2017年8月12日土曜日

ジョアン・ジルベルトのボサ・ノヴァ・ヴァイブ(1958-61年録音)

夏の暑さには、
ボサ・ノヴァだと思い立ち、

ブラジルの歌手
ジョアン・ジルベルト
(João Gilberto, 1931年6月30日- )のCD
《Bossa Nova Vibe Of João Gilberto》を購入しました。

ボサ・ノヴァについてはあまり知らないのですが、

10年以上前に偶然購入したアルバム
《João Gilberto in Tokyo》
が素晴らしく、機会があれば他にもいろいろ聴いてみたいと思っていました。

その後あまり触れる機会がなく放っていたわけですが、

40半ばになって改めてみると、
やわらかく軽快なリズムに支えられた
ポルトガル語の心地よい響きの歌にすっかり魅了されました。



Bossa Nova Vibe Of
Joao Gilberto

◯DISC 1
【③-01/1961】 (1) Samba da minha terra
          〔Dorival Caymmi〕
【②-02/1960】 (2) Doralice ★Tokyo-3
          〔A. Almeida / Dorival Caymmi〕
【③-07/1961】 (3) Você e eu
          〔Carlos Lyra, Vinicius de Moraes〕
【③-03/1961】 (4) Bolinha de papel ★Tokyo-11
          〔Geraldo Pereira〕
【①-07/1958】 (5) Desafinado
          〔Newton Mendonça / Antonio Carlos Jobim〕
【①-06/1959】 (6) Maria Ninguém
          〔Carlos Lyra〕    
【①-04/1958】 (7) Hô-bá-lá-lá
          〔João Gilberto〕     
【②-06/1960】 (8) Um abraço no Bonfá
          〔João Gilberto〕
【③-06/1961】 (9) O amor em paz
          〔Antonio Carlos Jobim, Vinicius de Moraes〕
【①-05/1959】(10) Saudade Fez um Samba
          〔Carlos Lyra / Ronaldo Bôscoli〕     
【②-01/1960】(11) Samba de uma nota só
          〔Antonio Carlos Jobim / Newton Mendonça〕
【①-10/1958】(12) Bim Bom
          〔João Gilberto〕     
【②-04/1960】(13) Trêvo de quatro folhas
          〔M. Dixon / H. Woods / Nilo Sergio〕
【①-09/1959】(14) Morena Boca de Ouro
          〔Ary Barroso〕     
【②-12/1960】(15) Outra vez
          〔Antonio Carlos Jobim〕
【③-11/1961】(16) Insensatez
          〔Antonio Carlos Jobim / Vinicius de Moraes〕
【③-09/1961】(17) Coisa mais linda
          〔Carlos Lyra / Vinicius de Moraes〕    
【①-03/1959】(18) Brigas, Nunca Mais
          〔Antônio Carlos Jobim / Vinicius de Moraes〕     
【☆1959】  (19) O Nosso Amor - A Felicidade
          〔Antonio Carlos Jobim / Vinicius de Moraes〕     
【③-10/1961】(20) Presente de Natal
          〔Nelcy Noronha〕

◯DISC 2
【③-05/1961】 (1) A primeira vez
          〔Bide / Marçal〕
【③-12/1961】 (2) Este seu olhar ★Tokyo-5
          〔Antonio Carlos Jobim〕
【③-08/1961】 (3) Trem de ferro (Trenzinho) 
          〔Lauro Maia〕
【①-02/1959】 (4) Lobo Bobo
          〔Carlos Lyra / Ronaldo Bôscoli〕    
【②-11/1960】 (5) Amor certinho
          〔Roberto Guimarães〕
【①-08/1959】 (6) Rosa Morena ★Tokyo-12
          〔Dorival Caymmi〕
【③-04/1961】 (7) Saudade da Bahia
          〔Dorival Caymmi〕
【②-05/1960】 (8) Se é tarde me perdôa
          〔Carlos Lyra / Ronaldo Boscoli〕
【☆1959】   (9) Manhã de Carnaval
          〔Antonio Maria / Luiz Bonfá〕    
【②-09/1960】(10) Corcovado ★Tokyo-4
          〔Antonio Carlos Jobim〕
【②-10/1960】(11) Discussão
          〔Antonio Carlos Jobim / Newton Mendonça〕
【②-03/1960】(12) Só em teus braços
          〔Antonio Carlos Jobim〕
【②-08/1960】(13) O pato
          〔Jayme Silva / Neuza Teixeira〕
【①-12/1959】(14) É Luxo Só
          〔Ary Barroso / Luiz Peixoto〕     
【③-02/1961】(15) O barquinho
          〔Roberto Menescal / Ronaldo Boscoli〕
【②-07/1960】(16) Meditação ★Tokyo-2
          〔Antonio Carlos Jobim / Newton Mendonça〕
【①-01/1958】(17) Chega de Saudade
          〔Antônio Carlos Jobim / Vinicius de Moraes〕     
【①-11/1959】(18) Aos Pés da Cruz ★Tokyo-15
          〔Marino Pinto / Zé da Zilda〕

【NOT2CD461】2012年8月発売


最初期のアルバムから選んで収録されているようでしたので、
その点調べてみると、

①1959年発売《想いあふれて  Chega De Saudade 》全12曲
②1960年発売《愛と微笑みと花  O Amor, O Sorriso E A Flor 》全12曲
③1961年発売《ジョアン・ジルベルト João Gilberto 》全12曲

の3枚分のアルバムの収録曲(全36曲)に、
ボーナス・トラック2曲を加えた全38曲が
独自の曲順で収録されていることがわかりました。

EMIから発売され、
著作権の問題で廃盤となった同類のアルバム
《ジョアン・ジルベルトの伝説(全38曲)》
をもとに、曲順のみ再編成した可能性が高いですが、
詳しいことはわかりません。

どうせなら、
元のアルバムの曲順に戻してほしかったのですが、
ほぼ同時期に収録された曲なので、
聴いていて違和感を感じることはありませんでした。

音質もマニア的な聴き方をしなければ、
まあ納得できるレベルです。

国内で廉価で手に入るので、
とりあえずの1枚としては十分満足できると思います。

今後機会があれば、
元のアルバムの曲順をそのまま再現したCDを聴いてみたいですが、

それよりもその後、ジルベルトが残した
ほかの有名なアルバムを聴くのが先かもしれません。

2017年8月7日月曜日

リュプザムのバッハ:シュプラー・コラール集 BWV645-650(1988年録音)

ドイツ系アメリカ人のオルガニスト
ヴォルフガング・リュプザム
(Wolfgang Rübsam, 1946年10月- )の演奏で、

ドイツの作曲家
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
(Johann Sebastian Bach, 1685年3月-1750年7月)の
オルガン作品集を1枚聴きました。

5分ほどのコラール6曲を集めた
 シュプラー・コラール集 BWV645-650
を基軸として、

その間に大曲を4つ並べた構成になっています。
 前奏曲(幻想曲)とフーガ ハ短調 BWV 537
 前奏曲(トッカータ)とフーガ ニ短調 「ドリア調」 BWV 538
 前奏曲とフーガ ハ長調 BWV 545
 幻想曲 ト長調 BWV 572


ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
Johann Sebastian Bach (1685-1750)

①目覚めよ、と呼ぶ声あり BWV 645
 Wachet auf, ruft uns die Stimme, BWV 645

 (1)前奏曲(幻想曲)とフーガ ハ短調 BWV 537
  Fantasia and Fugue in C Minor, BWV 537

②われいずこに逃れ行かん BWV 646
 Wo soll ich fliehen hin, BWV 646

③ただ愛する神の摂理にまかす者 BWV 647
 Wer nur den lieben Gott lasst walten, BWV 647

 (2)前奏曲(トッカータ)とフーガ ニ短調 「ドリア調」 BWV 538
  Toccata and Fugue in D Minor, BWV 538, (Dorian)

④わが魂は主をたたう BWV 648
 Meine Seele erhebt den Herrn, BWV 648

 (3)幻想曲 ト長調 BWV 572
  Piece d'Orgue (Fantasia in G Major), BWV 572

⑤ああわがもとにとどまれ、主イエス=キリストよ BWV 649
 Ach, bleib bei uns, Herr Jesu Christ, BWV 649

⑥汝イエスよ、今天より降りたもうや BWV 650
 Kommst du nun, Jesu, vom Himmel herunter, BWV 650

 (4)前奏曲とフーガ ハ長調 BWV 545
  Prelude and Fugue in C Major, BWV 545


 ヴォルフガンク・リュプザム
 (Wolfgang Rübsam, オルガン)

録音:1988年7月、ドイツの聖ミカエル教会(シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州、オイティン)のオルガン(スイスのメッツラー社、1987年製作)を使用。
【NAXOS 8.553150】1995年2月発売

リュプザム氏の演奏による
バッハのオルガン曲とピアノ曲のCDが、
NAXOSからたくさん発売されていて、

いずれまとめて聴いてみたいと思っていたところ、
馴染みの古本屋に、格安でずらりと並んでいるのを見つけました。

大人買いでまとめて購入しましたので、
じっくり1枚ずつ聴き進めていこうと思います。


バッハのオルガン曲はピアノ曲のように、
「平均律第1・2巻」「パルティータ集」
「イギリス組曲」「フランス組曲」といった
適度な分量でまとめられていないため、
なかなか全体像を把握することができません。

リュプザム氏の場合、
1枚ごとに完結したコンサートを聴くような構成で、
どれもなかなか凝った作りとなっています。

とはいえ、
オルガン曲の知識はほとんどない身ですので、
はじめのうちは心地よい音の洪水に寝落ちすること数回。

どれも似たような曲に思えて困っていたのですが、
しばらく聴き込んでいると、
コラールの間にはさまれた4つの大曲を、
感慨深く聴くことができるようになってきました。

どれも聴き映えのする傑作揃いであることは認識できました。

それぞれの曲を聴き分けられますか、
と聞かれるとまだ自身がありませんが、

数ヶ月聴き込んで、
最初に聴き始めたころよりはかなり耳に馴染んで、
名曲揃いであるところまでは実感できましたので、
いったん次の1枚に進もうと思います。

2017年7月17日月曜日

ブレンデルのシューベルト:ピアノ作品集その5(1971-74年録音)

チェコスロバキア共和国(現・チェコ共和国)
モラヴィア地方生まれのピアニスト、
アルフレード・ブレンデル
(Alfred Brendel, 1931年1月- )の演奏で、
40代前半の時(1971-74年)に録音した

オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト
(Franz Schubert, 1797年1月 - 1828年11月)の
ピアノ作品集の5枚目を聴きました。


シューベルト:ピアノ作品集
CD5
①-④ ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D960(1972年録音)
⑤-⑦ 3つのピアノ曲 D946(1975年録音)
⑧ 11のエコセーズ D781(1975年録音)
⑨ ハンガリー風メロディー ロ短調 D817(1975年録音)
⑩ アレグレット ハ短調 D915(1975年録音)

アルフレート・ブレンデル(ピアノ)
【Eloquence 480 1218】2008年発売

小品を中心に、
確かあと2枚残っていますが、
ようやく21番まで来ました。

小品も一緒に収録されていますが、
曲の完成度に応じて、
やはり第21番 D960 の演奏に、
一番感銘を受けました。

ブレンデルの演奏には、どちらかといえば、
無駄を省いた、切れ味の鋭い、しかし繊細でスマートな所があるので、
ベートーヴェンだと多少物足りなさが残ることも多いのですが、

シューベルトだと不思議に、
程良い塩梅で心に響いて来て、
強い説得力をもって聴こえて来るのです。

名曲なので、
他にも好演はたくさんあるのでしょうが、
個人的にはもしライブで聴けたら大満足なレベルの演奏でした。


小品はどれもほぼ初めて聴きました。

そのうち有名なのは
3つのピアノ曲 D946
ですが、聴いてみると、所々
深く胸に切り込んでくるフレーズが耳に残るものの、
それほどまとまりが良いようには思えない、
誰かがあとで寄せ集めた作品のように聴こえました。

少し調べてみると、
4曲からなる2つの即興曲集に続く、
3つ目の即興曲集を構想していたようで、

第1・2曲は一応まとまっているものの、
あと何回か推敲をへる必要がある段階の作品、
第3曲は最初のスケッチ段階の作品と推測されているようです。

ただし第1・2曲と
第3曲は自筆譜の紙質に違いがあるので、
そもそも関係ない曲を寄せ集めた可能性もあるそうです。

そういわれると、
確かに第3曲は軽めのあっさりした仕上がりで、
さほど胸を打つ作品には思えません。

しばらく聴き込んだ感想としては、
まだ謎なところの残る、評価に困る作品としておきます。

11のエコセーズ D781 は、
これだけだと何ということのない軽めの作品。

ハンガリー風メロディー ロ短調 D817
も同類の小品ですが、
ハンガリー風の独特なほの暗いメロディが
程良いアクセントになって、
コンサートのアンコールなどに合いそうな気がしました。

アレグレット ハ短調 D915
は、21番のソナタを除けば、
このCDのなかで一番まとまりのよい、
センスに溢れた小品でした。