ポーランド出身のピアニスト、
アルトゥール・ルービンシュタイン(1887.1-1982.12)が
78歳の時(1965)に録音した
ポーランドの作曲家
フレデリック・ショパン(1810.3-1849.10)の
夜想曲集を聴いていきます。
CD2枚に収録されていますが、
今回はCD1を取り上げます。
ショパン
夜想曲集(全19曲)のうち10曲
/CD1
第1番 変ロ短調 作品9-1
第2番 変ホ長調 作品9-2
第3番 ロ短調 作品9-3
第4番 ヘ長調 作品15-1
第5番 嬰ヘ長調 作品15-2
第6番 ト短調 作品15-3
第7番 嬰ハ短調 作品27-1
第8番 変ニ長調 作品27-2
第9番 ロ長調 作品32-1
第10番 変イ長調 作品32-2
/CD2(省略)
アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアノ)
録音:1965年8月30日(第1-7番)、31日(第8-10番)、RCA Italiana Studio A、ローマ
【SICC30054~5】
3つの夜想曲 作品9-1~3 と、
3つの夜想曲 作品15-1~3 は、
ショパン23歳の時(1833)に出版された作品、
2つの夜想曲 作品27-1・2 は、
ショパン26歳の時(1836)に出版された作品、
2つの夜想曲 作品32-1・2 は、
ショパン27歳の時(1837)に出版された作品です。
どれも名曲ですが、
個人的には、作品9の3曲がとても好きです。
とくに第2番は、
ここまで美しいメロディを書いてしまうと、
この先続いていかないんじゃないかな、と思うほど。
作品15の3曲は多少、試行錯誤しているというか、
訴えかけてくる力に弱いのか、
注意して聴いていないと、
いつの間にか通り過ぎていく感じがありました。
次の作品27・作品32からは、
夜想曲で描いていく世界が定まったのか、
ぐっと深まって心に響いてくるものがありました。
***
ルービンシュタインのショパンは定評のあるものですが、
聴き方によっては、
落ちつきすぎているというか、
もっといくらでも情熱的に弾けるところを
あえて抑制しているように聴こえるかもしれません。
確かにこれは、
タッチの微妙な加減、
ごく僅かなテンポの揺らしによって
十全な表現が成し遂げられていて、
長年繰り返し演奏されてきた経験を踏まえた上での、
ルービンシュタインの結論が示されていて、
多少枯れた印象があるのは疑いないと思います。
以前の国内盤では、
リマスタリングの加減なのか、
タッチの微妙なニュアンスが消し飛んでいたため、
枯れた味わいを通りこして、
ただただ退屈な演奏のように感じられていました。
しかし今回の〈Blu-spec CD2〉を聴いて、
これまでの国内盤では伝わりにくかった
タッチの微妙な変化がよく聴きとれて、
初めてこの演奏の真価を知られた気がしました。
多少枯れてはいますが、よく練られた解釈で、
聴くほどに魅力の増す味わい深いノクターンだと思います。
※Wikipedia の「アルトゥール・ルービンシュタイン」「フレデリック・ショパン」「ショパンの楽曲一覧」を参照。
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