2013年5月22日水曜日

ヤノフスキ&シュターツカペレ・ドレスデン の ワーグナー 《指輪》(ハイライト)

ドイツの作曲家
リヒャルト・ワーグナー
(Richard Wagner 1813.5-1883.2)が
26年かけて(35歳-61歳 1848年-1874年)作曲した
楽劇《ニーベルングの指輪》を、

ポーランド出身の指揮者
マレク・ヤノフスキ(Marek Janowski 1939.2- )が
41歳のときから4年(1980-1983)かけて、

ドイツのオーケストラ
シュターツカペレ・ドレスデン(Staatskapelle Dresden)
とともに録音したCDを、2枚組のハイライト版で聴きました(1,200円)。


ワーグナー: 楽劇《ニーベルングの指環》(ハイライト)

 序夜《ラインの黄金》全4幕
 前奏曲/第1幕より3曲/第4幕より4曲
  【ヴォークリンデ】ルチア・ポップ(ソプラノ)
  【ヴェルグンデ】ウタ・プリーヴ(メゾソプラノ)
  【フロースヒルデ】ハンナ・シュヴァルツ(アルト)
  【アルベリヒ】ジークムント・ニムスゲゲルン(バスバリトン)
  【ドンナー】カール=ハインツ・シュトリチェク(バス)
  【フロー】エーバーハルト・ビュヒナー(テノール)
  【ヴォータン】テオ・アダム(バスバリトン)
  【フリッカ】イヴォンヌ・ミントン(メゾソプラノ)
  【ローゲ】ペーター・シュライアー(テノール)
   ※録音:1980年12月8-11日

 第1日《ワルキューレ》全3幕
 第1幕より3曲/第2幕より1曲/第3幕より3曲
  【ジークムント】ジークフリート・イウエルザレム(テノール)
  【ジークリンデ】ジェシー・ノーマン(ソプラノ)
  【ブリュンヒルデ】ジャニーヌ・アルトマイヤー(ソプラノ)
  【ゲルヒルデ】エヴァ=マリア・ブンドシュー(ソプラノ)
  【オルトリンデ】シェリル・ステューダー(ソプラノ)
  【ヴァルトラウテ】オルトルン・ヴェンケル(アルト)
  【シュヴェルトライテ】Anne Gjevang(アルト)
  【ヘルムヴィーゲ】ルース・ファルコン(ソプラノ)
  【ジークルーネ】クリステル・ボルシェル(メゾソプラノ)
  【グリムゲルデ】キャスリーン・クールマン(アルト)
  【ロスヴァイセ】ウタ・プリーヴ(メゾソプラノ)
  【ヴォータン】テオ・アダム(バスバリトン)
   ※録音:1981年8月22-29日

 第2日《ジークフリート》全3幕
 第1幕より2曲/第2幕より2曲/第3幕より3曲
  【ジークフリート】ルネ・コロ(テノール)
  【ミーメ】ペーター・シュライアー(テノール)
  【さすらい人】テオ・アダム(バスバリトン)
  【エルダ】オルトルン・ヴェンケル(アルト)
  【ブリュンヒルデ】ジャニーヌ・アルトマイヤー(ソプラノ)
   ※録音:1982年2・3月

 第3日《神々の黄昏》序幕つき3幕
 序幕より1曲/第1幕より2曲/第3幕より6曲
  【ジークフリート】ルネ・コロ(テノール)
  【グンター】ハンス・ギュンター・ネッカー(バリトン)
  【グートルーネ】ノーマ・シャープ(ソプラノ)
  【ハーゲン】マッティ・サルミネン(バス)
  【ブリュンヒルデ】ジャニーヌ・アルトマイヤー(ソプラノ)
   ※録音:1983年1・3・4月

 マレク・ヤノフスキ(指揮)
 シュターツカペレ・ドレスデン
 ※録音場所:ドレスデン、ルカ教会
【Eurodisc88765420932】

ワーグナーの『指輪』は興味こそあれ、
CD14枚組みともなると相当高価なので、
もしつまらなかったらどうしようと二の足を踏んでおりました。

ドイツ語で朗々と歌われるワーグナーを、
何としてでも聴きたいと思うこともなく、
これまで生きて来たのですが、

今年はワーグナー生誕200年だそうで、
前から気になっていたヤノフスキの《指輪》が、
装いを新たに2枚組みの抜粋で発売されていることを知り、
購入して聴いてみることにしました。


どちらかと言えば、
重厚に過ぎるワーグナーの世界は苦手な方だったのですが、

このCDでは、
ワーグナー特有の重厚さが影を潜め、
むしろ軽めのさわやかな明るい響きで、

美しいハーモニーのうつろいを、
存分に楽しむことができました。

音響が耳にとても心地よいので、
知らず知らずのうちに、先へ先へと進んでいて、
2度、3度とくり返し聴くことになりました。

恐らくそれまでの伝統的な演奏法とは
ずいぶん違っていたのではないかと思いますが、

どこも無味乾燥な感じはなく、楽譜に忠実に、
しかし音楽的に充実した演奏がくり広げられている、と感じました。


ショルティはもとより、
クナッパーツブッシュも、
フルトヴェングラーもまだ聴いていない身なので、
将来、認識を改める可能性もありますが、

まっさらな状態での感想も、
それなりに価値のあることと思い、
ここに記しておきます。


《ラインの黄金》は、
悠久の彼方から何かが生まれて来る感覚が楽しく、

《ワルキューレ》は、
ハラハラドキドキかっこいい!と思いました。

《ジークフリート》は、
間延びしやすそうな感じもありましたが、
聴きなれた《ジークフリート牧歌》のモチーフが
よいアクセントになっていました。

《神々の黄昏》は、終結部へと向かって、
否が応にも感動させられる音楽で、
ワーグナーもいいもんだな、
と思った次第です。


あと一点、
春の花粉で憂鬱になりがちな日々の気晴らしに、
ワーグナーの音楽は、かなり効果があったことも嬉しい発見でした。

これに乗じてワーグナーを制覇!
と言えるほど、経済的な余裕はないでしょうが、
《指輪》については今年のうちに色々聴いておきたいと思っています。


※Wikipediaの「リヒャルト・ワーグナー」
 「ニーベルングの指輪」
 「マレク・ヤノフスキ」の項目を参照。

2013年5月13日月曜日

Bill Evans Trio の 『Waltz for Debby』 (1961.6.25)

アメリカのジャズ・ピアニスト、
ビル・エヴァンス(1929.8-1980.9)が、
 ベースにスコット・ラファエロ(1936.4-1961.7)
 ドラムにポール・モチアン(1931.3-2011.11)を迎え、
1961年6月25日に録音したアルバム

『ワルツ・フォー・デヴィー』を聴きました。


Waltz for Debby
Bill Evans Trio

1.My Foolish Heart(Washington-Young)
2.Waltz for Debby〔take2〕(Evans-Lees)
3.Detour Ahead〔take2〕(Carter-Ellis-Frigo)
4.My Romance〔take1〕(Rodgers-Hart)
5.Some Other Time(Comden-Green-Bernstein)
6.Milestonse(Miles Davis)

7.Waltz for Debby〔take1〕*
8.Detour Ahead〔take1〕*
9.My Romance〔take2〕*
10.Porgy (I Love You, Porgy)(Gershwin-Heyward-Gershwin)*
 *Additional tracks not on original LP

Bill Evans, piano
Scott LaFaro, bass
Paul Motian, drums
Recorded live at the Village Vanguard, New York City, June 25,1961
【VICJ-60008】

ジャズは、
20代の終わりに少しまとめて聴いたことがあるくらい、

今はピアノビル・エヴァンスキース・ジャレットサックス チャーリー・パーカーソニー・ロリンズキャノンボール・アダレイの5名のみ、

時折、思い出したようにアルバムをひっぱりだして聴く程度です。

網羅して聴いていないので、
聴くべくして聴いていないアルバムは少なくないと思います。

でもやはり、今の自分に、
ジャズのまったくない世界というのも考えられませんので、
時折聴いている、アルバムのいくつかを紹介していきます。


確か1番初めに買ったのは、
ビル・エヴァンス・トリオの、
『ワルツ・フォー・デビィ』でした。

吹きぬける春風のような
「マイ・フーリッシュ・ハート」に続く、
軽やかなリズムの「ワルツ・フォー・デビィ」の心地良さに、
心を奪われました。

1・2曲目が際立って良い、
という感想は変わりませんが、

今回聴き直して、

4曲目「マイ・ロマンス」と、
10曲目「ポーギー(アイ・ラブ・ユー、ポーギー)」

の2曲の良さも再認しました。(10曲目はボーナス・トラック)

あまり記すとすぐにボロが出そうなのでまずはこのくらい。
もう20年近く、時折り聴き直している1枚なのは確かです。


※Wikipediaの「ビル・エヴァンス」

2013年5月1日水曜日

ヘブラーのモーツァルト:ピアノ・ソナタ全集 その5(旧盤)

オーストリア出身のピアニスト
イングリット・ヘブラー(1926.6 - )が、

36歳から41歳までの
4年2ヶ月(1963.4-1967.6)かけて録音した

オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ピアノソナタ全集、5枚目を聴きました。


モーツァルト
ピアノ・ソナタ 第15番 ハ長調 K.545
ピアノ・ソナタ 第16番 変ロ長調 K.570
ピアノ・ソナタ 第17番 ニ長調 K.576
ピアノ・ソナタ 第18番 ヘ長調 K.553/494

イングリット・ヘブラー(ピアノ)
録音:1965年11月(15番)、64年12月(16番)、63年4月(17番)、66年8月(18番)
【PROC-1201/5】CD5

K.545(第15番)は、
モーツァルトが32歳のとき(1788年6月)に作曲された
初心者のためのソナタです。


K.570(第16番)は、
モーツァルトが33歳のとき(1789年2月)に作曲されました。

没後、最初に出版されたとき(1796年)に、
ヴァイオリン・ソナタに編曲されたかたちで世に出たため、
しばらくヴァイオリン・ソナタとしてのみ知られていたそうです。


K.576(第17番)は、
モーツァルトが33歳(1789年7月)のときに作曲された
最後のピアノ・ソナタです。


K.553/494(第18番)は、
 30歳のとき(1786年6月)に作曲された《小ロンド》K.494と、
 32歳のとき(1788年1月)に作曲された《アレグロとアンダンテ》K.533
の2曲を合わせて、1788年に1曲のソナタとしたものです。

新全集では、
通番を作曲年代の順に、
 K.553/494〔第15番〕
 K.545〔第16番〕
 K.570〔第17番〕
 K.576〔第18番〕
と変更されているそうです。


  ***

さて演奏ですが、
一番心を奪われたのは、
熟知しているはずの K.545 のソナタです。

さらっとしているようで、
ひたひたと心のひだに入り込んでくる、
素朴なやさしい演奏でした。

他の3曲も、
清楚で作為のない素朴な表現で、
心から楽しめる演奏に仕上がっていました。

奏者によって嫌な理屈っぽさを感じさせることもある曲ですが、
ベストといって良い演奏が実現していると思いました。


ヘブラーさんの
モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集、
これで旧盤を聴き終わったことになります。

一聴するだけでは多少、
押しが弱く感じられることもあるのですが、

清楚で、素朴で、純白な、
ほどよいセンスに彩られた演奏として、
これからもくり返し聴いていきたい全集でした。

少し時間をおいて、
ぜひ新盤の全集も聴いてみたいと思います。


※Wikipediaの「イングリット・ヘブラー」
「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」
「ピアノ・ソナタK.545(モーツァルト)」
「ピアノ・ソナタK.570(モーツァルト)」
「ピアノ・ソナタK.576(モーツァルト)」
「ピアノ・ソナタK.533/494(モーツァルト)」の各項目を参照。

※作品の基本情報について、
 ピティナ・ピアノ曲事典「モーツァルト」の項目
 【http://www.piano.or.jp/enc/composers/index/73】を参照。