エリアフ・インバル(Eliahu Inbal, 1936年2月- )の指揮する
ドイツのオーケストラ
フランクフルト放送交響楽団
(2005年にhr交響楽団に改称)の演奏で、
オーストリア帝国の作曲家
グスタフ・マーラー(1860.7-1911.5)の
交響曲第3番を聴きました。
指揮者49歳の時(1985年4月)の録音です。
グスタフ・マーラー
交響曲第3番
エリアフ・インバル指揮
フランクフルト放送交響楽団
録音:1985年4月18・19日、フランクフルト、アルテ・オーバー
【COCO-73278/9】2012年6月発売。
交響曲第3番は、マーラーが35歳の時、
1895年の夏から翌年8月にかけて作曲されました。
全6楽章からなる大曲のためか全曲初演が遅れ、
つぎの第4番が初演(1901年11月)されてから半年後、
マーラー41歳の時(1902年6月)にようやく全曲初演されました。
***
音の良さに驚いた[Blu-spec CD]によるインバルのマーラー、
6・7番からそのまま8番に進んでも良かったのですが、
夏の暑い盛りには第3番だと思い、
第4番から一曲遡ってみることにしました。
第3番は、マーラーを聴き始めたころに、
小林研一郎氏の指揮で繰り返し聴いたこともあって、
マーラーの交響曲の中でも特に好きな曲になっています。
CDをいろいろ聴いてみると、
巨大過ぎてまとめにくい所があるのか、
意外に聴きづらい演奏が多く、
6・7番が素晴らしかったバーンスタインも、
第3番は細部にこだわり過ぎたのか、
今一つ自然な流れを欠いていて、新旧ともに、
最後まで聴き通すのが辛い演奏になっていました。
***
インバルのマラ3は、
かなり前にN響を振ったときのライブを、
テレビで観たときの記憶が残っています。
※調べてみると、
1993年12月9・10日にNHKホールで行われた
NHK交響楽団第128回定期演奏会だったようです。
そのときも熱演だったのですが、
オケの響きにやや深みを欠いていて、
マラ3の骨格のみを聴いたような印象が残りました。
今回もそんな即物的な演奏になるのでは
と心配していたのですが、
実際に聴いてみると、
そんな心配を吹き飛ばす好演で、
マーラーの色彩豊かなオケの響きを楽しみながら、
飽きる間もなく全曲を聴き進めることができました。
自然な流れのなかに、指揮者の熱い心を感じさせる
バランス感覚に優れた演奏に仕上がっていました。
前例のない巨大な曲だったからか、
意外にまとめにくいところがあって、
CDで聴くと、
ピアニッシモで音量をしぼりすぎたり、
テンポを遅くしすぎて全体が間延びしてしまうことが多いのですが、
そんな愚を犯すこともなく、
マラ3本来の良さを存分に引き出した名演だと思いました。
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