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2018年8月21日火曜日

名古屋ボストン美術館の最終展「ハピネス~明日の幸せを求めて」

去る8月19日(日)に、
名古屋市中区金山にある名古屋ボストン美術館まで、

「名古屋ボストン美術館 最終展 ハピネス~明日の幸せを求めて」

を観に行って来ました。

主催は名古屋ボストン美術館とボストン美術館で、
2018年7月24日(火)から10月8日(月)まで、
の開催となっていました。


ボストン美術館館長
マシュー・テイテルバウム氏から寄せられた
図録の「メッセージ」をみると、

「名古屋ボストン美術館との20年間におよぶ
 パートナーシップを締めくくる最後の展覧会
 (中略)へ、ようこそお越し下さいました。

 本展は、
 両館が姉妹館提携で育んできた精神―
 展覧会や教育普及活動でのコラボレーション、
 寛容な精神、学術的な研究、
 それぞれの文化への理解―を形にしたものです。

 名古屋ボストン美術館は1999年に開館して以来、
 ボストン美術館の深く幅広い百科事典的なコレクションから
 50件以上の展覧会を開催し、
 1200点以上の作品を修復しつつ、
 ボストン美術館のコレクションを紹介し、
 40冊以上の展覧会カタログも制作しました。

 本展では、
 これまでに名古屋ボストン美術館で展示し、
 かつ人気を集めた作品を含む75件に及ぶ作品を選びました。
 これからの作品は、「幸せ」の表現という側面から、
 時代や文化を超えた、我々人類の類似性や繋がり、
 そして違いを見せてくれるものです。

 特に修復を終えたばかりの
 奇才の絵師・曾我蕭白の《琴棋書画図》
 を皆様にご覧いただけることを楽しみにしています。」

等とありました(※改行はブログ編者による)。

全体の構成は、
 第1章 愛から生まれる幸せ―日常の情景から―
 第2章 日本美術にみえる幸せ―自然と人間―
 第3章 ことほぎの美術
 第4章 アメリカ美術にみえる美術
 第5章 アートの世界につつまれて
とされていました。


この一つ前の展覧会
「ボストン美術館の至宝展」
にとても感銘を受けたので、
今回の最終展もかなり期待して観に行きました。

ただ「幸せ」という言葉のもつイメージは、
国によって時代によって幅がありすぎるのか、

展示作品を目で追うのみだと、
統一感に欠ける印象が強く残って、
何が言いたいのかあまり伝わってこない、
個人的には残念な展示となりました。

恐らく「幸せ」という言葉について、
多方面からの博物学的な興味をもっている方が、
解説をじっくり読みながら観るのなら、
ピッタリ来る展示だろうと思います。

まあそんな細かなことは言わないで、
平成11年から平成30年まで、
ちょうど20年の続いた美術館の閉館を惜しめば良いのでしょう。

名古屋ボストン美術館に、
年に何回か訪れるようになったのは、
仕事が落ちついたこの5、6年のことなので、
それ以前の面白そうな展示にいろいろ行けていないのが
心残りです。

地元にいながら、
世界レベルの美術品を観られる場所が、
一つ減ってしまうのは残念です。



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2018年6月11日月曜日

名古屋ボストン美術館の「ボストン美術館の至宝展」

去る6月3日(日)に、
名古屋市中区金山にある名古屋ボストン美術館まで、

「ボストン美術館の至宝展
  東西の名品、珠玉のコレクション」

を観に行って来ました。

名古屋会場は、
2018年2月18日(日)から7月1日(日)まで、
主催は名古屋ボストン美術館、ボストン美術館、朝日新聞社となっていました。

 秋の閉館をひかえての展示のはずですが、
 名古屋に来る前に、

 2017年7月20日~10月9日 東京都美術館
 10月28日~2018年2月4日 神戸市立美術館

 の2箇所でも開催されていました。


図録の「あいさつ」には、

「ボストン美術館は1870年に設立され、
 1876年7月4日に開館しました。
 (中略)

 ここに紹介するのは、
 同館がハーバード大学と
 共同発掘調査を行った古代エジプトの出土品、
 北宋・南宋絵画の名品がそろう中国美術、
 アーネスト・フランシスコ・フェノロサや
 ウィリアム・スタージス・ビゲローらが中心となって
 収集した日本美術、
 ボストンの裕福な市民が寄贈した19世紀フランス絵画のほか、
 アメリカ絵画、版画・写真、現代美術の分野から選びぬいた
 計80点です。」

とありました(※改行はブログ編者による)。全体の構成は、

 Ⅰ 異国を旅したボストニアンたち
   1 古代エジプト美術
   2 中国美術
   3 日本美術
 Ⅱ 「グランド・ツアー」
    ― ヨーロッパ美術を集めたボストニアンたち
   4 フランス絵画
 Ⅲ アメリカン・ドリーム
    ― 時刻の美術を収集するボストニアンたち
   5 アメリカ絵画
 Ⅳ 同時代の美術へ ―未来に向かう美術館
   6 版画・写真
   7 現代美術

となっていました。


  ***

さすがボストン美術館。

強く印象に残る作品が多数展示されていて、
心に残る、内容の濃い時間を過ごすことができました。

個人的に強く心に残った作品を挙げておきます。

2 中国美術

17 陳容
「九龍図巻」
 南宋、淳祐4年(1244)
 1巻、紙本墨画淡彩

中国絵画の良品をみる機会がほとんどなかったので、
これまで気が付かなかったのですが、
日本の水墨画とは次元が異なるレベルの高さを実感できました。

これ1点でどうこういうわけには行きませんが、
このレベルの作品がたくさん観られるのであれば、
中国の絵画も忘れてはいけないなと認識を新たにしました。

特筆すべきはその保存状態で、
13世紀の絵画がここまでの鮮度で見られるとは驚異的でした。


3 日本美術

23 英一蝶
「涅槃図」
 正徳3年(1713)
 1幅、紙本着色

30-31 与謝蕪村
「柳堤渡水・丘辺行楽図屏風」
 江戸時代、18世紀
 6曲1双、紙本墨画淡彩

中国絵画の鮮烈な印象のあとだと、
中国の焼き直し的な日本の絵画は、
どうしても影が薄くなってしまいますが、

そうした中で、
英一蝶(はなぶさいっちょう, 1652-1724)
という画家の個性に気がつけたのは収穫でした。

細部のつめが今一つな印象で、
強烈な印象を残すところまでは至っていないのですが、

全体的な構図のバランスが絶妙で、
かなり良い印象を受けました。
ほかの作品も見てみたいです。


4 フランス絵画

今回、一番深く印象に残ったのは、
モネの良い作品を4点見られたことです。

方向性の違う4種類の絵が、
それぞれに高い完成度で魅力を放っており、
強く感銘を受けました。

良いもののみ厳選されていたからか、
或いは展示の仕方などに理由があったからか、

名古屋市立美術館でみた時に感じた
若干凡庸な印象が吹き飛びました。

今回展示されていた
すべての作品のなかで、
モネの4点が一番印象深かったです。

41 クロード・モネ
(Claude MOnet, 1840-1926)
「くぼ地のヒナゲシ畑、ジヴェルニー近郊」
 1885年。油彩、カンヴァス

42 クロード・モネ
「ルーアン大聖堂、正面」
 1894年。油彩、カンヴァス

44 クロード・モネ
「睡蓮」
 1905年。油彩、カンヴァス

43 クロード・モネ
「アンティーブ、午後の効果」
 1888年。油彩、カンヴァス


  ***

その他、
コローの絵画が1点。

コローは
仄暗い印象を受けるものが多いのですが、
これは全体的に明るく透明な色調で、
新たな魅力を感じることができました。

37 ジャン=バティスト=カミーユ・コロー
「ボーヴェ近郊の朝」
 1855-65年頃
 油彩、カンヴァス


  ***

もう一人、個人的に好きな
シスレーの作品が2点見られました。

この画家のベストとは言えないものの、
珍しい静物画を見ることができたので、
シスレーの画風を知る上で、
良い機会になりました。

39 アルフレッド・シスレー
「サン=マメスのラ・クロワ=ブランシュ」
 1884年。油彩、カンヴァス

49 アルフレッド・シスレー
「卓上のブドウとクルミ」
 1876年。油彩、カンヴァス


その他、
全体として見せ方のうまい、
深く印象に残る展示でした。

ただ1箇所の美術館の収蔵品だけで、
ここまでの内容を見せられるのは、
他ではなかなか敵わないことだろうと思いました。



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2018年1月28日日曜日

名古屋ボストン美術館の「ボストン美術館 浮世絵名品展 鈴木春信」

去る正月21日(日)に、
名古屋市中区の金山にある
名古屋ボストン美術館まで、

「ボストン美術館
 浮世絵名品展 鈴木春信」

を観に行ってきました。

全国4ヶ所で、
以下の日程で実施される予定で、
名古屋は2番目の会場でした。

 2017年9月6日(水)~10月23日(月)
 千葉市美術館
◯2017年11月3日(金)~18年1月21日(日)
 名古屋ボストン美術館
 2018年4月24日(火)~6月24日(日)
 あべのハルカス美術館
 2018年7月7日(土)~8月26日(日)
 福岡市博物館(予定)

 ※名古屋会場の主催は、
  名古屋ボストン美術館、ボストン美術館、日本経済新聞社、テレビ愛知
  とされていました。

図録のあいさつによると、

「鈴木春信(すずきはるのぶ, 1725?-70)は、
 高度な多色摺の木版画、すなわち『錦絵(にしきえ)』
 創始期の第一人者として知られている浮世絵師です。」

「春信は、錦絵の誕生という重要な転換期に、
 天性の優れた色彩感覚を生かした優美な美人画で一世を風靡し、
 その後長く続いた浮世絵発展の礎を築いた絵師である」

「春信の作品は、後の時代の絵師に比べて1図あたりの
 残存数が極めて少なく、現存する作品の8割以上が
 海外に所在しているため、日本国内で作品を見る機会は大変限られています。」

「本展では、質・量ともに世界最高のコレクションを誇る
 ボストン美術館の所蔵品から、選りすぐりの作品150点を展観します。」

とありました(改行はブログ編者による)。


  ***

チラシなどに見える作品それ自体には、
実はそれほど惹かれなかったのですが、

歴史の教科書で名前こそ知れ、
実物をみることがほとんどなかった
「鈴木春信」の作品をまとめて観られる
良い機会だったので、

ぜひにと思い、
観に行って参りました。

初期の浮世絵の、保存状態の良いものを
たくさん観られる機会もめったにないことなので、
浮世絵についての目を肥やす
良い機会にもなりました。


実際に見てみると、
想像をこえる保存状態の良さで、

今まで見たことのないレベルの、
はっきりクッキリとした色彩の作品がずらりと並んでいて、
初期の浮世絵への印象が一新しました。

春信は、女性の描き方が独特で、
ある程度定型化されているものの、
よく見るとそれぞれの個性が描き分けられていて、
たくさん見ても、飽きることがありませんでした。

歌麿や写楽や北斎ほどの、
突き抜けた強い個性は感じなかったのですが、

新しい様式美の世界を、
誰にもわかりやすく、受け入れやすいかたちで提供された点、
鈴木春信の個性は明らかなのだと思います。

この展示で春信が、
浮世絵の歴史を語る上で欠かせない存在であることは、
よくわかりました。



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2016年8月18日木曜日

名古屋ボストン美術館の「ルノワールの時代 ―近代ヨーロッパの光と影―」展

去る8月16日(火)、
金山の名古屋ボストン美術館まで、
「ルノワールの時代 ―近代ヨーロッパの光と影―」展
を観に行って来ました。

日程は
 2016年3月19日(土)~8月21日(日)
主催は、
 名古屋ボストン美術館
 ボストン美術館(図録参照)。


フランスの画家
ピエール=オーギュスト・ルノワール
(Pierre-Auguste Renoir, 1841.2-1919.12)
の名品をたくさん観られるかと期待していたところ、
全87点中4点のみでした。

 32《ブージヴァルのダンス》1883年
 34《ガンジー島の海辺の子どもたち》1883年頃
 特別出品1《ピクニック》
 特別出品2《マッソーニ夫人》

ボストン美術館蔵の2作品のほか、
国内の個人蔵2作品が紹介されていました。

このうち32・34は、これだけで
十分魅力あふれる作品であることが伝わって来ました。

ルノワールの描く女性画には、
個人的にそこまで惹かれないのですが、
そんな私にも惹きつけられたのは34でした。

ほかの2点は、
あまりお目にかかれない貴重な作品のようですが、
ほかのルノワールの作品と並べてみないと、
真価はわかりませんでした。

「ルノワールの時代」と謳う以上は、
せめて10作品ぐらいはルノワールが観られる、
と期待するのは素人考えなのでしょうか。

本家のボストン美術館には
ルノワールの作品があまり収蔵されていないのか、
ルノワールの展示にはケタ違いの金額がかかるのか、
その辺の事情はよくわかりません。


 ***

今回は、以前にも観た覚えがある
ボストン美術館蔵の19世紀後半の名作に再会できたのが、
一番の収穫でした。

特にお気に入りなのは
オランダの画家
ヨーゼフ・イスラエルス
(Jozef Israëls, オランダ, 1824-1911)の
 11《別離の前日》1862年
です。

この作品は、
ちょうど2年前(2014年8月14日)、
名古屋ボストン美術館で行われた
「開館15周年記念 ボストン美術館 ミレー展
 ~バルビゾン村とフォンテーヌブローの村から」
を観に行ったときに出会った作品で、
またいずれ再会したいと思っていました。

その他、
今回初めて心を奪われたのは、
アメリカの印象派の画家による2作品です。

アーネスト・リー・メジャー
(Ernest Lee Major, 1864-1950)
19《休息―モンティニー=シュル=ロワン》1888年

フレデリック・ポーター・ヴィントン
(Frederic Porter Vinton, 1846-1911)
20《洗濯女》1890年

自然の緑のなかに
明るく浮かび上がる光の印象が心地よく、
素敵な作品だと思いました。

あとこの2作ほどではないのですが、
フランスの画家による3作品も気になりました。

ジャン=フランソワ・ラファエリ
(Jean-François Raffëlli, 1850-1924)
39《ノートルダム大聖堂前の広場、パリ》
40《サンテティエンヌ・デュ・モン教会、パリ》1897年頃

クロード・モネ(Claude Monet, 1840-1926)
31《アルジャントゥイユの雪》1874年頃
42《チャリングクロス橋(曇りの日)、1900年》1900年

ラファエリの2作品は、
どちらもありがちな風景画なのですが、
他と少し違った味わい深さがあるように感じられました。

モネの2作品は、
素人の私でも知っているモネ独自の画風の42と、
意外な感じがした雪の日の情景画31
が心に残りましたが、
モネの作品としてはより良いものがあるかもしれません。


  ***

私の好きな作品に出会えたので、
それなりに楽しめた企画展でした。

2014年10月25日土曜日

名古屋ボストン美術館の「ボストン美術館 ミレー展」

もう2ヶ月以上たってしまいましたが、

お盆休み中の8月14日(木)に、
名古屋ボストン美術館まで、

「開館15周年記念
 ボストン美術館
 ミレー展~バルビゾン村とフォンテーヌブローの村から」

を観に行ってきました。

 高知県立美術館   〔2014年2月2日-4月6日〕
 名古屋ボストン美術館〔4月19日-8月31日〕
 三菱一号館美術館  〔10月17日-2015年1月12日〕

の3箇所で開催され、名古屋会場の主催は、

 ボストン美術館
 名古屋ボストン美術館
 中日新聞社

となっていました(図録参照)。

ミレーにはこれまで強い印象がなかったのですが、
まとめて観られる機会はあまりないので足を運びました。


  ***

フランスの画家
ジャン=フランソワ・ミレー(1814.10-1875.1)
とともに、

パリ郊外、
フォンテーヌブローの森のはずれにある
バルビゾン村に定住した「バルビゾン派」の画家たちも
展示してありました。

ミレーの作品が25点。
ほかの画家19人の作品が17点です。

作品数の多い順に整理しておきます。
(展示会図録参照。)

▼25点〔1名〕
・ジャン=フランソワ・ミレー(1814.10-1875.1)
 【図録1-4,21,22,28,31-35,38,40,44-52,55,56】


▼6点〔1名〕
・ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
 【図録5,6,18,20,23,37】(1796.7-1875.2)


▼5点〔2名〕
・ナルシス・ヴィルジル・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ
 【図録12-15,19】(1807.8-1876.11)

・エミール・シャルル・ランビネ
 【図録16,29,30,41,42】(1815.1-1877)


▼3点〔2名〕
・コンスタン・トロワイヨン
 【図録11,39,43】(1810.8-1865.3)

・ジュリアン・デュプレ
 【図録60-62】(1851.3-1910)


▼2点〔3名〕
・テオドール・ルソー
 【図録8,24】(1812.4-1867.12)

・ヨーゼフ・イスラエルス
 【図録53,54】(1824.1-1911.8)

・レオン=オーギュスタン・レルミット
 【図録58,87】(1844.7-1925.7)


▼1点〔11名〕
・カール・ボドメル
 【図録7】(1809.2-1893.10)

・ウジェーヌ・シセリ
 【図録9】(1813.1-1890.4)

・シャルル=エミール・ジャック
 【図録59】(1813.5-1894.5)

・アントワーヌ・シャントルイユ
 【図録27】(1814.5-1873.8)

・フランソワ・ルイ・フランセ
 【図録17】(1814.11-1897.5)

・シャルル=フランソワ・ドービニ
 【図録25】(1817.2-1878.2)

・ギュスターヴ・クールベ
 【図録10】(1819.6-1877.12)

・アンリ=ジョゼフ・アルビニー
 【図録64】(1819.7-1916.8)

・セザール・ド・コック
 【図録63】(1823-1904.7)

・アントン・マウフェ
 【図録36】(1838.9-1888.2)

・クロード・モネ
 【図録26】(1840.11-1926.12)


1830年代から70年代くらいまでの作品に、
ミレー没後の80・90年代の作品も数点ずつ。

同年代の画家を並べてみると、
似たテーマ、構図の絵がいろいろあって興味深かったのですが、

そうした中でもミレーの絵は、
人物の描き方に特徴があることはよくわかりました。

それほど写実的ではないのですが、

じっと観ていると
どの人物も今にも動き出しそうな
独特の雰囲気をそなえていました。


でもミレーが好きかと問われれば、
私の好みからはズレていて、
それほど好きではないと答えます。

人物のとらえ方に感銘は受けましたが、
特別な感動を受ける絵はありませんでした。


それでもミレーについて、

「写実主義を確立し、近代絵画への先駆者とされて」いて、

「田園で働く農民の姿や身近な情景、自然の様子を
 畏敬の念を込めて描き取った」画家であり、

「それまで美術の対象とは見なされなかった
 農民の地道な日々の営みを、
 荘厳な芸術に高めた画期的な試みにより、
 ミレーは西洋絵画史に大きな足跡を残し」た

という通説的評価を、
自分の目で確認できたことは大きな収穫でした。
(『展覧会図録』ごあいさつ、参照)


  ***

純粋に作品だけをみると、

風景画では、

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
《ブリュノワの牧草地の思い出》【図録18】

ウジェーヌ・シセリ
《ゴルジュ・オ・ルー(オオカミ渓谷)を行く画家、
 フォンテーヌブローの森》【図録9】

フランソワ・ルイ・フランセ
《プロンビエール近くの小川》【図録17】

の3点を気に入りました。

自分の好みに合っただけなので、
芸術的な評価とは一致しないかもしれません。

コローはこれまでも
同じような風景画を観ていますが、
今回初めて良さがわかったような気がしました。

シセリとフランセは
これまでに観ていたか記憶にないのですが、

この2点は、絵の繊細さと、
暗い森のなかから明るい光を求めていく感じが、
良いバランスで実現されているようで、
好ましく思われました。


人物画では、

ヨーゼフ・イスラエルス
《病みあがりの母と子ども》【図録53】
《別離の前日》【図録54】

の2点が強く印象に残りました。

哀しみの一場面を切り出してみせた
写実的な訴えかける力のある絵でした。

ほかと作風が違っていたからか、
イスラエルスの絵だけが、
圧倒的なオーラを放っているように感じました。

イスラエルスはこれまで知らなかったので、
今後注目していきたいと思います。


人と動物を描いた作品では、

アントン・マウフェ
《田舎道の荷馬車屋》【図録36】

ジュリアン・デュプレ
《牛に水を飲ませる娘》【図録60】
《ガチョウに餌をやる子どもたち》【図録61】

の3点を気に入りました。

アントン・マウフェはこれまで注目していませんでした。
デュプレの明るい色調はミレーより好きです。



※今回の展覧会図録『ボストン美術館 ミレー展』を参照。
※Wikipediaの「ジャン=フランソワ・ミレー」を参照。

2012年8月18日土曜日

名古屋ボストン美術館 特別企画展 「ボストン美術館 日本美術の至宝」(前期)


お盆休み中の8月17日(金)に、

名古屋ボストン美術館の特別企画展
「ボストン美術館 日本美術の至宝」(前期)
に行って参りました。

忘れてしまわないうちに、
心を動かされた作品を紹介しておきます。


まず注目されたのは、奈良時代に描かれた
「法華堂根本曼荼羅図」(図録 No.5)です。

奈良時代の絵画は、
そもそもほとんど残っておりませんので、
なかなか実物を観る機会はないのですが、

今回初めて、
仏像を描く線の、自由で、
ゆったりおっとりした様を感じることが出来ました。

作品全体として、
どうこう言える状態ではないのですが、
案外良いかもしれない、
と実感できたのは大きな収穫でした。


続いて絵巻物の傑作として、

平安時代(12世紀後半)に描かれた
「吉備大臣入唐絵巻 第一巻/第二巻」(No.26)
と、

鎌倉時代(13世紀後半)に描かれた
「平治物語絵巻 三条殿夜討巻(前半部分)」(No.27)
を、

実物で観られたのも大きかったです。

圧倒的な迫力でせまって来たのは
「平治物語絵巻」の方ですが、

独特のユーモアが感じられる
「吉備大臣入唐絵巻」の魅力を感じられたのも
有難かったです。



そのほか屏風絵では、

室町時代(16世紀中頃)に描かれた
伝狩野雅楽助の「松に鴛鴦図屏風」(No.41)
と、

江戸時代(17世紀後半)に描かれた
狩野永納の「四季花鳥図屏風」(No.49)
が私の好みに合っており、

同様の水墨画で、

江戸時代(17世紀)に描かれた
宗達派の「水禽・竹雀図」(No.53)
も良い趣でした。


水墨画では、

江戸時代(18世紀後半)に描かれた
伊藤若冲の「十六羅漢図」(No.57)も、
若冲ならではの天才的な冴えを感じさせるものでしたが、

2幅のみの紹介でしたので、
少し物足りなく感じました。



最後に、
特に大きな感銘を受けたのは、

慶長11年(1606)に描かれた
長谷川等伯の「龍虎図屏風」(No.44)
でした。

必要最小限の筆運びの中で、、
かわいらしくも勢いのある虎と龍を
絶妙なバランスで描いてありました。


これと、
宝暦13年(1763)に描かれた
曾我蕭白の「雲龍図」(No.62)
を比べて観ることができるのも、
なかなか興味深いものがありました。


たまたま時間が出来て、
ふらっと立ち寄っただけですが、
夕方のひと時を有意義に過ごすことがで出来ました。

※展覧会の図録を参照しました。