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2017年10月9日月曜日

ヤンドー&コダーイ弦楽四重奏団のシューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》

NAXOSの少し前の録音を、
AVEXから再販売しているシリーズ。

NAXOSの室内楽に名演が多いことを思い出し、
シューベルトの《ます》を聴いてみました。


ハンガリーのピアニスト
イェネ・ヤンドー(Jenő Jandó, 1952年2月1日- )、

ハンガリーの弦楽四重奏団
コダーイ・クァルテット(Kodály Quartet)、

ハンガリーのコントラバス奏者
イシュトヴァーン・トッシュ(István Tóth)の共演で、

オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト
(Franz Schubert, 1797年1月-1828年11月)の
ピアノ五重奏曲イ長調《ます》を聴きました。


シューベルト
 ①ピアノ五重奏曲イ長調 作品114 D.667《ます》
 ・イェネ・ヤンドー(ピアノ)
 ・コダーイ・クァルテット、
 ・イシュトヴァーン・トッシュ(コントラバス)

シューベルト/リスト編曲
 ②ます/③セレナード/④魔王
 ・ヴァレリー・トリオン(②④)
 ・オクサナ・ヤブロンスカヤ(③)

録音:1991年12月、ブダペスト、ユニタリアン教会(①)。1999年5月、ハンプシャー州イーストウッド・ヘイ、セントマーティン教会(②④)。1994年5月、カリフォルニア州サンタ・ローザ、フィッシャーホール(③)。
【AVCL-25683】※2007年12月発表

どちらかといえば《ます》には、
生ぬるく平凡で退屈な印象があって、
自分から聴くことはあまりなかったのですが、

このヤンドーとコダーイ四重奏団のCDは、
オーソドックスなスタイルによる
きりりと引き締まった清新な印象の演奏で、
初めて聴くような感動を覚えました。

有名な《ます》の楽章だけでなく、
全曲を通してバランス良く、
瑞々しい音楽が流れて行きました。

ほぼ初めて、
名曲であることを実感できました。

この演奏、
1992年発売の原盤(NAXOS)のほうでは、

ヴァイオリンとヴィオラ、チェロとピアノのための
アダージョとロンド・コンチェルタンテ ヘ長調 D.487

という珍しい作品がカップリングされているので、
近々買い直して聴いてみようと思っています。


余白にリスト編曲の歌曲が収録されています。

2曲めの《セレナード》のみ、
気持ちを込めすぎて回りくどい変な演奏になっていますが、

《ます》と《魔王》は前半と同じような
シューベルトらしい世界が流れ、それなりに楽しめました。

2014年11月25日火曜日

コダーイ四重奏団のハイドン:弦楽四重奏曲全集 その7

ハンガリーの弦楽四重奏団
コダーイ四重奏団(1966-)による

オーストリアの作曲家
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
(Franz Joseph Haydn 1732.3 - 1809.5)の
弦楽四重奏曲全集7枚目です。


ハイドン
弦楽四重奏曲第22番ニ短調作品9-4〔Hob.Ⅲ-22〕
弦楽四重奏曲第19番ハ長調作品9-1〔Hob.Ⅲ-19〕
弦楽四重奏曲第21番ト長調作品9-3〔Hob.Ⅲ-21〕

コダーイ四重奏団
録音:1992年12月8-10日、ブダペスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.550786】

このCDには、
作品9の6曲中3曲が収録されています。

作品9は、
ハイドン38歳の頃(1770頃)に作曲されました。

ホーボーケン番号で、
Hob.Ⅲ-19~24 に分類されていますが、

これはハイドン69歳の時(1801)に、
弟子のプレイエル(1757-1831)がまとめた
最初の全集(全83曲)における通番(第19~24番)に従ったものです。

前回の、

 第20番変ホ長調作品9-2〔Hob.Ⅲ-20〕
 第23番変ロ長調作品9-5〔Hob.Ⅲ-23〕
 第24番 イ長調 作品9-6〔Hob.Ⅲ-24〕

に続くCDには、

 第22番ニ短調作品9-4〔Hob.Ⅲ-22〕
 第19番ハ長調作品9-1〔Hob.Ⅲ-19〕
 第21番ト長調作品9-3〔Hob.Ⅲ-21〕

の3曲が収録されています。


なおこのCDの裏面には、
 Op.9, No.4 → No.11
 Op.9, No.1 → No.12
 Op.9, No.3 → No.13
という通番がふられていますが、根拠が不明なので、
このブログではふだん使われている通番に訂正しました。


  ***

さて、
作品9から残りの3曲を聴いてみました。

前回は、
曲のあまりの完成度に驚いたのですが、
今回はそこまでの感銘を受けませんでした。

作品3までの18曲とは
明らかに違った充実度で、

それなりに美しく楽しい作品なのですが、
前の3曲とは少し格が落ちるような印象でした。

録音時期をみると、
こちらの3曲を先に収録しているので、
本来はこちらを先に聴いたほうが良かったのかもしれません。


ひと月は聴き込んで来ましたので、
少し時間をおいてから、

 第22番作品9-4〔Hob.Ⅲ-22〕
 第19番作品9-1〔Hob.Ⅲ-19〕
 第21番作品9-3〔Hob.Ⅲ-21〕

 第20番作品9-2〔Hob.Ⅲ-20〕
 第23番作品9-5〔Hob.Ⅲ-23〕
 第24番作品9-6〔Hob.Ⅲ-24〕

の順で改めて聴きなおしてみようと思います。

それ以上に、
作品番号のままのほうがよくわかるのかも。


※wikipedia の「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
 「ハイドンの弦楽四重奏曲一覧」「イグナツ・プライエル」の各項目を参照。

※中野博詞『ハイドン復活』(春秋社、平成7年11月)を参照。

※現代音楽作曲家・福田陽氏の
 「ハイドン研究室」〈http://www.masque-music.com/haydn/index.htm〉を参照。

2014年10月22日水曜日

コダーイ四重奏団のハイドン:弦楽四重奏曲全集 その6

ハンガリーの弦楽四重奏団
コダーイ四重奏団(1966-)による

オーストリアの作曲家
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
(Franz Joseph Haydn 1732.3 - 1809.5)の
弦楽四重奏曲全集6枚目です。


ハイドン
弦楽四重奏曲第20番変ホ長調作品9-2〔Hob.Ⅲ-20〕
弦楽四重奏曲第23番変ロ長調作品9-5〔Hob.Ⅲ-23〕
弦楽四重奏曲第24番 イ長調  作品9-6〔Hob.Ⅲ-24〕

コダーイ四重奏団
録音:1993年1月28-30日、ブダペスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.550787】

このCDには、
作品9の6曲中3曲が収録されています。

作品9は、
ハイドン38歳の頃(1770頃)に作曲されました。

ホーボーケン番号では、
Hob.Ⅲ-19~24 に分類されています。

これはハイドン69歳の時(1801)に、
弟子のプレイエル(1757-1831)がまとめた
最初の全集(全83曲)における通番(第19~24番)に従ったものです。

なおこのCDの裏面には、
 No.14 Op.9, No.2
 No.15 Op.9, No.5
 No.16 Op.9, No.6
という独自の通番がふられていますが、根拠が不明なので、
このブログではふだん使われている通番に訂正しました。


  ***

さて、
初期の作品1から作品3の18曲を聴いたあと、

改めて作品9を聴いてみると、
明らかに作風が変わって来ていることに気がつかされます。

これまでも、
キラリと光るところはたくさんあったのですが、
全体的なまとまりが今一つだったり、

聴いていて若干たいくつに感じられる曲も
少なからず混じっていました。

でも作品9になると、
習作的なところがなくなって、
一つ上のレベルの完成された作品として楽しむことができました。


初期の四重奏曲からは
10年近く時間をおいてから取り組まれているので、
その分、作品の深まりをみせているのでしょう。

なお、
初期の弦楽四重奏曲が作られてから
作品9が生まれるまでに(1765-68頃)、

バリトン三重奏曲を70曲以上も作っているので、
その経験も生かされたのかもしれません。


コダーイ四重奏団の演奏、

技術的に申し分のないのは当然として、
晴朗な清々しい印象がハイドンにぴったりで、

秋雨の午後の憂鬱さを
晴やかな空間で満たしてくれました。

耳障りなところのない、
変に力んだところのない演奏ですが、

さらさらと上っ面を流れてしまうわけでもなく、

中身のある充実した音楽で、
聴く人の心を明るく持ち上げてくれて、

ハイドンの魅力を満喫することができました。



※wikipedia の「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
 「ハイドンの弦楽四重奏曲一覧」「イグナツ・プライエル」の各項目を参照。

※中野博詞『ハイドン復活』(春秋社、平成7年11月)を参照。

※現代音楽作曲家・福田陽氏の
 「ハイドン研究室」〈http://www.masque-music.com/haydn/index.htm〉を参照。

2014年4月23日水曜日

コダーイ四重奏団のハイドン:弦楽四重奏曲全集 その5

久しぶりですが、
コダーイ四重奏団による

オーストリアの作曲家
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
(Franz Joseph Haydn 1732.3 - 1809.5)の
弦楽四重奏曲全集5枚目です。


ハイドン
弦楽四重奏曲第15番 ト長調 作品3-3〔Hob.Ⅲ-15〕
弦楽四重奏曲第16番変ロ長調作品3-4〔Hob.Ⅲ-16〕
弦楽四重奏曲第17番 ヘ長調 作品3-5〔Hob.Ⅲ-17〕
弦楽四重奏曲第18番 イ長調 作品3-6〔Hob.Ⅲ-18〕

コダーイ四重奏団
録音:2000年6月26-29日、ブダペスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.555704】

このCDには、
作品3の6曲から後半4曲が収録されています。


  ***

作品3の6曲は、
ハイドン45歳の時(1777)に出版されました。

ホーボーケン番号では、
Hob.Ⅲ-13~18 に分類されていますが、

これはハイドン69歳の時(1801)に、
弟子のプレイエル(1757-1831)がまとめた
最初の全集(全83曲)における通番(第13~18番)に従ったものです。


6曲まとめて、
楽章数のデータとともに掲げてみます。

 ホ長調  作品3-1〔Hob.Ⅲ-13〕※4楽章
 ハ長調  作品3-2〔Hob.Ⅲ-14〕※3楽章
 ト長調  作品3-3〔Hob.Ⅲ-15〕※4楽章
変ロ長調 作品3-4〔Hob.Ⅲ-16〕※2楽章
 ヘ長調  作品3-5〔Hob.Ⅲ-17〕※4楽章
 イ長調  作品3-6〔Hob.Ⅲ-18〕※4楽章

全体的に楽章の構成がバラバラです。

特に 作品3-4 は2楽章しかなく、
完成された作品と見なすのは難しいです。

実際聴いてみても、
明らかに曲想がバラバラですので、

6曲からなる一連の曲集として、
一気に作曲されたとは考えられません。


そこで現在の有力な学説では、

出版譜の原版(作品3-1・2)において、
作曲者「ロマン・ホフシュテッター」の名を消した跡が見つかったことから、

ハイドンではなく、
修道士ホフシュテッターの作品であろうと推測されています。


ただし耳から聴くだけで、
ハイドンの作品ではないと判断できるのかといえば、
それは少々難しいように思われます。

出版譜の原版に
「ホフシュテッター」とあったとしても、
それが実際の作曲者を示していたと本当に断言できるのか。

もう詳しい判断材料がほしいと思いました。

出版社が主導して、
ハイドンが若いころに作った
弦楽四重奏曲を6曲集めてきて、
作品3 として出版してしまったのだと言われれば、
特に違和感はないようにも思われます。


  ***

ここまでで、
ハイドンの初期の弦楽四重奏曲を聴き終わったことになりますので、
ざっとまとめておきます。


ハイドンの弦楽四重奏曲は、
ハイドン生前中(1801年)に
弟子のプレイエル(1757-1831)によって
計83曲が全集としてまとめられました。

このプレイエル版において、
ハイドン初期の弦楽四重奏曲は、

 ◯第 1~ 6番 作品1-1~6〔Hob.Ⅲ-1~6〕
 ◯第 7~12番 作品2-1~6〔Hob.Ⅲ-7~12〕
 ◯第13~18番 作品3-1~6〔Hob.Ⅲ-13~18〕

と整理されました。

作品1・2はハイドンが33・34歳のとき(1765・66)、
作品3は45歳のとき(1777)に個別に出版され、

ハイドン最晩年(1805)の「ハイドン目録」でも、
ハイドン本人が認めていた作品なのですが、

その後の研究で、

 ◎作品1-1~4・6〔Hob.Ⅲ- 1~4・6〕
 ◎作品2-1・2・4・6〔Hob.Ⅲ- 7・8・10・12〕

の計9曲と、

 ◎5声のディヴェルティメント 変ホ長調〔Hob.Ⅱ-6〕

の1曲を合わせた計10曲のみが、
ハイドンの初期の弦楽四重奏曲として認められるようになりました。


  ***

コダーイ四重奏団の全集で、
作品1 から作品3 まで聴いてくると、

時々キラリと光る曲も紛れているものの、

全体として今ひとつ、
惹きつけられる魅力に乏しいように感じられました。

演奏会で全曲を取り上げる場合、
初期のものは計10曲のみに絞って取り上げるのも、
現実路線としてありだと思いました。


コダーイ四重奏団の演奏自体は、
曲の再現としてまずは申し分のない出来だったと思いますが、

初期の弦楽四重奏曲を続けて聴くのは、
少々退屈なところがありました。


次はまず作品9の6曲(第19-24番)を聴くことになりますが、

この時期からは、
ハイドン自らの意志で、
6曲ひとまとめになる曲集を作っている点、
それまでとは異なっています。

聴いてすぐにわかる違いがあるかどうか、
またじっくり聴いていこうと思います。


※wikipedia の「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
 「ハイドンの弦楽四重奏曲一覧」「イグナツ・プライエル」
 「ローマン・ホフシュテッター」の各項目を参照。

※JAIRO でインターネット上に公開されている
 飯森豊水の論文「J.ハイドン作『初期弦楽四重奏曲』の帰属ジャンルをめぐって」
 (『哲學』第86集、昭和63年6月)を参照。

※中野博詞『ハイドン復活』(春秋社、平成7年11月)を参照。

※現代音楽作曲家・福田陽氏の
 「ハイドン研究室」〈http://www.masque-music.com/haydn/index.htm〉を参照。

2013年7月22日月曜日

コダーイ四重奏団のハイドン:弦楽四重奏曲全集 その4

コダーイ四重奏団による

オーストリアの作曲家
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
(Franz Joseph Haydn 1732.3 - 1809.5)の
弦楽四重奏曲全集4枚目です。



ハイドン
弦楽四重奏曲 第9番 変ホ長調 作品2-3〔Hob.Ⅲ-9〕
弦楽四重奏曲 第11番 ニ長調 作品2-5〔Hob.Ⅲ-11〕
弦楽四重奏曲 第13番 ホ長調 作品3-1〔Hob.Ⅲ-13〕
弦楽四重奏曲 第14番 ハ長調 作品3-2〔Hob.Ⅲ-14〕

コダーイ四重奏団
録音:2000年6月26-29日、ブダペスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.555703】


ハイドンの弦楽四重奏曲は、
ハイドン生前中(1801年)に
弟子のプレイエル(1757-1831)によって
計83曲が全集としてまとめられました。

このプレイエル版において、
ハイドン初期の弦楽四重奏曲は、

 ◯作品1-1~6〔Hob.Ⅲ-1~6〕第1~6番
 ◯作品2-1~6〔Hob.Ⅲ-7~12〕第7~12番
 ◯作品3-1~6〔Hob.Ⅲ-13~18〕第13~18番

と整理されました。

作品1・2はハイドンが33・34歳のとき(1765・66年)、
作品3は45歳のとき(1777年)に個別に出版され、

ハイドン最晩年(1805年)の「ハイドン目録」でも、
ハイドン本人が認めていたものなのですが、


その後の研究で、

 ◯変ロ長調 作品1-5〔Hob.Ⅲ-5〕は、
  交響曲「A」〔Hob.Ⅰ-107〕の編曲、

 ◎変ホ長調 作品2-3・5〔Hob.Ⅲ-9・11〕は、
  6声のディベルティメント〔Hob.Ⅱ-21・22〕の編曲、

であったことがわかっています(計3曲)。さらに、

 ◎作品3-1~6〔Hob.Ⅲ-13~18〕

の6曲は、ハイドンの信奉者
ロマン・ホフシュテッター(1742-1815)による
贋作と考えられるようになりました。


つまりこのCDには、

最新の研究では、ハイドンの弦楽四重奏曲から
外して考えられるようになった4作品、

6声のディベルティメント〔Hob.Ⅱ-21・22〕から編曲された2曲

 ◎作品2の3・5(第9・11番)

と、ホフシュテッターによる贋作と考えられる作品2曲

 ◎作品3の1・2(第13・14番)

の計4曲が収録されています。


  ***

まずは前半2曲。

弦楽四重奏曲 第9番 変ホ長調 作品2-3〔Hob.Ⅲ-9〕
弦楽四重奏曲 第11番 ニ長調 作品2-5〔Hob.Ⅲ-11〕

は6声のディベルティメント〔Hob.Ⅱ-21・22〕からの編曲で、
それぞれ5楽章からなる楽しい作品です。

特別な深みのある曲ではありませんが、
4声の作品とは目のつけどころが違ってくるからか、
若干ですが新鮮な印象を受けました。

Hob.Ⅱの系列は、
作品によって編成が少しずつ変化するからか、
国内盤をざっと探した感じではまとまった録音は出ていないようでした。

聴けないとなるとかえって
聴いてみたくなったので、次は輸入盤に手を広げて探してみます。

演奏は最後まで楽しく聴かせてもらえたので、
私には十分の出来でした。


次は後半2曲。

弦楽四重奏曲第13番 ホ長調 作品3-1〔Hob.Ⅲ-13〕
弦楽四重奏曲第14番 ハ長調 作品3-2〔Hob.Ⅲ-14〕

ロマン・ホフシュテッター(1742-1815)による贋作
と推定されている作品です。

他と比べて多少聴き劣りするのかな、
と思って聴き始めたのですが、

そんなことは全くなく、
ハイドン最初期の弦楽四重奏曲よりも、

技巧的な面で聴かせ上手に仕上がっていて、
飽きずに楽しんで聴くことができました。

この時期のほかの作曲家の作品を
色々聴いたわけではないので一概に言えないのですが、

作品1、作品2が、
初期の作品という前提で聴かないと
多少苦しい部分があったのに対して、

作品3はそのままでふつうに楽しめる作品であり、
ハイドンの順調な成長の証が記されているようにも聴こえました。

書誌学的に、
ホフシュテッターの手になる
原本の楽譜が見つかったわけではないようなので、

それほど決定的に、ハイドン作ではない、と言い切れるのだろうかと疑問を持ちました。

ホフシュテッターは、
これ以外の作品をほとんど残していないようでもあり、
ハイドンに似せて、いきなりこれだけの作品が書けるものなのかな、
とも思いました。

例えば、
ホフシュテッターがハイドンに依頼して、
弦楽四重奏曲を作曲してもらったために、

ホフシュテッターの作品と誤認されることもあったのではないのかな、と。

とはいえ、
残りの4曲をまだ聴いていないので、
そちらを聴いてから、また考えてみたいと思います。



※wikipedia の「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
 「ハイドンの弦楽四重奏曲一覧」「イグナツ・プライエル」
 「ローマン・ホフシュテッター」の各項目を参照。

※JAIRO でインターネット上に公開されている
 飯森豊水の論文「J.ハイドン作『初期弦楽四重奏曲』の帰属ジャンルをめぐって」
 (『哲學』第86集、昭和63年6月)を参照。

※中野博詞『ハイドン復活』(春秋社、平成7年11月)を参照。

※現代音楽作曲家・福田陽氏の
 「ハイドン研究室」〈http://www.masque-music.com/haydn/index.htm〉を参照。

2013年3月31日日曜日

コダーイ四重奏団のハイドン:弦楽四重奏曲全集 その3

ハンガリーの弦楽四重奏団
コダーイ四重奏団による、

オーストリアの作曲家
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
(Franz Joseph Haydn 1732.3 - 1809.5)の弦楽四重奏曲全集、
3枚目です。


ハイドン
弦楽四重奏曲 ニ短調 作品42〔Hob.Ⅲ-43〕第43番
弦楽四重奏曲 へ長調 作品2-4〔Hob.Ⅲ-10〕第10番
弦楽四重奏曲 変ロ長調 作品2-6〔Hob.Ⅲ-12〕第12番

コダーイ四重奏団
録音:1992年9月16-18日、ブダペスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.550399】


今一度、
ハイドンの初期の弦楽四重奏曲についてまとめておきましょう。

ハイドンの弦楽四重奏曲は、
ハイドン生前中(1801年)に弟子のプレイエル(1757-1831)によって、
最初の全集が刊行されました〔プレイエル版〕。

 ※プライエル版(第3版)で、全83曲が収録されたのに従い、
  第1番から83番までの通番で呼ぶことがあります。

 ※ホーボーケン(1887-1983)の目録(1971)でも、
  プライエル版に従い、Hob.Ⅲ-1~83 の番号が付されています。


さてこのプレイエル版において、
ハイドン初期の弦楽四重奏曲について、
 ◯第1~6番 作品1-1~6 〔Hob.Ⅲ-1~6〕
 ◯第7~12番 作品2-1~6 〔Hob.Ⅲ-7~12〕
 ◯第13~18番 作品3-1~6 〔Hob.Ⅲ-13~18〕
という整理が行われました。

 作品1・2はハイドンが33・34歳のとき(1765・66年)、
 作品3は45歳のとき(1777年)に、個別に出版されていたそうです。


この作品1・2・3の計18曲は、
ハイドン最晩年(1805年)の「ハイドン目録」でも、
本人が認めていたはずなのですが、

その後の研究によって、
 ◇作品3-1~6〔Hob.Ⅲ-13~18〕
の6曲は、ハイドンの信奉者
ロマン・ホフシュテッター(1742-1815)の贋作と考えられるようになりました。


そのほか、
 ◇変ロ長調 作品1-5〔Hob.Ⅲ-5〕は、
  交響曲「A」〔Hob.Ⅰ-107〕の編曲、

 ◇変ホ長調 作品2-3〔Hob.Ⅲ-9〕は、
  6声のディベルティメント〔Hob.Ⅱ-21〕の編曲、

 ◇ニ長調 作品2-5〔Hob.Ⅲ-11〕は、
  6声のディベルティメント〔Hob.Ⅱ-22〕の編曲、
であったことがわかっています。


つまり作品1・2・3の計18曲のうち、
初期の弦楽四重奏曲として確実なのは、
 ◎作品1-1~4・6〔Hob.Ⅲ- 1~4・6〕
 ◎作品2-1・2・4・6〔Hob.Ⅲ- 7・8・10・12〕
の計9曲のみということになります。


さらに本来、初期の弦楽四重奏曲とすべき1曲が、
 ◎5声のディベルティメント 変ホ長調〔Hob.Ⅱ- 6〕
に誤って分類されていたことも明らかにされています。

これはプレイエル版の全集からは欠落しているため、
第0番と呼ばれることがあります。


つまり現在は、第0番を含めた計10曲を、
ハイドンの初期の弦楽四重奏曲と考えるのが通説になっているようです。

これらの作曲年代は、
ハイドン25歳から30歳(1757-62)のころと推定されています。


プレイエル版の通番とともにまとめておきます。

・第0番 変ホ長調〔Hob.Ⅱ-6〕
・第1番 変ロ長調 作品1-1〔Hob.Ⅲ-1〕
・第2番 変ホ長調 作品1-2〔Hob.Ⅲ-2〕
・第3番  ニ長調 作品1-3〔Hob.Ⅲ-3〕
・第4番  ト長調 作品1-4〔Hob.Ⅲ-4〕
  ※第5番 変ロ長調 作品1-5〔Hob.Ⅲ-4〕
・第6番  ハ長調 作品1-6〔Hob.Ⅲ-6〕
・第7番  イ長調 作品2-1〔Hob.Ⅲ-7〕
・第8番  ホ長調 作品2-2〔Hob.Ⅲ-8〕
  ※第9番 変ホ長調 作品2-3〔Hob.Ⅲ-9〕
・第10番  ヘ長調 作品2-4〔Hob.Ⅲ-10〕
  ※第11番 ニ長調 作品2-5〔Hob.Ⅲ-11〕
・第12番 変ロ長調 作品2-6〔Hob.Ⅲ-12〕

本CDには、このうち最後の2曲

 第10番  ヘ長調 作品2-4〔Hob.Ⅲ-10〕
 第12番 変ロ長調 作品2-6〔Hob.Ⅲ-12〕

ともう1曲、ハイドン中期の作品から、

 第43番 ニ短調 作品42〔Hob.Ⅲ- 43〕

を添えた計3曲が収録されています。


 ※なおこのCDのケース裏面には、

  「第35番」ニ短調 作品42
  「第9番」ヘ長調 作品2-4
  「第10番」変ロ長調 作品2-6

  と記されており、作品の通番に誤りがあります。

  『第43番』ニ短調 作品42
  『第10番』ヘ長調 作品2-4
  『第12番』変ロ長調 作品2-6

  とするのが正解です。(CD解説の方は正しいです。)


   ***

このCDには1曲だけ、
1785年、ハイドンが53歳のときに作曲された
作品42が収録されていますので、その位置づけもまとめておきます。

ハイドンの弦楽四重奏曲は、作品3(全6曲)のあと、

 作品9(全6曲)
 作品17(全6曲)
 作品20(全6曲)
 作品33(全6曲)

が続きます。それからこの
 作品42(全1曲)
が残された後、

 作品50(全6曲)
 作品51(全7曲)※「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」の編曲。
 作品54(全3曲)
 作品55(全3曲)
 作品64(全6曲)
 作品71(全3曲)
 作品74(全3曲)
 作品76(全6曲)
 
と続きます。基本的に
6曲(ないし3曲)を単位として作品がまとめられている中で、
作品42のみ1曲(4楽章)だけで構成されている点、
少し異質な存在ということになります。


作品42は1785年に作曲され、
自筆譜も残されているのですが、

この年ハイドンは弦楽四重奏曲を3曲作り、
そのうち2曲をスペインに送ったことが知られています。
(この2曲は現在に至るまで紛失中。)

つまり本来は3曲構成で作曲されたうちの
1曲が、この作品42である可能性が高いことになります。


なぜ1曲だけ残されたのかは不明ですが、

コンパクトに、
すっきりとした構成でまとまっている
1曲のみの作品なので、

このCDでは、初期の弦楽四重奏曲とともに取り上げてみたように思われます。


ただし一聴明らかに、
初期のものとは充実度が違います。

初期の作品ばかりで多少飽きが来ていた身には、よい清涼剤となりました。


   ***

演奏は作品42で、
ほどほどに深みのある古典的な美しさにハッとしたあと、

これまで聴いたのと同じく、
清楚でハツラツとした初期のハイドンの音楽が流れていきました。

十分に美しいはずなのですが、
さすがに似た感じで、多少飽きが来てしまいました。


2013年1月18日金曜日

コダーイ四重奏団のハイドン:弦楽四重奏曲全集 その2

コダーイ四重奏団による

オーストリアの作曲家
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732 - 1809)の弦楽四重奏曲全集、

2枚目です。


ハイドン
弦楽四重奏曲 変ホ長調〔Hob.Ⅱ- 6〕第0番
弦楽四重奏曲 ハ長調 作品1- 6〔Hob.Ⅲ- 6〕第6番
弦楽四重奏曲 イ長調 作品2- 1〔Hob.Ⅲ- 7〕第7番
弦楽四重奏曲 ホ長調 作品2- 2〔Hob.Ⅲ- 8〕第8番

コダーイ四重奏団
録音:1991年6月12-15日、ブダペスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.550399】

はじめに、
ハイドンの初期の弦楽四重奏曲について。
(全集その1のときのブログと、ほぼ同内容です。)


フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
(Franz Joseph Haydn 1732-1809)の弦楽四重奏曲は、

ハイドン生前中(1801年)に、
弟子のプレイエル(1757-1831)によって、
最初の全集が刊行されました〔プレイエル版〕。

 ※初版で80曲、第2版で82曲、第3版で83曲を収録。
 ※プライエル版に従い、第1番から83番まで
  通番で呼ぶこともあります。


このとき初期の弦楽四重奏曲について、

 ◯作品1- 1~6〔Hob.Ⅲ- 1~6〕
 ◯作品2- 1~6〔Hob.Ⅲ- 7~12〕
 ◯作品3- 1~6〔Hob.Ⅲ- 13~18〕

という整理が行われました。

 作品1・2はハイドンが33・34歳のとき(1765・66年)、
 作品3は45歳のとき(1777年)に、
 個別に出版されていたそうです。

この作品1・2・3は、
ハイドン最晩年(1805年)の「ハイドン目録」でも、
本人が認めていたはずなのですが、


その後の研究によって、

 ◯作品3- 1~6〔Hob.Ⅲ- 13~18〕

は、ハイドンの信奉者
ロマン・ホフシュテッター(1742-1815)の贋作が
紛れ込んだと考えられるようになりました。


そのほか、

 ◯作品1- 5〔Hob.Ⅲ- 5〕は、
  交響曲「A」変ロ長調〔Hob.Ⅰ- 107〕の編曲、

 ◯作品2- 3〔Hob.Ⅲ- 9〕は、
  6声のディベルティメント 変ホ長調〔Hob.Ⅱ- 21〕の編曲、

 ◯作品2- 5〔Hob.Ⅲ- 11〕は、
  6声のディベルティメント ニ長調〔Hob.Ⅱ- 22〕の編曲

であることが明らかにされています。


つまり作品1・2・3の計18曲のうち、
初期の弦楽四重奏曲として確実なのは、

 ◎作品1- 1~4・6〔Hob.Ⅲ- 1~4・6〕
 ◎作品2- 1・2・4・6〔Hob.Ⅲ- 7・8・10・12〕

の9曲のみということになります。


さらに本来、
初期の弦楽四重奏曲とすべき1曲が、

 ◎5声のディベルティメント 変ホ長調〔Hob.Ⅱ- 6〕

に誤って分類されていたことも明らかにされています。

これはプレイエル版の全集から欠落しているので、
第0番と呼ばれることがあります。


つまり現在は、第0番を含めた計10曲を、
ハイドンの初期の弦楽四重奏曲と考えるのが通説になっているようです。

これらの作曲年代は、
ハイドン25歳から30歳(1757-62)のころと推定されています。

プレイエル版の通番とともにまとめておきます。

 第0番 変ホ長調〔Hob.Ⅱ- 6〕
 第1番 変ロ長調 作品1- 1〔Hob.Ⅲ- 1〕
 第2番 変ホ長調 作品1- 2〔Hob.Ⅲ- 2〕
 第3番  ニ長調 作品1- 3〔Hob.Ⅲ- 3〕
 第4番  ト長調 作品1- 4〔Hob.Ⅲ- 4〕
 第6番  ハ長調 作品1- 6〔Hob.Ⅲ- 6〕
 第7番  イ長調 作品2- 1〔Hob.Ⅲ- 7〕
 第8番  ホ長調 作品2- 2〔Hob.Ⅲ- 8〕
 第10番  ヘ長調 作品2- 4〔Hob.Ⅲ- 10〕
 第12番 変ロ長調 作品2- 6〔Hob.Ⅲ- 12〕

本CDには、このうち

 第0番 変ホ長調〔Hob.Ⅱ- 6〕
 第6番 ハ長調 作品1- 6〔Hob.Ⅲ- 6〕
 第7番 イ長調 作品2- 1〔Hob.Ⅲ- 7〕
 第8番 ホ長調 作品2- 2〔Hob.Ⅲ- 8〕

の4曲が収録されています。

なおこのCDのケース裏面では、

 変ホ長調「作品1- 5」
 ハ長調 作品1- 6
 「ニ長調」作品2- 1
 「ト長調」作品2- 2

の4曲を収録曲とし、作品番号と調性に誤りがあります。
CD解説の方は正確です。


   ***

さて曲の内容および演奏ですが、

0番も含めて、
1枚目と同じ路線の、

瑞々しい若い感性に支えられた、
軽めの明るい曲が続きます。

ただし1枚目のように、
心洗われる清新な印象は多少弱まったようで、

特定の一楽章に心を奪われることもなく、
平穏な明るい音楽が流れていきました。

若い感性だけで勝負するには限界があって、
多少足踏みをしている感がありました。


これは単に、
私の好みの問題かもしれませんし、
演奏の加減もあるかもしれません。

コダーイ四重奏団は、
曲の内実にまで踏み込んだ充実した演奏で、
曲の魅力を十分に伝えられていると思います。


数ヶ月聴いて、
昨日次の1枚が届きましたので、
3枚目に進みましょうか。


※wikipedia の「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
 「ハイドンの弦楽四重奏曲一覧」「イグナツ・プライエル」
 「ローマン・ホフシュテッター」の各項目を参照。

※JAIRO でインターネット上に公開されている
 飯森豊水の論文「J.ハイドン作『初期弦楽四重奏曲』の帰属ジャンルをめぐって」
 (『哲學』第86集、昭和63年6月)を参照。

※中野博詞『ハイドン復活』(春秋社、平成7年11月)を参照。

※現代音楽作曲家・福田陽氏の
 「ハイドン研究室」〈http://www.masque-music.com/haydn/index.htm〉を参照。

2012年10月30日火曜日

コダーイ四重奏団のハイドン:弦楽四重奏曲第1 - 4番

オーストリアの作曲家
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732 - 1809)の弦楽四重奏曲全曲を、
コダーイ四重奏団の演奏で聴いていきます。

それではまず1枚目です。


ハイドン
弦楽四重奏曲 第1番 変ロ長調 作品1-1〔Hob.Ⅲ-1〕
弦楽四重奏曲 第2番 変ホ長調 作品1-2〔Hob.Ⅲ-2〕
弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 作品1-3〔Hob.Ⅲ-3〕
弦楽四重奏曲 第4番 ト長調 作品1-4〔Hob.Ⅲ-4〕

コダーイ四重奏団
録音:1991年4月8-11日、ブダペスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.550398】


フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
(Franz Joseph Haydn 1732-1809)の弦楽四重奏曲は、

ハイドン生前の1801年に、
弟子のイニャス・プレイエル(1757-1831)によって、
最初の全集が刊行されました。

 ※初版で80曲、第2版で82曲、第3版で83曲を収録。
  プライエル版に従って、第1番から83番まで、
  通番をつけて呼ぶこともあります。


このとき初期の弦楽四重奏曲について、

 ◯作品1- 1~6〔Hob.Ⅲ- 1~6〕
 ◯作品2- 1~6〔Hob.Ⅲ- 7~12〕
 ◯作品3- 1~6〔Hob.Ⅲ- 13~18〕

という整理が行われていました。

作品1・2は 1765・66年(ハイドン33・34歳)、
作品3は 1777年(ハイドン45歳)に、
個別に出版されていたそうです。

この分類は、
最晩年(1805年)に作成させた「ハイドン目録」で、
ハイドン自身が認めたものでもあったのですが、


その後の研究によって、

 ◯作品3- 1~6〔Hob.Ⅲ- 13~18〕

は、ハイドンの信奉者
ロマン・ホフシュテッター(1742-1815)の作品が
紛れ込んだ贋作であると考えられるようになりました。


そのほか、

 ◯作品1- 5〔Hob.Ⅲ- 5〕は、
  交響曲「A」変ロ長調〔Hob.Ⅰ- 107〕からの編曲、

 ◯作品2- 3〔Hob.Ⅲ- 9〕は、
  6声のディベルティメント 変ホ長調〔Hob.Ⅱ- 21〕からの編曲、

 ◯作品2- 5〔Hob.Ⅲ- 11〕は、
  6声のディベルティメント ニ長調〔Hob.Ⅱ- 22〕からの編曲

であることが明らかにされています。


つまり作品1・2・3の計18曲のうち、
初期の弦楽四重奏曲として確実なのは、

 ◎作品1- 1~4・6〔Hob.Ⅲ- 1~4・6〕
 ◎作品2- 1・2・4・6〔Hob.Ⅲ- 7・8・10・12〕

の9曲のみということになります。


さらに本来、
初期の弦楽四重奏曲とすべき1曲が、

 ◎5声のディベルティメント 変ホ長調〔Hob.Ⅱ- 6〕

に誤分類されていたことも明らかにされています。

これはプレイエル版の全集から欠落しているので、
第0番と呼ばれることがあります。

 ※コダーイ四重奏団の全集では、CD2で、
  作品1- 5〔Hob.Ⅲ- 5〕とさしかえて録音しています。


   ***

つまり現在は、第0番を含めた計10曲を、
ハイドンの初期の弦楽四重奏曲と考えるのが通説になっているようです。

作曲年代は、
ハイドン25歳から30歳(1757-62)のころと推定されています。

プレイエル版の通番とともにまとめておきます。

 第0番 変ホ長調〔Hob.Ⅱ- 6〕
 第1番 変ロ長調 作品1- 1〔Hob.Ⅲ- 1〕
 第2番 変ホ長調 作品1- 2〔Hob.Ⅲ- 2〕
 第3番  ニ長調 作品1- 3〔Hob.Ⅲ- 3〕
 第4番  ト長調 作品1- 4〔Hob.Ⅲ- 4〕
 第6番  ハ長調 作品1- 6〔Hob.Ⅲ- 6〕
 第7番  イ長調 作品2- 1〔Hob.Ⅲ- 7〕
 第8番  ホ長調 作品2- 2〔Hob.Ⅲ- 8〕
 第10番  ヘ長調 作品2- 4〔Hob.Ⅲ- 10〕
 第12番 変ロ長調 作品2- 6〔Hob.Ⅲ- 12〕

コダーイ四重奏団による弦楽四重奏曲全集では、
CD1で、このうち

 第1番 変ロ長調 作品1- 1〔Hob.Ⅲ- 1〕
 第2番 変ホ長調 作品1- 2〔Hob.Ⅲ- 2〕
 第3番  ニ長調 作品1- 3〔Hob.Ⅲ- 3〕
 第4番  ト長調 作品1- 4〔Hob.Ⅲ- 4〕

が演奏されていることになります。


   ***

この全集で演奏を担当した
コダーイ四重奏団(Kodaly Quarte)は、

1966年に、
ブダベストのフランツ・リスト・アカデミーの
学生4名が結成した「セベスチェン四重奏団」がもとになり、
1971年から「コダーイ四重奏団」として活動するようになりました。

1980年に第1ヴァイオリンが、
 アッティラ・ファルヴェイ
に替わり、それまでのメンバー、
 タマーシュ・ザボ(第2ヴァイオリン)、
 ガボール・フィアス(ヴィオラ)、
 ヤーノシュ・デヴィチ(チェロ)
とともに世界的に活躍するようになりました。

このメンバーで、NAXOS の
ハイドン全集の録音が行われています。

 ※CD解説(1991年発売)と
  コダーイ四重奏団のHP〈http://www.kodalyquartet.com/〉を参照。
  現在は、第1ヴァイオリン以外、メンバーが変わっています。


   ***

さて肝心の演奏ですが、

しっかりした様式感の中に、
清々しく、明るい気持ちにさせられる
ハイドン独自の世界が描き出されており、

ふつうに楽しむことができました。

とくに Adagio の
清涼で深遠な感じは他にないもので、
第1番と第4番のそれは私のお気に入りになりました。


確かに全体として、
それほど個性を際立たせたところはないので、

一夜のコンサートで、作品1だけ
6曲続けて聴かされるとしたら少々退屈な気もしますが、


ベートーヴェンやシューベルト、
ショスタコーヴィチなどの濃密な曲の合い間に、
1曲選んで演奏したら、

清涼剤的な役割を果たしうる
素敵な作品だと思いました。


コダーイ四重奏団は、
楽譜の表面だけを追うことなく、
ほどほどに作品の内実に迫ろうとするバランスが好ましく、
ハイドンにはとても合っていると思いました。

ほんの少し、
音程で気になるところもあったのですが、
かなり神経質に聴かなければ大丈夫なレベルだと思います。

では、次に進みましょうか。



※wikipedia の「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
 「ハイドンの弦楽四重奏曲一覧」「イグナツ・プライエル」
 「ローマン・ホフシュテッター」の各項目を参照。

※JAIRO でインターネット上に公開されている
 飯森豊水の論文「J.ハイドン作『初期弦楽四重奏曲』の帰属ジャンルをめぐって」
 (『哲學』第86集、昭和63年6月)を参照。

※中野博詞『ハイドン復活』(春秋社、平成7年11月)を参照。
 日本語の一般書で、最新の研究を踏まえ、
 ハイドンの作品の全容を概観してあるものとしては、
 中野氏の本書が一番良いようです。
 たまたま出版時に購入し、手もとに置いてありました。


※現代音楽作曲家・福田陽氏の
 「ハイドン研究室」〈http://www.masque-music.com/haydn/index.htm〉を参照。