山田一雄(1912年10月-1991年8月)の指揮する
NHK交響楽団の演奏で、
オーストリアの作曲家
グスタフ・マーラー(Gustav Mahler, 1860年7月-1911年5月)の
交響曲第5番を聴きました。
指揮者72歳の時(1985年2月)のライブ録音です。
N響創立90周年シリーズ
Disc1
グスタフ・マーラー
交響曲第5番嬰ハ短調
山田一雄(指揮)
NHK交響楽団
録音:1985年2月13日
【KKC2104/05】2016年10月発売
※Disc2収録のモーツァルトは後日取り上げます。
交響曲第5番嬰ハ短調は、
マーラーが44歳の時(1904年10月)に初演された曲です。
マーラーで最初に聴き込んだのが、
この第5番でした。
聴き込みすぎたからか、
最近はあまり聴く気が起きなくなっていたのですが、
久しぶりに昔懐かしい
山田一雄の指揮するN響のマラ5を聴いて、
感動を新たにしました。
山田一雄氏のライブCDは、
期待いっぱいに聴いてがっかりする演奏も多いのですが、
これは成功といって良いと思います。
若干遅めのテンポで、
楽想を深くえぐりぬいて行くスタイルなので、
映像で観ると間がもたないようにも思われたのですが、
CDではほどほどな印象で、
始まりが「葬送行進曲」であることを思えば、
適切なテンポ設定に感じました。
小じんまりとはまとまらず、
自身が作曲したかのように内面に入り込み、
マーラーと一心同体になって進んでいくスタイルは、
バーンスタイン&ウィーン・フィルの演奏を思い出しました。
ただし改めて、
そちらのCDも聴き直してみたところ、
バーンスタインのほうが遥かに示威的な、
無理矢理にオケを引きずり回した感のある強引な演奏で、
あまり好きにはなれませんでした。
恐らく向いている方向は同じなのですが、
より音楽的に、穏当な表現で全体をまとめ上げたのが、
山田一雄&N響の演奏であり、
まれに聴く名演といって良いと思います。
最近ありがちな
表面をきれいに整えた演奏ではないので、
インバル&都響などのCDを愛聴されていると、
がっかりされる方もいるかもしれませんが、
昔風の大演奏でマラ5を聴いてみたい方には、
ぜひお薦めしたいCDです。
山田一雄氏のマーラーのCDは、
京都市響との《復活》と、
N響との第5番が同じレベルで優れていて、
これに次ぐのが新日本フィルとの第9番、
今一つなのが都響との第8番だと思います。
決して見やすい指揮ではなかったので、
CDにすると失敗作に聴こえるものも多いのですが、
時折とんでもない名演が聴けるので、
今後のライブCDにも期待したいです。
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