ドイツの指揮者、
クルト・マズア(1927.7- )の指揮する
ドイツのオーケストラ
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏で、
ドイツの作曲家
フェリックス・メンデルスゾーン(1809.2-1847.11)の
序曲集を聴きました。
マズア46歳の時(1974.2)の録音です。
メンデルスゾーン序曲集
1) 序曲《ルイ・ブラス》作品95
2) 序曲《フィンガルの洞窟》作品26
3) 序曲《トランペット》作品101
4) 序曲《美しいメルジーネの物語》作品32
5) 序曲《静かな海と楽しい航海》作品27
クルト・マズア(指揮)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
録音:1974年2月5-6日、25日、3月1日、ライプツィヒ贖罪教会
【KICC3655】
メンデルスゾーンの作品番号は
おおむね出版順に付されているのですが、
没後に出版された50曲近くの作品(Op.73~)にも同様に付されたため、
作曲年代を考える際は注意が必要です。
今回の収録曲を
作曲順に並べなおすと、
1826年…序曲《トランペット》作品101
1828年…序曲《静かな海と楽しい航海》作品27
1830年…序曲《フィンガルの洞窟》作品26
1835年…序曲《美しいメルジーネの物語》作品32
1839年…序曲《ルイ・ブラス》作品95
となります。
作曲者17歳(1826)から
30歳(1839)までの作品が収められていることになります。
17歳というと驚きますが、
有名な 序曲《夏の夜の夢》作品21
と同じ年に作曲されていることを知れば、
一概に早いとも言えないでしょう。
***
メンデルスゾーンの序曲は、
これまでそれほど注目して来なかったのですが、
今回の演奏でかなり見方を改めました。
ちょうどサヴァリッシュとドレスデン国立管弦楽団による
シューマンを聴いたときのような印象で、
オーケストラの豊穣な音色にまず心を奪われました。
響きの美しさにうっとりして身を任せているうちに、
先へ先へと曲が進んでいって、
明るい美しさに満ち溢れた
メンデルスゾーンの魅力に初めて気がつけたように思います。
マズアの指揮も、
特別な個性を強調するものではありませんが、
オケの美点を無理のない範囲で最大限に引き出していて、
その確かな手腕に驚かされました。
マズアの指揮はどこか楽観的というか、
底抜けに明るいところがあるので、
ベートーヴェンやブラームスでは
今一つ私の好みとズレがあったのですが、
メンデルスゾーンでは、
曲想がマズアの個性に合っているのか、
曲の良さを率直に感じ取ることができました。
どれも美しいのですが、
序曲《トランペット》と《ルイ・ブラス》は、
初めて聴く者にもわかりやすく、隠れた名曲に出会うことができました。
マズアとゲヴァントハウスのコンビで、
メンデルスゾーンの主要な作品を録音されているようなので、
これから1つずつ聴いていこうと思います。
2015年1月30日金曜日
2015年1月29日木曜日
朝比奈隆&大阪フィルのベートーヴェン:交響曲第1・2番(2000年録音)
日本の指揮者
朝比奈隆(1908.7-2001.12)の指揮する
大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏で、
ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770.12-1827.3)の
交響曲第1・2番を聴きました。
朝比奈隆の最晩年、
2000年に録音された7回目の交響曲全集からの分売です。
指揮者91-2歳(2000年3・7月)の時の録音です。
ベートーヴェン
交響曲第1番 ハ長調 作品21
交響曲第2番 ニ長調 作品36
大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆
録音:2000年7月23日 東京、サントリーホール(第1番)
2000年3月10日 大阪、フェスティバルホール(第2番)
【AVCL84002】※2014年11月発売。
7回目の全集は、
各曲2回ずつの公演をそのままCD化するという
マニア向けの趣向だったので(2000年4月- 2001年5月発売)、
途中まで購入したものの全曲揃えるには至りませんでした。
2008年12月に改めて、
ふつうの全集仕様に編集したものが6枚組で発売されましたが、
高価なのでそのうちに買おうと思っているうちに、
今回の再販となりました。
***
第1番は初出時、
2000年7月21日と23日の演奏が両方ともCD化されていました。
今回のCDには、
2000年7月23日のライブ収録とあります。
恐らく23日の演奏をもとに微調整された音源ということだと思います。
同じように、第2番は初出時、
2000年3月10日と12日の演奏が両方ともCD化されていました。
今回のCDには、
2000年3月10日のライブ収録とあります。
恐らく10日の演奏をもとに微調整された音源ということだと思います。
***
さて今回、
一聴して気がつかされるのは、
これまで聴いてきたポニーキャニオンでの2回の全集とは、
明らかにオケの響きが違うことです。
それまでの録音では、
オケの各楽器が荒削りなままで突出する感じがあって、
良くいえば、豪快かつ攻撃的な印象、
悪くいえば、耳にうるさい粗雑な印象がありました。
新しい録音では、まずもって
美しくブレンドされたオケの豊穣な響きに耳を奪われます。
大阪フィルってこんなに美しい響きだったかなと驚くほどです。
個人的に、
朝比奈&大フィルを生で聴いた印象に近いのは、
今回のCDのほうだと思うので、
生のオーケストラを聴いた時の印象により近くなるように、
それまでと録音の方針を変えたのでしょうか。
これまでの素朴で豪快な音楽作りに加えて、
オーケストラの極上の音色を楽しむこともできるので、
朝比奈隆&大阪フィルのベートーヴェン:交響曲全集のなかでも、
完成度の点で際立っているのではと思いますが、
たくさん出ている全集をすべて聴いたわけではないので、
これはこれで、
十分お薦めできるレベルの優れたCDであることは保証できます。
最近はあまり聴かれなくなった
オケを豪快に鳴らしきって演奏させるタイプの
第1・2番として、
くりかえし聴きたくなる魅力を備えた演奏だと思います。
朝比奈隆(1908.7-2001.12)の指揮する
大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏で、
ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770.12-1827.3)の
交響曲第1・2番を聴きました。
朝比奈隆の最晩年、
2000年に録音された7回目の交響曲全集からの分売です。
指揮者91-2歳(2000年3・7月)の時の録音です。
ベートーヴェン
交響曲第1番 ハ長調 作品21
交響曲第2番 ニ長調 作品36
大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆
録音:2000年7月23日 東京、サントリーホール(第1番)
2000年3月10日 大阪、フェスティバルホール(第2番)
【AVCL84002】※2014年11月発売。
7回目の全集は、
各曲2回ずつの公演をそのままCD化するという
マニア向けの趣向だったので(2000年4月- 2001年5月発売)、
途中まで購入したものの全曲揃えるには至りませんでした。
2008年12月に改めて、
ふつうの全集仕様に編集したものが6枚組で発売されましたが、
高価なのでそのうちに買おうと思っているうちに、
今回の再販となりました。
***
第1番は初出時、
2000年7月21日と23日の演奏が両方ともCD化されていました。
今回のCDには、
2000年7月23日のライブ収録とあります。
恐らく23日の演奏をもとに微調整された音源ということだと思います。
同じように、第2番は初出時、
2000年3月10日と12日の演奏が両方ともCD化されていました。
今回のCDには、
2000年3月10日のライブ収録とあります。
恐らく10日の演奏をもとに微調整された音源ということだと思います。
***
さて今回、
一聴して気がつかされるのは、
これまで聴いてきたポニーキャニオンでの2回の全集とは、
明らかにオケの響きが違うことです。
それまでの録音では、
オケの各楽器が荒削りなままで突出する感じがあって、
良くいえば、豪快かつ攻撃的な印象、
悪くいえば、耳にうるさい粗雑な印象がありました。
新しい録音では、まずもって
美しくブレンドされたオケの豊穣な響きに耳を奪われます。
大阪フィルってこんなに美しい響きだったかなと驚くほどです。
個人的に、
朝比奈&大フィルを生で聴いた印象に近いのは、
今回のCDのほうだと思うので、
生のオーケストラを聴いた時の印象により近くなるように、
それまでと録音の方針を変えたのでしょうか。
これまでの素朴で豪快な音楽作りに加えて、
オーケストラの極上の音色を楽しむこともできるので、
朝比奈隆&大阪フィルのベートーヴェン:交響曲全集のなかでも、
完成度の点で際立っているのではと思いますが、
たくさん出ている全集をすべて聴いたわけではないので、
これはこれで、
十分お薦めできるレベルの優れたCDであることは保証できます。
最近はあまり聴かれなくなった
オケを豪快に鳴らしきって演奏させるタイプの
第1・2番として、
くりかえし聴きたくなる魅力を備えた演奏だと思います。
2015年1月27日火曜日
ガンゼンハウザー&スロヴァキア放送響のラフマニノフ:交響曲第2番(1989年録音)
エイベックス・クラシックスの
ベスト・オブ・クラシックスからもう1枚、
アメリカの指揮者
スティーヴン・ガンゼンハウザー(1942.4-)の指揮する
スロヴァキアのオーケストラ
スロヴァキア放送ブラティスラヴァ交響楽団の演奏で、
ロシア帝国出身の作曲家
セルゲイ・ラフマニノフ(1873.4-1943.3)の
交響曲第2番 ホ短調 作品27 を聴きました。
作曲家34歳の時(1908.1)に初演された作品を、
指揮者47歳の時(1989.5)に録音しています。
セルゲイ・ラフマニノフ
交響曲第2番ホ短調作品27
スティーヴン・ガンゼンハウザー(指揮)
スロヴァキア放送ブラティスラヴァ交響楽団
録音:1989年5月 ブラティスラヴァ、スロヴァキア放送コンサートホール
【AVCL-25629】
ラフマニノフの交響曲第2番は、
美しいメロディに事欠かないものの、
曲全体の構成がつかみにくいところがあって、
今一つよくわからない感じのある曲です。
これまでに
スヴェトラーノフ、
プレヴィン、
アシュケナージ、
オーマンディ、
秋山和慶、
と聴いてきましたが、
つかみどころのなさは残されたままでした。
このガンゼンハウザー盤、
オケの技量的に厳しいのではと思っていたのですが、
指揮者のよほどの得意曲なのか、
曲全体の構成が手に取るようにわかり、
共感度の高いオーケストラとともに
感動的な演奏を聴かせてくれました。
チャイコフスキーにつながるような、
ロシア的な荒々しい側面と、
ラフマニノフ独特の甘い旋律とが、
絶妙なバランスで構成されていて、
今回のCDで初めて、
この作品の本質がわかったように感じました。
若干オケが弱いので、
繰り返し聴いているとオケの粗さが目についてきますが、
たまに取り出して聴く分には何も問題ありません。
まとめにくい曲を相手に、
聴かせどころのつぼを良く心得た、
隠れた名盤といって良いと思います。
ガンゼンハウザー、
楽譜をかなり深く読み込んで、
個性的な解釈を聴かせる要注目の指揮者だと思います。
※Wikipediaの「セルゲイ・ラフマニノフ」「交響曲第2番(ラフマニノフ)」を参照。
ベスト・オブ・クラシックスからもう1枚、
アメリカの指揮者
スティーヴン・ガンゼンハウザー(1942.4-)の指揮する
スロヴァキアのオーケストラ
スロヴァキア放送ブラティスラヴァ交響楽団の演奏で、
ロシア帝国出身の作曲家
セルゲイ・ラフマニノフ(1873.4-1943.3)の
交響曲第2番 ホ短調 作品27 を聴きました。
作曲家34歳の時(1908.1)に初演された作品を、
指揮者47歳の時(1989.5)に録音しています。
セルゲイ・ラフマニノフ
交響曲第2番ホ短調作品27
スティーヴン・ガンゼンハウザー(指揮)
スロヴァキア放送ブラティスラヴァ交響楽団
録音:1989年5月 ブラティスラヴァ、スロヴァキア放送コンサートホール
【AVCL-25629】
ラフマニノフの交響曲第2番は、
美しいメロディに事欠かないものの、
曲全体の構成がつかみにくいところがあって、
今一つよくわからない感じのある曲です。
これまでに
スヴェトラーノフ、
プレヴィン、
アシュケナージ、
オーマンディ、
秋山和慶、
と聴いてきましたが、
つかみどころのなさは残されたままでした。
このガンゼンハウザー盤、
オケの技量的に厳しいのではと思っていたのですが、
指揮者のよほどの得意曲なのか、
曲全体の構成が手に取るようにわかり、
共感度の高いオーケストラとともに
感動的な演奏を聴かせてくれました。
チャイコフスキーにつながるような、
ロシア的な荒々しい側面と、
ラフマニノフ独特の甘い旋律とが、
絶妙なバランスで構成されていて、
今回のCDで初めて、
この作品の本質がわかったように感じました。
若干オケが弱いので、
繰り返し聴いているとオケの粗さが目についてきますが、
たまに取り出して聴く分には何も問題ありません。
まとめにくい曲を相手に、
聴かせどころのつぼを良く心得た、
隠れた名盤といって良いと思います。
ガンゼンハウザー、
楽譜をかなり深く読み込んで、
個性的な解釈を聴かせる要注目の指揮者だと思います。
※Wikipediaの「セルゲイ・ラフマニノフ」「交響曲第2番(ラフマニノフ)」を参照。
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