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2016年1月18日月曜日

広上淳一&日本フィルのレスピーギ:ローマ三部作(1991年録音)

広上淳一(1958.5- )の指揮する
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で、

イタリアの作曲家
オットリーノ・レスピーギ(1879.7-1936.4)の
ローマ三部作を聴きました。

指揮者33歳の時(1991.9)に行われた
「日本フィル定期・正指揮者就任披露」のライブ録音です。


レスピーギ
1) 交響詩《ローマの松》
  第1曲 ボルゲーゼ荘の松
  第2曲 カタコンブ付近の松
  第3曲 ジャニコロの松
  第4曲 アッピア街道の松
2) 交響詩《ローマの噴水》
  第1曲 夜明けのジュリアの谷の噴水
  第2曲 朝のトリトンの噴水
  第3曲 昼のトレヴィの噴水
  第4曲 たそがれのメディチ荘の噴水
3) 交響詩《ローマの祭り》
  第1曲 チェルチェンセス
  第2曲 50年祭
  第3曲 10年祭
  第4曲 主顕祭

広上淳一指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
録音:1991年9月12・13日、サントリー・ホール(東京)
【PCCL-00140】1992年1月発売

作曲順に整理しておきます。

交響詩《ローマの噴水》は、
レスピーギ37歳の時(1917.3)に初演されました。

初演は不評でしたが、翌年(1918.2)行われた
トスカニーニによる再演が成功を収めたことにより、
世に知られるようになりました。

交響詩《ローマの松》は、
作曲者45歳の時(1924.12)に初演されました。
アメリカ初演(1926.1)はトスカニーニによって行われました。

交響詩《ローマの祭り》は、
作曲者49歳の時(1929.2)トスカニーニによって初演されました。


  ***

トスカニーニの後で、
聴き劣りするかなと思いましたが、
そんなことはなく、

広上氏の若き日の記録として、
今聴いても十分説得力のある名演でした。

ライブ録音である分、
トスカニーニの Blu-spec CD2 盤のように、
すべての楽器が分離よく聴こえてくるわけではないのですが、

コンサート・ホールで聴く
自然な響きに近い、耳に心地よい音に仕上がっていて、
ふつうに楽しめました。

彼本来の手に汗握る
激しいリズムでたたみかけてくる
強烈な表現も随所に聴かれて
十分個性的なのですが、

トスカニーニのように力でねじ伏せるところはなく、
音楽の流れがスムーズで、
繊細で叙情的な表現にも優れていて、
大きな感銘を受けました。

24年前に聴いた時は、
ローマ三部作のことをほとんど知らなかったので、
《ローマの祭》の第1・4楽章以外は大きな印象を受けなかったのですが、

トスカニーニ盤で曲の魅力がわかってから聴くと、
十分過ぎる名演であることがよく伝わってきました。

ただ一つ、
最新のエクストンなどで聴かれる鮮明な録音と比べれば、
細部の分離が今一つなところでしょうか。


  ***

広上氏の録音と比べるために、

小澤征爾(1935.9- )が42歳の時(1977.10)に、
ボストン交響楽団と録音したCDを聴いてみました。


ボストン交響楽団
小澤征爾(指揮)
録音:1977年10月
【UCCG-5246】

他と比べなければ、
ふつうに楽しめる演奏だと思います。

金管が際立って上手いのですが、
トスカニーニと広上淳一を聴いた後だと、

録音の加減か弦が少し弱く聴こえ、
ただ音が鳴っているだけに感じられるところもありました。
ご参考までに。

2015年11月23日月曜日

渡邉暁雄&日本フィルのシベリウス:交響曲第1番(1962年録音)

渡邉暁雄(1919.6.5-1990.6)の指揮する
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で、

フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第1番を聴きました。

指揮者42歳の時(1962.5)の録音です。


シベリウス
交響曲第1番 ホ短調 作品39

渡邊暁雄(指揮)
日本フィルハーモニー交響楽団
録音:1962年5月7・8日、東京文化会館
【TWCO-29/32】CD1 ※2012年12月発売


交響曲第1番 ホ短調 作品39 は、
シベリウスが33歳の時(1899.4)に初演されました。

同じ年(1899.11)に、
交響詩《フィンランディア》作品26
も初演されています。

この7年前、
26歳の時(1892.4)に、
クレルヴォ交響曲 作品7
が初演されていますが、
初演後、生前に再演されることはなく、
交響曲として通番が付されることはありませんでした。

第1番の初演後、3年をへて
36歳の時(1902.3)に初演されたのが、
交響曲第2番 ニ長調 作品42
です。


  ***

第1番は、
北欧のほの暗い雰囲気たっぷりの出だしで、
思わず惹きつけられるのですが、

意外にまとめにくいところがあるようで、
しばらく聴いていると間延びした感じになって、
途中で飽きが来てしまうことも多いです。


ベルグルンド&ボーンマス響
の名演を聴いて(1974年録音)、
ようやくこの曲の全体像をつかんだ気でいましたが、

渡邉暁雄&日本フィル
の旧盤を聴いて(1962年録音)、
ベルグルンドを凌ぐ感銘を受けました。

両者ともに、
楽譜への深い共感にもとづいた熱気のある演奏で、
甲乙つけがたい名演だと思いますが、

ベルグルンドのほうが、
コンサート会場で実際に聴くような、
オケ全体をひとまとめに捉えた、
野太い感じの自然な音作りなのに対して、

渡邉暁雄のほうは、
楽譜のすべての音を分離よく捉えられた、
セッション録音独特の音で、
コンサートではまず聴こえないところまで聴こえて来て、
最初のうちは多少の違和感もありました。

しかしいかにも人工的に作り込んでいるわけではなく、

不思議な統一感があって、
シベリウスの頭の中で鳴っていたはずの音が、
すべて有機的につながりをもって聴こえてくる風なので、
有無を言わさない強い説得力がありました。

  ***

ちなみに久しぶりに
渡邊暁雄&日本フィル
の新盤(1981年9月録音)も聞き直してみましたが、


オケの精度によるのか、
慣れないデジタル録音によるのか、

フォルテが耳にうるさく響き、
曲の美しさにひたる以前の問題で、
全曲聴き通すことができませんでした。

旧録音のほうが、
圧倒的に優れていると思います。


なお上に掲げた、
ベルグルンド&ボーンマス響 (1974年9月録音)
は、ぜひ輸入盤【EMI 50999 9 7366 2 5】を。

2012年6月に
日本で再販された盤もありますが、
輸入盤とはほぼ別物の残念な音質なので、
あまり評価できません。


ベルグルンドには12年後の再録音
ベルグルンド&ヘルシンキ・フィル (1986年5月録音)
もあり、そちらのほうが一般には有名ですが、

これも最近(2015年5月)、
日本で再販された盤は残念な音質なので、
選ぶなら輸入盤【EMI 7243 4 76963 2 9】だと思います。



しかしこの輸入盤を聴いても、
万全な演奏ではないように感じます。

前より解釈が深まっているのは明らかなのですが、
その分持ってまわった感じがして、
不思議と心に響いて来ないのです。

細部が今一つ明快に聴こえないところもマイナスです。

リマスター次第のようにも感じるので、
評価は別の機会に置いておきます。

2015年9月14日月曜日

渡邉暁雄&日本フィルのシベリウス:交響曲全集(1962年録音)

渡邉暁雄(1919.6-1990.6)の指揮する
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で、

フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(Jean Sibelius 1865.12-1957.9)の
交響曲全集を聴いていきます。

渡邉暁雄と日本フィルは、
シベリウスの交響曲全集を、
1962年と1981年の2回録音しています。

渡邉氏42-3歳そして62-3歳のときの録音です。
今回聴くのは旧盤(1962)のほうです。

私の渡邉氏に対する印象を、
大きく改めるきっかけになったCDです。

渡邊暁雄&日本フィル
シベリウス交響曲全集(第1回録音)

シベリウス
交響曲第1番 ホ短調 Op.39
〔録音:1962年5月7・8日、東京文化会館〕
交響曲第2番 ニ長調 Op.43
〔録音:1962年、杉並公会堂〕
交響曲第3番 ハ長調 Op.52
〔録音:1962年8月7・8日、東京文化会館〕
交響曲第4番 イ短調 Op.63
〔録音:1962年6月20・21日、東京文化会館〕
交響曲第5番 変ホ長調 Op.82
〔録音:1962年2月18日、文京公会堂〕
交響曲第6番 ニ短調 Op.104
〔録音:1962年、文京公会堂〕
交響曲第7番 ハ長調 Op.105
〔録音:1962年3月7日、杉並公会堂〕

渡邊暁雄(指揮I
日本フィルハーモニー交響楽団
【TWCO-29/32】※2007年5月発売

旧盤より早く、
新盤(1981)のほうを手に入れていたのですが、

新盤はオケのレベルによるのか、
あるいは始まったばかりのデジタル録音で、
録音する側の不慣れなところが影響したのか、

フォルテは暴力的で耳にうるさく、
ピアノも胸に響いてこない、
残響も何もない即物的な録音で、

どれも聴き通すことができませんでした。

リマスターし直せば、
違った印象になる可能性もありますが、

私が所有している盤(2007年発売)についていえば、
歴史的な価値以上のものは見出し難かったです。

初めてシベリウスの全集に挑戦される場合、
新盤(1981)は避けたほうが賢明です。


渡邊暁雄&日本フィル
シベリウス交響曲全集(デジタル再録音盤)

シベリウス
交響曲第1番 ホ短調 Op.39
 〔録音:1981年9月8日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第2番 ニ長調 Op.43
 〔録音:1981年6月25日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第3番 ハ長調 Op.52
 〔録音:1981年6月19日、習志野文化ホール〕
交響曲第4番 イ短調 Op.63
 〔録音:1981年9月9日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第5番 変ホ長調 Op.82
 〔録音:1981年7月2日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響曲第6番 ニ短調 Op.104
 〔録音:1981年6月22日、習志野文化ホール〕
交響曲第7番 ハ長調 Op.105
 〔録音:1981年7月1日、昭和女子大学人見記念講堂〕
交響詩「トゥオネラの白鳥」Op.22-2
 〔録音:1981年9月8日、昭和女子大学人見記念講堂〕
悲しきワルツ Op.44-1
 〔録音:1981年9月9日、昭和女子大学人見記念講堂〕

渡邊暁雄(指揮)
日本フィルハーモニー交響楽団
【COCQ-84283-6】※2007年5月発売

  ***

そもそも渡邉氏のシベリウスは、
京都市交響楽団とのセッション録音を聴いたのが初めてでした。

シベリウス
劇付随音楽「テンペスト」第1組曲 Op.109
交響曲第2番ニ長調Op.43

渡邉暁雄(指揮)
京都市交響楽団
録音:1972年4月、奈良県文化会館
【TOCE-6321】1990年9月発売

《テンペスト》は全くピンと来なかったのですが、
第2番はそれなりに好感のもてる誠実で丁寧な演奏でした。

とはいえ
セッション録音ゆえか生き生きとした情感には乏しく、
職人的に淡々と仕事をこなしているようにも聴こえました。


その後、
ヘルシンキ・フィルとのライブ録音を聴きました。

シベリウス
交響曲第1番ホ短調Op.39
悲しきワルツOp.44

渡邉暁雄(指揮)
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1982年1月28日、福岡サンパレス
【TDK-OC012】2003年4月発売

各誌絶賛だったのでかなり期待していたのですが、

ライブならではのキズは仕方ないにしても、
何より解釈面でお互いに手探り状態のまま演奏に臨み、
不完全燃焼なまま終わってしまったように感じました。

こちらの演奏が今ひとつだったので、
同時に発売された第4・7番のCDはまだ聴いていません。

初めてシベリウスを聴くのであれば、
それなりに満足できる演奏だとは思うのですが、

渡邉氏のベスト演奏だとはとても言えないと思いました。


それから、
東京都響とのライブ録音も聴きました。


シベリウス
交響曲第1番ホ短調Op.39
交響曲第2番ニ長調Op.43

渡邉暁雄(指揮)
東京都交響楽団
録音:1972年4月28日(第1番)、1973年4月17日(第2番)、東京文化会館
【TFMC-0010/11】2004年7月発売

こちらも、
当時の日本のオケの水準を知る上では有用な演奏で、

同曲のライブを聴きに行って、
これくらいの演奏が聴ければふつうに満足できるレベルではあるのですが、

ほかの名演をさしおいて、
このCDを選びたいかといえば、
それほど特別な魅力は感じませんでした。


 ***

ここまで聴いてきた上で、
先の日本フィルとの新全集(1981)で、
耳にうるさく響く残念なCDを聴いてしまったので、

渡邉暁雄氏のシベリウスについて、
あまり肯定的な印象は持っていませんでした。


そんな私の、
渡邉氏に対するマイナス・イメージを
一気に覆させてくれたのが、

日本フィルとの旧全集(1961)でした。

40代の渡邉氏が、
まさかこれほど覇気にあふれた
熱い演奏を聴かせていたとは思いもよりませんでした。

シベリウスの楽譜への深い読みと、
壮年期の渡辺氏による核心に満ちた解釈で、
ぐいぐいと惹き込まれる魅力のある演奏が繰り広げられていました。

驚かされるのは、
ライブでもなかなか聴けないほどの
「熱さ」が伝わって来ることで、

セッション録音で、
どんな魔法を使ったのかしらと大いに感心させられました。

分裂前の日本フィルの実力も相当なものです。

日本で、音響設備の整った
最新のホールができる前の録音なので

最新の優れた音響のCDに比べれば、
響きに若干の弱さがあることは否めないのですが、

どんな強奏でも無機的に響かず、
意味のある音楽として心に伝わって来るのはなかなかないことです。

シベリウスの交響曲を聴いて、
初めてに近い、新鮮な感動を味わうことができました。

タイプが似ているのは、
ベルグルンド&ボーンマス響
の録音(1975-75)でしょうか。

ベルグルンドの第1回目の全集は、
のちの全集よりも若々しい生命力にあふれた演奏となっていますが、

これをさらに迫力一杯にした感じで、
全然負けていません。

渡邉氏の旧全集は、
初めてシベリウスの全集を聴く方にも、
安心してお薦めできる名盤だと思います。


※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「日本フィルハーモニー交響楽団」を参照。


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2012年8月18日土曜日

広上淳一指揮&日本フィルの伊福部昭の芸術3


伊福部昭の芸術3
舞 ― 伊福部昭 舞踏音楽の世界

1) 舞踏音楽「サロメ」(1948/87)
2) 兵士の序楽(1944)

広上淳一指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
録音:1995年8月22-24日、29-31日、9月1日
東京、セシオン杉並ホール
【KICC177】

広上淳一さんの指揮する
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏による

伊福部昭(大正3年〔1914〕生 平成18年〔2006〕没)の
シリーズ3枚目は、

舞踏音楽「サロメ」と、兵士の序楽の2曲です。


舞踏音楽「サロメ」は、昭和23年(1948)、
伊福部さんが33歳のときに作曲、初演された作品です。

これはオスカー・ワイルド(1854生 1900没)の
原作『サロメ』(出版 1891)にもとづくバレエ曲です。

もともとバレエ用の音楽ですが、
40年近くを経た昭和62年(1987)、73歳のときに、
コンサート用に改作されたものが
決定稿となりました。


発売時に聴いたときは、
知らない曲だったため、
何だかよくわからなかったのですが、

今回聴き直してみると、
ストラヴィンスキーのバレエ音楽のような感覚で、
わくわくしながら楽しむことができました。

伊福部さんの独特の親しみやすさもあって、
個人的にはストラヴィンスキーより好きです。


セッション録音なので、
コンサートのライブ録音のような
すごい熱気は感じられませんが、

決して冷徹なわけでもなく、
スコアに忠実に、音楽的に鳴らすことを
心がけているようで、

熱狂の渦に巻き込まれなくとも、
十分に名曲であることを証明してくれていると思いました。


「兵士の序楽」は、昭和19年(1944)、
伊福部さんが30歳のときに、陸軍の委嘱によって
作曲された放送用の作品です。

初演については、恐らく同年、
日本交響楽団によって行われたらしいものの、
確かな記録はないそうです。

その後、このときの録音まで、
一度も演奏されることはなかったそうです。


特にどこかに山があるわけでもないので、
演奏会などで取り上げるのは難しいかもしれませんが、

戦争中の明るくはない雰囲気を伝える、
音楽的な作品に仕上がっていると思います。


それでは、次は4枚目へと進みましょう。

2012年5月19日土曜日

広上淳一指揮&日本フィルの伊福部昭の芸術(1995)その2


伊福部昭の芸術2
響― 伊福部昭 交響楽の世界
1) シンフォニア・タプカーラ(1954/79)
2) 管弦楽のための「日本組曲」(1934/91)

広上淳一指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
録音:1995年8月22-24日、29-31日、9月1日
東京、セシオン杉並ホール
【KICC176】

広上淳一さんの指揮する
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏による

伊福部昭のシリーズ2枚目は、
「シンフォニア・タプカーラ」と「日本組曲」の組み合わせです。


「シンフォニア・タプカーラ」は、
大正3年(1914)生まれの伊福部さんが、

昭和29年(1954)、
40歳のときに作曲、初演された唯一の交響曲です。

初演後 改訂が加えられ、
25年後の昭和54年(1979)に改訂稿が完成しています。


伊福部さんの管弦楽曲の中で、
1曲だけ挙げるのなら、私はこれを挙げます。

演奏は他にも優れたものはありますが、
セッションで、すべてがよく聴き取れるように、
ほどよいバランスで収録されている中で、

十分に熱さも感じ取れる演奏なので、
まず聴いておくべき録音だと思います。

叙情的な部分での健闘が光ります。


管弦楽のための「日本組曲」は、
昭和8年(1933)、19歳のときに作曲された「ピアノ組曲」を、
平成3年(1991)に管弦楽に編曲したものです。

日本の素材がそのままシンプルに生かされているからか、
以前は聴いていて恥ずかしいような気がしていたのですが、

年齢を重ねてきたからか、
今回は素直に楽しむことができました。


先に取り上げた小林研一郎さんと新響との演奏が、
今ひとつうまくオケを鳴らせていない感じだったのですが、

これは万全です。
良いバランスで、曲そのものを楽しむことができました。

ただし、とてもシンプルに聴こえる曲なので、
ライブでうまく聴かせるのは難しいのかもしれません。


※作品の成立については、CD解説
(伊福部昭「自作を語る」、片山素秀「曲目解説」)を参照しました。

2012年5月3日木曜日

広上淳一指揮&日本フィルの伊福部昭の芸術(1995)その1


伊福部昭の芸術1
譚― 伊福部昭 初期管弦楽
1) 日本狂詩曲(1935)
2) 土俗的三連画(1937)
3) 交響譚詩(1943)

広上淳一指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
録音:1995年8月22-24日、29-31日、9月1日
東京、セシオン杉並ホール
【KICC175】

昔の記憶では、
セッション録音で
伊福部氏の作品を聴いたのが初めてだったからか、
若干、違和感を感じていたはずなのですが、

今回聴きなおしてみると、
広上淳一氏と日本フィルのコンビが、
予想以上によい仕事をしていたことに気がつきました。


楽譜の音がよいバランスで
すべて聴こえて来る心地よさはもちろんですが、

セッション録音としては
めったにないレベルの「熱さ」も感じられ、
これらの曲の模範的演奏といってよい出来だと思います。


1曲目の「日本狂詩曲」は、
大正3年(1914)生まれの伊福部さんが、

昭和10年(1935)、21歳のときに完成し、
アメリカで、チェレプニン賞第1位を受賞した
大管弦楽のための作品です。

伊福部さんの出世作です。

叙情あふれる「夜曲」と、リズムが躍動する「祭」の2曲が
よい対照をなしており、実際、魅力的な作品だと思います。


2曲目の「土俗的三連画」は、
昭和12年(1937)、23歳のときに完成した
室内オーケストラのための作品です。

良くまとまっている楽しい作品ですが、
めったにコンサートで取り上げられることはないようです。
斬新でありながらしみじみと胸にしみる名曲です。


3曲目の「交響譚詩」は、
昭和18年(1943)、29歳のときに完成した管弦楽曲です。
前年に亡くなったお兄さんへの追悼曲として作られました。

伊福部さんの作品で、
私が最初に引きこまれたのが、
この「交響譚詩」と「シンフォニア・タプカーラ」です。

今回の録音のように、
細部まで丁寧に、よく聴き取れるように演奏されても、
やはり良く出来た名曲だと思いました。

2011年7月20日水曜日

小林研一郎&日本フィルのマーラー:交響曲第9番

山田一雄さんのを聴いて、久しぶりに、
小林研一郎さんの第9を聴き直してみました。



マーラー:交響曲第9番二長調


日本フィルハーモニー交響楽団
小林研一郎(指揮)


〔録音〕2007年1月25、26日 東京・サントリーホールにてライブ収録。
【OVCL00278】


マーラーの第9で私が好きなのは、

バーンスタイン&アムステルダム・コンセルトヘボウ管(1985年)
ワルター&ウィーン・フィル(1938年)

の2つの録音で、それにつぐのがコバケンさんと日本フィルの演奏でした。
改めて聴き直してみて、やはり別格のすばらしさだなあ、と感動しなおしました。


コバケンさんと日本フィルのマーラーは、
他にも第1・2・3・5・7・8番がCD化されていますが、
オケの完成度が一番高いのが、この第9番です。

あるいは初めてこの曲を取り上げたこともあって、
よい意味で少し力が抜けていたのかもしれませんが、
ほかのCDよりも、オケがよく響いているように感じられます。

以前は曲に没入し過ぎるからか、
オケが音楽的というよりは暴力的に響くことがあって、
とくに日本のオケを振るとき、その欠点が感じられたのですが、

このマラ9を取り上げたころから、
コバケンさんのオケの響かせ方が変わってきたように思われます。


最近は、
チェコ・フィルとのベートーヴェン交響曲全集に取り組まれ、
新たな境地を聴かせてくれているので、

今後とも大いに期待したい指揮者です。