2021年11月16日火曜日

企画展「曽我蕭白/奇想ここに極まれり」(愛知県美術館)

 去る11月14日に愛知県美術館まで、

企画展「曽我蕭白/奇想ここに極まれり」

を観に行ってきました。

「力強い筆墨と極彩色で超現実的な世界を描き出した曽我蕭白(1730~81)のあくの強い画面は、グロテスクでありながらおかしみもたたえ、見る人をひきつけて止みません。」

というチラシの文言に惹かれました。蕭白の個展はどこかで観た記憶があり、好きな画家の一人なので、良い機会と出かけてきました。

全体をみると、あともう一歩突き抜けたところがあれば文句なしに推せるのにと思いつつ、細かいことを言わなければ十分感動に値する作品がたくさん並んでいました。

旧永島家襖絵(三重県美術館蔵)の一群に代表される大きな襖絵にこそ彼の真価があるようで、自分のお屋敷に芸術家を住まわして、家の襖にぐるりと絵を描かせる、典雅な生活に興味をそそられました。

2021年11月2日火曜日

特別展「フランソワ・ポンポン展/動物を愛した彫刻家」(名古屋市美術館)

 去る10月31日に名古屋市美術館まで、

特別展「フランソワ・ポンポン展/動物を愛した彫刻家」

を観に行ってきました。

まったく知らない彫刻家でしたが、

「動物彫刻の代表作家 "ポンポン” 待望の日本初回顧展!!」

「今から100年ほど前に、魅力的な動物彫刻の数々を生み出したのは、《考える人》で有名なロダンのアトリエで工房長をつとめたこともあるフランスの彫刻家、フランソワ・ポンポン(1855-1933)です。」

「そんなポンポンの作品が約90点、オルセー美術館などフランスの美術館や群馬県立林美術館からやってきます。」

というチラシの文言に惹かれました。 

現代的で抽象性の強い動物像かと思いきや、動物園などで本物をじっくり観察した上での、写実的な塑像がもとにあって、そこから無駄なものを少しずつ削ぎ落としていった風で、

 本物そっくり!

どこかユーモアのある、暖かさを感じさせる動物たちがずらりと並んでいて、思いの外楽しむことができました。

動物の名前だけ並べてみると、まるで動物園のよう。

 雄鶏、錦鶏、アヒル、鵞鳥、ほろほろ鳥、鴨、ハゲコウ、フクロウ、ワシミミズク、ペリカン、カラス、冠鶴、バン、オオバン、雉鳩、雌鳩、コンドル、やまうづら。

 ボストン・テリヤ、グレーハウンド。モグラ。仔牛、牝豚、子豚、猪、大鹿、牝鹿。豹、黒豹、雌トラ、ライオン。ヒグマ、シロクマ、ラクダ、キリン、バイソン、カバ、オラン・ウータン。

猫派ではなかったようです。



2021年10月24日日曜日

第18回ショパン国際コンクール!

 今年は 反田恭平(そりたきょうへい)、 小林愛美(こばやしあいみ)、角野隼斗(すみのはやと)、 牛田智大(うしだともはる)、といった錚々たる顔ぶれが勢揃いしていたので、7月下旬の予備予選から You Tube で拝見していました。

予備予選では、反田さんの演奏にとくに感銘を受けるとともに、これまで知らなかった 進藤実優(しんどうみゆ)さんの演奏に心を動かされました。

10月の1次予選では、反田さんの気迫に圧倒されるとともに、これまで注目して来なかった 古海行子(ふるみやすこ)さんの演奏に強く惹き込まれました。

2次予選では、牛田さん、小林さん、角野さんの演奏にとくに感銘を受けました。とくに小林さんの音楽家としての深化が著しく、今後はもっと注目しなければと思いました。You Tube の動画で知るようになった角野さんも、2次予選でようやく本来の個性が出し切れているように感じました。

3次予選では、進藤さんの繊細さ、角野さんの斬新さ、小林さんの情念に感動し、迎えたファイナルは、反田さんの圧倒的な演奏に心を奪われました。反田さんは、ここ数年のコンサートでの場数が違うのか、オケの方々と自然なやりとりが出来ていて、滅多に聴けない 完成度の高い名演だったと思います。

日本に居ながらにして心はポーランドへ。充実した秋の一時を過ごせたので、感想を記してみました。仕事の終わった夜更けに、日本人の気になる方にしぼって聴いただけなので、聴きそびれた方々の演奏はこれからじっくり聴き返すつもりです。

2021年9月12日日曜日

特別展「生誕160年記念/グランマ・モーゼス展/素敵な100年人生」(名古屋市美術館)

 去る9月5日(土)に名古屋市美術館で、

特別展「生誕160年記念/グランマ・モーゼス展/素敵な100年人生」

を観てきました。最終日の1時間前なら空いているかと思っていたところ、まずまずの人出。まったく知らない画家でしたが、

「モーゼスおばあさん(グランマ・モーゼス)の愛称で親しまれ、アメリカの国民的画家として知られるアンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼス(1860-1961)。無名の農婦だったモーゼスは70代で本格的に絵を描き始め、80歳の時にニューヨークで初個展を開きました。」

「生誕160年を機に特別に企画された本展では、最初期の作品から100歳で描いた絶筆《虹》までの代表作に加え、愛用品や関連資料を含む約130点を紹介します。」

というチラシの文言に惹かれ、観てみたところ大正解。

古き良きアメリカの田舎の風景が、素朴なやさしいタッチで描き出されていて、穏やかなひと時を楽しむことができました。

天才の閃きというよりは、明るく暖かで素朴な人柄が伝わってきて、コロナ禍で荒みがちな心を癒やすのに最適な回顧展でした。