2015年2月13日金曜日

サマリー指揮のフォーレ:レクイエム(1993年録音)

500円で聴ける
エイベックスのベスト・オブ・クラシックス
のシリーズから、

イギリスの指揮者
ジェレミー・サマリー
(Jeremy Summerly 1961.2- )の指揮する
オックスフォード・スコラ・カントルム、
&オックスフォード・カメラータの演奏で、

フランスの作曲家
ガブリエル・フォーレ(1845.5-1924.11)の
レクイエム と ラシーヌの雅歌 を聴きました。

サマリー32歳の時(1993.5)の録音です。


ガブリエル・フォーレ
1) レクイエム 作品48(1893年版)

 リサ・ベックリー(ソプラノ)
 ニコラス・ゲッジ(バリトン)
 オックスフォード・スコラ・カントルム
  &オックスフォード・カメラータ
 カーム・キャリー(オルガン)
 ジェレミー・サマリー(指揮)

2) ラシーヌの雅歌 作品11

 オックスフォード・スコラ・カントルム
 カーム・キャリー(オルガン)
 ジェレミー・サマリー(指揮)

 録音:1993年5月17-18日、オックスフォード、ハートフォード・カレッジ礼拝堂
 【AVCL-25698】

レクイエム 作品48 は、
42歳の時(1888.1)に初演されました。

その後改訂が加えられ、
48歳の頃迄に第2稿(1893年版)、
55歳のときに第3稿(1900年版)がまとめられました。

楽譜は1901年に出版されました(第3稿)。
第2稿が出版されたのは1980年代に入ってからです。

ラシーヌの雅歌 作品11 は、
20歳の時(1865)に作曲された、
ニデルメイエール音楽学校の卒業作品です。


  ***

この2曲の組み合わせは初めて聴きました。

レクイエムだけでも完成度は十分高いのですが、
《ラシーヌの雅歌》と組み合わせることで、

浄められた魂がさらに
天上に舞い上がっていくような、
より一層の救いを感じられる音楽になっていました。


ジェレミー・サマリーは初めて聴く指揮者でしたが、

虚飾を排して
率直に訥々と語りかけてくる表現で、
曲そのもののもつ魅力を最大限に引き出しているように感じました。


強く心を揺り動かされるというよりは、

そばに寄り添って
しっとりと語りかけてくるような趣きで、
普段着のフォーレの素朴な魅力に気がつくことができました。


これまでフォーレのレクイエムは、
ミシェル・コルボの旧盤を聴いてきましたが、

あまりに洗練されすぎていて、

現実離れしているような、
どこか相入れないものを感じてきました。


しばらくはサマリー盤で、
フォーレの魅力に浸りたいと思っています。


  ***

なおこのジェレミー・サマリーという指揮者、
ナクソス・レーベルに、

西洋中世からルネッサンス、バロック期の
合唱音楽をいろいろと録音しているようなので、
まとめて聴いてみようかなと思っています。

バッハより前の作曲家はほとんど聴く機会がなく、
どんな作曲家がいるのかもよくわからない状況なので、

何かよい概説書がないか調べてみると、
一冊見つかりました。


皆川達夫著
『中世・ルネサンスの音楽』
(講談社学術文庫、平成21年2月。初出は講談社現代新書、昭和52年2月)

かなり前から存在は知っていましたので、
この機会に熟読してみようと思います。

2015年1月30日金曜日

マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管のメンデルスゾーン:序曲集(1974年録音)

ドイツの指揮者、
クルト・マズア(1927.7- )の指揮する

ドイツのオーケストラ
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏で、

ドイツの作曲家
フェリックス・メンデルスゾーン(1809.2-1847.11)の
序曲集を聴きました。

マズア46歳の時(1974.2)の録音です。


メンデルスゾーン序曲集
1) 序曲《ルイ・ブラス》作品95
2) 序曲《フィンガルの洞窟》作品26
3) 序曲《トランペット》作品101
4) 序曲《美しいメルジーネの物語》作品32
5) 序曲《静かな海と楽しい航海》作品27

クルト・マズア(指揮)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
録音:1974年2月5-6日、25日、3月1日、ライプツィヒ贖罪教会
【KICC3655】

メンデルスゾーンの作品番号は
おおむね出版順に付されているのですが、

没後に出版された50曲近くの作品(Op.73~)にも同様に付されたため、
作曲年代を考える際は注意が必要です。

今回の収録曲を
作曲順に並べなおすと、

1826年…序曲《トランペット》作品101
1828年…序曲《静かな海と楽しい航海》作品27
1830年…序曲《フィンガルの洞窟》作品26
1835年…序曲《美しいメルジーネの物語》作品32
1839年…序曲《ルイ・ブラス》作品95

となります。

作曲者17歳(1826)から
30歳(1839)までの作品が収められていることになります。

17歳というと驚きますが、

有名な 序曲《夏の夜の夢》作品21
と同じ年に作曲されていることを知れば、
一概に早いとも言えないでしょう。


  ***

メンデルスゾーンの序曲は、
これまでそれほど注目して来なかったのですが、

今回の演奏でかなり見方を改めました。

ちょうどサヴァリッシュとドレスデン国立管弦楽団による
シューマンを聴いたときのような印象で、

オーケストラの豊穣な音色にまず心を奪われました。

響きの美しさにうっとりして身を任せているうちに、
先へ先へと曲が進んでいって、

明るい美しさに満ち溢れた
メンデルスゾーンの魅力に初めて気がつけたように思います。


マズアの指揮も、
特別な個性を強調するものではありませんが、

オケの美点を無理のない範囲で最大限に引き出していて、
その確かな手腕に驚かされました。


マズアの指揮はどこか楽観的というか、
底抜けに明るいところがあるので、

ベートーヴェンやブラームスでは
今一つ私の好みとズレがあったのですが、

メンデルスゾーンでは、
曲想がマズアの個性に合っているのか、
曲の良さを率直に感じ取ることができました。


どれも美しいのですが、
序曲《トランペット》と《ルイ・ブラス》は、
初めて聴く者にもわかりやすく、隠れた名曲に出会うことができました。


マズアとゲヴァントハウスのコンビで、
メンデルスゾーンの主要な作品を録音されているようなので、

これから1つずつ聴いていこうと思います。

2015年1月29日木曜日

朝比奈隆&大阪フィルのベートーヴェン:交響曲第1・2番(2000年録音)

日本の指揮者
朝比奈隆(1908.7-2001.12)の指揮する
大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏で、

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770.12-1827.3)の
交響曲第1・2番を聴きました。

朝比奈隆の最晩年、
2000年に録音された7回目の交響曲全集からの分売です。

指揮者91-2歳(2000年3・7月)の時の録音です。


ベートーヴェン
交響曲第1番 ハ長調 作品21
交響曲第2番 ニ長調 作品36

大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆
録音:2000年7月23日 東京、サントリーホール(第1番)
   2000年3月10日 大阪、フェスティバルホール(第2番)
【AVCL84002】※2014年11月発売。

7回目の全集は、
各曲2回ずつの公演をそのままCD化するという
マニア向けの趣向だったので(2000年4月- 2001年5月発売)、

途中まで購入したものの全曲揃えるには至りませんでした。

2008年12月に改めて、
ふつうの全集仕様に編集したものが6枚組で発売されましたが、
高価なのでそのうちに買おうと思っているうちに、
今回の再販となりました。


  ***

第1番は初出時、
2000年7月21日と23日の演奏が両方ともCD化されていました。

今回のCDには、
2000年7月23日のライブ収録とあります。
恐らく23日の演奏をもとに微調整された音源ということだと思います。


同じように、第2番は初出時、
2000年3月10日と12日の演奏が両方ともCD化されていました。

今回のCDには、
2000年3月10日のライブ収録とあります。
恐らく10日の演奏をもとに微調整された音源ということだと思います。


  ***

さて今回、
一聴して気がつかされるのは、
これまで聴いてきたポニーキャニオンでの2回の全集とは、
明らかにオケの響きが違うことです。


それまでの録音では、
オケの各楽器が荒削りなままで突出する感じがあって、

良くいえば、豪快かつ攻撃的な印象、
悪くいえば、耳にうるさい粗雑な印象がありました。


新しい録音では、まずもって
美しくブレンドされたオケの豊穣な響きに耳を奪われます。

大阪フィルってこんなに美しい響きだったかなと驚くほどです。

個人的に、
朝比奈&大フィルを生で聴いた印象に近いのは、
今回のCDのほうだと思うので、

生のオーケストラを聴いた時の印象により近くなるように、
それまでと録音の方針を変えたのでしょうか。


これまでの素朴で豪快な音楽作りに加えて、
オーケストラの極上の音色を楽しむこともできるので、

朝比奈隆&大阪フィルのベートーヴェン:交響曲全集のなかでも、
完成度の点で際立っているのではと思いますが、

たくさん出ている全集をすべて聴いたわけではないので、

これはこれで、
十分お薦めできるレベルの優れたCDであることは保証できます。


最近はあまり聴かれなくなった
オケを豪快に鳴らしきって演奏させるタイプの
第1・2番として、

くりかえし聴きたくなる魅力を備えた演奏だと思います。