ハンガリー出身者の指揮者
ユージン・オーマンディ
(Eugene Ormandy, 1899年11月-1985年3月)の指揮する
アメリカのオーケストラ
フィラデルフィア管弦楽団の演奏で、
フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス
(Jean Sibelius, 1865年12月8日-1957年9月20日)の
交響詩《4つの伝説曲》作品22を聴きました。
指揮者78歳の時(1978年2月)の録音です。
ジャン・シベリウス
交響詩《4つの伝説曲》作品22
①第1曲:レンミンカイネンと鳥の乙女
②第2曲:トゥオネラの白鳥
③第3曲:トゥオネラのレンミンカイネン
④第4曲:レンミンカイネンの帰郷
ルイス・ローゼンプラット(コーラングレ)
フィラデルフィア管弦楽団
ユージン・オーマンディ(指揮)
録音:1978年2月20日、フィラデルフィア、The Old Met
【WPCS-50841】2013年1月発売
交響詩《4つの伝説曲》作品22 は、
《レンミンカイネン、オーケストラのための4つの伝説》という正式名称で、
《4つのカレワラ伝説》《レンミンカイネン組曲》と呼ばれることもあります。
1893年から95年にかけて作曲され、
シベリウス30歳の時(1896年4月13日)に初演されました。
初演順に前後の作品を並べてみると、
①《クレルヴォ》作品7(初演1892年)
②《4つの伝説曲》作品22(初演1896年)
③ 交響曲第1番 ホ短調 作品39(初演1899年)
となっていて《クレルヴォ》と第1交響曲の
あいだに位置する作品ということになります。
《クレルヴォ》と第1交響曲との間に、
4楽章編成の交響曲風の大規模な管弦楽曲が作られていたことは、
つい最近まで気が付きませんでした。
松原千振(まつばらちふる)著
『ジャン・シベリウス ―交響曲でたどる生涯』
(アルテスパブリッシング、2013年7月)
を読んだ時に、
第2章《クレルッヴォ》
第3章《レンミンカイネン組曲》
第4章 交響曲第一番
と章立てされているのをみて、
聴いてみたいなと思っていました。
このうち第2楽章《トゥオネラの白鳥》は、
度々聴く機会があって、美しく繊細な作品であることは良くわかっていたのですが、
4楽章の交響曲として聴けるのかは疑問でした。
***
実際に聴いてみて驚きました。
交響曲第2番のようなわかりやすい構成の音楽で、
レンミンカイネンの伝説について何も知らなくても、
最後まで感動のうちに聴き終えることができました。
確かに、
ワーグナーの《ワルキューレ》にそっくりな楽想が表れたりして、
安易なところに流れる傾向もあるので、
交響曲と呼ぶのは早いように思われますが、
一つ前の《クレルヴォ》よりは、一歩わかりやすく、
まとまりのよい4楽章構成の作品に仕上がっているように感じました。
《クレルヴォ》や交響曲第2番のような、
わかりやすいロマン的なシベリウスの作品が好きな方には、
《レンミンカイネン、オーケストラのための4つの伝説》
はお薦めの作品です。
他にも良い録音はあるかもしれませんが、
偶然聴いたオーマンディは、曲への共感に満ちた名演で、
これだけで十分この曲の魅力に気がつくことができました。
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