2018年2月5日月曜日

コンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管のベートーヴェン:交響曲第1・2番(1959年録音)

朝比奈隆&大阪フィルの
ベートーヴェンに合わせて、

チェコのモラヴィア生まれの指揮者
フランツ・コンヴィチュニー
(Franz Konwitschny,1901年8月14日-62年7月28日)が、
59・60歳の時(1959年6月~61年8月)に

ドイツのオーケストラ
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
(Gewandhausorchester Leipzig)と録音した

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770年12月-1827年3月)
交響曲全集を聴いていきます。

まずは第1・2番を収めた1枚です。


ベートーヴェン:交響曲全集~
Disc1
① 交響曲第1番ハ長調 Op.21
② 交響曲第2番ニ長調 Op.36
③《プロメテウスの創造物》序曲 Op.43

フランツ・コンヴィチュニー(指揮)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

録音:1959年6月11-16日(①②③)
【Berlin Classics 0300926BC】2017年5月発売
 ※録音月日の情報は、CD付属の解説文を参照しました。
  交響曲については全9曲明記されていますが、
  序曲は一部をのぞいて月日の情報は明らかにされていません。


交響曲第1番は、
ベートーヴェン29歳の時(1800年4月)に
第2番は32歳の時(1803年4月)に初演されました。


その風貌から何となく
芸風が似ているイメージがあったので、
朝比奈のベートーヴェンに合わせて、
コンヴィチュニーの録音も聴いていくことにしました。

重々しくどっしりした
巨匠風の演奏を想定していたのですが、

聴き慣れた朝比奈氏の演奏と比べると、
はるかに洗練された軽めの爽やかな印象で、
すんなりと耳に入ってくる
わかりやすい演奏が繰り広げられていました。

マズアで聴き慣れた
ゲヴァントハウスの清新な響きが、
ここですでに聴かれることに嬉しい驚きがありました。

どちらが良いとは一概にいえませんが、
初めて聴いて、曲の美しさに率直に惹き込まれるのは、
コンヴィチュニーのほうだと思いました。

それほど重々しく聴こえないので、
その点聴き込むと物足りなくなってくるかもしれませんが、

時々聴いて、
その美しさにうっとりする分には、
申し分のない録音といえるでしょう。



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2018年1月29日月曜日

松坂屋美術館の「ミュシャ展 運命の女たち」

去る正月21日(日)に、
名古屋ボストン美術館で「鈴木春信」展を観た後、
名古屋市中区栄にある松阪屋美術館まで、

「ミュシャ展 運命の女たち」

を観に行って来ました。

全国6ヶ所で、
以下の日程で実施される予定です。

 2017年10月14日~11月26日
 美術館「えき」KYOTO
◯2017年12月23日~18年2月18日
 松坂屋美術館
 2018年2月24日~4月8日
 ひろしま美術館
 2018年4月20日~5月27日
 福岡アジア美術館
 2018年6月2日~7月15日
 静岡市美術館
 2018年7月20日~9月2日
 鹿児島市立美術館

名古屋は2番目の会場で、
松坂屋美術館とCBCテレビの主催でした。


図録のあいさつには、

「19世紀末から20世紀初頭、
 ヨーロッパで起こった芸術運動アール・ヌーヴォー
 の旗手として知られるアルフォンス・ミュシャは、
 1860年に現在のチェコ共和国
 モラヴィア地方イヴァンチッチェで生まれました。」

「パリに移ったミュシャは、出世作となった
 大女優サラ・ベルナールの劇場ポスターをはじめ、
 数多くの女性像を優美に繊細な表現で描き出し、
 瞬く間に時代の寵児となります。
 その手法はミュシャ様式と呼ばれ、
 アール・ヌーヴォーの代名詞になりました。」

「本展では、『運命の女たち』というタイトルが示す通り、初恋に始まり、栄華を極めたパリ時代、そして晩年に至るまで、女性を描き続けたミュシャの人生を彩った女性たちに焦点をあて、ミュシャ芸術をご紹介いたします。」

「出品される作品は、モラヴィア地方にある
 ミュシャの生家からほど近くに在住する
 医師ズデニュク・チマル博士の親子3代に亘る
 膨大なコレクションから厳選したもので、
 ポスター、装飾パネル、さらには油彩画、素描画、水彩画など
 約150点に及びます。」

とありました。(改行はブログ編者による)


ミュシャの展示は学生の時に1度観ているので、
画風はよく覚えていましたが、

いつどこで観たのか、
具体的なことを思い出せないくらいでしたので、
ほぼ初めて観るような、新鮮な感動を味わうことができました。

この展示は、ミュシャの生家の近くに住む
医師ズデニュク・チマル博士のコレクション
から幅広く紹介されたもので、

資料を欠いている時期は、
映像などを用いて補いながら、
ミュシャの生涯を一通り辿れるように構成されていたので、
大変勉強になりました。

以前に観たときは、
パリで活躍したときの
芸術家としての側面が強調されていたので、
すっかりフランスの方だと思い込んでいましたが、

現在のチェコ共和国モラヴィア地方出身で、
晩年は祖国に戻って大作《スラブ叙事詩》を描かれた方で、
チェコの人々にとって最重要な芸術家であることは、
恥ずかしながら今回初めて気がつきました。

圧倒的な力でねじ伏せるような
勢いや冴えはあまり感じないのですが、

どの作品も、誰にでも親しみやすく、
わかりやすいデザインで語りかけて来て、
身近なものがより鮮やかに、印象深く感じられる
ミュシャ独特の画風を知ることができました。


  ***

今回は展示では、
ミュシャの芸術活動の集大成として
《スラブ叙事詩》を紹介していたのですが、
作品それ自体は映像でも展示されていませんでした。

どんな作品なのかと調べてみると、
なんと1年前の2017年3月8日から6月5日まで、
東京の国立新美術館で
「国立新美術館開館10周年
 チェコ文化事業 ミュシャ展」
が開催され、この時、
《スラヴ叙事詩》全20作が、
チョコ国外で世界初公開されていたことを知りました。

巨大な作品で、
そう簡単には国外への貸出を許可されないはずなので、
絶好の機会を逸していました。

図録はまだ購入できるようなので、
無くならないうちに手に入れようと思います。

長くなったのでここまで。
ミュシャの作品にはこれから注目していきたいです。



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2018年1月28日日曜日

名古屋ボストン美術館の「ボストン美術館 浮世絵名品展 鈴木春信」

去る正月21日(日)に、
名古屋市中区の金山にある
名古屋ボストン美術館まで、

「ボストン美術館
 浮世絵名品展 鈴木春信」

を観に行ってきました。

全国4ヶ所で、
以下の日程で実施される予定で、
名古屋は2番目の会場でした。

 2017年9月6日(水)~10月23日(月)
 千葉市美術館
◯2017年11月3日(金)~18年1月21日(日)
 名古屋ボストン美術館
 2018年4月24日(火)~6月24日(日)
 あべのハルカス美術館
 2018年7月7日(土)~8月26日(日)
 福岡市博物館(予定)

 ※名古屋会場の主催は、
  名古屋ボストン美術館、ボストン美術館、日本経済新聞社、テレビ愛知
  とされていました。

図録のあいさつによると、

鈴木春信(すずきはるのぶ, 1725?-70)は、
 高度な多色摺の木版画、すなわち『錦絵(にしきえ)』
 創始期の第一人者として知られている浮世絵師です。」

「春信は、錦絵の誕生という重要な転換期に、
 天性の優れた色彩感覚を生かした優美な美人画で一世を風靡し、
 その後長く続いた浮世絵発展の礎を築いた絵師である」

「春信の作品は、後の時代の絵師に比べて1図あたりの
 残存数が極めて少なく、現存する作品の8割以上が
 海外に所在しているため、日本国内で作品を見る機会は大変限られています。」

「本展では、質・量ともに世界最高のコレクションを誇る
 ボストン美術館の所蔵品から、選りすぐりの作品150点を展観します。」

とありました(改行はブログ編者による)。


  ***

チラシなどに見える作品それ自体には、
実はそれほど惹かれなかったのですが、

歴史の教科書で名前こそ知れ、
実物をみることがほとんどなかった
「鈴木春信」の作品をまとめて観られる
良い機会だったので、

ぜひにと思い、
観に行って参りました。

初期の浮世絵の、保存状態の良いものを
たくさん観られる機会もめったにないことなので、
浮世絵についての目を肥やす
良い機会にもなりました。


実際に見てみると、
想像をこえる保存状態の良さで、

今まで見たことのないレベルの、
はっきりクッキリとした色彩の作品がずらりと並んでいて、
初期の浮世絵への印象が一新しました。

春信は、女性の描き方が独特で、
ある程度定型化されているものの、
よく見るとそれぞれの個性が描き分けられていて、
たくさん見ても、飽きることがありませんでした。

歌麿や写楽や北斎ほどの、
突き抜けた強い個性は感じなかったのですが、

新しい様式美の世界を、
誰にもわかりやすく、受け入れやすいかたちで提供された点、
鈴木春信の個性は明らかなのだと思います。

この展示で春信が、
浮世絵の歴史を語る上で欠かせない存在であることは、
よくわかりました。



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