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2015年4月13日月曜日

シュナーベルのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 その6

オーストリア出身のピアニスト
アルトゥール・シュナーベル
(Artur Schnabel 1882.4-1951.8)が、
50歳から53歳にかけて(1932-35)録音した

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven 1770.12-1827.3)の
ピアノ・ソナタ全集の6枚目です。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ録音協会全集第6集

ベートーヴェン(1770-1827)
1) ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調《テンペスト》作品31-2
2) ピアノ・ソナタ 第18番 変ホ長調 作品31-3
3) ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調《ワルトシュタイン》作品53

アルトゥル・シュナーベル(ピアノ)
録音:1934年4月27-28日〔17番〕、1932年5月25日〔18番〕、1934年4月25日・5月7日〔19番〕、EMIアビー・ロード第3スタジオ、ロンドン
【Naxos 8.110760】


1) ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調《テンペスト》作品31-2
2) ピアノ・ソナタ 第18番 変ホ長調 作品31-3

ベートーヴェンのピアノ・ソナタは、
通常、作品31の3曲から「中期」に分類されています。

《テンペスト》《ワルトシュタイン》は勿論ですが、

特別な名前のない作品31-3も、
聴いてすぐ充実度のわかる名曲です。


作品31は、

 第16番 ト長調 作品31-1
 第17番 ニ短調 作品31-2《テンペスト》
 第18番変ホ長調作品31-3

という3曲からなります。

まず作品31-1・2が、
32歳の時(1803.4)に出版されたものの、
楽譜に誤りが多かったのですぐに改訂版が出版されました(1803.6)。

しかしこれにも誤りがあったため、

翌年、33歳の時(1804.6)に1曲加えて
作品31-1・2・3 として出版されました。


こののち34歳の時(1805.1)に

 第19番ト短調作品49-1
 第20番ト長調作品49-2

の2曲が出版されますが、
これは若いころの作品をまとめ直したものなので、

ふつう初期のソナタに分類されており、
この全集でもCD2枚目に収録されています。


3) ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調《ワルトシュタイン》作品53

は《テンペスト》から2年をへて、
34歳の時(1805.5)に出版された作品です。


時期的には、
交響曲第2番・第3番が初演された時期に重なります。

 交響曲第2番ニ長調作品36
  (初演 1803.4)
 交響曲第3番変ホ長調《英雄》作品55
  (初演 1804.12)


  ***

シュナーベルさんのピアノは、

たいへん雄弁なのですが、
全体の見通しはとても良く、
どういう曲なのか手に取るようにわかるのが特徴的です。

没入して精神的に追いつめていくタイプの演奏ではなく、

楽しくおしゃべりしていくような、
語りかける表現のうまさを感じる演奏です。

細部にこだわり過ぎることもなく、
曲全体の真価を知りたい時にぜひ聴いておきたい演奏だと思います。


《テンペスト》と
《ワルトシュタイン》はよく聴いてきているはずですが、

全体の見通しの良さに、
初めて聴くような感動を覚えました。

これまで特に意識していなかった作品31-3も、
同じ時期に作られた佳曲の一つであることは
よくわかりました。


※横山千史著
 『ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全作品解説』
 (アルテスパブリッシング、2013年12月)参照。

※ペティナ・ピアノ曲事典「ベートーヴェン」
 【http://www.piano.or.jp/enc/composers/61/】を参照。

※Wikipedia の「アルトゥル・シュナーベル」
 「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
 「ベートーヴェンの楽曲一覧」を参照。

2014年8月31日日曜日

シュナーベルのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 その5

オーストリア出身のピアニスト
アルトゥール・シュナーベル
(Artur Schnabel 1882.4-1951.8)が、
50歳から53歳にかけて(1932-35)録音した

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven 1770.12-1827.3)の
ピアノ・ソナタ全集の5枚目です。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ録音協会全集第5集

ベートーヴェン(1770-1827)
1) ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27-2《月光》
2) ピアノ・ソナタ 第15番 ニ長調 作品28《田園》
3) ピアノ・ソナタ 第16番 ト長調 作品31-1

アルトゥル・シュナーベル(ピアノ)
録音:1934年4月10-11日〔14番〕、1933年2月3・17日〔15番〕、1935年11月5-6日、37年1月15日〔16番〕、EMIアビー・ロード第3スタジオ、ロンドン
【Naxos 8.110759】


1) ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27-2《月光》 は、

31歳の時(1802.3)に出版された
5曲のソナタのうち最後から2番目の作品です。

 第11番 変ロ長調 作品22
 第12番 変イ長調 作品26《葬送》
 第13番 変ホ長調 作品27-1《幻想風》
 第14番 嬰ハ短調 作品27-2《月光》
 第15番  ニ長調  作品28《田園》

作品27の第2曲目でもあります。

言わずと知れた名曲ですが、

前のCDから続けて聴くと、
作品27-1と曲想が似ているなあ、と感じました。

作品27の2曲は、
コンサートなどで続けて取り上げたら、

よりわかりやすく感じられるように思いました。


2) ピアノ・ソナタ 第15番 ニ長調 作品28《田園》は、

31歳の時(1802年8月)に出版された
5曲のソナタのうち最後の作品です。

第15番までを初期、もしくは
第11-15番を初期から中期への移行期とみなし、

次の第16番からは中期の作品とみなすことが多いようです。


初めてハイドシェックの演奏で聴いた時は、

今一つまとまりに欠けるような気がして
良くわからなかったのですが、

全体の構成が飲み込めてきたからか、
シュナーベルの演奏によるものか、

充実した内容をもつ中規模な作品として、
よくできた名曲であることがわかって来ました。


3) ピアノソナタ 第16番 ト長調 作品31-1 は、

作品31の3曲は、

まず作品31-1・2が、
32歳の時(1803.4)に出版されたものの、
楽譜に誤りが多かったため6月に改訂版が出版されました。

しかしこれにも誤りがあったため、

翌年、33歳の時(1804.6)に1曲加えて
作品31-1・2・3 として出版されたということです。

 第16番 ト長調 作品31-1
 第17番 ニ短調 作品31-2《テンペスト》
 第18番変ホ長調作品31-3

の3曲のうち《テンペスト》以外は
ほとんど聴いて記憶がありません。

聴いてみると、

構造はより簡潔に、
しかし中身はより濃く、
一歩深まりを見せている様子が聴き取れます。

とくに第2楽章の深まりは、新鮮な驚きでした。

シュナーベルのピアノ、
曲全体の構造がとてもよくわかる演奏で、

新たな名曲に出会うことができた気分です。


※L.v.ベートーヴェン全作品目録(国立音楽大学 音楽研究所)
 【http://www.ri.kunitachi.ac.jp/lvb/bdb/bdb_index.html】を参照。

※ペティナ・ピアノ曲事典「ベートーヴェン」
 【http://www.piano.or.jp/enc/composers/61/】を参照。

※Wikipedia の「アルトゥル・シュナーベル」
 「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
 「ベートーヴェンの楽曲一覧」を参照。

2013年12月30日月曜日

シュナーベルのベートーヴェン:ピアノソナタ全集 その4

オーストリア出身のピアニスト
アルトゥール・シュナーベル
(Artur Schnabel 1882.4-1951.8)が、
50歳から53歳にかけて(1932-35)録音した

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven 1770.12-1827.3)の
ピアノソナタ全集の4枚目です。


ベートーヴェン・ピアノソナタ録音協会全集第4集

ベートーヴェン(1770-1827)
ピアノソナタ 第11番 変ロ長調 作品22
ピアノソナタ 第12番 変イ長調 作品26《葬送》
ピアノソナタ 第13番 変ホ長調 作品27-1《幻想風》

アルトゥル・シュナーベル(ピアノ)
録音:1933年4月12・13日〔11番〕、1934年4月25-27日・5月7日〔12番〕、1932年11月1日〔13番〕、EMIアビー・ロード第3スタジオ、ロンドン
【Naxos 8.110756】


ピアノ・ソナタ第11番 変ロ長調 作品22 は、

 29歳の時(1800)に作曲され、
 31歳の時(1802.3)に出版された作品です。

ピアノ・ソナタ第12番 変イ長調 作品26《葬送》 は、

 30歳の時(1801.4以降)に完成され、
 31歳の時(1802.3)に出版された作品です。

ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調 作品27-1《幻想風》 は、

 30歳の時(1801.4以降)に完成され、
 第14番《月光》とともに作品27として、
 31歳の時(1802.3)に出版された作品です。


3曲とも同時期に完成しているだけあって、
似た雰囲気です。

はじめのころのような、
古典的なたたずまいからは相当逸脱しているのですが、
この後の《テンペスト》や《熱情》のような強烈な個性は、
まだ感じません。

元気溌剌とした青春の明るさにつらぬかれた中で、
最大限、ベートーヴェンの個性が発揮された作品であるように感じました。


さらっと聴くだけだと、
あまりピンと来ないのですが、
シュナーベルの雄弁な演奏で聴き込むと、
それぞれに独特の個性をもった名曲であることがわかって来ました。


この中で第12番《葬送》は、
ゆるやかで慈しむような出だしが心地良く、
お気に入りの1曲になりました。

第11番は、演奏効果の高い、
聴き映えのする1曲だと思いますが、
これだけが孤立して存在している感じで、
位置付けが難しいように思いました。

第13番は、
かたちがだいぶ崩れていて不思議な感じがしましたが、
第14番《月光》とセットになっていると言われたら、
わかるように思いました。



※L.v.ベートーヴェン全作品目録(国立音楽大学 音楽研究所)
 【http://www.ri.kunitachi.ac.jp/lvb/bdb/bdb_index.html】を参照。

※ペティナ・ピアノ曲事典「ベートーヴェン」
 【http://www.piano.or.jp/enc/composers/61/】を参照。

※Wikipedia の「アルトゥル・シュナーベル」
 「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
 「ベートーヴェンの楽曲一覧」を参照。

2013年6月12日水曜日

シュナーベルのベートーヴェン:ピアノソナタ全集 その3

オーストリア出身のピアニスト
アルトゥル・シュナーベル
(Artur Schnabel 1882.4-1951.8)が、
50歳から53歳にかけて(1932-35)録音した

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven 1770.12-1827.3)の
ピアノソナタ全集の3枚目です。


ベートーヴェン・ピアノソナタ録音協会全集第3集

ベートーヴェン(1770-1827)
ピアノソナタ 第7番 ニ長調 作品10-3
ピアノソナタ 第8番 ハ短調《悲愴》作品13
ピアノソナタ 第9番 ホ長調 作品14-1
ピアノソナタ 第10番 ト長調 作品14-2

アルトゥル・シュナーベル(ピアノ)
録音:1935年11月12日〔7番〕、1933年10月2日・1934年4月3日〔8番〕、1932年3月25日〔9番〕、1934年4月23日〔10番〕、EMIアビー・ロード第3スタジオ、ロンドン
【Naxos 8.110695】


ピアノ・ソナタ第7番 ニ長調 作品10-3 は、

27歳のとき(1798.9)に出版された
3つのピアノ・ソナタの最後の1曲です。

 第5番 ハ短調 作品10-1(3楽章)
 第6番 ヘ長調 作品10-2(3楽章)
 第7番 ニ長調 作品10-3(4楽章)

第5・6番は、3楽章制で
コンパクトにまとめられていたのに対して、
第7番は4楽章制で、規模の大きなものとなっています。

しかし多少無理して大きくしたようなところがあって、

とくに物思いに沈み込んでいくような第2楽章は、
間延びした感じもあってまとめるのが難しそうでした。

何度も聴き返して、
2楽章が耳に馴染んでくると、

全体の構造も見えてきて、
それなりに楽しめるようになりました。


ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調《悲愴》作品13 は、

28歳のとき(1799秋)に出版された作品です。

いつからとは思い出せないのですが、
ピアノ教室の生徒が弾いていた記憶もあって、
よく知っている曲です。

それなりに集中して聴いたのは、
ハイドシェックさんのライブ録音以来でしょうか。

この曲は、
シュナーベルさんにとっても想い入れのある曲なのか、
また有名すぎて演奏しにくかったのか、

多少もって回ったようなところがあって、
耳に馴染むのに少し時間がかかりました。

珍しく半年ほど置いて、録り直しをしているので、
どこか意に満たないところがあったのかもしれません。

でも独特の節回しで、
細かいことは気にせずに、
曲の本質のみをつかんで語りかけてくる
シュナーベルのピアノは、

一聴の価値ありです。


ピアノ・ソナタ第9番 ホ長調 作品14-1
ピアノ・ソナタ第10番ト長調 作品14-2

は、29歳のとき(1799.12)に2曲合わせて出版されました。

3楽章構成で、品良くまとめられた作品です。

気持ちを前向きに、
明るく楽しい方へと導いてくれる作品です。

シュナーベルの演奏は2曲とも完璧です。

作品14の魅力を十二分に引き出していて、
初めていい曲だな、と思って聴き通すことができました。


CD3枚目は、
第9・10番の魅力を発見できたのが一番の収穫でした。
では4枚目に進みましょう。


※L.v.ベートーヴェン全作品目録(国立音楽大学 音楽研究所)
 【http://www.ri.kunitachi.ac.jp/lvb/bdb/bdb_index.html】を参照。

※ペティナ・ピアノ曲事典「ベートーヴェン」
 【http://www.piano.or.jp/enc/composers/61/】を参照。

※Wikipedia の「アルトゥル・シュナーベル」
 「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
 「ベートーヴェンの楽曲一覧」を参照。


2013年2月28日木曜日

シュナーベルのベートーヴェン:ピアノソナタ全集 その2

オーストリア出身のピアニスト
アルトゥル・シュナーベル
(Artur Schnabel 1882.4-1951.8)が、
50歳から53歳にかけて(1932-35)録音した

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven 1770.12-1827.3)の
ピアノソナタ全集の2枚目です。


ベートーヴェン・ピアノソナタ録音協会全集第2集

ベートーヴェン(1770-1827)
 ピアノソナタ 第19番 ト短調 作品49-1
 ピアノソナタ 第20番 ト長調 作品49-2
 ピアノソナタ 第4番 変ホ長調 作品7
 ピアノソナタ 第5番 ハ短調 作品10-1
 ピアノソナタ 第6番 ヘ長調 作品10-2

アルトゥル・シュナーベル(ピアノ)
録音:1932年11月19日〔19番〕、1933年4月12日〔20番〕、1935年11月11日〔4番〕、1935年11月6日〔5番〕、1933年4月10日〔6番〕、EMIアビー・ロード第3スタジオ、ロンドン
【Naxos 8.110694】


作品49(第19・20番)のソナタは、
34歳のとき(1805.1)に出版された作品ですが、

様式上、
25歳のとき(1796.3)に出版された作品2(第1-3番)のソナタと、
26歳のとき(1797.10)に出版された作品7(第4番)のソナタの、
間に作曲されたと考えられる作品なので、
CD2の冒頭に置かれているようです。

出版譜には「2つのやさしいピアノ・ソナタ」とあり、
ともに2楽章ずつからなる学習者用の作品ですが、
名手の手にかかるとさすがです。

他のソナタとは確かに趣向が違いますが、
ほっと一息、力を抜いたときの、明るいやさしさに包まれたベートーヴェンの小品として、魅力のある作品だと思いました。


作品7(第4番)のソナタは、
26歳のとき(1797.10)に出版された作品です。

作品2(第1-3番)のソナタと同じく、4楽章で構成されています。

ベートーヴェンの若々しい情熱が、
外に向かって放出される感のある曲で、

第3番からさらにもう一歩、
大きな規模の作品に挑戦してみた結果のようです。

緩徐楽章のみ、
多少間延びしてるようで、
全体像がつかみにくかったのですが、

ほかの楽章は、
雄弁なシュナーベルの演奏に魅了されました。


作品10(第5-7番)のソナタは、
27歳のとき(1798.9)に出版された作品です。

このCDには第5・6番が収録されています。
ともに3楽章で構成されています。

第5番はピアノ学習者がよく取り上げる曲で、
「ハ短調」の印象的な出だしが耳に残ります。

第6番とともに、
それほど大きな規模の作品ではありませんが、

元気でハツラツとしていた時期の
若きベートーヴェンを楽しむのにはもってこいの作品です。


全体としてみると、

まだ若さあふれる時期の
勢いのある小さめの規模の作品の魅力が、

シュナーベルの喋りかけるような雄弁なピアノで、
存分に引き出されていると思いました。


※L.v.ベートーヴェン全作品目録(国立音楽大学 音楽研究所)
 【http://www.ri.kunitachi.ac.jp/lvb/bdb/bdb_index.html】を参照。

※ペティナ・ピアノ曲事典「ベートーヴェン」
 【http://www.piano.or.jp/enc/composers/61/】を参照。

※Wikipedia の「アルトゥル・シュナーベル」
 「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
 「ベートーヴェンの楽曲一覧」を参照。

2013年1月3日木曜日

シュナーベルのベートーヴェン:ピアノソナタ全集 その1

オーストリア出身のピアニスト
アルトゥル・シュナーベル
(Artur Schnabel 1882.4-1951.8)が、
50歳から53歳にかけて(1932-35)録音した

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven 1770.12-1827.3)の
ピアノソナタ全集を聴いていきます。

ベートーヴェンのピアノソナタ全集を最初に録音したのが、
シュナーベルというピアニストであったことは
以前から知っていましたが、

その演奏を聴く機会はありませんでした。


Documents から2009年に、
格安で発売された10枚組の全集(1000円台前半)を聴いたのが、
私の初シュナーベル体験だったと思います。



お昼時にBGMのつもりで
1枚ずつ流しはじめたのですが、

志ん生の落語を聴くような、
独特の雄弁な語り口にすぐに魅了されました。

少々荒っぽいところもありますが、
テクニックに欠けるわけではなく、

聴かせどころのツボを良く心得ていて、
どの曲も実におもしろく聴かせてくれました。


Documents 盤は、
針音がきれいに取り除かれていて、
1930年代の録音とは信じられないくらいなのですが、

その分、
緩徐楽章の微妙な雰囲気まで、
きれいに取り除かれているようでした。


改めてNaxos 盤を取り寄せてみると、

針音がほどほどに残されてるおかげで、
その場で弾かれているような臨場感はこちらの方が上でした。

とくに急ぐつもりはないので、今回は、
Naxos 盤を1枚ずつ聴き進めることにします。


   ***

それでは1枚目です。


ベートーヴェン・ピアノソナタ録音協会全集第1集

ベートーヴェン(1770-1827)
ピアノソナタ 第1番 ヘ短調 作品2-1
ピアノソナタ 第2番 イ長調 作品2-2
ピアノソナタ 第3番 ハ長調 作品2-3

アルトゥル・シュナーベル(ピアノ)
録音:1934年4月23・24・28日〔1番〕、1933年4月9日〔2番〕、1934年4月26-27日〔3番〕、EMIアビー・ロード第3スタジオ、ロンドン
【Naxos 8.110693】

25歳のとき(1796年3月)に、
ウィーンで出版されたのが、
3曲からなる作品2のピアノソナタです。

作曲は1974-75年にかけて行われたと考えられていますので、
20代前半の作品ということになります。


私の母がピアノの先生をしていたので、
第1番は何度もくりかえし聴いた記憶があります。

ほかの2曲もこれまで何度も聴いていますが、
今回初めて、ベートーヴェンってすごい、と思いながら、
3曲を聴き通すことができました。

確かにこれは、
ハイドンやモーツァルトとは異質の音楽で、
新しい才能が瑞々しく花開いているさまを聴くことができました。


シュナーベルのベートーヴェンは、

一聴あっさりとした印象で、
細部にこだわりぬくよりは、

全体の造形をしっかり保ちつつ、
その中でほどほどに自由にふるまって、

コンサートでお客さんに実際に語りかけているような、
雄弁な演奏を聴かせています。


非常な聴かせ上手というか、
ベートーヴェンとの、非常な相性の良さを感じました。

ここふた月ほど、
ずっとこればかり聴いて来ましたので、
1月からは次の1枚にうつります。



※L.v.ベートーヴェン全作品目録(国立音楽大学 音楽研究所)
 【http://www.ri.kunitachi.ac.jp/lvb/bdb/bdb_index.html】を参照。

※ペティナ・ピアノ曲事典「ベートーヴェン」
 【http://www.piano.or.jp/enc/composers/61/】を参照。

※Wikipedia の「アルトゥル・シュナーベル」
 「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
 「ベートーヴェンの楽曲一覧」を参照。