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2018年6月17日日曜日

スロヴァーク&スロヴァキア・フィルのショスタコーヴィチ:交響曲第2・15番(1986・90年録音)

スロヴァキアの指揮者
ラディスラフ・スロヴァーク
(Ladislav Slovak, 1909年9月-99年7月)の指揮する

チェコ・スロヴァキア放送交響楽団
(Czecho-Sloval Radio Symphony Orchestra)の演奏で、

ロシア帝国最後の皇帝
ニコライ2世の治世下に生まれ、
ソビエト連邦の時代に活躍した作曲家
ドミトリー・ショスタコーヴィチ
(Dmitrii Shostakovich, 1906年9月-75年8月)の
交響曲第2番《十月革命に捧ぐ》と第15番を聴きました。

指揮者80歳(①)・79歳(②)の時の録音です。

 ※スロヴァキア放送交響楽団は、この録音当時、
  「チェコ・スロヴァキア放送交響楽団」と呼ばれていましたが、

  1993年にチェコ・スロヴァキア連邦共和国が、
  チェコ共和国とスロヴァキア共和国に分離したため、
  「スロヴァキア放送交響楽団」と呼ばれるようになりました。

  首都プラティスラヴァの名をはさんで、
  「スロヴァキア放送プラティスラヴァ交響楽団」と呼ぶこともあります。


ショスタコーヴィチ
①交響曲第2番 ロ短調《十月革命に捧ぐ》作品14
②交響曲第15番 イ長調 作品141

ラディスラフ・スロヴァーク(指揮)
スロヴァキア放送交響楽団

録音:1990年1月8-10日(①)、1989年2月5-12日(②)、スロヴァキア放送コンサートホール、プラティスラヴァ
【NAXOS 8.550624】1994年2月

第2番は1・3番と合わせて解説します。

交響曲第1番ヘ短調作品10 は、
レニングラード音楽院 作曲科の卒業作品として作曲され、
ショスタコーヴィチが19歳の時(1926年5月)に初演されました。

第1番は初演と同時に大きな成功を収め、
作曲家の名を世界に知らしめるきっかけになりましたが、
第1番の作風をそのまま発展させることはなく、

第2・3番でガラリと作風を変え、
当時の前衛的な作曲技法を盛り込んだ、
政治的な色合いの濃い歌詞を用いた
声楽入りの1楽章からなる「交響曲」を作曲しました。

交響曲第2番ロ短調《十月革命に捧ぐ》作品14 は、
作曲者が21歳のときに作曲、初演(1927年11月)された作品、

交響曲第3番変ホ長調《メーデー》作品20 は、
作曲者が23歳のときに作曲、初演(1930年1月)された作品です。


それから40年余りをへ、
亡くなる4年前に最後の交響曲が作曲されました。

交響曲第15番 イ長調 作品141 は、
作曲者64歳の時(1971年6・7月)に作曲され、
65歳の時(72年1月)に初演された作品です。

第12番以来の声楽を用いない交響曲であり、
ショスタコーヴィチの最後の交響曲となりました。

※以上、おもに千葉潤著『作曲家◎人と作品シリーズ ショスタコーヴィチ』(音楽之友社、2005年4月)を参照。

  ***

第1・3番を収めた1枚目につづくCD。
期待を裏切らない充実した内容でした。

第2番は、3番と同じく前衛的な作風で、
以前、バルシャイ&ケルン放送響による
演奏(CD)を聴いたときには、
何が良いのかさっぱりわかりませんでした。

しかしこのCDでは、
指揮者スロヴァークの深い楽譜の読みが利いて、
ただの不協和音の連続に聴こえた音楽が、
有機的に心地良くつながり、
最後まで興味深く聴き進めることができました。

やはり全体として
習作的な色合いの濃い作品ですが、

若きショスタコーヴィチによる
創意工夫の跡がわかる
佳曲であることがわかりました。


第15番は、名曲っぽいたたずまいに、
期待して聴いてみるとそこまで心を揺さぶられない、
今一つの演奏に

最近聴いたザンデリングやインバル、
ゲルギエフのCDは、きれいに整っているのですが、
曲の内容が上滑りしていくようで、
個人的にはあまりピンと来ませんでした。

バルシャイのCDは未聴。

今回のスロヴァーク&スロヴァキア・フィルの演奏は
技術的にそれほど上手いオケではないのですが、
指揮者の読み、曲への共感度が高いからか、
自らが作曲したかのように全体が有機的につながって、
最後まで集中して聴き進めることができました。

曲の内実に迫る演奏として、
満足のいく1枚となりました。





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2018年4月8日日曜日

西崎崇子&スロヴァキア・フィルのベートーヴェン:ヴァイオリン協奏(1988年録音)

名古屋生まれ、
香港在住のヴァイオリニスト
西崎崇子(にしざきたかこ, 1944年4月14日- )
の独奏、

中国系アメリカ人の指揮者
ケネス・ジーン(Kenneth Jean/甄健豪, 1952年10月25日- )
の指揮する

スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団
の伴奏で、

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770年12月16日頃-1827年3月26日)
のヴァイオリン協奏曲 ニ長調を聴きました。

西崎氏44歳の時(1988年7月)の録音です。


ベートーヴェン
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
(カデンツァ:クライスラー)

西崎崇子(ヴァイオリン)
ケネス・ジーン(指揮)
スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1988年7月、ブラティスラヴァ(スロヴァキア首都)、レドゥタ・スタジオ
【AVCL-25669】2007年12月

ヴァイオリン協奏曲は、
ベートーヴェン36歳の時(1806年12月23日)に初演された作品です。


  ***

こちらはブラームスと比べて、
ほぼ同じスタイルの演奏なのですが、

くり返し聴いて、
そこまで感動しない自分がいるのも確かです。

悪くはないのですが、
ベートーヴェンとしてはちょっと軽いというか、
あまり心にひっかかって来ない、
今一歩の演奏だと感じました。

また、
ガンゼンハウザーの指揮が、
大きくプラスに働いたブラームスと比べると、

今回指揮を担当したケネス・ジーンは、
ベートーヴェンらしい枠組みのがっちりした力強い音楽が、
それほど得意ではないようで、

可もなく不可もなくそつなくまとめているものの、
大きなプラスアルファのない軽めの伴奏になっていて、

独奏を引き立てる方向には、
あまり作用していないように感じました。

先のブラームスの出来が100点だとすると、
ベートーヴェンの出来は75点くらいでしょうか。

コンサートの実演で、
これくらい聴けたら十分満足できるレベルなのですが、

CDではあと一歩、
足りなさの残る録音だと思います。


  ***

この録音は、
軽い印象の残るエイベックス盤よりも。
もとのNAXOS盤のほうが、
荒々しい印象で、良い演奏に聴こえるかもしれません。

未聴なので、
近々手に入れて聴いてみてから、
再び報告したいと思います。



※WIkipediaの「西崎崇子」「ケネス・ジーン」「スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団」「ヴァイオリン協奏曲(ベートーヴェン)」の各項目を参照。


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2018年3月25日日曜日

西崎崇子&スロヴァキア・フィルのブラームス:ヴァイオリン協奏曲(1989年録音)

名古屋生まれ、
香港在住のヴァイオリニスト
西崎崇子(にしざきたかこ, 1944年4月14日- )
の独奏、

アメリカ合衆国の指揮者
スティーヴン・ガンゼンハウザー
(Stephen Gunzenhauser, 1942年4月8日- )
の指揮する

スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団
の伴奏で、

ドイツの作曲家
ヨハネス・ブラームス
(Johannes Brahms, 1833年5月7日-1897年4月3日)
のヴァイオリン協奏曲 ニ長調を聴きました。

西崎氏45歳の時(1989年5月)の録音です。


ブラームス
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77

西崎崇子(ヴァイオリン)
スティーヴン・ガンゼンハウザー(指揮)
スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1989年5月22-27日、ブラティスラヴァ(スロヴァキア首都)、スロヴァキア・フィルハーモニック・コンサートホール
【AVCL-25670】2007年12月

ヴァイオリン協奏曲は、
ブラームス45歳の時(1879年1月1日)に初演された作品です。

  ***

西崎崇子氏のCDは、
NAXOSにたくさんあることを知っていましたが、
一度も聴いたことがありませんでした。

今回、廉価版というだけで、
あまり期待せず聴いてみたのですが、
意外な名演に驚かされました。

オーソドックスなスタイルで、
小細工せずに真正面から音楽と向き合って、
素直に感動できる演奏に仕上がっていたので、
久しぶりに良くできた名曲であることを実感できました。

技術的に切れ味鋭いとはいえないのですが、
聴いていて不満を感じるレベルではなく、
あくまで内容で勝負しようとしているところは大いに好感が持てました。

ガンゼンハウザーの指揮も見事で、
ブラームスらしく懐の深い、自然な響きを引き出しており、
繰り返し聴き込むごとに味わいの増すCDだと思いました。


  ***

西崎氏の録音、
これは注目しなければと思い、

併録曲のブルッフが気になって、
もとのNAXOSのCDを手に入れてみましたが、
こちらはブラームスも含めて、
印象が大きく異なったので要注意です。


ブルッフ:
 ①ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26
ブラームス:
 ②ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77

西崎崇子(ヴァイオリン)
スティーヴン・ガンゼンハウザー(指揮)
スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1989年5月22-27日、ブラティスラヴァ(スロヴァキア首都)、スロヴァキア・フィルハーモニック・コンサートホール
【8.550195】1992年6月


エイベックスのリマスター盤と比べると、

独奏ヴァイオリンがかなり前に出て、
のびやかさよりは耳にきつい印象が残る一方、

オケの伴奏は一歩後ろに下がって鮮明さに欠け、
いかにも安っぽい印象で、

とても同じ演奏には思えませんでした。

AVEXのリマスター盤で聴く限りは、
調和の取れた美しい録音で、
誰にでもお薦めできる演奏だったのですが、

NAXOSの90年代に発売された盤は、
独特の安っぽい響きがマイナスで、
お薦めできるレベルではありませんでした。

もし購入を考える場合は、
ブラコン1曲のみにはなりますが、
AVEXのリマスター盤のほうをお選びください。

なお、
このCDに併録されているブルッフは、
ブラームス以上に入魂の演奏なので、
新しいリマスターで聴けたらさぞかし、と思いますが、

現状ではブラームスと同じく、
音質面で大きく損をしている印象でした。

いずれどこかで、
リマスター盤が出たら、
ぜひ聴き直してみたい演奏でした。


※WIkipediaの「西崎崇子」「スティーヴン・ガンゼンハウザー」「スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団」「ヴァイオリン協奏曲(ブラームス)」の各項目を参照。





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