ラベル ▽ヘッツェル の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ▽ヘッツェル の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2014年11月26日水曜日

ヘッツェル&渡邉暁雄のブラームス:ヴァイオリン協奏曲(1988年録音)

ユーゴスラビア生まれのヴァイオリニスト
ゲルハルト・ヘッツェル(1940.4-1992.7)の独奏で、

ドイツの作曲家
ブラームス(1833.5-1897.4)と

オーストリアの作曲家
モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ヴァイオリン協奏曲を聴きました。


ブラームス
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
 東京都交響楽団
 渡邉暁雄(指揮)
 録音:1988年3月16日、東京文化会館(第269回定期演奏会)

モーツァルト
ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219《トルコ風》
 読売日本交響楽団
 ハインツ・レーグナー(指揮)
 録音:1988年3月14日、東京、サントリーホール(第260回名曲シリーズ)

ゲルハルト・ヘッツェル(ヴァイオリン)
【TBRCD0020-2】


ブラームス(1833.5-1897.4)
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
は作曲者45歳の時(1879.1)に初演された作品、

モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ヴァイオリン協奏曲第5番 ニ長調《トルコ風》K.219
は作曲者19歳の時(1775.12)に完成された作品です。


どちらも1988年3月に行われたコンサートのライブ録音です。

独奏のゲルハルト・ヘッツェル(1940.4-1992.7)は47歳、

指揮者の渡邉暁雄(1919.6-1990.6)は68歳、
ハインツ・レーグナー(1929.1-2001.12)は58歳、

を迎えていました。


  ***

ヘッツェルさんのファンなので、このCDは、
昨年6月に発売されてから気になっていました。

ただブラームスは独奏者にとって
技術的にも内容的にも相当な難曲のはずで、
ライブで充実した演奏を聴くことはほぼ皆無です。

モーツァルトも技術的にはともかく、
内容面で満足できる演奏を聴くことは稀で、
いくらヘッツェルさんでもどうだろうと思っていました。


しかし今回聴いてみて、
予想以上の充実ぶりに驚きました。

最初にヘッツェルさんの凄さに気がつかされたのは、
遺作となったブラームスのヴァイオリン・ソナタ全集ですが、

その時以来、
ヘッツェル独特の
よく歌うヴァイオリンの記憶がよみがえり、

久しぶりにブラームス:ヴァイオリン協奏曲の、
しみじみとした美しさを存分に堪能することができました。

ライブで聴けたら一生の宝ものになりそうな演奏でした。

絹糸のようになめらかな艶のある音色で、
全身全霊を歌うために捧げているような演奏で、

ブラームスの協奏曲ってこんなに美しかったのかと感動を新たにしました。

あと渡邉暁雄氏の指揮も非常に優れていました。

よくありがちな
お腹にずどーんと来る重力級の響きではなく、

少し軽めの華やかな、
独特の品を感じさせる響きで、
ぴったりとヘッツェルのソロにつけていて、

しっかりとした構成感をみせつつ、
ソリストと同じ方向を向いて全体をうまくまとめあげており、
文句のつけようのない立派な伴奏でした。

渡邉暁雄氏のブラームスって、
案外良いのかもしれません。

しばらくブラームスのヴァイオリン協奏曲は
聴いてこなかったので、

久しぶりに他の方のも聴きなおしてみたくなりました。


もう1曲、
モーツァルトも同じタイプのよく歌う演奏。

でも意外に、どこもかしこも
良く歌っているモーツァルトには出会わないので、
新鮮な印象で聴き通すことができました。

レーグナーの伴奏は、
恐らくウィーン風といって良さそうな雰囲気で、

特に個性を際立たせるわけではないものの、
伴奏としては手堅く十分に役目を果たしていると思いました。


ウィーン・フィルの
コンサート・マスターとして活躍されたわけですが、

独奏者としても
十分以上に活躍しうる技量をもった方であったことを再認識しました。

ベートーヴェンの協奏曲も、
ヘッツェルさんと相性良さそうなので、
どこかに録音が隠れていないものでしょうか。

2014年10月27日月曜日

ウィーン室内合奏団のモーツァルト:ディヴェルティメント第15番(1992年録音)

オーストリアのザルツブルク生まれの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ディヴェルティメント第15番を、

ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めた
ユーゴスラヴィア生まれのヴァイオリニスト、
ゲルハルト・ヘッツェル(1940.4-1992.7)率いる
ウィーン室内合奏団の演奏で聴きました。


モーツァルト
1) ディヴェルティメント(第15番)変ロ長調 K.287(271H)
  (“第2ロドゥロン・ナハトムジーク”)
2) 音楽の冗談 ヘ長調 K.522

ウィーン室内合奏団
 ゲルハルト・ヘッツェル(第1ヴァイオリン)
 ヨーゼフ・ヘル(第2ヴァイオリン)
 ハット・バイエルレ(ヴィオラ)
 アーダルベルト・スコチッチ(チェロ)
 ヘルベルト・マイヤー(コントラバス)
 フランツ・ゼルナー(ホルン)
 フォルカー・アルトマン(ホルン)

録音:1992年4月4-9日、ウィーン、カジノ・ツェーガーニッツ
【COCO-73010】

ディヴェルティメント 変ロ長調 K.287(281H) は、

20歳の時(1776.6)に
エルンスト・ロドゥロン伯爵夫人の
聖命祝日のために作曲されたことが明らかな作品です。

「第2ロドゥロン・ナハトムジーク」と呼ばれることもあります。

音楽の冗談 K.522 は、
モーツァルト31歳の時(1787.6)に完成された作品です。

(竹内ふみ子氏のCD解説を参照。)


  ***

どちらも初めて聴きました。
「第2ロドゥロン・ナハトムジーク」は、

明るく典雅な雰囲気をたたえた可憐な作品で、

聴けば聴くほど味わいが増す、
よく練られた佳曲でした。

仕事や勉強をしながら聴くのにもってこい、
というと怒られてしまうかもしれませんが、

仕事をしながらくり返し聴くほどに、
よくできた曲であることが伝わってきました。

恐らくほかと聴き比べたほうが、
良さがわかってくると思うので、

ほかの演奏も探して聴いてみようと思います。


ヘッツェルさんのヴァイオリンは、
室内楽のときは絶対に出しゃばろうとしないので、

これだけ聴いていると、
何も自己主張していないようにすら聴こえるのですが、

楽譜を深く読み込んで、

作曲家の意図を
音楽的に再現することにのみ集中している
「我」を排した音楽は、

聴き込むほどに味わい深く、
一つの理想的なかたちを実現していると思いました。


「音楽の冗談」は初めて耳にしました。
これは演奏を云々する以前に、曲が今ひとつ。

数回聴けば十分です。

2014年9月29日月曜日

ウィーン室内合奏団のモーツァルト:ディヴェルティメント第10&7番(1991年録音)

オーストリアのザルツブルク生まれの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ディヴェルティメント第10番と第7番を、

ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めた
ユーゴスラヴィア生まれのヴァイオリニスト、
ゲルハルト・ヘッツェル(1940.4-1992.7)率いる
ウィーン室内合奏団の演奏で聴きました。


モーツァルト
1) 行進曲 ヘ長調 K.248
  ディヴェルティメント(第10番)ヘ長調 K.247
  (“第1ロドゥロン・ナハトムジーク”)

2) 行進曲 ニ長調 K.290(K6:167AB)
  ディヴェルティメント(第7番)ニ長調 K.205(K6:167A)

ウィーン室内合奏団
 ゲルハルト・ヘッツェル(第1ヴァイオリン)
 ヨーゼフ・ヘル(第2ヴァイオリン)*1〕
 ハット・バイエルレ(ヴィオラ)
 アーダルベルト・スコチッチ(チェロ)*1〕
 ヘルベルト・マイヤー(コントラバス)
 フランツ・ゼルナー(ホルン)
 フォルカー・アルトマン(ホルン)
 ミヒャエル・ヴェルバ(バスーン)*2〕

録音:1991年4月29日-5月4日、ウィーン、カジノ・ツェーガーニッツ
【COCO-73010】


行進曲 ヘ長調 K.248 と
ディヴェルティメント ヘ長調 K.247 は、

20歳の時(1776.6)に
エルンスト・ロドゥロン伯爵夫人の
聖命祝日のために作曲されたことが明らかな作品です。

「第1ロドゥロン・ナハトムジーク」と呼ばれることもあります。


行進曲 ニ長調 K.290(167AB) と、
ディヴェルティメント ニ長調 K.205(167A) は、

作曲の経緯が明らかでなく、
この2曲を続けて演奏した確証もありませんが、
作品研究の結果、

 1772年夏⇒ K.290
 1773年夏⇒ K.205

の順で、同じ時期に作曲された
同じ調性の作品として、合わせて演奏されています。

(竹内ふみ子氏のCD解説を参照。)


  ***

どちらも初めて聴いて、
1月ほどくりかえし聴いて来ました。

コンサートでじっくり聴くのも良いかもしれませんが、

勉強したり、本を読んだり、
何かしながらBGMとして聴くのにぴったりな2曲でした。

一聴明らかにモーツァルトなのですが、
曲ごとの個性が際立っているわけではないので、

少し聴いて、
何番のディヴェルティメントなのか、
わかるところまではいきませんでした。


へッツェル率いる
ウィーン室内合奏団の演奏、

変に出しゃばったところが微塵もない、
けれども細部まで奏者の神経がゆきわたっている
音楽的に充実した演奏で、

聴くほどに味わいが増してくるようです。


恐らく他の演奏も聴いてみたほうが、
こちらの価値がわかると思うので、

ディヴェルティメント残りの1枚を聴いたら、
他の団体の録音も来てみようと思います。


2014年3月31日月曜日

ウィーン室内合奏団のモーツァルト:ディヴェルティメント第17番&第1番(1991年4-5月録音)

オーストリアのザルツブルク生まれの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ディヴェルティメント第17番と第1番を、

ユーゴスラヴィア生まれのヴァイオリニストで
ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めた
ゲルハルト・ヘッツェル(1940.4-1992.7)率いる
ウィーン室内合奏団の演奏で聴きました。


W.A.モーツァルト
1) ディヴェルティメントニ長調
  行進曲 ニ長調 K.445(K6-320c)
  ディヴェルティメント(第17番)ニ長調 K.334(K6-320b)
2) ディヴェルティメント(第1番)変ホ長調 K.113(初稿)

ウィーン室内合奏団
 ゲルハルト・ヘッツェル(第1ヴァイオリン)
 ヨーゼフ・ヘル(第2ヴァイオリン)
 ハット・バイエルレ(ヴィオラ)
 アーダルベルト・スコチッチ(チェロ)
 ヘルベルト・マイヤー(コントラバス)
 フランツ・ゼルナー(ホルン)
 フォルカー・アルトマン(ホルン)
 ノルベルト・トイブル(クラリネット)*2)
 ヨハン・ヒントラー(クラリネット)*2)

録音:1991年4月29日-5月4日、ウィーン、カジノ・ツェーガーニッツ
【COCO-70441】

 ディヴェルティメント 第1番 変ホ長調 K.113 は、

モーツァルト15歳の時(1771)の作品。

 ディヴェルティメント 第17番 ニ長調 K.334 と、
 行進曲ニ長調 K.445 は、

モーツァルト24歳の時(1780)の作品です(異説あり)。

行進曲K.445は、
ディヴェルティメントK.334への導入曲として
追加で作曲されたもので、一緒に演奏されることが多いそうです。


モーツァルトのディヴェルティメントは、
第1番から第17番までの17曲とするのが普通です。

この時期はちょうど、
交響曲 第12番 ト長調 K.110 から
交響曲 第34番 ハ長調 K.338 まで
が作られた時期に当たるので、

後期の6大交響曲が作曲される前に、
ディヴェルティメントの作曲は終わっていたことになります。

この後、
32歳の時(1788)に作曲された

 弦楽三重奏のためのディヴェルティメント 変ホ長調 K.563

もありますが、こちらはふつう通番で呼ばれることはありません。


  ***

このCD、
モーツァルトのディヴェルティメントだからと言うよりは、

贔屓のヴァイオリニスト、
ゲルハルト・ヘッツェル氏率いる
ウィーン室内合奏団の演奏という理由で手に入れいました。

ヘッツェルが登山事故で亡くなる(1992年7月)1年前の録音です。

同じ時期に、
ディヴェルティメントの第7・10・15番等も録音されているので、
事故がなければ、他にも色々な作品が収録されていたかもしれません。


ヘッツェル氏のヴァイオリン、

出しゃばった所、気負った所がどこにもなく、
楽譜に書かれたことを忠実に再現するスタイルで、

曲の本質をありのままで伝えようとする
誠実な人柄が偲ばれる演奏なので、

刺激的なものを求めると肩透かしにあうかもしれません。


しかし凡庸なわけではなく、
絹のようになめらかな音色で、
自然な流れを失わない範囲で、
切れ味の鋭い、品のある演奏を聴かせてくれます。

繰り返し聴き込んでいきたい名演です。


※梅沢敬一氏によるCD解説を参照。

2011年4月20日水曜日

ヘッツェルのブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集

久しぶりに聴きなおして、やっぱりいいなあ、と惚れなおしました。

ブラームスのヴァイオリン・ソナタは、
ウィーン・フィルのコンサート・マスター、ゲアヘルト・ヘッツェルさんが、
登山中の不慮の事故で亡くなる半年前(1992年1月)に、
ヘルムート・ドイチュさんとともに録音したCDが、
すばらしいです。



ブラームス
ヴァイオリン・ソナタ
第1番 ト長調 作品78 「雨の歌」
第2番イ長調 作品100
第3番二短調 作品108

ゲアヘルト・ヘッツェル(ヴァイオリン)
ヘルムート・ドイチュ(ピアノ)

ウィーン、カジノ・ツェーゲルニッツにて収録。
1992年1月23~28日
【PCCL00272】



50歳を過ぎ、満を持して取り組んだ最初のソロの録音です。
引続き、モーツァルトとベートーヴェンのソナタも録音する予定であったそうです。

「自分を常に作曲家、および作品のしもべであると感じており、
外面的な効果には、いつも不信の念で対していた」という
(ドイチュ、訳:鮫島有美子、CD解説書)
ヘッツェルさんのソロは、

恣意的なところは何もなく、
目立ったことを何もしていないにもかかわらず、
ただそのままで、心の内側からの、熱い想いが、
つよく心に染みわたってくる演奏です。

あらゆる気遣いと、優しさに満ちた、
しかし人一倍の心の強さにも支えられた
熱い音楽に励まされて、
またがんばろう、と思うのでした。


穏やかに心かはして君とゐる
雨の歌へと祈りを捧ぐ

静かなるその悲しみを受け止めて
春につらなる轍(わだち)を想ふ

ともにゐて恋に涙を流しつつ
空を仰いで微笑みとなる