2016年1月11日月曜日

小澤征爾&ボストン響のマーラー:交響曲第3番(1993年録音)

小澤征爾(1935.9- )氏の指揮する
ボストン交響楽団の演奏で、

オーストリア帝国出身の作曲家
グスタフ・マーラー(Gustav Mahler 1860.7-1911.5)
交響曲第3番を聴きました。

小澤氏57歳の時(1993.4)の録音です


マーラー:交響曲第3番ニ短調

ジェシー・ノーマン(ソプラノ)
タングルウッド祝祭合唱団(合唱指揮:ジョン・オリヴァー)
アメリカ少年合唱団(合唱指揮:ジェイムズ・リットン)
ボストン交響楽団
指揮:小澤征爾

録音:1993年4月22-27日、ボストン、シンフォニー・ホール(ライブ)
【UCCD-4785/6】2013年3月発売

小澤氏のマーラー、
20年ほど前に初めて聴いた
ボストン響との《巨人》(再録音)が
今一つの印象だったことから、
その後あまり注目しないで来ました。

いろいろな演奏を聴いた上で、
改めて小澤氏のマーラーを聴き直してみると、

無駄なところのない
誇張を排した純音楽的なマーラーで、
バーンスタインよりむしろインバルに似た
方向を目指しているように思われました。

初めて聴くと、
肩透かしを食ったような
軽めの印象を受けるかもしれませんが、

デフォルメの多い、
自己主張の固まりのようなマーラーに聴き飽きてくると、
意外に新鮮な印象を受けるように思いました。

この第3番は、
マーラー全集の最後にライブで収録したからか、

曲本来の美しさを誇張なく伝えるだけでなく、
オケの熱気も十分に伝わってきて、
想像以上に感動的な演奏が繰り広げられていました。

これが《大地の歌》や第9番だと、
深みに乏しい印象を受けたかもしれませんが、

第3番であれば、
これで十分満足のいく演奏、
ライブで聴けたら一生ものの記憶に残る演奏だと思いました。

私の好きな第1・6楽章だけでなく、
その間の楽章もていねいによく作り込まれていて、
2-5楽章の良さがうまく伝わってきました。

唯一気になったのは、CDを通すと
ボストン響の弦が多少金属的に響いてくることです。

シカゴ響などのアメリカのオケで
よく聴かれる響きのようにも思われるので、
個人的な好みの問題かもしれませんが、

ノイマン&チェコ・フィルの
木目調の弦を聴き慣れた耳には刺激的に響いて、
ほんの少し違和感がありました。


この録音、前に聴いた
 バーンスタイン&ニューヨーク・フィルの新旧録音、
 シャイー&ロイヤル・コンセルトヘボウ管、
 M・T・トーマス&ロンドン響、
 レヴァイン&シカゴ響
よりはお薦めの名演といってよいと思います。
個人的な見解をいえば、
 ①ノイマン&チェコ・フィルの新録音、
 ②サロネン&ロスアンジェルス・フィル、
 ③小澤征爾&ボストン響
の順になるでしょうか。


  ***

この機会に、
マーラー:交響曲全集
〔小澤征爾(1935.9- )指揮&ボストン交響楽団〕
の録音データを年代順に整理していました。

録音場所はすべて、
ボストンのシンフォニー・ホールです。

●42歳…1977年10月録音
◯交響曲第1番ニ長調《巨人》(花の章付き)

◆45歳…1980年10月13日-11月4日録音
◇交響曲第8番変ホ長調《千人の交響曲》

◆51歳…1986年12月13-15日録音
◇交響曲第2番ハ短調《復活》

◆52歳…1987年10月5・6日録音
◇交響曲第1番ニ長調《巨人》

◆52歳…1987年11月21・23・27日録音
◇交響曲第4番ト長調

◆53歳…1989年3月11-13日録音
◇交響曲第7番ホ短調《夜の歌》

◆54歳…1989年10月5-16日録音
◇交響曲第9番ニ長調

◆54歳…1990年4月19-23日録音
◇交響曲第10番嬰ヘ長調~第1楽章

◆55歳…1990年10月13-16日録音
◇交響曲第5番嬰ハ短調

◆56歳…1992年1月30日-2月4日録音
◇交響曲第6番イ短調《悲劇的》

◆57歳…1993年4月22-27日録音
◇交響曲第3番二短調


小澤氏のスタイルには
それほど共鳴しないので、
全曲聴き直すかはわかりませんが、

《復活》と《千人の交響曲》は手元にあったはずなので、
改めて聴き直そうと思っています。

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