フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929.4-2012.1)が44-46歳のときに(1973.11)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した
同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第6番と、交響詩《ルオンノタル》《ポヒョラの娘》を聴きました。
シベリウス
1) 交響曲 第6番 ニ短調 作品104
第1楽章 アレグロ・モルト・モデラート
第2楽章 アレグレット・モデラート
第3楽章 ポコ・ヴィヴァーチェ
第4楽章 アレグロ・モルト
2) 交響詩《ルオンノタル》作品70
3) 交響詩《ポヒョラの娘》作品49
タル・ヴァリャッカ(ソプラノ)
パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1973年11月24日(1)、1975年6月3日(2)、1974年9月9日(3)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16017】
交響曲 第6番 ニ短調 作品104 は、
シベリウスが57歳のとき(1923年)に完成、初演された作品です。
第5・6・7番はほぼ同時期(1914年)に
着想されたことが知られていますが、
第5番が初演(1915年)された後、
しばらく第5番の改訂作業が続いたためか
(1916年に改訂稿、1919年に最終稿)、
第6番の完成は
50代の後半に入ってから、
1923年のことになりました。
ちなみにこの翌年1924年には第7番が完成しています。
今回ほぼ初めて聴きました。
フィンランドの自然の豊かさを感じる、
たいへん美しい作品ですが、
大自然の雄大さというよりも、
私の内なる世界としての、等身大の自然が描かれているように感じました。
聴きやすく
わかりやすい音楽ですが、
第5番まで一貫して感じられた
外へ外へと向かっていく覇気が、
若干減じているようにも感じられました。
飛び切り美しい出だしに耳を奪われるものの、
全体を聴き通してみて、
感動のうちに聴き終えることはなく、
あれっと思って何度も聴き返しておりましたが、
まだわかった!と言えるところにはたどりつけませんでした。
***
交響詩《ルオンノタル》作品70 は、
シベリウス40代後半(1913年)に作曲された
ソプラノ独唱付きの交響詩です。
歌詞は『カレワラ』第1章にもとづくそうで、
《ルオンノタル(大気の精)》と訳されることもあるようです。
同時期に作曲された
交響曲 第4番 イ短調 作品63
交響詩《吟遊詩人》作品64
と似た曲想をもっているように感じました。
独唱付きな分、言葉の問題があるので、
取り上げられる機会は限られてくるかもしれませんが、
独創的な出だしとともに、
別世界に持っていかれる心地のする
美しい歌曲ともいえるでしょう。
交響詩《ポヒョラの娘》作品49 は、
シベリウス40代はじめ(1906年)作曲された
『カレワラ』にもとづく交響詩で、
英雄ヴァイナモイネンについて描かれているそうです。
交響曲第3番ハ長調作品52
とほぼ同時期に書かれていますが、
ほの暗い色調で、
曲の出だしは第6番と似た印象を受けました。
第6番と似た感じのある
飛び切り美しい出だしに心奪われますが、
後半にかけての展開はあと一歩といった感じでした。
でも十分美しい、聴いておく価値のある佳曲だと思いました。
※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」
「交響曲第6番(シベリウス)」「ポホヨラの娘」を参照。
2013年7月28日日曜日
2013年7月25日木曜日
フルトヴェングラー&RAIローマ響のワーグナー:《ニーベルングの指輪》全曲(1953年)
リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)
祝祭劇 《ニーベルングの指環》 全曲
フルトヴェングラー&RAIローマ交響楽団
1953年10・11月、ローマ、ライブ録音(モノラル)
【Membran Wallet 233411】13CD
今年の春に、
ヤノフスキ&シュターツカペレ・ドレスデンの《指輪》抜粋盤を聴いて、
いずれ全曲盤を聴こう、と思っていたところ、
フルトヴェングラー&RAIローマ交響楽団による《指輪》全曲盤が
格安(2500円)で手に入ったので、
こちらで聴いてみることにしました。
音質が心配だったのですが、
モノラルのライブ録音であることを考慮すれば、
十分に鑑賞に耐えうるレベルでした。
正直なところヤノフスキ盤の、
極上の音質に親しんだすぐあとでは
かなり聴き劣りしたことも事実なのですが、
ヤノフスキ盤から数ヶ月おいて、
音の記憶がある程度消えてから聴きなおしてみると、
思いのほか面白く、
数ヶ月かけてじっくり聴いていくつもりが、
次から次へと聴き進んで、3週間くらいのうちに全部聴き終えていました。
まだあらすじも良くわかっていない状態ではありますが、
確かにこれは音楽だけでも十分聴き応えのある、
傑作であることは感じ取ることができました。
事前に多少の知識を頭に入れておこうと思い、
堀内修 著『ワーグナーのすべて』(平凡社新書、平成25年1月)
などをひもといてみましたが、
ドイツ人ならばともかく、
日本人である私にとって、とくに興味のわかない内容でした。
しかし音楽は凄いです。
オペラの場合、はじめから
台本の細かい内容にまでこだわろうとすると、
途中で飽きてきて、挫折することが少なくありませんでした。
これからはまず取り敢えず、音だけで楽しんで、
それから台本、原作にさかのぼるのもありかな、と思い直した次第です。
フルトヴェングラーの指揮は、
《指輪》の全体像を見据えた上で、
陶酔的というよりは、音楽的にバランスの取れた、
ほどよく掘り下げられた表現で、
楽譜の読みの深さに感心しつつ、
飽きる間もなく、楽しみながら、全体を聴き通すことができました。
2500円なら十分に満足できる内容でした。
次はヤノフスキ&シュターツカペレ・ドレスデン盤も全曲聴いてみたいと思っています。
リヒャルト・ワーグナー:
《ニーベルングの指環》 序夜と3日の祝祭劇
序夜 《ラインの黄金》 全4場
ヴォータン : フェルディナント・フランツ
フリッカ : イーラ・マラニウク
フライア : エリーザベト・グリュンマー
フロー : ローレンツ・フェーエンベルガー
ドンナー : アルフレート・ペル
ローゲ : ヴォルフガング・ヴィントガッセン
ミーメ : ユリウス・パツァーク
エルダ : ルース・スチュワート
アルベリヒ : グスタフ・ナイトリンガー
ファゾルト : ヨーゼフ・グラインドル
ファフナー : ゴットロープ・フリック
ヴォークリンデ : セーナ・ユリナッチ
ヴェルグンデ : マグダ・ガボーリ
フロースヒルデ : ヒルデ・レッスル=マイダン
RAIローマ交響楽団
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
[録音] 1953年10月26日
ローマ、アウディトリオ・デル・フォーロ・イタリーコ
第1日 《ワルキューレ》 全3幕
ジークムント : ヴォルフガング・ヴィントガッセン
ジークリンデ : ヒルデ・コネツニ
フンディング : ゴットロープ・フリック
ヴォータン : フェルディナント・フランツ
ブリュンヒルデ : マルタ・メードル
フリッカ : エルザ・カヴェルティ
ヴァルトラウテ : ダグマー・シュメーデス
ヘルムヴィーゲ : ユーディト・ヘリヴィック
オルトリンデ : マグダ・ガボーリ
ゲルヒルデ : ゲルダ・シュライヤー
シュヴェルトライテ : ヒルデ・レッスル=マイダン
ジークルーネ : オルガ・ベニングス
グリムゲルデ : エルサ・カヴェルティ
ロスヴァイゼ : イラ・マラニウク
RAIローマ交響楽団
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
[録音]1953年10月29日(第1幕)、11月3日(第2幕)、11月6日(第3幕)
ローマ、アウディトリオ・デル・フォーロ・イタリーコ
第2日 《ジークフリート》 全3幕
ジークフリート : ルートヴィヒ・ズートハウス
ブリュンヒルデ : マルタ・メードル
さすらい人 : フェルディナント・フランツ
ミーメ : ユリウス・パツァーク
アルベリヒ : アロイス・ペルネルシュトルファー
ファフナー : ヨーゼフ・グラインドル
エルダ : マルガレーテ・クローゼ
森の小鳥 : リタ・シュトライヒ
RAIローマ交響楽団
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
[録音]1953年11月10日(第1幕)、11月13日(第2幕)、11月17日(第3幕)
ローマ、アウディトリオ・デル・フォーロ・イタリーコ
第3日 《神々の黄昏》 序幕つき3幕
ジークフリート : ルートヴィヒ・ズートハウス
ブリュンヒルデ : マルタ・メードル
アルベリヒ : アロイス・ペルネルシュトルファー
ハーゲン : ヨーゼフ・グラインドル
グートルーネ : セーナ・ユリナッチ
グンター : アルフレート・ペル
フロースヒルデ : ヒルデ・レッスル=マイダン
ヴァルトラウテ : マルガレーテ・クローゼ
ヴォークリンデ : セーナ・ユリナッチ
ヴェルグンテ : マグダ・ガボーリ
第1のノルン : マルガレーテ・クローゼ
第2のノルン : ヒルデ・レッスル=マイダン
第3のノルン : セーナ・ユリナッチ
RAIローマ放送合唱団
RAIローマ交響楽団
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
[録音]1953年11月20日(序幕&第1幕)、11月24日(第2幕)、11月27日(第3幕)
ローマ、アウディトリオ・デル・フォーロ・イタリーコ
2013年7月22日月曜日
コダーイ四重奏団のハイドン:弦楽四重奏曲全集 その4
コダーイ四重奏団による
オーストリアの作曲家
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
(Franz Joseph Haydn 1732.3 - 1809.5)の
弦楽四重奏曲全集4枚目です。
ハイドン
弦楽四重奏曲 第9番 変ホ長調 作品2-3〔Hob.Ⅲ-9〕
弦楽四重奏曲 第11番 ニ長調 作品2-5〔Hob.Ⅲ-11〕
弦楽四重奏曲 第13番 ホ長調 作品3-1〔Hob.Ⅲ-13〕
弦楽四重奏曲 第14番 ハ長調 作品3-2〔Hob.Ⅲ-14〕
コダーイ四重奏団
録音:2000年6月26-29日、ブダペスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.555703】
ハイドンの弦楽四重奏曲は、
ハイドン生前中(1801年)に
弟子のプレイエル(1757-1831)によって
計83曲が全集としてまとめられました。
このプレイエル版において、
ハイドン初期の弦楽四重奏曲は、
◯作品1-1~6〔Hob.Ⅲ-1~6〕第1~6番
◯作品2-1~6〔Hob.Ⅲ-7~12〕第7~12番
◯作品3-1~6〔Hob.Ⅲ-13~18〕第13~18番
と整理されました。
作品1・2はハイドンが33・34歳のとき(1765・66年)、
作品3は45歳のとき(1777年)に個別に出版され、
ハイドン最晩年(1805年)の「ハイドン目録」でも、
ハイドン本人が認めていたものなのですが、
その後の研究で、
◯変ロ長調 作品1-5〔Hob.Ⅲ-5〕は、
交響曲「A」〔Hob.Ⅰ-107〕の編曲、
◎変ホ長調 作品2-3・5〔Hob.Ⅲ-9・11〕は、
6声のディベルティメント〔Hob.Ⅱ-21・22〕の編曲、
であったことがわかっています(計3曲)。さらに、
◎作品3-1~6〔Hob.Ⅲ-13~18〕
の6曲は、ハイドンの信奉者
ロマン・ホフシュテッター(1742-1815)による
贋作と考えられるようになりました。
つまりこのCDには、
最新の研究では、ハイドンの弦楽四重奏曲から
外して考えられるようになった4作品、
6声のディベルティメント〔Hob.Ⅱ-21・22〕から編曲された2曲
◎作品2の3・5(第9・11番)
と、ホフシュテッターによる贋作と考えられる作品2曲
◎作品3の1・2(第13・14番)
の計4曲が収録されています。
***
まずは前半2曲。
弦楽四重奏曲 第9番 変ホ長調 作品2-3〔Hob.Ⅲ-9〕
弦楽四重奏曲 第11番 ニ長調 作品2-5〔Hob.Ⅲ-11〕
は6声のディベルティメント〔Hob.Ⅱ-21・22〕からの編曲で、
それぞれ5楽章からなる楽しい作品です。
特別な深みのある曲ではありませんが、
4声の作品とは目のつけどころが違ってくるからか、
若干ですが新鮮な印象を受けました。
Hob.Ⅱの系列は、
作品によって編成が少しずつ変化するからか、
国内盤をざっと探した感じではまとまった録音は出ていないようでした。
聴けないとなるとかえって
聴いてみたくなったので、次は輸入盤に手を広げて探してみます。
演奏は最後まで楽しく聴かせてもらえたので、
私には十分の出来でした。
次は後半2曲。
弦楽四重奏曲第13番 ホ長調 作品3-1〔Hob.Ⅲ-13〕
弦楽四重奏曲第14番 ハ長調 作品3-2〔Hob.Ⅲ-14〕
ロマン・ホフシュテッター(1742-1815)による贋作
と推定されている作品です。
他と比べて多少聴き劣りするのかな、
と思って聴き始めたのですが、
そんなことは全くなく、
ハイドン最初期の弦楽四重奏曲よりも、
技巧的な面で聴かせ上手に仕上がっていて、
飽きずに楽しんで聴くことができました。
この時期のほかの作曲家の作品を
色々聴いたわけではないので一概に言えないのですが、
作品1、作品2が、
初期の作品という前提で聴かないと
多少苦しい部分があったのに対して、
作品3はそのままでふつうに楽しめる作品であり、
ハイドンの順調な成長の証が記されているようにも聴こえました。
書誌学的に、
ホフシュテッターの手になる
原本の楽譜が見つかったわけではないようなので、
それほど決定的に、ハイドン作ではない、と言い切れるのだろうかと疑問を持ちました。
ホフシュテッターは、
これ以外の作品をほとんど残していないようでもあり、
ハイドンに似せて、いきなりこれだけの作品が書けるものなのかな、
とも思いました。
例えば、
ホフシュテッターがハイドンに依頼して、
弦楽四重奏曲を作曲してもらったために、
ホフシュテッターの作品と誤認されることもあったのではないのかな、と。
とはいえ、
残りの4曲をまだ聴いていないので、
そちらを聴いてから、また考えてみたいと思います。
※wikipedia の「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
「ハイドンの弦楽四重奏曲一覧」「イグナツ・プライエル」
「ローマン・ホフシュテッター」の各項目を参照。
※JAIRO でインターネット上に公開されている
飯森豊水の論文「J.ハイドン作『初期弦楽四重奏曲』の帰属ジャンルをめぐって」
(『哲學』第86集、昭和63年6月)を参照。
※中野博詞『ハイドン復活』(春秋社、平成7年11月)を参照。
※現代音楽作曲家・福田陽氏の
「ハイドン研究室」〈http://www.masque-music.com/haydn/index.htm〉を参照。
オーストリアの作曲家
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
(Franz Joseph Haydn 1732.3 - 1809.5)の
弦楽四重奏曲全集4枚目です。
ハイドン
弦楽四重奏曲 第9番 変ホ長調 作品2-3〔Hob.Ⅲ-9〕
弦楽四重奏曲 第11番 ニ長調 作品2-5〔Hob.Ⅲ-11〕
弦楽四重奏曲 第13番 ホ長調 作品3-1〔Hob.Ⅲ-13〕
弦楽四重奏曲 第14番 ハ長調 作品3-2〔Hob.Ⅲ-14〕
コダーイ四重奏団
録音:2000年6月26-29日、ブダペスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.555703】
ハイドンの弦楽四重奏曲は、
ハイドン生前中(1801年)に
弟子のプレイエル(1757-1831)によって
計83曲が全集としてまとめられました。
このプレイエル版において、
ハイドン初期の弦楽四重奏曲は、
◯作品1-1~6〔Hob.Ⅲ-1~6〕第1~6番
◯作品2-1~6〔Hob.Ⅲ-7~12〕第7~12番
◯作品3-1~6〔Hob.Ⅲ-13~18〕第13~18番
と整理されました。
作品1・2はハイドンが33・34歳のとき(1765・66年)、
作品3は45歳のとき(1777年)に個別に出版され、
ハイドン最晩年(1805年)の「ハイドン目録」でも、
ハイドン本人が認めていたものなのですが、
その後の研究で、
◯変ロ長調 作品1-5〔Hob.Ⅲ-5〕は、
交響曲「A」〔Hob.Ⅰ-107〕の編曲、
◎変ホ長調 作品2-3・5〔Hob.Ⅲ-9・11〕は、
6声のディベルティメント〔Hob.Ⅱ-21・22〕の編曲、
であったことがわかっています(計3曲)。さらに、
◎作品3-1~6〔Hob.Ⅲ-13~18〕
の6曲は、ハイドンの信奉者
ロマン・ホフシュテッター(1742-1815)による
贋作と考えられるようになりました。
つまりこのCDには、
最新の研究では、ハイドンの弦楽四重奏曲から
外して考えられるようになった4作品、
6声のディベルティメント〔Hob.Ⅱ-21・22〕から編曲された2曲
◎作品2の3・5(第9・11番)
と、ホフシュテッターによる贋作と考えられる作品2曲
◎作品3の1・2(第13・14番)
の計4曲が収録されています。
***
まずは前半2曲。
弦楽四重奏曲 第9番 変ホ長調 作品2-3〔Hob.Ⅲ-9〕
弦楽四重奏曲 第11番 ニ長調 作品2-5〔Hob.Ⅲ-11〕
は6声のディベルティメント〔Hob.Ⅱ-21・22〕からの編曲で、
それぞれ5楽章からなる楽しい作品です。
特別な深みのある曲ではありませんが、
4声の作品とは目のつけどころが違ってくるからか、
若干ですが新鮮な印象を受けました。
Hob.Ⅱの系列は、
作品によって編成が少しずつ変化するからか、
国内盤をざっと探した感じではまとまった録音は出ていないようでした。
聴けないとなるとかえって
聴いてみたくなったので、次は輸入盤に手を広げて探してみます。
演奏は最後まで楽しく聴かせてもらえたので、
私には十分の出来でした。
次は後半2曲。
弦楽四重奏曲第13番 ホ長調 作品3-1〔Hob.Ⅲ-13〕
弦楽四重奏曲第14番 ハ長調 作品3-2〔Hob.Ⅲ-14〕
ロマン・ホフシュテッター(1742-1815)による贋作
と推定されている作品です。
他と比べて多少聴き劣りするのかな、
と思って聴き始めたのですが、
そんなことは全くなく、
ハイドン最初期の弦楽四重奏曲よりも、
技巧的な面で聴かせ上手に仕上がっていて、
飽きずに楽しんで聴くことができました。
この時期のほかの作曲家の作品を
色々聴いたわけではないので一概に言えないのですが、
作品1、作品2が、
初期の作品という前提で聴かないと
多少苦しい部分があったのに対して、
作品3はそのままでふつうに楽しめる作品であり、
ハイドンの順調な成長の証が記されているようにも聴こえました。
書誌学的に、
ホフシュテッターの手になる
原本の楽譜が見つかったわけではないようなので、
それほど決定的に、ハイドン作ではない、と言い切れるのだろうかと疑問を持ちました。
ホフシュテッターは、
これ以外の作品をほとんど残していないようでもあり、
ハイドンに似せて、いきなりこれだけの作品が書けるものなのかな、
とも思いました。
例えば、
ホフシュテッターがハイドンに依頼して、
弦楽四重奏曲を作曲してもらったために、
ホフシュテッターの作品と誤認されることもあったのではないのかな、と。
とはいえ、
残りの4曲をまだ聴いていないので、
そちらを聴いてから、また考えてみたいと思います。
※wikipedia の「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
「ハイドンの弦楽四重奏曲一覧」「イグナツ・プライエル」
「ローマン・ホフシュテッター」の各項目を参照。
※JAIRO でインターネット上に公開されている
飯森豊水の論文「J.ハイドン作『初期弦楽四重奏曲』の帰属ジャンルをめぐって」
(『哲學』第86集、昭和63年6月)を参照。
※中野博詞『ハイドン復活』(春秋社、平成7年11月)を参照。
※現代音楽作曲家・福田陽氏の
「ハイドン研究室」〈http://www.masque-music.com/haydn/index.htm〉を参照。
2013年7月8日月曜日
ヴァルヒャのバッハ:オルガン作品全集(旧盤)CD9
ヘルムート・ヴァルヒャ(1907 - 1991)による
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685.3 - 1750.7)のオルガン作品全集、
9枚目を聴きました。
J.S.バッハ:オルガン作品全集 CD9
クラーヴィア練習曲集第3部(ドイツ・オルガン・ミサ)より
大オルガンのためのコラール編曲集(続き)
1) これぞ聖なる十戒 BWV678
2) われらみな唯一なる神を信ず BWV680
3) 天にいますわれらの父よ BWV682
4) われらの主キリスト、ヨルダン川に来たり BWV684
5) 深き苦しみの溝より、われ汝を呼ぶ BWV686
6) われらの救い主イエス=キリスト BWV688
ハープシコードのための4つのデュエット
7) デュエット第1番ホ短調 BWV802
8) デュエット第2番ヘ長調 BWV803
9) デュエット第3番ト長調 BWV804
10) デュエット第4番イ短調 BWV805
小オルガンのためのコラール編曲集
11) 永遠の父なる神よ BWV672
12) すべての世の慰めなるキリストよ BWV673
13) 聖霊なる神よ BWV674
14) いと高きところにいます神にのみ栄光あれ BWV675
15) フゲッタ「いと高きところにいます神にのみ栄光あれ」BWV677
16) フゲッタ「これぞ聖なる十戒」BWV679
17) フゲッタ「われらみな唯一なる神を信ず」BWV681
18) 天にいますわれらの父よ BWV683
19) フゲッタ「われらの主キリスト、ヨルダン川に来たり」BWV685
20) 深き苦しみの溝より、われ汝を呼ぶ BWV687
21) フーガ「われらの救い主イエス=キリスト」BWV689
22) フーガ変ホ長調「聖アン」BWV552-2
録音:1947年(1-6,22)、1950年(11-21)、1951年(7-10)
オルガン:カッペル、聖ペテロ=パウロ教会
ハープシコード:ハンブルグのエイメル製
【Membran 223489】CD9
CD9枚目には、
「ドイツ・オルガン・ミサ」と呼ばれる、
「クラーヴィア練習曲集第3巻」の後半が演奏されています。
「クラーヴィア練習曲集」とは、
バッハが生前に出版した鍵盤楽器のための作品集であり、
第1巻 パルティータ BWV825-830〔出版:1726-1730〕
第2巻 フランス風序曲 BWV831、イタリア協奏曲 BWV971〔出版:1735年〕
第3巻 〔出版:1739年〕
第4巻 ゴールドベルク変奏曲 BWV988〔出版:1742年〕
の全4巻からなります。
このうち第3巻は、
50代半ばのときに出版された作品で、
「ドイツ・オルガン・ミサ」とも呼ばれ、
前奏曲とフーガ 変ホ長調「聖アン」BWV552
21のコラール BWV669-689
4つのデュエット BWV802-805
という構成からなります。
(4つのデュエットのみ、ハープシコードで演奏。)
このCDでは、
ヴァルヒャさんの発案なのか、
用いた楽譜によるのか、次のような順番で演奏されています。
(CD8の収録曲も含む。)
1) 前奏曲 変ホ長調「聖アン」
BWV552/1
2) 大オルガンのためのコラール編曲集
BWV669-671・676
(以下CD9)
BWV678・680・682・684・686・688
3) ハープシコードのための4つのデュエット
BWV802-805
4) 小オルガンのためのコラール編曲集
BWV672-675
BWV677・679・681・683・685・687・689
5) フーガ変ホ長調「聖アン」
BWV552/2
収録時期は数年にわたっているので、
必ずしも一気に演奏するべきものではないのかもしれませんが、
それほど難渋でもなく、
どれも充実した内容で、
全体的に統一した雰囲気を醸しだしているので、
チェンバロを調達してきて、一夜で演奏するのも面白そうな企画だと思いました。
大規模な曲集なので、
正直まだ全体像をつかめているとは言えないのですが、
私の中では、要注目の曲集になりました。
※Wikipedia の「ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品一覧」を参照。
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685.3 - 1750.7)のオルガン作品全集、
9枚目を聴きました。
J.S.バッハ:オルガン作品全集 CD9
クラーヴィア練習曲集第3部(ドイツ・オルガン・ミサ)より
大オルガンのためのコラール編曲集(続き)
1) これぞ聖なる十戒 BWV678
2) われらみな唯一なる神を信ず BWV680
3) 天にいますわれらの父よ BWV682
4) われらの主キリスト、ヨルダン川に来たり BWV684
5) 深き苦しみの溝より、われ汝を呼ぶ BWV686
6) われらの救い主イエス=キリスト BWV688
ハープシコードのための4つのデュエット
7) デュエット第1番ホ短調 BWV802
8) デュエット第2番ヘ長調 BWV803
9) デュエット第3番ト長調 BWV804
10) デュエット第4番イ短調 BWV805
小オルガンのためのコラール編曲集
11) 永遠の父なる神よ BWV672
12) すべての世の慰めなるキリストよ BWV673
13) 聖霊なる神よ BWV674
14) いと高きところにいます神にのみ栄光あれ BWV675
15) フゲッタ「いと高きところにいます神にのみ栄光あれ」BWV677
16) フゲッタ「これぞ聖なる十戒」BWV679
17) フゲッタ「われらみな唯一なる神を信ず」BWV681
18) 天にいますわれらの父よ BWV683
19) フゲッタ「われらの主キリスト、ヨルダン川に来たり」BWV685
20) 深き苦しみの溝より、われ汝を呼ぶ BWV687
21) フーガ「われらの救い主イエス=キリスト」BWV689
22) フーガ変ホ長調「聖アン」BWV552-2
録音:1947年(1-6,22)、1950年(11-21)、1951年(7-10)
オルガン:カッペル、聖ペテロ=パウロ教会
ハープシコード:ハンブルグのエイメル製
【Membran 223489】CD9
CD9枚目には、
「ドイツ・オルガン・ミサ」と呼ばれる、
「クラーヴィア練習曲集第3巻」の後半が演奏されています。
「クラーヴィア練習曲集」とは、
バッハが生前に出版した鍵盤楽器のための作品集であり、
第1巻 パルティータ BWV825-830〔出版:1726-1730〕
第2巻 フランス風序曲 BWV831、イタリア協奏曲 BWV971〔出版:1735年〕
第3巻 〔出版:1739年〕
第4巻 ゴールドベルク変奏曲 BWV988〔出版:1742年〕
の全4巻からなります。
このうち第3巻は、
50代半ばのときに出版された作品で、
「ドイツ・オルガン・ミサ」とも呼ばれ、
前奏曲とフーガ 変ホ長調「聖アン」BWV552
21のコラール BWV669-689
4つのデュエット BWV802-805
という構成からなります。
(4つのデュエットのみ、ハープシコードで演奏。)
このCDでは、
ヴァルヒャさんの発案なのか、
用いた楽譜によるのか、次のような順番で演奏されています。
(CD8の収録曲も含む。)
1) 前奏曲 変ホ長調「聖アン」
BWV552/1
2) 大オルガンのためのコラール編曲集
BWV669-671・676
(以下CD9)
BWV678・680・682・684・686・688
3) ハープシコードのための4つのデュエット
BWV802-805
4) 小オルガンのためのコラール編曲集
BWV672-675
BWV677・679・681・683・685・687・689
5) フーガ変ホ長調「聖アン」
BWV552/2
収録時期は数年にわたっているので、
必ずしも一気に演奏するべきものではないのかもしれませんが、
それほど難渋でもなく、
どれも充実した内容で、
全体的に統一した雰囲気を醸しだしているので、
チェンバロを調達してきて、一夜で演奏するのも面白そうな企画だと思いました。
大規模な曲集なので、
正直まだ全体像をつかめているとは言えないのですが、
私の中では、要注目の曲集になりました。
※Wikipedia の「ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品一覧」を参照。
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