2013年7月28日日曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第6番 (1973年録音)

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929.4-2012.1)が44-46歳のときに(1973.11)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第6番と、交響詩《ルオンノタル》《ポヒョラの娘》を聴きました。


シベリウス
1) 交響曲 第6番 ニ短調 作品104
  第1楽章 アレグロ・モルト・モデラート
  第2楽章 アレグレット・モデラート
  第3楽章 ポコ・ヴィヴァーチェ
  第4楽章 アレグロ・モルト

2) 交響詩《ルオンノタル》作品70
3) 交響詩《ポヒョラの娘》作品49

タル・ヴァリャッカ(ソプラノ)
パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1973年11月24日(1)、1975年6月3日(2)、1974年9月9日(3)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16017】


交響曲 第6番 ニ短調 作品104 は、

シベリウスが57歳のとき(1923年)に完成、初演された作品です。

第5・6・7番はほぼ同時期(1914年)に
着想されたことが知られていますが、

第5番が初演(1915年)された後、
しばらく第5番の改訂作業が続いたためか
(1916年に改訂稿、1919年に最終稿)、

第6番の完成は
50代の後半に入ってから、
1923年のことになりました。

ちなみにこの翌年1924年には第7番が完成しています。


今回ほぼ初めて聴きました。

フィンランドの自然の豊かさを感じる、
たいへん美しい作品ですが、

大自然の雄大さというよりも、
私の内なる世界としての、等身大の自然が描かれているように感じました。


聴きやすく
わかりやすい音楽ですが、

第5番まで一貫して感じられた
外へ外へと向かっていく覇気が、

若干減じているようにも感じられました。


飛び切り美しい出だしに耳を奪われるものの、
全体を聴き通してみて、

感動のうちに聴き終えることはなく、
あれっと思って何度も聴き返しておりましたが、

まだわかった!と言えるところにはたどりつけませんでした。


  ***

交響詩《ルオンノタル》作品70 は、

シベリウス40代後半(1913年)に作曲された
ソプラノ独唱付きの交響詩です。

歌詞は『カレワラ』第1章にもとづくそうで、
《ルオンノタル(大気の精)》と訳されることもあるようです。


同時期に作曲された

 交響曲 第4番 イ短調 作品63
 交響詩《吟遊詩人》作品64

と似た曲想をもっているように感じました。

独唱付きな分、言葉の問題があるので、
取り上げられる機会は限られてくるかもしれませんが、

独創的な出だしとともに、
別世界に持っていかれる心地のする
美しい歌曲ともいえるでしょう。


交響詩《ポヒョラの娘》作品49 は、

シベリウス40代はじめ(1906年)作曲された
『カレワラ』にもとづく交響詩で、

英雄ヴァイナモイネンについて描かれているそうです。

 交響曲第3番ハ長調作品52

とほぼ同時期に書かれていますが、

ほの暗い色調で、
曲の出だしは第6番と似た印象を受けました。


第6番と似た感じのある
飛び切り美しい出だしに心奪われますが、

後半にかけての展開はあと一歩といった感じでした。

でも十分美しい、聴いておく価値のある佳曲だと思いました。


※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」
「交響曲第6番(シベリウス)」「ポホヨラの娘」を参照。

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