2017年8月28日月曜日

愛知県美術館の企画展「大エルミタージュ美術館展」

去る8月16日(水)、
名古屋市東区の愛知県美術館まで、

「大エルミタージュ美術館展
 オールドマスター
 西洋絵画の巨匠たち」

を観に行ってきました。

サンクトペテルブルク
(もとは帝政ロシアの首都、いまはレニングラード州の州都)にある、
ロシアを代表する国立美術館である

エルミタージュ美術館のコレクションの中から、

「特に充実している16世紀ルネサンス、
 17・18世紀バロック、ロココの時代に活躍し、
 “オールドマスター”といわれる巨匠たちの
 名画85点」

が展示されていました。

調べてみると、
ちょうど5年前の8月17日にも、
名古屋市美術館で開催された
特別展「大エルミタージュ美術館展」を観に行っていました。

図録をみる限り、
ほとんど重なっている作品はありませんでした。


  ***

《大エルミタージュ美術館展
  オールドマスター
  西洋絵画の巨匠たち》

1 イタリア:ルネサンスからバロックへ
2 オランダ:市民絵画の黄金時代
3 フランドル:バロック的豊穣の時代
4 スペイン:神と聖人の世紀
5 フランス:古典主義的バロックからロココへ
6 ドイツ・イギリス:美術大国の間で

という構成でした。気に入った作品をピックアップしておきます。

1 イタリア:ルネサンスからバロックへ

【図録9】1640年代
カルロ・ドリチ
 《聖チェチリア》

【図録11】1777年
ポンペオ・ジローラモ・バトーニ
 《聖家族》

【図録12】1710年頃
ルカ・カルレヴァリス
 《ヴェネツィア、運河に面したドゥカーレ宮殿前の眺め》

2 オランダ:市民絵画の黄金時代

【図録21】1660年前半
レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン
 《運命を悟るハマン》

3 フランドル:バロック的豊穣の時代
4 スペイン:神と聖人の世紀

【図録53】1660年頃
フランシスコ・デ・スルバラン
 《聖母マリアの少女時代》

【図録56】1660年頃
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
 《受胎告知》

5 フランス:古典主義的バロックからロココへ

【図録61】1699年
ジャン=バティスト・サンテール
 《ヴェールをまとう若い女性》

【図録70】1770年代
ジャン=バティスト・グルーズ
 《スミレ色のチュニックを着た少女》

【図録78】1783年
ユベール・ロベール
 《運河のある建築風景》

6 ドイツ・イギリス:美術大国の間で


名古屋市美術館で観た時も思いましたが、

一つの「美術館」に照準を合わせた展覧会なので、
時代と分野の幅が広くなって、
全体としては何となく散漫な印象を受けました。

それでも日常的に、
エルミタージュ美術館に足を運ぶこともないので、
名品を目に焼き付ける良い機会になりました。



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2017年8月18日金曜日

バーンスタイン&ロンドン響のマーラー《千人の交響曲》(1966年録音)

アメリカ合衆国の指揮者
レナード・バーンスタイン
(1918年8月-1990年10月)が

ニューヨーク・フィル(1-7,9,10番)を中心に、
ロンドン交響楽団(8番)とイスラエル・フィル(大地)
を振りわけて録音した

オーストリア帝国の作曲家
グスタフ・マーラー
(1860年7月-1911年5月)の交響曲全集、

今回はロンドン響とともに録音した
交響曲第8番《千人の交響曲》を聴きました。

指揮者47歳の時(1966年4月)の録音です


CD11
グスタフ・マーラー:交響曲第8番変ホ長調《千人の交響曲》
 
 エルナ・スポーレンベルク(ソプラノ/いと罪深き女)
 ギネス・ジョーンズ(ソプラノ/贖罪の女の一人)
 ゲニス・アンニアー(ソプラノ/栄光の聖母)
 アンナ・レイノルズ(アルト/サマリアの女)
 ノーマ・プロクター(アルト/エジプトのマリア)
 ジョン・ミッチンソン(テノール/マリア崇拝の博士)
 ヴラディミール・ルジャーク(バリトン/法悦の教父)
 ドナルド・マッキンタイア(バス/瞑想の教父)

 リーズ音楽祭合唱団、ロンドン交響合唱団(ドナル・ハント指揮)
 オーピントン・ジュニア・シンガーズ(シーラ・モスマン指揮)
 ハイゲート・スクール少年合唱団(エドワード・チャップマン指揮)
 フィンチュリー児童音楽グループ(ジョン・アンドルーズ指揮)

 ハンス・フォーレンヴァイダー(オルガン)
 ロンドン交響楽団
 レナード・バーンスタイン(指揮)

録音:1966年4月18-20日。ロンドン、ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール
【Sony Classical 88697943332】

交響曲第8番は、1906年から7年にかけて作曲され、
マーラー50歳の時(1910年9月12日)に初演されました

ちなみに第7番の初演は1908年9月、
《大地の歌》の初演は1911年11月、
第9番の初演は1912年6月のことでした。

マーラーは1911年5月、
50歳の時に亡くなっているので、
マーラーが生前に初演された交響曲は、
この第8番までということになります。


  ***

第8番は、
印象的な出だしにぐっと惹き込まれるのですが、

いざ全曲を聴こうとすると、
途中で飽きが来て、最後まで飽きずに
聴き通すのは難しい場合が多いです。

個人的に気に入っているのは、
 小澤征爾&ボストン響 の一気呵成な演奏ですが、
こちらもそれほどじっくり聴き込んでいるわけではないので、

今のところ第8番は、
まだ自分にとって少し距離のある作品といって良さそうです。


今回のバーンスタインの第8番、
鮮烈な第6・7番と同じ傾向の演奏で、

バーンスタインらしく
オケを自在に操ったわかりやすい演奏で、
最後まで飽きずに、十分感動しながら聴き通すことができました。

ただし大規模過ぎる曲ゆえか、
第6・7番のときほどやり切った感じはなく、
第2部の叙情的な場面の印象が、
多少弱いように感じられました。

個人的に、
息もつかせぬ勢いで聴き通せたのは第1部のみで、
ふだんから苦手にしている第2部は、
あと一歩な印象が残りました。

とはいえ、ここまで聴いてきた
バーンスタインの旧全集のなかでは
第6・7番につぐ好印象で、
私のなかの第8番への苦手意識を、
弱めてくれる効果はあったと思います。

2017年8月12日土曜日

ジョアン・ジルベルトのボサ・ノヴァ・ヴァイブ(1958-61年録音)

夏の暑さには、
ボサ・ノヴァだと思い立ち、

ブラジルの歌手
ジョアン・ジルベルト
(João Gilberto, 1931年6月30日- )のCD
《Bossa Nova Vibe Of João Gilberto》を購入しました。

ボサ・ノヴァについてはあまり知らないのですが、

10年以上前に偶然購入したアルバム
《João Gilberto in Tokyo》
が素晴らしく、機会があれば他にもいろいろ聴いてみたいと思っていました。

その後あまり触れる機会がなく放っていたわけですが、

40半ばになって改めてみると、
やわらかく軽快なリズムに支えられた
ポルトガル語の心地よい響きの歌にすっかり魅了されました。



Bossa Nova Vibe Of
Joao Gilberto

◯DISC 1
【③-01/1961】 (1) Samba da minha terra
          〔Dorival Caymmi〕
【②-02/1960】 (2) Doralice ★Tokyo-3
          〔A. Almeida / Dorival Caymmi〕
【③-07/1961】 (3) Você e eu
          〔Carlos Lyra, Vinicius de Moraes〕
【③-03/1961】 (4) Bolinha de papel ★Tokyo-11
          〔Geraldo Pereira〕
【①-07/1958】 (5) Desafinado
          〔Newton Mendonça / Antonio Carlos Jobim〕
【①-06/1959】 (6) Maria Ninguém
          〔Carlos Lyra〕    
【①-04/1958】 (7) Hô-bá-lá-lá
          〔João Gilberto〕     
【②-06/1960】 (8) Um abraço no Bonfá
          〔João Gilberto〕
【③-06/1961】 (9) O amor em paz
          〔Antonio Carlos Jobim, Vinicius de Moraes〕
【①-05/1959】(10) Saudade Fez um Samba
          〔Carlos Lyra / Ronaldo Bôscoli〕     
【②-01/1960】(11) Samba de uma nota só
          〔Antonio Carlos Jobim / Newton Mendonça〕
【①-10/1958】(12) Bim Bom
          〔João Gilberto〕     
【②-04/1960】(13) Trêvo de quatro folhas
          〔M. Dixon / H. Woods / Nilo Sergio〕
【①-09/1959】(14) Morena Boca de Ouro
          〔Ary Barroso〕     
【②-12/1960】(15) Outra vez
          〔Antonio Carlos Jobim〕
【③-11/1961】(16) Insensatez
          〔Antonio Carlos Jobim / Vinicius de Moraes〕
【③-09/1961】(17) Coisa mais linda
          〔Carlos Lyra / Vinicius de Moraes〕    
【①-03/1959】(18) Brigas, Nunca Mais
          〔Antônio Carlos Jobim / Vinicius de Moraes〕     
【☆1959】  (19) O Nosso Amor - A Felicidade
          〔Antonio Carlos Jobim / Vinicius de Moraes〕     
【③-10/1961】(20) Presente de Natal
          〔Nelcy Noronha〕

◯DISC 2
【③-05/1961】 (1) A primeira vez
          〔Bide / Marçal〕
【③-12/1961】 (2) Este seu olhar ★Tokyo-5
          〔Antonio Carlos Jobim〕
【③-08/1961】 (3) Trem de ferro (Trenzinho) 
          〔Lauro Maia〕
【①-02/1959】 (4) Lobo Bobo
          〔Carlos Lyra / Ronaldo Bôscoli〕    
【②-11/1960】 (5) Amor certinho
          〔Roberto Guimarães〕
【①-08/1959】 (6) Rosa Morena ★Tokyo-12
          〔Dorival Caymmi〕
【③-04/1961】 (7) Saudade da Bahia
          〔Dorival Caymmi〕
【②-05/1960】 (8) Se é tarde me perdôa
          〔Carlos Lyra / Ronaldo Boscoli〕
【☆1959】   (9) Manhã de Carnaval
          〔Antonio Maria / Luiz Bonfá〕    
【②-09/1960】(10) Corcovado ★Tokyo-4
          〔Antonio Carlos Jobim〕
【②-10/1960】(11) Discussão
          〔Antonio Carlos Jobim / Newton Mendonça〕
【②-03/1960】(12) Só em teus braços
          〔Antonio Carlos Jobim〕
【②-08/1960】(13) O pato
          〔Jayme Silva / Neuza Teixeira〕
【①-12/1959】(14) É Luxo Só
          〔Ary Barroso / Luiz Peixoto〕     
【③-02/1961】(15) O barquinho
          〔Roberto Menescal / Ronaldo Boscoli〕
【②-07/1960】(16) Meditação ★Tokyo-2
          〔Antonio Carlos Jobim / Newton Mendonça〕
【①-01/1958】(17) Chega de Saudade
          〔Antônio Carlos Jobim / Vinicius de Moraes〕     
【①-11/1959】(18) Aos Pés da Cruz ★Tokyo-15
          〔Marino Pinto / Zé da Zilda〕

【NOT2CD461】2012年8月発売


最初期のアルバムから選んで収録されているようでしたので、
その点調べてみると、

①1959年発売《想いあふれて  Chega De Saudade 》全12曲
②1960年発売《愛と微笑みと花  O Amor, O Sorriso E A Flor 》全12曲
③1961年発売《ジョアン・ジルベルト João Gilberto 》全12曲

の3枚分のアルバムの収録曲(全36曲)に、
ボーナス・トラック2曲を加えた全38曲が
独自の曲順で収録されていることがわかりました。

EMIから発売され、
著作権の問題で廃盤となった同類のアルバム
《ジョアン・ジルベルトの伝説(全38曲)》
をもとに、曲順のみ再編成した可能性が高いですが、
詳しいことはわかりません。

どうせなら、
元のアルバムの曲順に戻してほしかったのですが、
ほぼ同時期に収録された曲なので、
聴いていて違和感を感じることはありませんでした。

音質もマニア的な聴き方をしなければ、
まあ納得できるレベルです。

国内で廉価で手に入るので、
とりあえずの1枚としては十分満足できると思います。

今後機会があれば、
元のアルバムの曲順をそのまま再現したCDを聴いてみたいですが、

それよりもその後、ジルベルトが残した
ほかの有名なアルバムを聴くのが先かもしれません。

2017年8月7日月曜日

リュプザムのバッハ:シュプラー・コラール集 BWV645-650(1988年録音)

ドイツ系アメリカ人のオルガニスト
ヴォルフガング・リュプザム
(Wolfgang Rübsam, 1946年10月- )の演奏で、

ドイツの作曲家
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
(Johann Sebastian Bach, 1685年3月-1750年7月)の
オルガン作品集を1枚聴きました。

5分ほどのコラール6曲を集めた
 シュプラー・コラール集 BWV645-650
を基軸として、

その間に大曲を4つ並べた構成になっています。
 前奏曲(幻想曲)とフーガ ハ短調 BWV 537
 前奏曲(トッカータ)とフーガ ニ短調 「ドリア調」 BWV 538
 前奏曲とフーガ ハ長調 BWV 545
 幻想曲 ト長調 BWV 572


ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
Johann Sebastian Bach (1685-1750)

①目覚めよ、と呼ぶ声あり BWV 645
 Wachet auf, ruft uns die Stimme, BWV 645

 (1)前奏曲(幻想曲)とフーガ ハ短調 BWV 537
  Fantasia and Fugue in C Minor, BWV 537

②われいずこに逃れ行かん BWV 646
 Wo soll ich fliehen hin, BWV 646

③ただ愛する神の摂理にまかす者 BWV 647
 Wer nur den lieben Gott lasst walten, BWV 647

 (2)前奏曲(トッカータ)とフーガ ニ短調 「ドリア調」 BWV 538
  Toccata and Fugue in D Minor, BWV 538, (Dorian)

④わが魂は主をたたう BWV 648
 Meine Seele erhebt den Herrn, BWV 648

 (3)幻想曲 ト長調 BWV 572
  Piece d'Orgue (Fantasia in G Major), BWV 572

⑤ああわがもとにとどまれ、主イエス=キリストよ BWV 649
 Ach, bleib bei uns, Herr Jesu Christ, BWV 649

⑥汝イエスよ、今天より降りたもうや BWV 650
 Kommst du nun, Jesu, vom Himmel herunter, BWV 650

 (4)前奏曲とフーガ ハ長調 BWV 545
  Prelude and Fugue in C Major, BWV 545


 ヴォルフガンク・リュプザム
 (Wolfgang Rübsam, オルガン)

録音:1988年7月、ドイツの聖ミカエル教会(シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州、オイティン)のオルガン(スイスのメッツラー社、1987年製作)を使用。
【NAXOS 8.553150】1995年2月発売

リュプザム氏の演奏による
バッハのオルガン曲とピアノ曲のCDが、
NAXOSからたくさん発売されていて、

いずれまとめて聴いてみたいと思っていたところ、
馴染みの古本屋に、格安でずらりと並んでいるのを見つけました。

大人買いでまとめて購入しましたので、
じっくり1枚ずつ聴き進めていこうと思います。


バッハのオルガン曲はピアノ曲のように、
「平均律第1・2巻」「パルティータ集」
「イギリス組曲」「フランス組曲」といった
適度な分量でまとめられていないため、
なかなか全体像を把握することができません。

リュプザム氏の場合、
1枚ごとに完結したコンサートを聴くような構成で、
どれもなかなか凝った作りとなっています。

とはいえ、
オルガン曲の知識はほとんどない身ですので、
はじめのうちは心地よい音の洪水に寝落ちすること数回。

どれも似たような曲に思えて困っていたのですが、
しばらく聴き込んでいると、
コラールの間にはさまれた4つの大曲を、
感慨深く聴くことができるようになってきました。

どれも聴き映えのする傑作揃いであることは認識できました。

それぞれの曲を聴き分けられますか、
と聞かれるとまだ自身がありませんが、

数ヶ月聴き込んで、
最初に聴き始めたころよりはかなり耳に馴染んで、
名曲揃いであるところまでは実感できましたので、
いったん次の1枚に進もうと思います。