ボストン交響楽団の演奏で、
オーストリア帝国出身の作曲家
グスタフ・マーラー(Gustav Mahler 1860.7-1911.5)
の交響曲第3番を聴きました。
小澤氏57歳の時(1993.4)の録音です。
マーラー:交響曲第3番ニ短調
ジェシー・ノーマン(ソプラノ)
タングルウッド祝祭合唱団(合唱指揮:ジョン・オリヴァー)
アメリカ少年合唱団(合唱指揮:ジェイムズ・リットン)
ボストン交響楽団
指揮:小澤征爾
録音:1993年4月22-27日、ボストン、シンフォニー・ホール(ライブ)
【UCCD-4785/6】2013年3月発売
小澤氏のマーラー、
20年ほど前に初めて聴いた
ボストン響との《巨人》(再録音)が
今一つの印象だったことから、
その後あまり注目しないで来ました。
いろいろな演奏を聴いた上で、
改めて小澤氏のマーラーを聴き直してみると、
無駄なところのない
誇張を排した純音楽的なマーラーで、
バーンスタインよりむしろインバルに似た
方向を目指しているように思われました。
初めて聴くと、
肩透かしを食ったような
軽めの印象を受けるかもしれませんが、
デフォルメの多い、
自己主張の固まりのようなマーラーに聴き飽きてくると、
意外に新鮮な印象を受けるように思いました。
この第3番は、
マーラー全集の最後にライブで収録したからか、
曲本来の美しさを誇張なく伝えるだけでなく、
オケの熱気も十分に伝わってきて、
想像以上に感動的な演奏が繰り広げられていました。
これが《大地の歌》や第9番だと、
深みに乏しい印象を受けたかもしれませんが、
第3番であれば、
これで十分満足のいく演奏、
ライブで聴けたら一生ものの記憶に残る演奏だと思いました。
私の好きな第1・6楽章だけでなく、
その間の楽章もていねいによく作り込まれていて、
2-5楽章の良さがうまく伝わってきました。
唯一気になったのは、CDを通すと
ボストン響の弦が多少金属的に響いてくることです。
シカゴ響などのアメリカのオケで
よく聴かれる響きのようにも思われるので、
個人的な好みの問題かもしれませんが、
ノイマン&チェコ・フィルの
木目調の弦を聴き慣れた耳には刺激的に響いて、
ほんの少し違和感がありました。
この録音、前に聴いた
バーンスタイン&ニューヨーク・フィルの新旧録音、
シャイー&ロイヤル・コンセルトヘボウ管、
M・T・トーマス&ロンドン響、
レヴァイン&シカゴ響
よりはお薦めの名演といってよいと思います。
個人的な見解をいえば、
①ノイマン&チェコ・フィルの新録音、
②サロネン&ロスアンジェルス・フィル、
③小澤征爾&ボストン響
の順になるでしょうか。
***
この機会に、
マーラー:交響曲全集
〔小澤征爾(1935.9- )指揮&ボストン交響楽団〕
の録音データを年代順に整理していました。
録音場所はすべて、
ボストンのシンフォニー・ホールです。
●42歳…1977年10月録音
◯交響曲第1番ニ長調《巨人》(花の章付き)
◆45歳…1980年10月13日-11月4日録音
◇交響曲第8番変ホ長調《千人の交響曲》
◆51歳…1986年12月13-15日録音
◇交響曲第2番ハ短調《復活》
◆52歳…1987年10月5・6日録音
◇交響曲第1番ニ長調《巨人》
◆52歳…1987年11月21・23・27日録音
◇交響曲第4番ト長調
◆53歳…1989年3月11-13日録音
◇交響曲第7番ホ短調《夜の歌》
◆54歳…1989年10月5-16日録音
◇交響曲第9番ニ長調
◆54歳…1990年4月19-23日録音
◇交響曲第10番嬰ヘ長調~第1楽章
◆55歳…1990年10月13-16日録音
◇交響曲第5番嬰ハ短調
◆56歳…1992年1月30日-2月4日録音
◇交響曲第6番イ短調《悲劇的》
◆57歳…1993年4月22-27日録音
◇交響曲第3番二短調
小澤氏のスタイルには
それほど共鳴しないので、
全曲聴き直すかはわかりませんが、
《復活》と《千人の交響曲》は手元にあったはずなので、
改めて聴き直そうと思っています。
0 件のコメント:
コメントを投稿