新栄のヤマザキマザック美術館まで、
今年の正月に96歳で亡くなった
フランスの画家ポール・アイズピリ
(Paul AÏZPIRI, 1919年5月14日-2016年1月22日)
の回顧展「パリの巨匠アイズピリ ―描きつづけた80年」
を観に行って来ました。
※日程 2016年4月23日(土)~8月28日(日)
※主催 ヤマザキマザック美術館/中日新聞
アイズピリについて何も知らなかったのですが、
チラシのゴッホを思わせる個性的な絵柄に惹かれ、
観に行って来ました。
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ヤマザキマザック美術館は、今から6年前(2010年4月)、
ヤマザキマザック株式会社によって開館された美術館で、
地下鉄東山線「新栄町」を降りてすぐの所にあります。
地下から直通で美術館に入って行けるので便利です。
こちらの本社(丹羽郡大口町)が、
江南市の自宅からすぐ近くにあることを知ったので、
本社についても少しだけ調べてみました。
ヤマザキマザック株式会社は
「『世界のモノづくり』の基礎を支える工作機械メーカー」であり、
1919年3月に山崎定吉(1894-1962)氏によって創業されました。
※もとは「山崎鉄工所」と呼ばれていたが、
のちに「ヤマザキマザック」と社名を変更(1985年11月)。
1962年10月に創業者の定吉氏の逝去を受けて、
子息の山崎照幸(1928-2011)氏が代表取締役に就任。
この照幸氏の蒐集による
「18世紀から20世紀にわたる
フランス美術300年の流れを一望する
絵画作品及びアール・ヌーヴォーのガラスや家具等」
のコレクションを収蔵、公開することを目的の一つとして、
2010年4月に、山崎照幸氏を初代館長として、
ヤマザキマザック美術館が開館されたそうです。
※ヤマザキマザック美術館のホームページの「ごあいさつ」〈http://www.mazak-art.com/about/message/index.html〉、およびヤマザキマザック株式会社のホームページの「企業情報」〈https://www.mazak.jp/about-mazak/company-history/〉を参照。
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今回のアイズピリの回顧展では、
山崎照幸氏が収集された50点以上に及ぶ
「ヤマザキマザック アイズピリ・コレクション」
の大部分(48点)が公開されていました。
アイズピリの作品を、
まとめて50点以上収蔵されている美術館は、
他にあるのかどうか。
詳しく調べていないので、
違っているかもしれませんが、
日本では「ヤマザキマザック」が唯一のようです。
全体を見渡すと、
人物画が半数以上を占めていました。
ゴッホを健康的にして、
少しキュビズムの要素を加えたような
独特の人物画で、
すぐにアイズピリとわかる
個性的な画風に興味を惹かれました。
ただ残念ながら、彼の人物画は、
個人的にあまり好きにはなれませんでした。
別に嫌いではないのですが、
彼ならではの個性が発揮されるほど、
人間でない異様な何かに変容していくようで、
私の好みには合いませんでした。
唯一いいなと思えたのは、
《ハートのカードを持つ婦人》1985年
【出品作品No.30/図録作品No.32】
ですが、こちらは彼ならではの個性が抑え気味で、
ごくふつうに描いてくれたから気に入ったようにも思われます。
どちらかと言えば人物でないほうが、
私の好みに合う絵が見つかりました。
今回、特にいいなと思えたのは、
生け花や鳥の置物をモチーフにした静物画から1点、
《鳥とブーケ》1988年
【出品作品No.40/図録作品No.44】
そして机上の雑多な物を描いた静物画から2点、
《トランプのある静物》1988年
【出品作品No.39/図録作品No.43】
《静物》1989年
【出品作品No.47/図録作品No.53】
さらに大きな風景画1点、
《旗と船》1989年
【出品作品No.48/図録作品No.54】
以上の4点は、自分でも手に入れたいくらい好きになりました。
特に《旗と船》は、今回のアイズピリ作品のなかで一番気に入りました。
※以上、図録『ヤマザキマザック アイズピリ・コレクション』(2016年4月)を参照。
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展示の半分(3分の2くらい?)は、
ヤマザキマザック美術館の常設展になっていて、
こちらも豪華な展示品に驚かされました。
今回初めて出会い、
心を奪われたのがフランスの女性画家
エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン(1755-1842)
でした。
《エカチェリーナ・フェオドロヴナ・ドルゴロウキー皇女》1797年頃
《リラを弾く女性》1804年
肖像画の得意な
フランス革命を象徴する人気画家だそうで、
Googleで画像検索にかけると、
画像修正したプロマイドが並んでいるようでもあり、
一度まとめて観てみたいと思いました。
あと最後にずらりと並んでいたのが、
フランスのガラス工芸家
エミール・ガレ(1846-1904)の作品群。
ど素人なので何も語れませんが、
そんな私が観てもすなおに美しいと思える
ガラス工芸の作品の数々が並んでいました。
また次回、
特徴的な展示会が開催される時に、
観に来たいと思いました。