2012年11月20日火曜日

Audite のフルトヴェングラー&ベルリンpo 録音集 その7

Audite から復刻された
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)と
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音集、
7枚目を聴きました。


Live in Berlin
The Complete Recordings RIAS

1) ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調「英雄」作品55
2) グルック: 歌劇《アルチェステ》序曲
3) ヘンデル:12の合奏協奏曲集より第5番 ニ長調 作品6-5 HWV323

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1950年6月20日(1)、1951年9月5日(2)、
   1954年4月27日(3)、ティタニア・パラスト、ベルリン
【audite 21.403】CD7


1曲目はCD6の続きで、
1950年6月20日の演奏会から、

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)の
交響曲第3番変ホ長調「英雄」作品55 が収録されています。

ベートーヴェン30代半ばの作品で、
1804年に完成、翌年に公開初演されています。

演奏は最上レベルです。

私にとって「英雄」は、
全体的にまとまりがつかない感じがして、
特別に好きな曲とは言えないのですが、
こうした別格の演奏で聴くと、やはり名曲だと思えます。

どこまでも有機的な響きのもと、
若々しいまでの情熱で一気に駆け抜けていくさまは、

第1・2番に続く、
若き日のベートーヴェンの強い意志を
伝えてくれているようで、

「英雄」の新たな魅力を発見することができました。


残念なのは、録音が今一つなことです。

フルトヴェングラーの遺産としては、
まずまず聴きやすい部類に入ると思いますが、
最近の鮮明な録音を聴きなれた耳には、
多少辛いものがありました。


   ***

2曲目は、1951年9月5日の演奏会から、

ドイツ出身の作曲家
クリストフ・ヴィリバルト・グルック(1714-1787)の
歌劇《アルチェステ》序曲 が収録されています。

グルック50代前半、
1767年にウィーンで初演されたイタリア語の歌劇(Wq.37)です。

十年後の1776年にパリで、
フランス語への改訂版(Wp.76)が初演されています。

通常は改訂版をもとに、
イタリア語で演奏されることが多いようなので、
フルトヴェングラーも改訂版を用いた可能性が高いですが、
楽譜を見ていないので確かなところはわかりません。


さてこの録音、
びっくりするくらい良い音です。

下手なステレオ録音よりもずっと美しく聴こえます。

そして当然のことながら、
やはりいい音で聴くとより一層、
フルトヴェングラーの凄さが際立ちます。

演奏スタイルが一昔前のものなので、

身近にこの曲を聴く機会は
もうほとんどないと思いますが、

オケの有機的な深い響きに包まれた大演奏で、
ぜひ聴いてほしい1曲です。


なおこの9月5日のコンサート、
グルックの後、ベートーヴェンの第九が演奏されていますが、
このCDには収録されていません。


  ***

3曲目には、
1954年4月25-27日のコンサートから、
3日目(27日)の演奏で、

ドイツ生まれの作曲家
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
(1685-1759)の

12の合奏協奏曲集より
 第5番ニ長調作品6-5 HWV323

が収録されています。

ヘンデル54歳のとき(1739)の作品です。

CD6にも同曲集の第10番が収録されていて、

それに比べると、
はるかにいい音で録れているのですが、

やはり大オーケストラのぶっとい響きが、
強い違和感を感じさせて、変でした。

いい音で録れている分、

何度か聴いていると、
それなりにありかなとも思えて来ますが、

これを聴いて、
ヘンデルっていいな、
とは残念ながら思えませんでした。


なおこの三日間のコンサート、

最初にヘンデルが演奏された後、

 ブラームス:交響曲第3番【CD11】
 ブラッハー:管弦楽のための協奏的音楽【CD9】
 シュトラウス:交響詩《ドン・ファン》【CD11】
 ワーグナー:《トリスタンとイゾルデ》前奏曲【CD11】

が演奏されました。この全曲が、
それぞれ【CD9・11】に収録されています。



※Wikipediaの「クリストフ・ヴィリバスト・グルック」
 「Alceste(Gluck)」「ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル」
 「ヘンデルの楽曲一覧」の各項目を参照。

※フルトヴェングラーの演奏会記録については、
 仏ターラ社の ホームページ上にあるものを参照。
 【http://www.furtwangler.net/inmemoriam/data/conce_en.htm】

※グルックについては、
 石井宏『反音楽史』(新潮文庫)232-255頁も参照。

2012年11月15日木曜日

ボッセ&神戸市室内合奏団のバッハ:ブランデンブルク協奏曲(2011年録音)

ドイツの指揮者
ゲルハルト・ボッセ(1922.1-2012.2)が、
神戸市室内合奏団を指揮したライブCD、

ドイツの作曲家
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685.3-1750.7)が

36歳のとき(1721年5月)に
ブランデンブルク=シュヴェート辺境伯
クリスティアン・ルートヴィヒに献呈した合奏協奏曲

「ブランデンブルク協奏曲 BWV1046-1051」を聴きました。


J.S.バッハ
ブランデンブルク協奏曲 第1番 ヘ長調 BWV1046
ブランデンブルク協奏曲 第2番 ヘ長調 BWV1047
ブランデンブルク協奏曲 第3番 ト長調 BWV1048
ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調 BWV1049
ブランデンブルク協奏曲 第5番 ニ長調 BWV1050
ブランデンブルク協奏曲 第6番変ロ長調 BWV1051

ゲルハルト・ボッセ指揮
神戸室内管弦楽団
録音:2011年3月10日、神戸文化ホール・中ホール
(神戸市演奏協会第336回公演 神戸室内管弦楽団定期演奏会)
【ALT-227/8】


ボッセさんが亡くなる1年前、
89歳のときの録音です。

本来2日後の3月12日に、
東京の紀尾井ホールで、

 神戸市演奏協会第337回公演
 神戸室内管弦楽団定期演奏会
 第21回東京公演

が同じ演目で行われる予定でしたが、
11日の震災によって中止となりました。

その折の経緯について、
ボッセさん自らCD解説に一文を記されています。


半年ほど前に、
ボッセさんが60歳前後のとき(1981・83年)に
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス・バッハ管弦楽団と録音した
ブランデンブルク協奏曲のCDを聴き、
大きな感銘を受けていました。

この旧盤があまりに良すぎたので、
神戸室内管弦楽団との新盤はまたの機会に
と思っていたのですが、

最近、980円で再販されたのを知って、
購入し聴いてみることにしました。

ちょうど旧盤の記憶が消えたころに、
ひと月ほど繰り返し聴いてみた感想です。

録音はどちらも秀逸です。

よく聴くと、
新盤のほうがより自由度が増し、
バッハの軽やかで、楽しく明るい側面が
よくわかる演奏になっていると思います。

しかし旧盤と大きく異なっているわけではなく、

斬新さとか、目新しさを強調することなく、
誠実だけれど軽やかな、飛翔する精神性を感じさせる演奏です。


旧盤がセッション録音で
じっくり仕上げてあるのに対し、

新盤がライブの一発録りである点が大きく違うので、

完成度にこだわりのある方は、
旧盤のほうを高く評価されるかもしれません。


また少し時間を置いて、
旧盤も聴き直してみますが、
今は多少の傷があっても、

新盤の軽やかで、明るく楽しいバッハの魅力にはまっています。



※Wikipediaの「ゲルハルト・ボッセ」
 「ヨハン・ゼバスティアン・バッハ」「ブランデンブルク協奏曲」の項目を参照。

※「財団法人 神戸市演奏協会:神戸市室内合奏団」のHP
 〈http://www.kobe-ensou.jp/ensemble/index.html〉を参照。

2012年11月13日火曜日

ベルグルンド&ボーンマス響のシベリウス:交響曲第1番

フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が45・46歳のとき(1974・75)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した

同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865-1957)の交響曲第1番と、
組曲《歴史的情景》第1番を聴きました。


ジャン・シベリウス
1) 交響曲 第1番 ホ短調 作品39
  第1楽章 アンダンテ・マ・ノン・トロッポ(アレグロ・エネルジコ)
  第2楽章 アンダンテ(マ・ノン・トロッポ・レント)
  第3楽章 スケルツォ(アレグロ)
  第4楽章 フィナーレ クワジ・ウナ・ファンタジア(アンダンテ~アレグロ・モルト)

2) 組曲《歴史的情景》第1番 作品25
  第1曲 序曲風に
  第2曲 ある場面
  第3曲 祭り

パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1974年9月9・10日〔交響曲第1番〕、1975年7月15日〔歴史的情景〕、サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16019/20】


交響曲 第1番 ホ短調 作品39は、

シベリウスが34歳のとき(1899年)に
完成し、初演された交響曲です。

クレルヴォ交響曲と同じ路線の、
民族感情を高揚させる作品ですが、
管弦楽のみでより洗練された感じがあります。

全体的にほの暗くはありますが、
わかりやすく美しいメロディに満ちており、

もう少し演奏の機会が多くても良いように思います。

ただ第2番と比べれば
まだ少しまとまりに欠ける所があるのか、

時折ライブを耳にしても、
なんだかまとまりが付かなくなって、
今ひとつ感動できないことが多いです。


このCDでは、
まずオケの凄い鳴りっぷりに驚きました。

シベリウスといえば、
寒々ひんやりとした感触で、
オケもそんなにバリバリに鳴らさない印象があったのですが、

ここまで思い切って鳴らしてもいいんだ、
と嬉しい驚きの演奏でした。

それでもシベリウスらしさを全く失わないのは、

どんなに強奏しても、
オケの音ににごりがないからなのかな、
と推測しますが、

何よりベルグルンドさんの
シベリウスへの共感度が尋常でないレベルに達していたからだろうな、と思います。


完成度の上では、
のちのヘルシンキ・フィルとの演奏の方が優れていると思いますが、

ボーンマス響との演奏は、
この曲から全く別の魅力を引き出していて、
とても感動しました。



組曲《歴史的情景》第1番 作品25は、

交響曲と同じ1899年に作曲された
歴史劇「愛国記念劇」のための音楽から、
1912年に編曲、初演された組曲(全3曲)です。

この「愛国記念劇」の音楽から、
1900年に交響詩《フィンランディア》作品26
が編曲されたことはよく知られています。

作品25と同時(1912年)に、
組曲《歴史的情景》第2番 作品66
が作曲、初演されていますが(全3曲)、

こちらは「愛国記念劇」の音楽からでなく、
改めて作曲されたものだそうです。


このCDで初めて聴いたので、
ほかと比べてどうなのかはわかりませんが、

オケの小品集として、
3曲ともふつうに楽しむことができました。

ただしあっという間に終わって、
少々軽い感じがするので、コンサートでは取り上げにくいようにも思いました。

組曲《歴史的情景》第2番

と一緒に取り上げるとちょうど良いのかもしれません。

第1・2番を収録したCDもあるようなので、
近々聴いてみようと思います。



※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「交響曲第1番(シベリウス)」

※S.suda様の「シベリウスのページ」
 〈http://members.jcom.home.ne.jp/tapiola/sibelius/index.html〉
 を参照させていただきました。