2012年2月29日水曜日

武久源造のバッハ:オルガン曲集 Vol.1



J.S.バッハ:オルガン曲集 Vol.1

1. 協奏曲 ニ長調 BWV.972(原作:A.ヴィヴァルディ)

2. トッカータとフーガ ニ短調 BWV.565

3. 27のコラールより「今こそ歓べ、全てのキリスト者よ」BWV.734
4. 25のコラール前奏曲より「甘き喜びのうちで」BWV.751
5. 18のコラール集より「いと高き所では神に栄光あれ」BWV.662

6.カンツォーナ ニ短調 BWV.588
7.18mpコラール集より「装いせよ、愛する魂よ」BWV.654

8.前奏曲とフーガ ト短調 BWV.535

武久源造(オルガン)

姫路パルナソスホールオルガン
(株式会社 須藤オルガン工房 製作 1990年11月完成)
録音:1993年12月5~7日
【ALCD-1016】


武久さんのバッハ、
オルガン曲集です。

だいぶ前に買って、何度か聴いて、
そのままになっていたのを聴き直しました。


感動の渦に引きずり込まれる、
というよりは、

柔らかく暖かなオルガンの音色に、
ほんわかと、明るい気持ちにさせられます。

武久さんの個性よりも、
バッハの曲の美しさがそのまま伝わる演奏だと思います。


前に聴いたときは、
それほど印象に残らず、
そのままになっていたのですが、

今回は、2月の間中、
仕事のおともに、こればかり聴いていました。

さらりとした感じのオルガンの音色にも、
聴き込むと独特の味わいが生まれて来るようです。


オルガンを身近に聴く環境にはなかったので、
オルガンについて語れることは何もないのですが、

わが街にこれくらいの規模のオルガンがあって、
毎月さまざまなオルガンの名曲が聴けたら
楽しいだろうな、と思います。

でもここは日本なので、
無理なのは仕方がないでしょう。

2012年2月25日土曜日

ハイドシェックのヘンデル:クラーヴィア組曲集〈2〉



CD-2
ヘンデル:クラーヴィア組曲集より
1. 組曲 第3番 ニ短調 (第1集~第3番)HWV428
2. 組曲 第13番 変ロ長調(第2集~第7番)HWV440
3. 組曲 第2番 ヘ長調 (第1集~第2番)HWV427
4. 組曲 第15番 ニ短調 (第3集~第1番)HWV447
5. 組曲 第1番 イ長調 (第1集~第1番)HWV426

エリック・ハイドシェック(ピアノ)

録音:1975年頃
【CASSIOPEE 969 193】



ハイドシェックによる
ヘンデルのクラーヴィア組曲集、
ここしばらく、2枚目のCDを聴いていました。

この中で、
とくに気に入ったのは、
第3番ニ短調(HWV428)と第2番ヘ長調(HWV427)です。

第3番は後半に、
印象的なエアーと5つの変奏が置かれていて、
全体の構成的にもよくできた作品だと思います。

第2番は、
冒頭のプレリュードが息をのむ美しさです。

どちらもチェンバロで弾いても
美しい曲のはずですが、

ハイドシェックが醸し出している寂しさ、
孤独感といったものは、

ピアノでないと、また
もしかしたらハイドシェックでないと、
難しいのかもしれません。

ほどほどに、
テンポをゆらしていけるかどうかが、
ポイントのようにも思われました。


どちらもライブ録音があるはずなので、
探しだして聴き直してみます。


他の曲も合わせて、
清楚で明朗なヘンデルの個性を十全に引き出した
名演奏だと思います。

では、次は3枚目です!

2012年2月20日月曜日

小林研一郎&チェコ・フィルのベートーヴェン:交響曲第4&6番「田園」



ベートーヴェン
交響曲第4番 変ロ長調 作品60
交響曲第6番 ヘ長調 作品68「田園」

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
小林研一郎(指揮)

録音:2010年11月18・19日(第6番)
   2011年10月20-22日(第4番)
   プラハ、ルドルフィヌム、ドボルザークホールにてライブ録音
【OVCL-00456】


コバケンさんのベートーヴェン、
第4番と第6番「田園」を聴きました。

強い自己主張で、
聴く人をねじ伏せるような演奏ではなく、
曲の叙情的な側面と、コバケンさんの個性とが
ほどよくブレンドされていて、

もう少し、
アクの強さを感じさせる部分があっていいかな、
とも思いますが、

聴くほどに味わいが増して来る、
曲自体の良さを再確認させられる演奏でした。

正直なところ、
はじめに聴いた時は、
さらさらと流れていくだけで、
何もしていないように聴こえて、
あれっ?と思ったのですが、

3度4度と聴き込むごとに、
コバケンさんの個性がじわりと効いてきて、
だんだんと好きな演奏になって来ました。

はじめは4番の方が良い出来に聴こえたのですが、
今は「田園」のほうが好きです。


でもやはり「田園」は難しい曲ですね。

十分に美しく、
楽しませてもらいしたが、

最高の名盤というには、
ほんの少し、欠ける部分があるようです。

今後はぜひ、
日本のオケとも解釈を練りあげて、
もう一段高いところにある「田園」を聴かせてもらえたら、
いいなあ、と思っております。

2012年2月19日日曜日

横山幸雄のショパン:ピアノ独奏曲全曲集〈3〉



プレイエルによる
ショパン・ピアノ独奏曲全曲集〈3〉

1) ワルシャワ時代の遺作のポロネーズ

1. ポロネーズ ト短調 WN2(1817年)
2. ポロネーズ 変ロ長調 WN1(1817年)
3. ポロネーズ 変イ長調 WN3(1821年)
4. ポロネーズ 嬰ト短調 WN4(1824年)
5. ポロネーズ 変ロ短調 WN10(1826年)
6. ポロネーズ ニ短調 WN11(1825-27年)
7. ポロネーズ ヘ短調 WN12(1826-28年)
8. ポロネーズ 変ロ長調 WN17(1829年)
9. ポロネーズ 変ト長調 WN35(1830年)

2) アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
変ホ長調 作品22(1835年)

横山幸雄(ピアノ)

使用楽器:プレイエル(1910年製)
録音:2010年12月20、21日
上野学園 石橋メモリアルホール

【KICC-915】


ポーランドの作曲家
フレデリック・フランソワ・ショパン
(1810年3月1日生 1849年10月17日)
のピアノ独奏曲全曲集、

3枚目は、若いころの遺作のポロネーズと、
アンダンテ・スピアートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調を合わせた1枚です。

遺作のポロネーズの作曲年代は
次のように推定されています。
(小坂裕子氏のCD解説参照。)

7歳……ト短調(WN2) 変ロ長調(WN1)
11歳……変イ長調(WN3)
14歳……嬰ト短調(WN4)
16歳……変ロ短調(WN10)
15~17歳……ニ短調(WN11)
16~18歳……ヘ短調(WN12)
19歳……変ロ長調(WN17)
20歳……変ト長調(WN35)

ショパンの独奏曲を
すべて聴いてやろう、という企画でなければ、

前半は、少々飽きの来やすい
習作レベルの作品が続きますので、

とりあえず1枚だけ購入してみよう、
という方にはあまりお薦めできないかもしれません。

しかし意外と楽しんで、
5回6回と聴き返していられるのは、
横山さんの演奏力の賜物でしょう。

別に無理なことはせずに、
曲そのものの魅力を汲み取って、
曲の感動を十分に伝えることが出来ていると思います。

はじめから、
若きショパンに出会うつもりで聴けば、
楽しめる1枚だと思います。

ちなみに、
私が気に入った遺作のポロネーズは、

19歳のときの変ロ長調(WN17)
20歳のときの変ト長調(WN35)

です。


ブレイエルの音色にも
かなり耳が馴染んできました。

次は盛りだくさんの4枚目に進みます。

2012年2月13日月曜日

朝比奈隆&大阪フィルのブルックナー:交響曲第7番(1992&2001)

私にとって
ブルックナーといえば朝比奈さんでしたので、

朝比奈さんが亡くなってから、
ブルックナーをあまり聴かなくなっていました。

最晩年にエクストンに録音した選集は、
8番しか購入していなかったので、

正月に7番と9番を購入しました。
その報告です。



ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(ハース版)

大阪フィルハーモニー交響楽団
朝比奈隆(指揮)

2001年5月10日
大阪フェスティバルホール
【OVCL-00315】


手もとにちょうど、
ポニーキャニオンから出た
大阪フィルとの2度目の全集からの1枚がありました。

これは9年前に、
同じ大阪フェスティバルホールで演奏されたCDなので、
あわせて聴いてみることにしました。


録音:1992年9月27-29日
大阪フェスティバルホール
【PCCL-00178】

どちらも朝比奈さんらしく、
ブルックナーのツボを押さえたわかりやすい演奏です。

ただし、音質には大きな違いがあります。

1992年の録音は、
演奏の加減か、録音の加減か、
オケの響きが荒々し過ぎ、粗雑に聴こえる所があって、
全体として今一つの仕上がりになっていると思います。

実演を聴いたのであれば、
おそらくふつうに感動できたと思いますが、
CDでは少し残念な仕上がりになっています。


2001年の録音は、
何よりオケの響きが素晴らしく、

全体として
オルガンを聴くように
ほどよくブレンドされていて、
ブルックナーの心地よい響きを、
十分に楽しむことが出来ました。

1992年のと同じオケとは思えないほど、
洗練された豊かな響きに聴こえました。


演奏は2001年の方が、
傷もなくほぼ完璧な仕上がりで、

美しい造形のもとに、
第7番の魅力を十分に伝える内容になっており、
すなおに感動することができました。

他にも良い演奏はあるかもしれませんが、
とりあえずこれだけのレベルで聴かせてもらえれば、
私には大満足です。


2001年の方が、
早めのテンポで飄々と進んで行くように感じたのですが、
比べてみると、

1992年[20:56/21:13/8:07/12:45]
2001年[21:26/20:44/8:39/13:07]

テンポに大きな違いはありませんでした。

ブルックナーの第7番の美しさに魅了されました。

2012年2月3日金曜日

ハイドシェックのヘンデル:クラヴィーア組曲集〈1〉



CD-1
1. 組曲 第5番 ホ長調 (第1集~第5番)HWV430
  「調子の良い鍛冶屋」
2. 組曲 第8番 ヘ短調 (第1集~第8番)HWV433
3. 組曲 第6番 嬰ヘ短調(第1集~第6番)HWV431
4. 組曲 第7番 ト短調 (第1集~第7番)HWV432

エリック・ハイドシェック(ピアノ)
録音:1974年頃
【CASSIOPEE 969 192】



ハイドシェックのヘンデル、
クラヴィーア組曲集〈1〉には HWV430~432 の
4曲が収録されています。

1曲目(HWV430)は、
親しみやすいメロディ
「調子の良い鍛冶屋」が使われていますが、
内容的にはほどほどの曲に聴こえます。

2~4曲目は短調で、
悲劇的な曲想ですが、
それほど深刻にはなり過ぎない、
肩で風切る格好よさ、独特の軽さ、明るさを感じさせます。

内容的に一番深いのは、
4曲目(HWV432)でしょう。
最初と最後に、長大な序曲とパッサカリアを置いてあり、
最後のパッサカリアは特に名曲だと感じました。


楽譜がとてもシンプルに書かれていますので、
そこからどれだけ、あふれ出るようなファンタジーを紡ぎ出せるかは、
奏者の音楽性にかかっているのでしょう。

ハイドシェックのひらめきが
次から次へとあふれ出して、稀に聴く、
手に汗にぎる名演が繰り広げられています。

在命中はバッハよりも
人気のある作曲家であったことは、
こうした演奏で聴くと、なるほどと思います。

ヘンデルの作品は、
まだまだ網羅的に聴いていないのですが、

今のところ、
クラヴィーア組曲集が一番好きです。

2012年2月2日木曜日

フルトヴェングラー&ウィーンpoの「田園」(1952)

ベートーヴェン
交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
(録音:1952年11月24・25日)

スメタナ
交響詩「モルダウ」
(録音:1951年1月24日)

リスト
交響詩「前奏曲」
(録音:1954年3月3日)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)

場所:ウィーン・ムジークフェラインザール
音源:ブライトクランク白レーベル非売品見本盤

【TKC-336】


フルトヴェングラーさんのCD、
最近あまり聴いていなかったのですが、

オタケンさんから復刻された
ブライトクランクのCDが気になったので、
年末に2枚、購入してみました。

擬似ステレオのCDは、
ずっと前にも購入したことがあったのですが、
そのときはかなり人工的な音質に感じられて、
そのままになっておりました。

今回、
特に驚いたのは「田園」です。
フルトヴェングラーさんの「田園」には、
これまで特に感動した記憶はなかったのですが、

このCDで、印象が全然変わってしまいました。

どちらかといえば、
ゆっくりめのテンポをほとんど揺らさず、
じっくり仕上げていく演奏ですが、

オケそのものが音楽的に、
魅力ある音色で鳴り響くので、
それだけでとても幸福な気持ちになって、
曲の魅力に感動することが出来ました。

テンポを特に揺らさなくても、
これだけ有機的に、
味わいのある音を引き出せるのは、
やはり指揮者の実力なのでしょう。

他の指揮者が解釈を真似しても、
全然つまらなく聴こえる可能性が高いでしょう。

オケの音色で勝負する演奏なだけに、
ブライトクランクの効果も大きいように思われました。

ごくふつうに、
ステレオ録音を聴く感じで楽しめました。

ワルターさんとは
まったく違うやり方ですが、
また一つ、好きな「田園」が増えました。


「モルダウ」は、
熱のこもった有機的な演奏ですが、
他にも色々すぐれた演奏はあるでしょう。


「前奏曲」は、
それほど聴く機会がないので、
何とも言えないのですが、
どんな曲かはわかりました。