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2018年8月26日日曜日

西崎崇子&ヤンドーのモーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集その1(1994年録音)

名古屋生まれ、
香港在住のヴァイオリニスト
西崎崇子(にしざきたかこ, 1944年4月14日- )
の独奏、

ハンガリー出身のピアニスト
イェネ・ヤンドー(Jenő Jandó, 1952年2月- )
の伴奏で、

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756年1月27日-1791年12月5日)
のヴァイオリン・ソナタ集の1枚目を聴きました。


モーツァルト
ヴァイオリン・ソナタ 第28番 ホ短調 K.304
ヴァイオリン・ソナタ 第29番 イ長調 K.305
ヴァイオリン・ソナタ 第30番 ニ長調 K.306
ヴァイオリン・ソナタ 第33番 ヘ長調 K.377

西崎崇子(ヴァイオリン)
イェネ・ヤンドー(ピアノ)

録音:1994年9月26-28日、the ABC Centre in Ultimo, シドニー
【NAXOS 8.553110】1995年11月発売

このCDには、

1778年11月にパリで
「作品1」として出版された
ヴァイオリン・ソナタ集
《マンハイム・ソナタ》(全6曲)の
第4・5・6番目(K.304・305・306)と、

1781年11月にウィーンで
「作品2」として出版された
ヴァイオリン・ソナタ集
《アウエルンハンマー・ソナタ》(全6曲)の
第3曲目(K.377)の計4曲が収録されています。

一番無難な
「旧モーツァルト全集」のヴァイオリン・ソナタの巻
(ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社、1879年刊行)
で付けられた通番とともに、
作品1と作品2の12曲を掲げておきます。

《マンハイム・ソナタ》作品1
 作品1-1 ト長調  K.301(293a)→「第25番」
 作品1-2 変ホ長調K.302(293b)→「第26番」
 作品1-3 ハ長調  K.303(293c)→「第27番」
 作品1-4 ホ短調  K.304(300c)→「第28番」
 作品1-5 イ長調  K.305(293d)→「第29番」
 作品1-6 ニ長調  K.306(300l)→「第30番」

《アウエルンハンマー・ソナタ》作品2
 作品2-1 ヘ長調  K.376(374d)→「第32番」
 作品2-2 ハ長調  K.296      →「第24番」
 作品2-3 ヘ長調  K.377(374e)→「第33番」
 作品2-4 変ロ長調K.378(317d)→「第34番」
 作品2-5 ト長調  K.379(373a)→「第35番」
 作品2-6 変ホ長調K.380(374f)→「第36番」

※海老澤敏・吉田泰輔(監修)『モーツァルト事典』(東京書籍、1991年11月)472-489頁参照。


  ***

Avexから再販された
ブラームスの協奏曲を聴いて、
その充実した内容に驚かされた
西崎崇子氏のヴァイオリン、

元々発売された Naxos にさかのぼって色々聴いてみたところ、
編集の加減か、Avex とは印象の異なるものが多く、

ブラームスすら Naxos の原盤では、
かなり大味な、野暮ったい演奏に聴こえました。

今一つ感動できる録音に出会えない中、

ハンガリーのピアニスト
イェネ・ヤンドーさんのピアノとともに収録した
モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集は、
繰り返し聴きたくなる優れた演奏でした。

 ヤンドーさんのピアノ、
 何でも録音しすぎたためか、
 そこまでの評価を得ているとはいえませんが、

 古典のバッハと、
 お国もののリストが文句なしに素晴らしい。

 ピアノ・ソナタ全集を録音されている
 モーツァルトも、一聴バッハを聴いているような、
 独特の個性を放つ演奏ですが、変になよなよしない、
 強靭な意志の強さを感じさせる、お薦めの演奏です。


押しの強いヤンドーさんのピアノは、
西崎氏のわずかに弱い部分、
オーソドックスすぎて、時に
没個性に聴こえがちなところを補って、
バランスの良い充実したアンサンブルを聴かせています。

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、
いざ聴いてみるとなかなかしっくりするものに出会えないことが多いのですが、

西崎崇子氏の録音は、
くり返し聴きこむに足る、
充実した名演奏だと思います。



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2017年10月16日月曜日

バローグ&ダニュビウス四重奏団のモーツァルト:クラリネット五重奏曲(1991年録音)

NAXOSの旧録音を
AVEXから廉価で再販しているシリーズから、

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756年1月-1791年12月)の
クラリネット五重奏曲 イ長調 K581 と、
クラリネット三重奏曲 変ホ長調 K498 を聴きました。

K.498 はモーツァルト30歳(1786年8月5日)
K.581 は 33歳(1789年9月29日)の時の作品です。


ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
①クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

 ヨージェフ・バローグ(クラリネット)
 ダニュビウス四重奏曲
 録音:1991年9月23-25日、ブラペスト、ユニタリアン教会

②クラリネット三重奏曲 変ホ長調 K.498
 《ケーゲルシュタット・トリオ》

 ベーラ・コヴァーチ(クラリネット)
 イエネ・ヤンドー(ピアノ)
 ジェルジ・コンラート(ヴィオラ)
 録音:1991年9月16日、ブダペスト、ユニタリアン教会
【AVCL-25682】2007年12月発売

①は、
ハンガリー生まれのクラリネット奏者
ヨージェフ・バローグ(József Balogh, 1956年- )と、

1983年にハンガリーで結成された
ダニュビウス四重奏団(Danubius Quartet)による演奏。

②は、
ハンガリー生まれのクラリネット奏者
ベーラ・コヴァーチ(Bela Kovacs, 1937年5月1日- )と、

ハンガリー生まれのピアニスト
イェネー・ヤンドー(Jenő Jandó, 1952年2月1日 - )と、

1846年にハンガリーで結成された
タートライ四重奏団(Tátrai Quartet)のヴィオラ奏者
ジェルジ・コンラート(György Konrád)による演奏です。


  ***

どちらも小さめのホールで聴いているような、
響きそのものを楽しめる美しい録音で、

特別なことをしないオーソドックスなスタイルで、
どんな曲なのかが良くわかるように演奏されていました。


どちらかといえば①の方が、
角の立たない流麗な演奏で、

じっくり聴かないと、
心に入って来にくいところがあるように感じましたが、

さらさら流れていくだけの演奏ではないので、
繰り返し聴き込むうちに魅力が増してきて、
かなり満足できる演奏となりました。


②は①よりはっきりくっきりした
押しの強い演奏で、

本来はもう少し
枯れた感じが必要なようにも思われましたが、

無駄なく曲の内面に切り込んでいるので、
曲本来の魅力を知るためには、
最適な演奏でした。

2015年9月21日月曜日

シュナイダーハンのモーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集 その2

オーストリアのウィーン生まれのヴァイオリニスト
ヴォルフガング・シュナイダーハン(1915.5-2002.5)と、

ドイツのブレーメン生まれのピアニスト、
カール・ゼーマン(1910.5-1983.11)の演奏で、

オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ヴァイオリン・ソナタ集を聴いていきます。

CD4枚中の2枚目を聴きました。
シュナイダーハン38-40歳(1953-55年)の時の録音です。


モーツァルト
ヴァイオリン・ソナタ第30番 ハ長調 K.306
ヴァイオリン・ソナタ第32番 ト長調 K.376
ヴァイオリン・ソナタ第33番 ホ短調 K.377

ヴォルフガング・シュナイダーハン(ヴァイオリン)
カール・ゼーマン(ピアノ)
録音:1954年12月18日、ハノーファー、ベートーヴェン・ザール〔K376〕。
1955年10月7-9日、ウィーン、コンツェルトハウス〔K306&377〕。
【POCG-90178】※1998年12月発売。

シュナイダーハンは
38歳から40歳にかけて(1953.9/1954.12/1955.12)、
モーツァルトのヴァイオリン・ソナタを計13曲録音しました。

旧全集の通番(第1-43番)に従って、
どれを録音したのか整理しておきます。

二重丸◎はこのCDの収録曲です。

「第1番 ハ長調  K.6 〔1762-64〕
 第2番 ニ長調  K.7 〔1763-64〕
 第3番 変ロ長調 K.8 〔1763-64〕
 第4番 ト長調  K.9 〔1764〕
 第5番 変ロ長調 K.10〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第6番 ト長調  K.11〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第7番 イ長調  K.12〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第8番 ヘ長調  K.13〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第9番 ハ長調  K.14〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第10番 変ロ長調 K.15〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第11番 変ホ長調 K.26〔1766〕
 第12番 ト長調  K.27〔1766〕
 第13番 ハ長調  K.28〔1766〕
 第14番 ニ長調  K.29〔1766〕
 第15番 ヘ長調  K.30〔1766〕
 第16番 変ロ長調 K.31〔1766〕

 第17番 ヘ長調  K.55 (K.Anh.C23.01)※偽作
 第18番 ハ長調  K.56 (K.Anh.C23.02)※偽作
 第19番 ヘ長調  K.57 (K.Anh.C23.03)※偽作
 第20番 変ホ長調 K.58 (K.Anh.C23.04)※偽作
 第21番 ハ短調  K.59 (K.Anh.C23.05)※偽作
 第22番 ホ短調  K.60 (K.Anh.C23.06)※偽作
 第23番 イ長調  K.61 (K.Anh.C23.07)※偽作

◯第24番 ハ長調  K296〔1778〕
◯第25番 ト長調  K301 (K<6>.293a)〔1778〕
・第26番 変ホ長調 K302 (K<6>.293b)〔1778〕
・第27番 ハ長調  K303 (K<6>.293c)〔1778〕
◯第28番 ホ短調  K304 (K<6>.300c)〔1778〕
◯第29番 イ長調  K305 (K<6>.293d)〔1778〕
◎第30番 ニ長調  K306 (K<6>.300l)〔1778〕
 第31番 変ロ長調 K372〔1781〕※未完
◎第32番 ヘ長調  K376 (K<6>.374d) 〔1781〕
◎第33番 ヘ長調  K377 (K<6>.374e)〔1781〕
◯第34番 変ロ長調 K378 (K<6>.317d)〔c.1779-81〕
◯第35番 ト長調  K379 (K<6>.373a)〔c.1781〕
◯第36番 変ホ長調 K380 (K<6>.374f)〔1781〕
 第37番 イ長調  K402 (K<6>.385e)〔1782〕※未完
 第38番 ハ長調  K403 (K<6>.385c)〔1782〕※未完
 第39番 ハ長調  K404 (K<6>.385d)〔c.1782 or c.1788〕※未完
◯第40番 変ロ長調 K454〔1784〕
◯第41番 変ホ長調 K481〔1785〕
◯第42番 イ長調  K526〔1787〕
・第43番 ヘ長調  K547〔1788〕 」

偽作の7曲(第17-23番)を境にして、
おもに後半の作品を録音しています。

未完の作品はのぞかれていますが、
完成された作品も第26・27・43番の3曲は録音されていません。

これ以前の23曲は、
偽作の7曲(第17-23番)はもちろん、

それ以前の16曲も、
モーツァルト10歳までに書かれた初期の作品なので、

ヴァイオリン・ソナタの選集を
録音する場合でも録音されないことが多いです。

  ***

ヴァイオリン・ソナタの
◎第30番 ニ長調  K306
は作曲者22歳の時(1778.11)、
◎第32番 ヘ長調  K376
◎第33番 ヘ長調  K377
は作曲者25歳の時(1781.11)に出版されています。

30番と32番の間に
 第31番 変ロ長調 K372 ※未完
がありますが、
これは25歳の時(1781.3)に、
初めのアレグロ楽章の途中まで作曲された未完の作品です。
1楽章も完成されていないので、
ふつうは演奏されません。

第30番は、
1778年11月にパリで作品1として出版された
「パリ・ソナタ」6曲(第25-30番)のうちの1曲です。

◯第25番 ト長調  K301
・第26番 変ホ長調 K302
・第27番 ハ長調  K303
◯第28番 ホ短調  K304
◯第29番 イ長調  K305
◎第30番 ニ長調  K306

第32・33番は、
1781年11月にウィーンで作品2として出版された
「アウエルンハンマー・ソナタ」6曲(第24番・第32-36番)のうちの2曲です。

◎第32番 ヘ長調  K376
○第24番 ハ長調  K296
◎第33番 ヘ長調  K377
◯第34番 変ロ長調 K378
◯第35番 ト長調  K379
◯第36番 変ホ長調 K380

  ***

これもまた、
1枚目と曲想に大きな違いはなく、

明るく清楚で、
心浮き立つ楽しい瞬間をちりばめた
モーツァルトを聴く醍醐味を満喫できる
ひと時を過ごすことができました。

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、
聴いていても退屈に感じられる録音が多く、
あまり聴き込んで来なかったのですが、

初めて満足できる録音に出会えましたので、
シュナイダーハンの演奏でしばらく聴き込んでみようと思います。


シュナイダーハンさんの若いころの演奏は、

ほどよく共鳴した時の
ヴァイオリンの響きが耳に心地良く、

音色を聴くだけで笑みがこぼれて来るのが特徴的です。

美音といっても、
オイストラフのような野太い感じではなく、
節度をわきまえた範囲での清楚な美しさ。

どちらかと言えば、
クライスラーのような趣きですが、

そこまで甘々ではなく、
技巧的にも申し分ないレベルなので、

モーツァルトにはもってこいの演奏家だと思いました。

それでは3枚目に進みましょう。


※Wikipediaの「ヴォルフガング・シュナイダーハン」「カール・ゼーマン」「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」「モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ」を参照。

2015年6月1日月曜日

シュナイダーハンのモーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集 その1

オーストリアのウィーン生まれのヴァイオリニスト
ヴォルフガング・シュナイダーハン(1915.5-2002.5)と、

ドイツのブレーメン生まれのピアニスト、
カール・ゼーマン(1910.5-1983.11)の演奏で、

オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ヴァイオリン・ソナタ集を聴いています。

CD4枚中の1枚目を聴いていきます。
シュナイダーハン38-40歳(1953-55年)の時の録音です。


モーツァルト
ヴァイオリン・ソナタ第24番 ハ長調 K.296
ヴァイオリン・ソナタ第25番 ト長調 K.301
ヴァイオリン・ソナタ第28番 ホ短調 K.304
ヴァイオリン・ソナタ第29番 イ長調 K.305

ヴォルフガング・シュナイダーハン(ヴァイオリン)
カール・ゼーマン(ピアノ)

録音:1954年12月17日、ハノーファー、ベートーヴェン・ザール〔K296〕。
1955年10月6日、ウィーン、コンツェルトハウス〔K301&305〕。
1953年9月19日、ウィーン、コンツェルトハウス〔K304〕。
【POCG-90177】

シュナイダーハンは
38歳から40歳にかけて(1953.9/1954.12/1955.12)、
モーツァルトのヴァイオリン・ソナタを計13曲録音しました。

旧全集の通番(第1-43番)に従って、
どれを録音したのか整理しておきます。

二重丸◎はこのCDの収録曲です。

「第1番 ハ長調  K.6 〔1762-64〕
 第2番 ニ長調  K.7 〔1763-64〕
 第3番 変ロ長調 K.8 〔1763-64〕
 第4番 ト長調  K.9 〔1764〕
 第5番 変ロ長調 K.10〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第6番 ト長調  K.11〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第7番 イ長調  K.12〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第8番 ヘ長調  K.13〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第9番 ハ長調  K.14〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第10番 変ロ長調 K.15〔1764〕※新全集⇒ピアノ3重奏曲
 第11番 変ホ長調 K.26〔1766〕
 第12番 ト長調  K.27〔1766〕
 第13番 ハ長調  K.28〔1766〕
 第14番 ニ長調  K.29〔1766〕
 第15番 ヘ長調  K.30〔1766〕
 第16番 変ロ長調 K.31〔1766〕

 第17番 ヘ長調  K.55 (K.Anh.C23.01)※偽作
 第18番 ハ長調  K.56 (K.Anh.C23.02)※偽作
 第19番 ヘ長調  K.57 (K.Anh.C23.03)※偽作
 第20番 変ホ長調 K.58 (K.Anh.C23.04)※偽作
 第21番 ハ短調  K.59 (K.Anh.C23.05)※偽作
 第22番 ホ短調  K.60 (K.Anh.C23.06)※偽作
 第23番 イ長調  K.61 (K.Anh.C23.07)※偽作

◎第24番 ハ長調  K296〔1778〕
◎第25番 ト長調  K301 (K<6>.293a)〔1778〕
・第26番 変ホ長調 K302 (K<6>.293b)〔1778〕
・第27番 ハ長調  K303 (K<6>.293c)〔1778〕
◎第28番 ホ短調  K304 (K<6>.300c)〔1778〕
◎第29番 イ長調  K305 (K<6>.293d)〔1778〕
◯第30番 ニ長調  K306 (K<6>.300l)〔1778〕
 第31番 変ロ長調 K372〔1781〕※未完
◯第32番 ヘ長調  K376 (K<6>.374d) 〔1781〕
◯第33番 ヘ長調  K377 (K<6>.374e)〔1781〕
◯第34番 変ロ長調 K378 (K<6>.317d)〔c.1779-81〕
◯第35番 ト長調  K379 (K<6>.373a)〔c.1781〕
◯第36番 変ホ長調 K380 (K<6>.374f)〔1781〕
 第37番 イ長調  K402 (K<6>.385e)〔1782〕※未完
 第38番 ハ長調  K403 (K<6>.385c)〔1782〕※未完
 第39番 ハ長調  K404 (K<6>.385d)〔c.1782 or c.1788〕※未完
◯第40番 変ロ長調 K454〔1784〕
◯第41番 変ホ長調 K481〔1785〕
◯第42番 イ長調  K526〔1787〕
・第43番 ヘ長調  K547〔1788〕 」


偽作の7曲(第17-23番)を境にして、
後半の作品中、未完成の作品をのぞいて録音していますが、

第26・27・43番の3曲は、
完成品であるにもかかわらず録音されていません。

この3曲を外した理由はよくわかりませんが、

録音日をみると、
年に1回数曲ずつ録音するのを
3回繰り返して計13曲収録しているので、

もしかしたら残りの3曲も、
翌年あたりに録音する計画があったのかもしれません。

これ以前の23曲は、
偽作の7曲(第17-23番)はもちろん、

それ以前の16曲も、
モーツァルト10歳までに書かれた初期の作品なので、

ヴァイオリン・ソナタを
選集として録音する場合には
収録されないことが多いです。


  ***

ヴァイオリン・ソナタの

 第24番 ハ長調 K.296
 第25番 ト長調 K.301 (K<6>.293a)
 第28番 ホ短調 K.304 (K<6>.300c)
 第29番 イ長調 K.305 (K<6>.293d)

は作曲者22歳の時(1778)に作曲されました。

第25-30番の6曲は、
同年(1778)11月にパリで作品1として出版されたので、
「パリ・ソナタ」とも呼ばれています。

◎第25番 ト長調  K301 (K<6>.293a)
・第26番 変ホ長調 K302 (K<6>.293b)
・第27番 ハ長調  K303 (K<6>.293c)
◎第28番 ホ短調  K304 (K<6>.300c)
◎第29番 イ長調  K305 (K<6>.293d)
◯第30番 ニ長調  K306 (K<6>.300l)

の6曲です。

第28番のホ短調を含めて、
それほど深さを感じる曲ではありませんが、

BGMとして聴き流すには惜しい、
軽やかな美しさに包まれた名曲揃いです。


  ***

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、

これまで納得できる演奏に出会えずに、
曲の真価についてわからぬまま生きて来ました。

それほどいろいろ聴いて来たわけでもありませんが、

グリュミオー&ハスキル盤は、
良い演奏のはずなのですが、
音質に難がありました。

グリュミオー&クリーン盤は、
旧盤に比べて数段劣りました。

オイストラフ&パドゥラ=スコダ盤、
パールマン&バレンボイム盤、
ムター&オーキス盤は、
様式的に多少無理がありました。

これこそはと思った
シェリング&ヘブラー盤も、
あんまり楽しそうでない生真面目な演奏が続いて、
すぐに退屈していました。

西崎たか子&ヤンドー盤、
前橋汀子&エッシェンバッハ盤は、
ヴァイオリンの鳴り方に癖があり、
リズムの切れにも難がありました。


シュナイダーハンの演奏は
初めて聴きますが、

どこまでも美しい音色と
軽やかなリズム感に支えられた
明るく伸びのある演奏でした。

ほとんど初めて、
モーツァルトのヴァイオリン・ソナタを、

まったく飽きることなく楽しみながら、
全体を聴き通すことができました。

シュナイダーハンの演奏、
これまでも聴いてきたはずなのですが、

こんなに音色の美しい方だとは気がつきませんでした。

どうやら50年代から60年代にかけて、
演奏スタイルを若干変えているようで、

個人的には、
50年代のモノラル期の録音の方が、
60年代のステレオ期の録音よりも、
圧倒的に美しいと思いました。

60年代の録音は、
技術的な衰えを精神性を前に出すことで補おうとして、
失敗しているように感じました。

もともと精神的な面を
強く押し出すタイプの演奏家ではないので、
50年代の清楚でひたすら美しい演奏にこそ、
シュナイダーハンの真価は現れているように思いました。

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタで、
しばらく聴き込んでいきたい演奏に出会えました。


※Wikipediaの「ヴォルフガング・シュナイダーハン」「カール・ゼーマン」「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」「モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ」を参照。

2015年5月11日月曜日

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタの楽譜

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、
これまで理想の演奏に出会ってこなかったのですが、
最近これはと思える演奏に出会えました。

そこでいざ聴こうと思ったのですが、
第43番まであるはずなのに、

前半を聴く機会はほとんどなくて、
全体像を知らないことに気がつきました。

そこで今回は、
オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
(1756.1-1791.12)の
ヴァイオリン・ソナタについて、

自分に必要な範囲で整理しておきます。


  ***

まず、
モーツァルトの作品分類に用いられる
ケッヘル番号(K.◯◯)とは、

オーストリア生まれの学者
ルートヴィヒ・フォン・ケッヘル(1800.1-1877.6)が編纂した
「モーツァルト全作品年代順主題目録」にもとづく分類番号で、
初版は1862年に刊行されました。

初版の刊行後も改訂が続けられ、
第6版(1964)で大きな改訂が行われたため、

初版の番号とともに、
第6版の番号を併記することが多いです。


  ***

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタに
ふつう付されている通番(第1-43番)は、

1877年から1883年にかけて
ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から刊行された
旧モーツァルト全集にもとづく分類番号です。

ヴァイオリン・ソナタの巻は、
1879年に刊行された

「第18篇
 ピアノ・フォルテとヴァイオリンのためのソナタと変奏曲
 第1・2巻」

に収録されました。
第1巻には、
 第1番 ハ長調  K.6 〔1762-64〕
 第2番 ニ長調  K.7 〔1763-64〕
 第3番 変ロ長調 K.8 〔1763-64〕 
 第4番 ト長調  K.9 〔1764〕
 第5番 変ロ長調 K.10〔1764〕 
 第6番 ト長調  K.11〔1764〕 
 第7番 イ長調  K.12〔1764〕 
 第8番 ヘ長調  K.13〔1764〕 
 第9番 ハ長調  K.14〔1764〕 
 第10番 変ロ長調 K.15〔1764〕
 第11番 変ホ長調 K.26〔1766〕 
 第12番 ト長調  K.27〔1766〕 
 第13番 ハ長調  K.28〔1766〕 
 第14番 ニ長調  K.29〔1766〕 
 第15番 ヘ長調  K.30〔1766〕 
 第16番 変ロ長調 K.31〔1766〕
 第17番 ヘ長調  K.55 (K.Anh.C23.01)※偽作
 第18番 ハ長調  K.56 (K.Anh.C23.02)※偽作
 第19番 ヘ長調  K.57 (K.Anh.C23.03)※偽作
 第20番 変ホ長調 K.58 (K.Anh.C23.04)※偽作
 第21番 ハ短調  K.59 (K.Anh.C23.05)※偽作
 第22番 ホ短調  K.60 (K.Anh.C23.06)※偽作
 第23番 イ長調  K.61 (K.Anh.C23.07)※偽作

のソナタ23曲(第1-23番)が収められ、
第2巻には、
 第24番 ハ長調  K296〔1778〕
 第25番 ト長調  K301 (K<6>.293a)〔1778〕 
 第26番 変ホ長調 K302 (K<6>.293b)〔1778〕 
 第27番 ハ長調  K303 (K<6>.293c)〔1778〕
 第28番 ホ短調  K304 (K<6>.300c)〔1778〕 
 第29番 イ長調  K305 (K<6>.293d)〔1778〕 
 第30番 ニ長調  K306 (K<6>.300l)〔1778〕
 第31番 変ロ長調 K372〔1781〕※未完
 第32番 ヘ長調  K376 (K<6>.374d) 〔1781〕 
 第33番 ヘ長調  K377 (K<6>.374e)〔1781〕 
 第34番 変ロ長調 K378 (K<6>.317d)〔c.1779-81〕 
 第35番 ト長調  K379 (K<6>.373a)〔c.1781〕 
 第36番 変ホ長調 K380 (K<6>.374f)〔1781〕
 第37番 イ長調  K402 (K<6>.385e)〔1782〕※未完
 第38番 ハ長調  K403 (K<6>.385c)〔1782〕※未完
 第39番 ハ長調  K404 (K<6>.385d)〔c.1782 or c.1788〕※未完 
 第40番 変ロ長調 K454〔1784〕  
 第41番 変ホ長調 K481〔1785〕  
 第42番 イ長調  K526〔1787〕  
 第43番 ヘ長調  K547〔1788〕 
 《羊飼いの娘セリメーヌ》の主題による
 12の変奏曲 ト長調 K.359(K6.374a)〔1781〕 
 《ああ、私は恋人をなくした》の主題による
 6つの変奏曲 ト短調 K.360(K6.374b)〔1782〕 

のソナタ20曲(第24-43番)と変奏曲2曲が収められました。


  ***

この旧全集版(ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社)は、

偽作であることがほぼ断定された
第17-23番を除いたかたちで、

ニューヨークのドーヴァー出版から復刻されています。


Wolfgang Amadeus Mozart,
Complete Sonatas and Variations for Violin and Piano, Series I,
Dover Publications, New York, 1992
 第1番 ハ長調  K.6 〔1762-64〕
 第2番 ニ長調  K.7 〔1763-64〕
 第3番 変ロ長調 K.8 〔1763-64〕
 第4番 ト長調  K.9 〔1764〕
 第5番 変ロ長調 K.10〔1764〕
 第6番 ト長調  K.11〔1764〕
 第7番 イ長調  K.12〔1764〕
 第8番 ヘ長調  K.13〔1764〕
 第9番 ハ長調  K.14〔1764〕
 第10番 変ロ長調 K.15〔1764〕
 第11番 変ホ長調 K.26〔1766〕
 第12番 ト長調  K.27〔1766〕
 第13番 ハ長調  K.28〔1766〕
 第14番 ニ長調  K.29〔1766〕
 第15番 ヘ長調  K.30〔1766〕
 第16番 変ロ長調 K.31〔1766〕

 第24番 ハ長調  K296〔1778〕
 第25番 ト長調  K301 (K<6>.293a)〔1778〕
 第26番 変ホ長調 K302 (K<6>.293b)〔1778〕
 第27番 ハ長調  K303 (K<6>.293c)〔1778〕
 第28番 ホ短調  K304 (K<6>.300c)〔1778〕
 第29番 イ長調  K305 (K<6>.293d)〔1778〕
 第30番 ニ長調  K306 (K<6>.300l)〔1778〕
 第31番 変ロ長調 K372〔1781〕※未完


Wolfgang Amadeus Mozart,
Complete Sonatas and Variations for Violin and Piano, Series II,
Dover Publications, New York, 1992
 第32番 ヘ長調  K376 (K<6>.374d) 〔1781〕
 第33番 ヘ長調  K377 (K<6>.374e)〔1781〕
 第34番 変ロ長調 K378 (K<6>.317d)〔c.1779-81〕
 第35番 ト長調  K379 (K<6>.373a)〔c.1781〕
 第36番 変ホ長調 K380 (K<6>.374f)〔1781〕
 第37番 イ長調  K402 (K<6>.385e)〔1782〕※未完
 第38番 ハ長調  K403 (K<6>.385c)〔1782〕※未完
 第39番 ハ長調  K404 (K<6>.385d)〔c.1782 or c.1788〕※未完
 第40番 変ロ長調 K454〔1784〕
 第41番 変ホ長調 K481〔1785〕
 第42番 イ長調  K526〔1787〕
 第43番 ヘ長調  K547〔1788〕
 《羊飼いの娘セリメーヌ》の主題による
 12の変奏曲 ト長調 K.359(K6.374a)〔1781〕
 《ああ、私は恋人をなくした》の主題による
 6つの変奏曲 ト短調 K.360(K6.374b)〔1782〕


ドーヴァー版では
旧全集の通番は削除されているのですが、
関係がわかりにくくなるのでそのまま残しておきました。

今は高値がついていますが、
古本で2冊でCD1枚分ほどで手に入れました。

運指等はなにも付されていないので、
このまま演奏に使うのは無理があるのですが、

安く手に入るのなら
聴くだけの者にはそれなりに有用な楽譜です。


  ***

1955年から2007年にかけて
国際モーツァルテウム財団が編集し、
ベーレンライター出版社から刊行された
新モーツァルト全集では、

ヴァイオリン・ソナタは、

「第8篇 室内楽(第92・93巻)
 クラーヴィアとヴァイオリンのためのソナタと変奏曲
 第1・2巻」

として1964年に刊行されました(校訂報告は1977年)。

第1巻には、
旧版の第1-4番、11-16番、25-30番、24・34番
の計18曲のソナタが収められました。
【1】第1番 ハ長調  K.6 〔1762-64〕
【2】第2番 ニ長調  K.7 〔1763-64〕
【3】第3番 変ロ長調 K.8 〔1763-64〕
【4】第4番 ト長調  K.9 〔1764〕

【5】第11番 変ホ長調 K.26〔1766〕
【6】第12番 ト長調  K.27〔1766〕
【7】第13番 ハ長調  K.28〔1766〕
【8】第14番 ニ長調  K.29〔1766〕
【9】第15番 ヘ長調  K.30〔1766〕
【10】第16番 変ロ長調 K.31〔1766〕

【11】第25番 ト長調  K301 (K<6>.293a)〔1778〕
【12】第26番 変ホ長調 K302 (K<6>.293b)〔1778〕
【13】第27番 ハ長調  K303 (K<6>.293c)〔1778〕
【14】第28番 ホ短調  K304 (K<6>.300c)〔1778〕
【15】第29番 イ長調  K305 (K<6>.293d)〔1778〕
【16】第30番 ニ長調  K306 (K<6>.300l)〔1778〕
【17】第24番 ハ長調  K296〔1778〕
【18】第34番 変ロ長調 K378 (K<6>.317d)〔c.1779-81〕

第2巻には、
旧版の第35番、32・33・36番、40-43番
の計8曲のソナタと2曲の変奏曲が収められました。
【19】第35番 ト長調  K379 (K<6>.373a)〔c.1781〕
【20】第32番 ヘ長調  K376 (K<6>.374d) 〔1781〕
【21】第33番 ヘ長調  K377 (K<6>.374e)〔1781〕
【22】第36番 変ホ長調 K380 (K<6>.374f)〔1781〕
【23】第40番 変ロ長調 K454〔1784〕
【24】第41番 変ホ長調 K481〔1785〕
【25】第42番 イ長調  K526〔1787〕
【26】第43番 ヘ長調  K547〔1788〕
【27】《羊飼いの娘セリメーヌ》の主題による
    12の変奏曲 ト長調 K.359(K6.374a)〔1781〕
【28】《ああ、私は恋人をなくした》の主題による
    6つの変奏曲 ト短調 K.360(K6.374b)〔1782〕


なお1、2楽章の未完のソナタとして
旧全集では通番が与えられていた
ソナタ第31、37-39番の4曲
 第31番 変ロ長調 K372〔1781〕
 第37番 イ長調  K402 (K<6>.385e)〔1782〕
 第38番 ハ長調  K403 (K<6>.385c)〔1782〕
 第39番 ハ長調  K404 (K<6>.385d)〔c.1782 or c.1788〕

は、新全集の第2巻に付録として収められました。

そのほか、
旧全集のソナタ第5-10番の6曲
 第5番 変ロ長調 K.10〔1764〕
 第6番 ト長調  K.11〔1764〕
 第7番 イ長調  K.12〔1764〕
 第8番 ヘ長調  K.13〔1764〕
 第9番 ハ長調  K.14〔1764〕
 第10番 変ロ長調 K.15〔1764〕

は、新全集では

「第8篇 室内楽(第91巻)クラーヴィア三重奏曲」
 
に分類し直されました。
 
新全集の楽譜は、
すべてインターネット上に公開されています。
「新モーツァルト全集」で検索をかければ、
すぐに見つかります。


  ***
 
新全集をみると、
これでほぼ決定稿と見なせるように思います。

意外に周知されていないように感じるのは、
私が勉強不足なだけかもしれませんが、

著作権などの問題で、
安価に利用しにくいところがあるのかもしれません。


実際に演奏するには
まだ理解が不十分ですが、

聴くだけならまずはこれくらいで良いでしょうか。

2014年10月27日月曜日

ウィーン室内合奏団のモーツァルト:ディヴェルティメント第15番(1992年録音)

オーストリアのザルツブルク生まれの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ディヴェルティメント第15番を、

ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めた
ユーゴスラヴィア生まれのヴァイオリニスト、
ゲルハルト・ヘッツェル(1940.4-1992.7)率いる
ウィーン室内合奏団の演奏で聴きました。


モーツァルト
1) ディヴェルティメント(第15番)変ロ長調 K.287(271H)
  (“第2ロドゥロン・ナハトムジーク”)
2) 音楽の冗談 ヘ長調 K.522

ウィーン室内合奏団
 ゲルハルト・ヘッツェル(第1ヴァイオリン)
 ヨーゼフ・ヘル(第2ヴァイオリン)
 ハット・バイエルレ(ヴィオラ)
 アーダルベルト・スコチッチ(チェロ)
 ヘルベルト・マイヤー(コントラバス)
 フランツ・ゼルナー(ホルン)
 フォルカー・アルトマン(ホルン)

録音:1992年4月4-9日、ウィーン、カジノ・ツェーガーニッツ
【COCO-73010】

ディヴェルティメント 変ロ長調 K.287(281H) は、

20歳の時(1776.6)に
エルンスト・ロドゥロン伯爵夫人の
聖命祝日のために作曲されたことが明らかな作品です。

「第2ロドゥロン・ナハトムジーク」と呼ばれることもあります。

音楽の冗談 K.522 は、
モーツァルト31歳の時(1787.6)に完成された作品です。

(竹内ふみ子氏のCD解説を参照。)


  ***

どちらも初めて聴きました。
「第2ロドゥロン・ナハトムジーク」は、

明るく典雅な雰囲気をたたえた可憐な作品で、

聴けば聴くほど味わいが増す、
よく練られた佳曲でした。

仕事や勉強をしながら聴くのにもってこい、
というと怒られてしまうかもしれませんが、

仕事をしながらくり返し聴くほどに、
よくできた曲であることが伝わってきました。

恐らくほかと聴き比べたほうが、
良さがわかってくると思うので、

ほかの演奏も探して聴いてみようと思います。


ヘッツェルさんのヴァイオリンは、
室内楽のときは絶対に出しゃばろうとしないので、

これだけ聴いていると、
何も自己主張していないようにすら聴こえるのですが、

楽譜を深く読み込んで、

作曲家の意図を
音楽的に再現することにのみ集中している
「我」を排した音楽は、

聴き込むほどに味わい深く、
一つの理想的なかたちを実現していると思いました。


「音楽の冗談」は初めて耳にしました。
これは演奏を云々する以前に、曲が今ひとつ。

数回聴けば十分です。

2014年3月31日月曜日

ウィーン室内合奏団のモーツァルト:ディヴェルティメント第17番&第1番(1991年4-5月録音)

オーストリアのザルツブルク生まれの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ディヴェルティメント第17番と第1番を、

ユーゴスラヴィア生まれのヴァイオリニストで
ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めた
ゲルハルト・ヘッツェル(1940.4-1992.7)率いる
ウィーン室内合奏団の演奏で聴きました。


W.A.モーツァルト
1) ディヴェルティメントニ長調
  行進曲 ニ長調 K.445(K6-320c)
  ディヴェルティメント(第17番)ニ長調 K.334(K6-320b)
2) ディヴェルティメント(第1番)変ホ長調 K.113(初稿)

ウィーン室内合奏団
 ゲルハルト・ヘッツェル(第1ヴァイオリン)
 ヨーゼフ・ヘル(第2ヴァイオリン)
 ハット・バイエルレ(ヴィオラ)
 アーダルベルト・スコチッチ(チェロ)
 ヘルベルト・マイヤー(コントラバス)
 フランツ・ゼルナー(ホルン)
 フォルカー・アルトマン(ホルン)
 ノルベルト・トイブル(クラリネット)*2)
 ヨハン・ヒントラー(クラリネット)*2)

録音:1991年4月29日-5月4日、ウィーン、カジノ・ツェーガーニッツ
【COCO-70441】

 ディヴェルティメント 第1番 変ホ長調 K.113 は、

モーツァルト15歳の時(1771)の作品。

 ディヴェルティメント 第17番 ニ長調 K.334 と、
 行進曲ニ長調 K.445 は、

モーツァルト24歳の時(1780)の作品です(異説あり)。

行進曲K.445は、
ディヴェルティメントK.334への導入曲として
追加で作曲されたもので、一緒に演奏されることが多いそうです。


モーツァルトのディヴェルティメントは、
第1番から第17番までの17曲とするのが普通です。

この時期はちょうど、
交響曲 第12番 ト長調 K.110 から
交響曲 第34番 ハ長調 K.338 まで
が作られた時期に当たるので、

後期の6大交響曲が作曲される前に、
ディヴェルティメントの作曲は終わっていたことになります。

この後、
32歳の時(1788)に作曲された

 弦楽三重奏のためのディヴェルティメント 変ホ長調 K.563

もありますが、こちらはふつう通番で呼ばれることはありません。


  ***

このCD、
モーツァルトのディヴェルティメントだからと言うよりは、

贔屓のヴァイオリニスト、
ゲルハルト・ヘッツェル氏率いる
ウィーン室内合奏団の演奏という理由で手に入れいました。

ヘッツェルが登山事故で亡くなる(1992年7月)1年前の録音です。

同じ時期に、
ディヴェルティメントの第7・10・15番等も録音されているので、
事故がなければ、他にも色々な作品が収録されていたかもしれません。


ヘッツェル氏のヴァイオリン、

出しゃばった所、気負った所がどこにもなく、
楽譜に書かれたことを忠実に再現するスタイルで、

曲の本質をありのままで伝えようとする
誠実な人柄が偲ばれる演奏なので、

刺激的なものを求めると肩透かしにあうかもしれません。


しかし凡庸なわけではなく、
絹のようになめらかな音色で、
自然な流れを失わない範囲で、
切れ味の鋭い、品のある演奏を聴かせてくれます。

繰り返し聴き込んでいきたい名演です。


※梅沢敬一氏によるCD解説を参照。