を参照。


※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
 仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照しました。
 【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】



2012年8月28日火曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その5

Audite から復刻された
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886 - 1954)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集
5枚目を聴きました。


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS
1) シューマン:劇音楽「マンフレッド」序曲 作品115
2) ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 作品90
3) フォルトナー:ヴァイオリン協奏曲

ゲルハルト・タシュナー(ヴァイオリン)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1949年12月18日
ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD5


CD5枚目には、

1949年12月18・19・20日に行われた
ベルリン・フィルの演奏会から、
初日(18日)の演奏が収録されています。

コンサートの曲目は、上記3曲に続いて、

ワーグナーの「ジークフリートの葬送行進曲」と、
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲

を演奏する若干変則的なプログラムでした。

ワーグナーの2曲は、CD6枚目に
コンサート2日目(19日)の演奏が収録されています。


CD5枚目には、
コンサートの順番通り、
ドイツの作曲家3人の作品が収められています。


1人目。
ロベルト・シューマン(1810 - 1856)の
劇音楽「マンフレッド」序曲 作品115 は、
1852年、シューマンが42歳のときに初演された作品です。

演奏についてお伝えする以前に、
私はこの曲をそれほど聴く機会がなく、
まだよくわからないのが正直な所です。

フルトヴェングラーならば、
と期待しましたが、やっぱり今ひとつ、
わからないまま終わってしまいました。

私にとってシューマンとは
大好きなのと、よくわからないのとが混在する
作曲家のようです。


2人目。
シューマンの弟子でもあった
ヨハネス・ブラームス(1833 - 1897)の
交響曲第3番ヘ長調 作品90は
1883年、ブラームスが50歳のときに初演された作品です。

音とに若干割れがあるので、
音質を重視する場合は、さけても良いと思いますが、

心に響いてくる熱いブラームスが好みの場合は、
ぜひ聴いておくと良い演奏です。

熱いけれども深くもある、
フルトヴェングラーの長所が感じられる録音だと思います。


3人目。
現代作曲家
ヴォルフガング・フォルトナー(1907 - 1987)の
1946年、フォルトナーが39歳のときに、
今回と同じ、タシュナーの独奏によって初演され、
タシュナーに献呈された作品です。

これが一番良い音で録れており、
共感に満ちた優れた演奏が繰り広げられていると思います。

ただし、私にはよくわからない、魅力の感じられない曲でした。
戦後の騒然とした時代でのみ、受け入れられた曲のような気がします。


全体として、
2曲目のブラームスについてのみ、
私には価値のある1枚でした。



※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
 仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照しました。
 【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】

※作品については、Wikipediaの
 「シューマン」「マンフレッド(シューマン)」
 「ブラームス」「交響曲第3番(ブラームス)」
 「ヴォルフガング・フォルトナー」の各項目を参照しました。


※フォルトナーのヴァイオリン協奏曲については、
HMVのHP上のCDレヴューも参照しました。
【http://www.hmv.co.jp/artist_Beethoven-Fortner_000000000199110】


2012年7月5日木曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その4

Audite から復刻された
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
(1886-1/25生 1954-11/30没)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集
4枚目を聴きました。


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS
1) ブルックナー:交響曲第8番ハ短調WAB108

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1949年3月15日
ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD4


CD4枚目には、
1949年3月13・14・15日に行われた
ベルリン・フィルの演奏会から、
最終日(15日)の演奏が収録されています。

演奏されたのはブラ8のみ1曲です。


ヨーゼフ・アントン・ブルックナー
(1824年9月生 1896年10月没)の交響曲第8番は、

ブルックナーが68歳のとき、
1892年12月に初演された交響曲です。

曲自体は5年前の1887年夏に、
第1稿がいったん完成していたものの、
演奏を拒否されたため、全面改訂が施され、
1890年に第2稿が完成しました。


楽譜の出版は、
初演と同年、1892年に行われておりますが、

これは第2稿によりつつ、
ブルックナーの弟子シャルクが勝手に改訂を加えた
「改訂版」であったため、

あらためて1939年に、
ハースが校訂した第2稿の「原典版」が出版されました。


詳しくは調べておりませんが、
フルトヴェングラーは「改訂版」も適宜参照しながら、
「原典版」で演奏しているそうです。

(宇野功芳『フルトヴェングラーの全名演名盤』
講談社+α文庫、269頁参照)


さらにこの後1955年には、
ノヴァークが校訂した第2稿の楽譜が出版され、

1972年には、
ノヴァークが校訂した第1稿の楽譜も出版されておりますが、

この演奏会が行われたのは1949年ですから、
ノヴァーク版はまだ見られなかったことになります。


さて演奏ですが、意外に良かったです。

意外にというのは、
これまでブルックナーは、フルトヴェングラーの
指揮スタイルとは相容れないような印象があって、

まったく聴いて来なかったからですが、
聴いてみると、意外に良くて驚きました。


ところどころ、
曲想に合わせてテンポを急変させるのが、
かえってスケールを小さくさせていて、

その点は短所だと思いますが、

オケの響きそのものは、ブルックナー独特の、
身を任せたくなるような心地良さ、奥深さがあって、

かなり面白く、全体を聴き通すことができました。


私にとっては、間延びした感のある
クレンペラーやチェリビダッケよりは
遥かに好きな演奏です。

一気呵成に、勢いで聴かせるところのある、
マタチッチよりも好きかもしれません。


スタイルとしては、
小林研一郎&チェコ・フィルの演奏に似たものを感じましたが、
チェコ・フィルの演奏のほうが、オケの響きは「軽め」です。


もう十年くらい長生きしていたら、
ベートーヴェンの「田園」で成し遂げたように、

テンポをほとんど動かさないで、
オケの響きの変化だけで全体を感動的に聴かせてしまう、
奇跡的なブルックナーを聴かせてくれたのではないか、
と想像するのも一興です。


最後に、
そうした感想を抱けたのは、
録音がたいへんすばらしかったからです。

適度な残響も聴き取れる、
モノラルの最上レベルの音質なので、
下手なステレオより心地良く聴くことが出来ました。


では次に進みましょう。


※曲の成立年代、版の問題については、
Wikipedia 「交響曲第8番(ブルックナー)」の項目を参照しました。 


※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照しました。
【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】


2012年6月28日木曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その3

Audite から復刻された
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
(1886-1/25生 1954-11/30没)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集
3枚目を聴きました。


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS
1) シューベルト:交響曲第8番ロ短調 D759
2) ブラームス : 交響曲第4番ホ短調 作品98

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1948年10月24日
ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD3


CD3枚目には、

1948年10月24・25・26日に行われた
ベルリン・フィルの演奏会から、
初日(24日)の演奏が収録されています。

この日に演奏されたのは、
 1) バッハ:管弦楽組曲第2番
 2) シューベルト:交響曲第8番「未完成」
 3) ブラームス:交響曲第4番
の3曲であり、

バッハは【CD2】の方に収録されています。


演奏の内容ですが、

1曲目の「未完成交響曲」は、
残念ながら録音が今ひとつで、

何となくぼやけた感じの、
輪郭がはっきりしない音質だったので、

特別なんということもなく、
聴き終えておりました。

私には今一つの出来でした。


この日の演奏会、
曲ごとに録音の仕方を変えていたのか、
もしくは曲ごとに何も調整を行わなかったからなのか、

3曲とも、異なった感じのする録音で、

バッハ>ブラームス>シューベルト

の順で聴きやすかったです。


さて2曲目のブラ4ですが、
こちらは荒々しさの目立つ録音で、
決して聴きやすくはないのですが、

荒々しい分、かえって
フルトヴェングラーのやろうとしていることは
よく伝わってきて、十分楽しめました。

方向性としては、
品格を失わない範囲で、
とびきり熱いブラ4だと思います。


本来はもう少し、
枯れた味わいの中に熱さもある、
円熟味で聴かせる曲だと思いますが、

表現が徹底しているからか、
不思議と説得力のある演奏で、
思わず引き込まれておりました。


今のコンサートで、指揮者が
無理やりこのような棒を振ったとしても、
オケからこれだけ熱い音は引き出せないと思います。

フルトヴェングラーという指揮者の凄みを知る上で、
よい録音だと思いました。



※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照しました。
【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】

2012年6月17日日曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その2

Audite から復刻された
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
(1886-1/25生 1954-11/30没)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集
2枚目を聴きました。

音質もよく、新鮮な感動のもと、
作品の魅力を存分に味わうことができました。


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS
1) メンデルスゾーン:劇音楽「真夏の夜の夢」序曲 作品21
2) ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
 ※ユーディー・メニューイン(ヴァイオリン)
3) バッハ:管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1947年9月28日(1・2)、1948年10月24日(3)
ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD2


CD2枚目には3曲収録されています。

第1・2曲目には、
1947年9月28・29日に行われた
ベルリン・フィルの演奏会から、
初日(28日)の演奏で、

メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」序曲と、
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
(独奏、メニューイン)

が収録されています。

フルトヴェングラー61歳、
メニューイン(1916 - 1999)31歳のときの演奏です。

この演奏会では、後半にもう1曲、
ベートーヴェンの交響曲第7番が取り上げられていますが、
この録音集には未収録です。


第3曲目には、
1948年10月24・25・26日に行われた
ベルリン・フィルの演奏会から、
初日(24日)の演奏で、

バッハの管弦楽組曲第3番

が収録されています。

フルトヴェングラー62歳のときの演奏です。

この演奏会では、このあと
シューベルトの未完成交響曲と、
ブラームスの交響曲第4番が取り上げられており、
この録音集の【CD3】にすべて収録されています。


さて内容です。

第1曲目。
メンデルスゾーン(1809 - 1847)の
「真夏の夜の夢」序曲は1826年、
メンデルスゾーン17歳のときの作品です。

ふわりとした軽めの印象で、
さらさら流れていくだけの演奏が多く、
これまでそれほど魅力を感じて来なかったのですが、

今回の演奏を聴いて、
はじめて曲の魅力がわかったように思います。

録音はそれほど鮮明ではありませんが、
軽すぎず、しかし重々しすぎず、
聴いていてちょうど良い塩梅で心に響いていくる演奏で、
確かによくできた名曲であると
実感することができました。


第2曲目。
ベートーヴェン(1770 - 1827)の
ヴァイオリン協奏曲は1806年、
ベートーヴェンが37歳のときの作品です。

交響曲でいえば、
第3番(1805)と第4番(1807)の間、
に位置する作品です。

フルトヴェングラーの指揮する、
深々としたオーケストラの響きに、
繊細ながらもしっかりと心に届いてくる、
明るく軽やかなヴァイオリンの音色が絶妙に絡みあって、

曲の魅力を十分に引き出した、
優れた演奏になっていると思います。

メニューインの演奏は、
わりと早くから技術的な問題が目立ち、
どれも今一歩の感があったのですが、

協奏曲ではほぼ初めて、
十分に満足のいく演奏に出会えました。


第3曲目。
バッハ(1685 - 1750)の管弦楽組曲第3番です。
有名な「G線上のアリア」を含む組曲です。

大オーケストラの分厚い響きは、
バッハの音楽をほどよく響かせるのには、
不似合いなところがありますので、

今ではもうほとんど聴かれなくなったタイプの演奏です。


しかし、これはすごい。

これほど、心を感じさせる演奏は、
初めて聴きました。

軽めの抜け切った響きの中に、
心のこもった静かで暖かな音楽が、
私の中に流れ込んできました。

特に「エア」は絶品です。
祈りの心に満たされたバッハは、
やはりいいものです。


※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照しました。
【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】


2012年5月20日日曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その1


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS

ベートーヴェン
交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」
交響曲第5番ハ短調 作品67

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1947年5月25日、ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD1

CD1枚目には、

1947年5月25・26・27日に行われた
ベルリン・フィルとのいわゆる歴史的復帰演奏会から、
初日(25日)の演奏が収録されています。

3日間の演奏会のうち、
1日目の「田園」「運命」と、
3日目の「運命」の録音が発売されているようです。

ベスト演奏として良く知られる3日目の「運命」は、
この録音集には収録されていません。

ただ1日目の演奏も、
基本的なスタンスに変わりわなく、
めったにない熱さを感じさせる演奏がくり広げられております。


歴史的な価値のある録音ですが、
残念なのは、音質が今一つであることです。

おそらく元々の録音に問題があるのでしょう、
かなり聴きやすく調整されていますが、

フルトヴェングラーにこだわりのある方でなければ、
あえて選ぶ必要のない音質かもしれません。


とはいえ、「田園」も「運命」も、
一度聴き出すと止まらない独特の面白さがあることも事実です。

どちらも、
今の私はより落ちついた、
どっしりした深みのある演奏のほうが好みですが、

これだけテンポを揺らしながら、
決して空虚な感じがせずに最後まで
感慨をもって聴き通せるのは、
さすがです。

音質からいえば、
「運命」は多少情熱が空回りしているように聴こえ、
「田園」のほうが、貧弱ながら不思議と心にひっかかる、
興味深い演奏でした。


ほぼひと月
聴いておりましたので、
CD2枚目に進みます。



※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照しました。
【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】


2012年4月23日月曜日

フルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集(Audite 2009年)


3年近く前(2009年6月)、ドイツの Audite から、
フルトヴェングラーのボックスセット(CD12枚組)が発売され、
高音質で話題となっていたことは、
恥ずかしながら全く知りませんでした。

昨年末(2011年12月)、
国内盤が分売で発売されたのをきっかけに、
気になって1枚だけ聴いてみたところ、

予想をはるかに上回る優れた音質で、
これまでの自分のフルトヴェングラー像を
塗りかえてしまうほどの衝撃を受けました。

幸いボックスセット(13枚組)の方も
売り切れていなかったので、手に入れて
1枚ずつ聴いていくことにしました。


このセットは、
戦後のベルリンで開催された
フルトヴェングラーのコンサートのうち、
RIAS(アメリカ軍占領地区の放送局)による録音を
集大成したものだそうです。

詳しい歴史的な背景については
まだ勉強しておりません。

確かなことは、
私がこれまで聴いてきた
フルトヴェングラーのCDと比べ、
格段に音がよい、ということです。


フルトヴェングラーのCDには、
もともと同曲異演奏が多いのですが、

最近はリマスタリングの方法によって、
同じ日の録音でも、音質が向上したからといって、
さらにいろいろと出て来るようになりました。

聴く側としては、
音質向上、といわれて買ってみたところ、
ああ騙された、と思わせられることもあって、

段々と、どこから手をつけたら良いのか
わからなくなっておりました。


Audite の鮮明な復刻CDを聴きなおすことで、、
もう一度、フルトヴェングラーと出会ってみようと思います。

彼は一体どんな指揮者だったのでしょうか。

2012年2月2日木曜日

フルトヴェングラー&ウィーンpoの「田園」(1952)

ベートーヴェン
交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
(録音:1952年11月24・25日)

スメタナ
交響詩「モルダウ」
(録音:1951年1月24日)

リスト
交響詩「前奏曲」
(録音:1954年3月3日)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)

場所:ウィーン・ムジークフェラインザール
音源:ブライトクランク白レーベル非売品見本盤

【TKC-336】


フルトヴェングラーさんのCD、
最近あまり聴いていなかったのですが、

オタケンさんから復刻された
ブライトクランクのCDが気になったので、
年末に2枚、購入してみました。

擬似ステレオのCDは、
ずっと前にも購入したことがあったのですが、
そのときはかなり人工的な音質に感じられて、
そのままになっておりました。

今回、
特に驚いたのは「田園」です。
フルトヴェングラーさんの「田園」には、
これまで特に感動した記憶はなかったのですが、

このCDで、印象が全然変わってしまいました。

どちらかといえば、
ゆっくりめのテンポをほとんど揺らさず、
じっくり仕上げていく演奏ですが、

オケそのものが音楽的に、
魅力ある音色で鳴り響くので、
それだけでとても幸福な気持ちになって、
曲の魅力に感動することが出来ました。

テンポを特に揺らさなくても、
これだけ有機的に、
味わいのある音を引き出せるのは、
やはり指揮者の実力なのでしょう。

他の指揮者が解釈を真似しても、
全然つまらなく聴こえる可能性が高いでしょう。

オケの音色で勝負する演奏なだけに、
ブライトクランクの効果も大きいように思われました。

ごくふつうに、
ステレオ録音を聴く感じで楽しめました。

ワルターさんとは
まったく違うやり方ですが、
また一つ、好きな「田園」が増えました。


「モルダウ」は、
熱のこもった有機的な演奏ですが、
他にも色々すぐれた演奏はあるでしょう。


「前奏曲」は、
それほど聴く機会がないので、
何とも言えないのですが、
どんな曲かはわかりました。