横山幸雄さんによる
フレデリック・フランソワ・ショパン
(1810年3月生 1849年10月没)のピアノ独奏曲全集
5枚めを聴きました。
プレイエルによる
ショパン・ピアノ独奏曲全曲集〈5〉
1) ノクターン ホ短調 WN23(1827)※17歳
2) ノクターン 嬰ハ短調 WN37(1830)※20歳
レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ
3) 3つのノクターン 作品9(1830-31)※20-21歳
第1番 変ロ短調/第2番 変ホ長調/第3番 ロ長調
4) 3つのノクターン 作品15(1830-31、33)※20-21、23歳
第1番 へ長調/第2番 嬰へ長調/第3番 ト短調
5) 2つのポロネーズ 作品26(1834-35)※24-25歳
第1番 嬰ハ短調/第2番 変ホ短調
6) 2つのノクターン 作品27(1835)※25歳
第1番 嬰ハ短調/第2番 変ニ長調
7) バラード第1番 ト短調 作品23(1831-35)※21-25歳
横山幸雄(ピアノ)
使用楽器:プレイエル(1910年製)
録音:2011年2月17、18日
上野学園 石橋メモリアルホール
【KICC-917】
今回は、夜想曲を中心としたプログラムです。
旋律の美しい遺作のノクターン2曲のあと、
作品9と作品15のノクターン6曲が続き、
コンサートであれば恐らく休憩をはさんで、
作品26のポロネーズ2曲、
作品27のノクターン2曲と続けて、
最後に作品23のバラード第1番という構成です。
主に20代前半に書かれた作品群です。
全体を聴いてみると、
記憶に残る美しい旋律をもつ
遺作の2つのノクターンの印象が強すぎて、
その後のプログラムの印象がうすくなっているように感じられました。
若いころの作品から順に並べて、
全作品を演奏するという趣向でなければ、
冒頭に置かれた2つの遺作のノクターンは、
プログラムの最後にアンコールとして弾かれた方が
まとまりは良いように思われました。
横山さんの演奏、
これは評価がむつかしい。
男性的でキリリとひきしまったノクターンかと思いきや、
意外にピアニッシモを多用した繊細な表現で、
しかしリズムの面ではあっさりしたところもあって、
慣れてくるまで少し違和感がありました。
繊細ではあり、
そこそこロマンティックでもあるのですが、
曲に没入し切ることはない、クールな面も残しており、
一言では現しにくい、
横山さん独自の表現であることは確かだと思います。
ぼんやり聴いていると、
さらさら流れていくようにも感じるので、
あと少し、押しの強さがあっても良いように感じますが、
今後どのように表現がこなれてくるのか、
期待したいと思います。
どちらかといえば、
ポロネーズとバラードのほうが、
横山さんの個性にあっているようで、
これは文句のないすぐれた演奏でした。
※作品の作曲年代については、
有田栄氏によるCD解説のほか、
ペティナ・ピアノ曲事典「ショパン」の項目
【http://www.piano.or.jp/enc/composers/index/31/】を参照しました。
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