フィンランドの指揮者
パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が45・46歳のとき(1974・75)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した
同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865-1957)の交響曲第1番と、
組曲《歴史的情景》第1番を聴きました。
ジャン・シベリウス
1) 交響曲 第1番 ホ短調 作品39
第1楽章 アンダンテ・マ・ノン・トロッポ(アレグロ・エネルジコ)
第2楽章 アンダンテ(マ・ノン・トロッポ・レント)
第3楽章 スケルツォ(アレグロ)
第4楽章 フィナーレ クワジ・ウナ・ファンタジア(アンダンテ~アレグロ・モルト)
2) 組曲《歴史的情景》第1番 作品25
第1曲 序曲風に
第2曲 ある場面
第3曲 祭り
パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1974年9月9・10日〔交響曲第1番〕、1975年7月15日〔歴史的情景〕、サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16019/20】
交響曲 第1番 ホ短調 作品39は、
シベリウスが34歳のとき(1899年)に
完成し、初演された交響曲です。
クレルヴォ交響曲と同じ路線の、
民族感情を高揚させる作品ですが、
管弦楽のみでより洗練された感じがあります。
全体的にほの暗くはありますが、
わかりやすく美しいメロディに満ちており、
もう少し演奏の機会が多くても良いように思います。
ただ第2番と比べれば
まだ少しまとまりに欠ける所があるのか、
時折ライブを耳にしても、
なんだかまとまりが付かなくなって、
今ひとつ感動できないことが多いです。
このCDでは、
まずオケの凄い鳴りっぷりに驚きました。
シベリウスといえば、
寒々ひんやりとした感触で、
オケもそんなにバリバリに鳴らさない印象があったのですが、
ここまで思い切って鳴らしてもいいんだ、
と嬉しい驚きの演奏でした。
それでもシベリウスらしさを全く失わないのは、
どんなに強奏しても、
オケの音ににごりがないからなのかな、
と推測しますが、
何よりベルグルンドさんの
シベリウスへの共感度が尋常でないレベルに達していたからだろうな、と思います。
完成度の上では、
のちのヘルシンキ・フィルとの演奏の方が優れていると思いますが、
ボーンマス響との演奏は、
この曲から全く別の魅力を引き出していて、
とても感動しました。
組曲《歴史的情景》第1番 作品25は、
交響曲と同じ1899年に作曲された
歴史劇「愛国記念劇」のための音楽から、
1912年に編曲、初演された組曲(全3曲)です。
この「愛国記念劇」の音楽から、
1900年に交響詩《フィンランディア》作品26
が編曲されたことはよく知られています。
作品25と同時(1912年)に、
組曲《歴史的情景》第2番 作品66
が作曲、初演されていますが(全3曲)、
こちらは「愛国記念劇」の音楽からでなく、
改めて作曲されたものだそうです。
このCDで初めて聴いたので、
ほかと比べてどうなのかはわかりませんが、
オケの小品集として、
3曲ともふつうに楽しむことができました。
ただしあっという間に終わって、
少々軽い感じがするので、コンサートでは取り上げにくいようにも思いました。
組曲《歴史的情景》第2番
と一緒に取り上げるとちょうど良いのかもしれません。
第1・2番を収録したCDもあるようなので、
近々聴いてみようと思います。
※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「交響曲第1番(シベリウス)」
※S.suda様の「シベリウスのページ」
〈http://members.jcom.home.ne.jp/tapiola/sibelius/index.html〉
を参照させていただきました。
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