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2017年8月7日月曜日

リュプザムのバッハ:シュプラー・コラール集 BWV645-650(1988年録音)

ドイツ系アメリカ人のオルガニスト
ヴォルフガング・リュプザム
(Wolfgang Rübsam, 1946年10月- )の演奏で、

ドイツの作曲家
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
(Johann Sebastian Bach, 1685年3月-1750年7月)の
オルガン作品集を1枚聴きました。

5分ほどのコラール6曲を集めた
 シュプラー・コラール集 BWV645-650
を基軸として、

その間に大曲を4つ並べた構成になっています。
 前奏曲(幻想曲)とフーガ ハ短調 BWV 537
 前奏曲(トッカータ)とフーガ ニ短調 「ドリア調」 BWV 538
 前奏曲とフーガ ハ長調 BWV 545
 幻想曲 ト長調 BWV 572


ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
Johann Sebastian Bach (1685-1750)

①目覚めよ、と呼ぶ声あり BWV 645
 Wachet auf, ruft uns die Stimme, BWV 645

 (1)前奏曲(幻想曲)とフーガ ハ短調 BWV 537
  Fantasia and Fugue in C Minor, BWV 537

②われいずこに逃れ行かん BWV 646
 Wo soll ich fliehen hin, BWV 646

③ただ愛する神の摂理にまかす者 BWV 647
 Wer nur den lieben Gott lasst walten, BWV 647

 (2)前奏曲(トッカータ)とフーガ ニ短調 「ドリア調」 BWV 538
  Toccata and Fugue in D Minor, BWV 538, (Dorian)

④わが魂は主をたたう BWV 648
 Meine Seele erhebt den Herrn, BWV 648

 (3)幻想曲 ト長調 BWV 572
  Piece d'Orgue (Fantasia in G Major), BWV 572

⑤ああわがもとにとどまれ、主イエス=キリストよ BWV 649
 Ach, bleib bei uns, Herr Jesu Christ, BWV 649

⑥汝イエスよ、今天より降りたもうや BWV 650
 Kommst du nun, Jesu, vom Himmel herunter, BWV 650

 (4)前奏曲とフーガ ハ長調 BWV 545
  Prelude and Fugue in C Major, BWV 545


 ヴォルフガンク・リュプザム
 (Wolfgang Rübsam, オルガン)

録音:1988年7月、ドイツの聖ミカエル教会(シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州、オイティン)のオルガン(スイスのメッツラー社、1987年製作)を使用。
【NAXOS 8.553150】1995年2月発売

リュプザム氏の演奏による
バッハのオルガン曲とピアノ曲のCDが、
NAXOSからたくさん発売されていて、

いずれまとめて聴いてみたいと思っていたところ、
馴染みの古本屋に、格安でずらりと並んでいるのを見つけました。

大人買いでまとめて購入しましたので、
じっくり1枚ずつ聴き進めていこうと思います。


バッハのオルガン曲はピアノ曲のように、
「平均律第1・2巻」「パルティータ集」
「イギリス組曲」「フランス組曲」といった
適度な分量でまとめられていないため、
なかなか全体像を把握することができません。

リュプザム氏の場合、
1枚ごとに完結したコンサートを聴くような構成で、
どれもなかなか凝った作りとなっています。

とはいえ、
オルガン曲の知識はほとんどない身ですので、
はじめのうちは心地よい音の洪水に寝落ちすること数回。

どれも似たような曲に思えて困っていたのですが、
しばらく聴き込んでいると、
コラールの間にはさまれた4つの大曲を、
感慨深く聴くことができるようになってきました。

どれも聴き映えのする傑作揃いであることは認識できました。

それぞれの曲を聴き分けられますか、
と聞かれるとまだ自身がありませんが、

数ヶ月聴き込んで、
最初に聴き始めたころよりはかなり耳に馴染んで、
名曲揃いであるところまでは実感できましたので、
いったん次の1枚に進もうと思います。

2014年10月31日金曜日

シフのバッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻(1984年録音)

ハンガリー出身のピアニスト
アンドラーシュ・シフ(1953.12-)の演奏で、

ドイツの作曲家
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685.3-1750.7)の
平均律クラヴィーア曲集第1巻を聴きました。

シフ30歳の時(1984.9)の録音です。


J.S.バッハ(1685-1750)
平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV.846-869

  第1番 ハ長調 BWV.846
  第2番 ハ短調 BWV.847
  第3番嬰ハ長調BWV.848
  第4番嬰ハ短調BWV.849
  第5番 ニ長調 BWV.850
  第6番 ニ短調 BWV.851
  第7番変ホ長調BWV.852
  第8番変ホ短調BWV.853
  第9番 ホ長調 BWV.854
 第10番 ホ短調 BWV.855
 第11番 ヘ長調 BWV.856
 第12番 ヘ短調 BWV.857
 第13番嬰ヘ長調BWV.858
 第14番嬰ヘ短調BWV.859
 第15番 ト長調 BWV.860
 第16番 ト短調 BWV.861
 第17番変イ長調BWV.862
 第18番嬰ト短調BWV.863
 第19番 イ長調 BWV.864
 第20番 イ短調 BWV.865
 第21番変ロ長調BWV.866
 第22番変ロ短調BWV.867
 第23番 ロ長調 BWV.868
 第24番 ロ短調 BWV.869

アンドラーシュ・シフ(ピアノ)
録音:1984年9月、ロンドン
【UCCD-5567/8】2014年5月発売


平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV.846-869 は、

バッハ37歳の時(1722)に完成された作品です。
自筆譜が残されています。

先月聴いていた
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ
の2年後の作品ということになります。


シフのバッハ、
旧録音のほうから順に聴いていますが、

一番のお気に入りは「フランス組曲」で、
次点が「イギリス組曲」でした。

「パルティータ集」のみ、
ハイドシェックの印象が強すぎたのか
パッとしない印象でした。


シフの「平均律」は今回初めて聴きました。

とても叙情的な、歌にあふれた美しいバッハで、
シューベルトを聴くような心地で聴き通すことができました。

最初のうち、
訴えかける力が多少弱いように感じられたのですが、

叙情的な側面から切り開いた
歌うバッハとして、
だんだん惹き込まれていきました。


以前このブログで取り上げた
アファナシエフの「平均律」が、
均質なタッチでがっちり構成された印象を受けたのに対し、
より自由な歌心にあふれた印象を受けました。

バッハの音楽の美しさを十分に満喫できる録音だと思います。

まだ聴いていませんが、
まだそれほど強い印象のない「平均律第2巻」も楽しみです。


あと1点、
シフのシューベルト、
ぜひ聴いてみたくなりました。

バッハ以上に合っていそうな気がします。



※Wikipediaの「シフ・アンドラーシュ」を参照。

2013年11月4日月曜日

ヴァルヒャのバッハ:オルガン作品全集(旧盤)CD10

ヘルムート・ヴァルヒャ(1907 - 1991)による
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685.3 - 1750.7)の作品全集、
10枚目を聴きました。最後の1枚です。


J.S.バッハ:オルガン作品全集
CD-10
1) パルティータ「ようこそ、慈悲あつきイエスよ」BWV768
2) カノン風変奏曲「高き天よりわれは来れり」BWV769

3)「バビロン川のほとりに」BWV653b
 (18のライプツィヒ・コラール BWV651-668 より)

4)「高き天より、われは来れり」BWV700
5)「われ心よりこがれ望む」 BWV727
6)「わが魂は主をあがめ」 BWV733
7)「今ぞ喜べ、愛するキリストのともがらよ」BWV734
8)「われ汝に別れを告げん」BWV736

ヘルムート・ヴァルヒャ(オルガン)
録音:1947年(1)、1950年(2-4,6-8)、1952年(5)
オルガン:リューベック、聖ヤコビ教会(1)
カッペル、聖ペテロ=パウロ教会(2-8)
【Membran 223489】CD10


CD6 からは、
コラール(賛美歌)にもとづく編曲集が続いてきました。

CD6
オルガン小曲集〔BWV599-644〕
 ※BWV634は省略(633とほぼ同じ)

CD7
6つのシュプラー・コラール〔BWV645-650〕
18のライプツィヒ・コラール〔BWV651-668〕

CD8・9
ドイツ・オルガン・ミサ(クラーヴィア練習曲集第3巻)
・21の教理問答書コラール〔BWV669-689〕
・前奏曲とフーガ《聖アン》〔BWV552〕
・4つのデュエット〔BWV802-805〕


 ***

最後の CD10 も、
コラール(賛美歌)にもとづく編曲集ですが、

バッハのオルガン曲の最後を飾る、規模の大きな
コラール変奏曲〔BWV766-771〕の6曲中2曲〔768・769〕に、

18のライプツィヒ・コラールからの1曲〔BWV653b〕をはさんで、

バッハ没後に編集された
キルンベルガー・コラール〔BWV690-713〕から1曲〔700〕と、
27のコラール〔BWV717-740〕から4曲〔724・33・34・36〕が選ばれています。


BWV のバッハ作品主題目録番号をみると、
BWV525-771 がオルガン曲なので、

ヴァルヒャの旧全集では、
BWV688 まではほぼ網羅的に取り上げてありますが、

 BWV669-713 の「キルンベルガー・コラール集」
 BWV714-740 の「27のコラール編曲」
 BWV741-765 の「25のコラール編曲」
 BWV766-771 の「コラール変奏曲」

は、一部しか取り上げられていないことになります。


BWV669-765 のコラール編曲については、
バッハの没後にまとめられたものなので、

他人の作品が紛れ込んでいたり、
統一感が取られていなかったりするようなので、

まとめて取り上げなかったのかと推測されますが、

その辺りの経緯については、手元にもう少し、
バッハについて調べるための基本文献が揃ってから、
取り上げたいと思います。


  ***

ヴァルヒャの旧全集、
バッハのオルガン曲について何も知らずに、
とりあえず一通り聴いてみたい身には格好の録音となりました。

モノラルですが、
かえって耳に心地よく、誇張のない清廉な演奏で、
心がしゃんとする、ほどよい時間を送らせてもらいました。

ただし
膨大なオルガン曲の全容は、
まだつかみ切れていない感じなので、

次はヴァルヒャの弟子、
ヴォルフガング・リュプザム(1946-)が
NAXOSレーベルに録音した全集を聴いていこうと思っています。


※Wikipedia の「ヨハン・ゼバスティアン・バッハ」「ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品一覧」「バッハ作品主題目録番号」「ヨハン・フィリップ・キルンベルガー」を参照。

2013年7月8日月曜日

ヴァルヒャのバッハ:オルガン作品全集(旧盤)CD9

ヘルムート・ヴァルヒャ(1907 - 1991)による
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685.3 - 1750.7)のオルガン作品全集、
9枚目を聴きました。


J.S.バッハ:オルガン作品全集 CD9

クラーヴィア練習曲集第3部(ドイツ・オルガン・ミサ)より

大オルガンのためのコラール編曲集(続き)
1) これぞ聖なる十戒 BWV678
2) われらみな唯一なる神を信ず BWV680
3) 天にいますわれらの父よ BWV682
4) われらの主キリスト、ヨルダン川に来たり BWV684
5) 深き苦しみの溝より、われ汝を呼ぶ BWV686
6) われらの救い主イエス=キリスト BWV688

ハープシコードのための4つのデュエット
7) デュエット第1番ホ短調 BWV802
8) デュエット第2番ヘ長調 BWV803
9) デュエット第3番ト長調 BWV804
10) デュエット第4番イ短調 BWV805

小オルガンのためのコラール編曲集
11) 永遠の父なる神よ BWV672
12) すべての世の慰めなるキリストよ BWV673
13) 聖霊なる神よ BWV674
14) いと高きところにいます神にのみ栄光あれ BWV675
15) フゲッタ「いと高きところにいます神にのみ栄光あれ」BWV677
16) フゲッタ「これぞ聖なる十戒」BWV679
17) フゲッタ「われらみな唯一なる神を信ず」BWV681
18) 天にいますわれらの父よ BWV683
19) フゲッタ「われらの主キリスト、ヨルダン川に来たり」BWV685
20) 深き苦しみの溝より、われ汝を呼ぶ BWV687
21) フーガ「われらの救い主イエス=キリスト」BWV689

22) フーガ変ホ長調「聖アン」BWV552-2

録音:1947年(1-6,22)、1950年(11-21)、1951年(7-10)
オルガン:カッペル、聖ペテロ=パウロ教会
ハープシコード:ハンブルグのエイメル製
【Membran 223489】CD9


CD9枚目には、
「ドイツ・オルガン・ミサ」と呼ばれる、
「クラーヴィア練習曲集第3巻」の後半が演奏されています。


「クラーヴィア練習曲集」とは、
バッハが生前に出版した鍵盤楽器のための作品集であり、

 第1巻 パルティータ BWV825-830〔出版:1726-1730〕
 第2巻 フランス風序曲 BWV831、イタリア協奏曲 BWV971〔出版:1735年〕
 第3巻 〔出版:1739年〕
 第4巻 ゴールドベルク変奏曲 BWV988〔出版:1742年〕

の全4巻からなります。

このうち第3巻は、
50代半ばのときに出版された作品で、
「ドイツ・オルガン・ミサ」とも呼ばれ、

 前奏曲とフーガ 変ホ長調「聖アン」BWV552
 21のコラール BWV669-689
 4つのデュエット BWV802-805

という構成からなります。
(4つのデュエットのみ、ハープシコードで演奏。)

このCDでは、
ヴァルヒャさんの発案なのか、
用いた楽譜によるのか、次のような順番で演奏されています。
(CD8の収録曲も含む。)

 1) 前奏曲 変ホ長調「聖アン」
   BWV552/1
 2) 大オルガンのためのコラール編曲集
   BWV669-671・676
  (以下CD9)
   BWV678・680・682・684・686・688
 3) ハープシコードのための4つのデュエット
   BWV802-805
 4) 小オルガンのためのコラール編曲集
   BWV672-675
   BWV677・679・681・683・685・687・689
 5) フーガ変ホ長調「聖アン」
   BWV552/2

収録時期は数年にわたっているので、
必ずしも一気に演奏するべきものではないのかもしれませんが、

それほど難渋でもなく、
どれも充実した内容で、
全体的に統一した雰囲気を醸しだしているので、
チェンバロを調達してきて、一夜で演奏するのも面白そうな企画だと思いました。

大規模な曲集なので、
正直まだ全体像をつかめているとは言えないのですが、
私の中では、要注目の曲集になりました。

※Wikipedia の「ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品一覧」を参照。

2013年2月15日金曜日

ケンプのバッハ:ゴールドベルク変奏曲(1969年)

ドイツのピアニスト
ヴィルヘルム・ケンプ
(Wilhelm Kempff 1895.11-1991.5)が
73歳のとき(1969.7)に録音した、

ドイツの作曲家
ヨハン・セバスティアン・バッハ
(Johann Sebastian Bach 1685.3-1750.7)の
ゴールドベルク変奏曲 BWV988 を聴きました。

「クラーヴィア練習曲集」(全4巻)の第4巻であり、
バッハが57歳のとき(1742年)に出版された作品です。


J.S.バッハ
ゴールドベルク変奏曲 BWV988

ウィルヘルム・ケンプ(ピアノ)
録音:1969年7月、ハノーヴァー、ベートーヴェンザール
【DG 439 978-2】

国内盤1000円のシリーズが
残念な音質だったので、
輸入盤を格安(780円!)で手に入れました。


とても良かったです。

グールドさんの演奏で聴き慣れた、
冒頭テーマの装飾音がきれいに取り払われているのが印象的で、

肩に力を入れず、
明るく自由な雰囲気の中で、
おっとりとした暖かな音楽が流れていきました。


聴き込むほどに、
バッハの楽譜を慈しんで、
ほどよく歌い込まれた演奏であることが伝わって来るので、
好感が持てました。

一聴何もしていないようにも聴こえるので、

リマスタリングが今一つだと、
本当に何もしていない退屈な演奏に聴こえるかもしれません。


武久源造さん以来の愛聴盤になりそうです。



   ***


グールドさんの演奏、
ゴールドベルク変奏曲は確かに名演なのですが、

感動するかといわれると、
少し違う気がします。

目の覚めるような、新鮮な驚きのある演奏なので、
今でも時折聴き返す録音ではあります。



しかしゴールドベルク以外では、
フレーズの終わりをぶっきら棒に弾き飛ばす癖が耳につき、
好きにはなれません。

独りよがりで、
音楽を適当に扱っているように感じられるのは
私だけでしょうか。


特別な才能の持ち主であることは間違いないと思いますが、
聴衆との切磋琢磨を拒絶することで、

自分の中だけで完結してしまい、
相手を感動させる音楽をつむぎだすことには、
後ろ向きな側面があるように思います。

将来、感想が変わる可能性もあるでしょうが、
今はこんな風に感じています。


※Wikipediaの「ヨハン・セバスティアン・バッハ」
「ゴールドベルク変奏曲」「ヴィルヘルム・ケンプ」を参照。

2013年1月27日日曜日

ヴァルヒャのバッハ:オルガン作品全集(旧盤)CD8

ヘルムート・ヴァルヒャ(1907 - 1991)による
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685.3 - 1750.7)の作品全集、
8枚目を聴きました。


J.S.バッハ:オルガン作品全集
CD-8

18のコラール(ライプツィヒ・コラール)BWV651~668 より
 1) われ神より去らじ BWV658
 2) いざ来たれ、異教徒の救い主よ BWV659
 3) いざ来たれ、異教徒の救い主よ BWV660
 4) いざ来たれ、異教徒の救い主よ BWV661
 5) いと高きところにいます神にのみ栄光あれ BWV662
 6) いと高きところにいます神にのみ栄光あれ BWV663
 7) いと高きところにいます神にのみ栄光あれ BWV664
 8) われらの救い主なるイエス・キリスト BWV665
 9) われらの救い主なるイエス・キリスト BWV666
10) 来たれ、創り主にして聖霊なる神よ BWV667
11) 汝の御座の前に、われ進み出で BWV668/668a

クラーヴィア練習曲集第3巻(ドイツ・オルガン・ミサ)より
 12) 前奏曲 変ホ長調「聖アン」BWV552-1

大オルガンのためのコラール編曲集
 13) 永遠の父なる神よ BWV669
 14) すべての世の慰めなるキリストよ BWV670
 15) 聖霊なる神よ BWV671
 16) いと高きところにいます神にのみ栄光あれ BWV676

ヘルムート・ヴァルヒャ(オルガン)
録音:1952年(1-11)、1947年(12-16)
オルガン:カッペル、聖ペテロ=パウロ教会
【Membran 223489】CD-8


CD8枚目は、
「ライプツィヒ・コラール」(BWV651-668 全18曲)より
 後半の11曲(BWV651-668)と、

「ドイツ・オルガン・ミサ」とも呼ばれる、
「クラーヴィア練習曲集第3巻」の前半が演奏されています。


「ライプツィヒ・コラール」(BWV651-668)は
30代初め(1708-17)までに作曲された旧稿をもとに、
最晩年にまとめられた作品集です。

前半を聴いたときにも感じたのですが、

CD8枚聴いてきた中では、
この「ライプツィヒ・コラール」が、
私の中で一番しっくり来るというか、
聴いていてふつうに良い曲だと思いました。

ぜひ他の方々の演奏も、
いろいろ聴いてみたいと思いました。


   ***

「クラーヴィア練習曲集」とは、
バッハが生前に出版した鍵盤楽器のための作品集であり、

 第1巻 パルティータ BWV825-830〔出版:1726-1730〕
 第2巻 フランス風序曲 BWV831、イタリア協奏曲 BWV971〔出版:1735年〕
 第3巻 〔出版:1739年〕
 第4巻 ゴールドベルク変奏曲 BWV988〔出版:1742年〕

の全4巻からなります。

このうち第3巻は、
50代半ばのときに出版された作品で、
「ドイツ・オルガン・ミサ」とも呼ばれ、

 前奏曲とフーガ 変ホ長調「聖アン」BWV552
 21のコラール BWV669-689
 4つのデュエット BWV802-805

という構成からなります。
(4つのデュエットのみ、ハープシコードで演奏。)

このCDでは、
ヴァルヒャさんの発案なのか、
用いた楽譜によるのか、次のような順番で演奏されています。
(次のCD9の分も含む。)

 1) 前奏曲 変ホ長調「聖アン」
   BWV552/1
 2) 大オルガンのためのコラール編曲集
   BWV669-671・676
  (以下CD9)
   BWV678・680・682・684・686・688
 3) ハープシコードのための4つのデュエット
   BWV802-805
 4) 小オルガンのためのコラール編曲集
   BWV672-675
   BWV677・679・681・683・685・687・689
 5) フーガ変ホ長調「聖アン」
   BWV552/2


さて演奏ですが、
立派な前奏曲に耳を奪われた後、
4つの充実したコラールが演奏されています。

はじめは少し取っつきにくい感じがしましたが、
3ヶ月も聴いてくると、しだいになじんできて、
そろそろ続きが聴きたくなってきました。

鈴木雅明氏の録音(2001年)もあるようなので、
近々聴いてみたいと思いました。


※Wikipedia の「ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品一覧」を参照。

2012年10月4日木曜日

ヘブラーのバッハ:フランス組曲(1979年録音)

 
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
 フランス組曲 第1番 BWV812
 フランス組曲 第2番 BWV813
 フランス組曲 第3番 BWV814
 フランス組曲 第4番 BWV815
 フランス組曲 第5番 BWV816
 フランス組曲 第6番 BWV817

イングリット・ヘブラー(ピアノ)
録音:1979年
【PROA-18/9】

オーストリア出身のピアニスト
イングリット・ヘブラー(1926 - )さんの名演をもう一つ。

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685 - 1750)の
フランス組曲 BWV812~817(全6曲)です。

バッハ30代半ばの
1722年頃に作曲されたと推定されています。

平成17年10月に、
TOWER RECORD から1500円(!)で再販された折に購入しました。

そのときは、
曲自体よく知らなかったからか、
あまり印象に残らなかったのですが、

最近久しぶりに聴き直してみたところ、

ゆったりのんびりした流れの中で、
よくピアノを歌わせた典雅な演奏で、
大好きになりました。


飛び跳ねるような
リズムには若干欠けるところがあるので、

はじめて聴く分には、
もう少し刺激のある演奏の方が楽しめるかもしれませんが、

ガチガチに
リズムを殺してしまうところもなく、
自然に呼吸をするように広がりゆくメロディに、

曲本来の美しさを体感し直すことができました。


聴き込むごとに、
味わい深くなって来る、
お薦めの演奏です。


※曲の成立については、
 ピティナ・ピアノ曲事典「バッハ」の項目を参照。
【http://www.piano.or.jp/enc/composers/47/】

2012年9月26日水曜日

シフのバッハ:イギリス組曲(1988年録音)



J.S.バッハ
イギリス組曲第1番イ長調BWV.806
イギリス組曲第3番ト短調BWV.808
イギリス組曲第5番ホ短調BWV.810
イギリス組曲第2番イ短調BWV.807
イギリス組曲第4番ヘ長調BWV.809
イギリス組曲第6番ニ短調BWV.811

アンドラーシュ・シフ(ピアノ)
録音:1988年1月、UNIVERSITY MUSIC SCHOOL, Cambridge
【POCL-4361/2】

ハンガリー出身のピアニスト、
アンドラーシュ・シフ(1953年12月生)さんのバッハ、

一年前にブログで
「フランス組曲 BWV.813~817」を取り上げて、
それきりになっておりましたが、

今年早くに
「イギリス組曲BWV.806~811」を手に入れ、
じっくり聴き込んでおりました。

これは「フランス組曲」程ではありませんが、

ピアノで弾くバッハの魅力を十全に伝える
優れた演奏だと思います。

グールドのような
ぶっきら棒な引き飛ばしは全くなく、
しかし丁寧すぎてリズムが死んでしまうようなこともなく、

あくまで音楽的に、よい調和の中で
曲の魅力を最大限に活かした演奏だと思います。


ただし個人的には、さらにこの上を期待したい。

曲自体の問題があるのかもしれませんが、
より一層、魂が飛翔していくような、
得がたい演奏で聴ける日が来ることを期待しております。

2011年10月26日水曜日

ハイドシェックのバッハ:イタリア協奏曲とフランス風序曲



J.S.バッハ
イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV987
フランス風序曲 ロ短調(パルティータ)BWV831

エリック・ハイドシェック(ピアノ)
Eric Heidsieck, piano

録音:1977年
【CASSIOPEE 969210】



ハイドシェックさん、
カシオペ録音のバッハ、独奏ではこれが最後です。

なぜこの選曲、と思ったので、
少し調べてみました。

先に取り上げた
「パルティータ」全6曲は、
『クラーヴィア練習曲集』第1巻(1731年出版)として、

今回収録された
「イタリア協奏曲」と「フランス風序曲」は、
『クラーヴィア練習曲集』第2巻(1735年出版)として、

それぞれ出版されたものです。

このときの録音で、ハイドシェックさんは、
『クラーヴィア練習曲集』第1・2巻を
まとめて取り上げていたことがわかります。


イタリア協奏曲は、
それほど深みはありませんが、
聴いてすぐに明るい気持ちにさせられる楽しい作品です。

ハイドシェックさんの演奏は、
一気呵成にかけぬけ、若い息吹を感じさせる、
清々しい演奏です。

自由闊達ながら、全体として
上品な香り高い演奏に仕上がっているのはさすがです。


フランス風序曲(パルティータ)は、
全体に暗い色調なので、
はじめはあまり好きでなかったのですが、

何度か聴いているうちに、
相当な深みのある味わい、といったものが
感じ取れるようになって来ました。

でもまだすごく好き、とはいえないかも。

次からヘンデルに移ります。

2011年10月13日木曜日

ハイドシェックのバッハ:パルティータ 第4・5・6番


J.S.バッハ
パルティータ第4番ニ長調 BWV.828
パルティータ第5番ト長調 BWV.829
パルティータ第6番ホ短調 BWV.830

エリック・ハイドシェック(ピアノ)

録音:1975年(4・5番)、1976年(6番)
【Cassiopee 969194】



続いて、2枚目を聴きました。

ハイドシェックさん、
バッハのパルティータの後半です。

際立ったリズム感に美しいタッチ、
ずば抜けた音楽性に支えられた、
聴いていてウキウキ、ワクワクする、
ピアノで弾かれたバッハです。

第4・5番と長調の曲が続くので、
私はどちらかといえば、この2枚目のほうが好きです。

現代ピアノの能力をフルに引き出した
楽しく美しく、バッハを聴く魅力満載の演奏です。

型にはまった
厳しい感じの演奏ではないので、
もしかしたら、バッハらしくない
という批判はありえるのかもしれませんが、

こんなに楽しい、
ハッとする瞬間だらけの
演奏を聴かないのはもったいないので、
これはこれで
一つのスタイルとして認めれば良い、
と私は考えています。


なお、パルティータとは「組曲」という意味です。

J.S.バッハ(1685年生、1750年没)
のパルティータ(鍵盤楽器のための組曲)は、

「クラヴィーア練習曲集第1巻」(全6曲)として、
1726年から1730年の間に出版されました。

大バッハ40代前半の作品ということになります。

2011年10月12日水曜日

ハイドシェックのバッハ:パルティータ 第1・2・3番

エリック・ハイドシェックさんは、
私が大学生のときに、宇和島での復活が話題になったこともあり、
ひいきにしているピアニストです。

独特な個性の持ち主なので、
CDのすべてが良いわけではありませんが、
はまったときにみせるひらめきは、ほかで得られない面白さがあります。

お気に入りのCDを、少しずつ紹介していきます。



J.S.バッハ:
パルティータ 第1番 変ロ長調 BWV825
 同 第2番 ハ短調 BWV826
 同 第3番 イ短調 BWV827

エリック・ハイドシェック(ピアノ)
録音:1974年(第2・3番)、1976年(第1番)
【Cassiopee 969 189】


2001年に、
フランスのカシオペ(Cassiopee)というレーベルで、
ハイドシェックさんの若いころの録音がまとめてCD化されており、
最近、日本でもわりと簡単に手に入るようになりました。

その中で特に気に入っているのは、
バッハのパルティータ全集と、ヘンデルの組曲全集です。


このパルティータ、
ピアノを豊かに鳴らした音楽的な演奏としては、
おそらく最高レベルのものだと思います。

自然なテンポのゆれから生み出される音楽は、
そこかしこに美しいメロディがあふれていて、
バッハを聴く醍醐味を感じさせてくれます。

これを聴くと、バッハのパルティータが、
とんでもない名曲に聴こえてきて、
ほかのピアニストの演奏にも手を伸ばしてみましたが、
意外におもしろいものがありません。

最近、フランス組曲(旧盤)に感動した、
シフさんのパルティータ(旧盤)も聴いてみましたが、
これはがっかりの出来でした。
(シフさんは新盤に期待!まだ聴いていません。)


ハイドシェックさんは1936年生まれなので、
このパルティータは40歳のころの録音です。

なかなかこれ以上、というのは考えにくいのかもしれませんが、
ハイドシェックさんの結論として、
バッハとヘンデルはぜひ再録音してほしいなあ、
と思っております。

2011年9月17日土曜日

ピーター・ゼルキンのバッハ:インヴェンション&シンフォニア



ヨハン・セバスチャン・バッハ
2声のインヴェンション BWV772-786(全15曲)
3声のシンフォニア BWV787-801(全15曲)
4つのデュエット BWV802-805(クラーヴィア練習曲集第3部より)

ピーター・ゼルキン(ピアノ)
Peter Serkin, piano

録音:1995年6月3・5・6日(BWV772-801)、
   同年9月12・14日(BWV802-805)
Manhattan Center Studios, New York City
【BVCC749】


ピーター・ゼルキンさんは、
中高生のとき武満徹さんの音楽にはまっていた関係で、
注目していたピアニストです。

直接聴く機会がないまま今に至りますが、

時折聴くことができたCDは、
私にとって良いものと今ひとつなものが混在していました。

とくに良かった1枚、
今でも時折ひき出して、くり返し聴いているのが、
バッハのインヴェンション&シンフォニアです。

技術的には私でもぎりぎり弾けるくらいなので、
簡単な曲ですが、音楽的な内容は濃く、すぐれた作品なので、
録音もいろいろと出ています。

他にもいくつか良いCDはありますが、
ゼルキンさんの録音は、
ゆっくり目のテンポでとつとつと語りかけてくる、
孤独な寂しさを湛えた演奏です。

大人が聴いて、
しみじみと感動する仕上がりとなっています。

私がゼルキンさんに感動するのは、
この孤独な大人の寂しさ、といったものを表現しているからです。

もう一枚、
彼の弾くショパンもすばらしかった記憶があり、
手に入れる前に廃盤になっていたCDが再販されるようなので、
近々手に入れたいと思っております。

2011年9月14日水曜日

シフのバッハ:フランス組曲



J.S.バッハ
フランス組曲 第1~6番 BWV.813~817
イタリア協奏曲 ホ長調 BWV.971
フランス風序曲 ロ短調(パルティータ)BWV.831

アンドラーシュ・シフ(ピアノ)
録音:1991年1月。REITSTADEL, Neumarket
【POCL-4359/60】


シフさんは安定型のイメージがあって、
これまで余り聴いてこなかったのですが、
最近若いころのバッハの録音を聴いて、
想像以上のすばらしさに驚きました。

ピアノで演奏するバッハは、
良いものが少なく、いろいろ探していたのですが、
シフさんを見落としておりました。

「軽やかで繊細なタッチと躍動的なリズム感、
 豊かな色彩感、そして知的な解釈などに裏打ちされた
 清新で愉悦感に満ちた表現」
 (福本健さんのCD解説)

を特徴とするシフさんの個性が、
バッハとうまく共鳴して、耳に心地よい音楽的な空間を作り上げています。

フランス組曲自体は、
前半に短調、後半に長調の曲が集まっているため、
通して聴いていると、曲の切れ目が今ひとつわかりにくいのですが、
わたしはどちらかといえば、
後半の長調の曲に魅力を感じました。

他にあまり良いCDには出会っていないので、
フランス組曲は、シフさんの録音がしばらく定番になりそうです。

バッハのピアノ(クラヴィア)曲は、
入門用としてインヴェンション&シンフォニアがありますが、
より一般には、パルティータと、イギリス組曲とフランス組曲から入るのが良いのではないでしょうか。
上級編として、平均律の無限世界も待ち構えています。

演奏する楽器によってもまったく違った世界が楽しめるので、楽しいです。

2011年5月7日土曜日

アファナシエフのバッハ:平均律クラーヴィア曲集(第1・2巻)

ヴァレリー・アファナシエフさんは、
それほど好きなピアニストではなかったのですが、
このバッハで、大きく見方を改めました。



J.S.バッハ:平均律クラーヴィア曲集 第1巻(全24曲)BWV846~869
ヴァレリー・アファナシエフ(ピアノ)
録音:1995年4月10~14日、スイス、ラ・ショー・ド・フォン、ムジカ・テアトル
【DENON/COCO-70746→47】




J.S.バッハ:平均律クラーヴィア曲集 第2巻(全24曲)BWV870~893
ヴァレリー・アファナシエフ(ピアノ)
録音:1995年11月7~11日、スイス、ラ・ショー・ド・フォン、ムジカ・テアトル
【DENON/COCO-70748→49】



勉強で聴くわけではないので、
平均律クラーヴィア曲集とはいえ、

がちがちに凝り固まった、
聴いてすぐ眠たくなるような演奏はゴメンです。

むしろバッハだからこそ、
リズムに余裕がある、遊び心のある演奏が、
理想なのかもしれません。


アファナシエフさんのピアノは、
すべての音域を、透明感のある美しい音色で、
均一に鳴らし切るところに、
独特の個性があります。

そのスタイルは、時として、
のっぺりした印象を与えてしまうこともあるので、
すべてのCDがよいとは思わないのですが、

作曲家との相性がはまったときは、
絶大な効果を発揮します。

平均律との相性は格別のようです。

あとほんの少し、
リズムに遊びがあってもいいのかな、
と思うこともあるのですが、

今のところ、ピアノ版の平均律で、
最も手にすることの多いのは、このCDです。


ちなみにアファナシエフさんで
特別に良いのはシューベルトです。
相当良いのがバッハとベートーヴェンで、
かなり良いのがブラームスです。