ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集、
9枚目を聴きました。
Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS
1) ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》
2) シューベルト:劇付随音楽《ロザムンデ》序曲 作品26 D644
3) ブラッハー:管弦楽のための協奏的音楽 作品10
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1952年12月8日(1)、1953年9月15日(2)、1954年4月27日(3)、ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD9
CD9には、まず
1952年12月7・8・9日に行われた
ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》序曲
ヒンデミット:交響曲《世界の調和》
ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》
の3曲からなる演奏会から、
8日に演奏された《英雄》交響曲が収録されています。
(残りの曲は、CD8に収録されています。)
次に、1953年9月15・16・17日に行われた
シューベルト:劇付随音楽《ロザムンデ》序曲
シューベルト:交響曲第8番《未完成》
シューベルト:交響曲第9番《ザ・グレート》
の3曲からなる演奏会から、
15日に演奏された《ロザムンデ》序曲が収録されています。
(残りの曲は、CD10に収録されています。)
最後に、1954年4月25・26・27日に行われた
ヘンデル:合奏協奏曲 作品6-5
ブラームス:交響曲第3番
ブラッハー:管弦楽のための協奏的音楽
シュトラウス:《ドン・ファン》
ワーグナー:《トリスタンとイゾルデ》より
の5曲からなる演奏会から、
27日に演奏されたブラッハーが収録されています。
(ヘンデルはCD7に、残りはCD11に収録されています。)
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ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven 1770.12-1827.3)の
交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》は、
33歳のとき(1804年)に完成された作品です。
なぜか若干さめた感じに聴こえますが、
フルトヴェングラーの得意曲だけあって、
有機的な響きにほどよい推進力に導かれて、
曲の全体像がよくわかる演奏になっていました。
音質もフルトヴェングラーの録音としては良い方だと思いますが、
その分コンサート用でない、臨時の演奏会場のデッドな感じが伝わって来て、
オケの響きそのものを楽しむことは出来ませんでした。
その点、多少マイナスでした。
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オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト
(Franz Schubert 1797.1-1828.11)の
劇付随音楽《ロザムンデ》序曲 作品26 D644
は、ドイツの女性作家ヘルミーネ・フォン・シェジーの
戯曲『キプロスの女王ロザムンデ』のために作曲された音楽です。
不評のため台本は散逸し、シューベルトの音楽のみが伝えられています。
序曲は、
のちに書き下ろされた独自の版(D797)もありますが、
初演時には、歌劇《アルフォンソとエストレッラ》序曲(D732)を転用、
のちに劇付随音楽《魔法の竪琴》序曲(D644)が転用されました。
録音などで何も注記がないときは、
ほとんど D644 が演奏されているようです。
すぐれた演奏といって良いと思いますが、
個人的には、ボッセとの新日本フィルとの
有機的だけど軽みもある演奏に魅了された後なので、
響きが少し重々しすぎるように感じました。
フルトヴェングラーらしい
曲の内面をよく掘り下げた名演ではあります。
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ドイツの作曲家
ボリス・ブラッハー
(Boris Blacher 1903.1-1975.1)の
管弦楽のための協奏的音楽 作品10
は、34歳のとき(1937)に作曲された作品です。
パガニーニの主題による変奏曲 作品26(1947)
という管弦楽曲が知られているようですが、未聴です。
どちらかというと、
今では忘れられかけている作曲家のようです。
ジャズのリズムと現代音楽の無機的な響きを合わせたような作品です。
録音も良く、
楽譜をよく読み込んだ上での演奏だと思います。
聴いていて苦痛になることはないのですが、
くり返して何度も聴きたいか、といえば、
それほどは感銘を受けない、
時代の潮流にのっただけの曲のように感じました。
※Wikipediaの
「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
「交響曲第3番(ベートーヴェン)」
「フランツ・シューベルト」
「キプロスの女王ロザムンデ」
「ボリス・ブラッハー」の各項目を参照。
※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照。
【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】