五代目古今亭志ん生
(ここんていしんしょう 明治23年〔1890〕6月-昭和48年〔1973〕9月)
は、落語にはまったきっかけになった方です。
音質があまり良くないものもあるので、
一回聞いただけでは何と言っているのかわからないこともあるのですが、
声質が聴き取りにくいわけではないので、
とぼけた感じの声だけでもけっこう面白いですし、
しばらく聴いているうちに細部がわかって来ると、なお一層面白い。
CDもいろいろなところから出ているのですが、
こちらの「名演大全集」は出処をかなり詳しく明らかにしてくれているので、
のんびりと1枚ずつ聴いていこうと思います。
五代目古今亭志ん生 名演大全集1
1) 火焔太鼓(かえんだいこ)
〔ニッポン放送『志ん生十八番』昭和31年9月3日放送〕
※リマスタリング音源
2) 黄金餅(こがねもち)
〔ニッポン放送『演芸くらぶ』昭和34年3月2日放送〕
※リマスタリング音源
3) 後生うなぎ(ごしょううなぎ)
〔ニッポン放送『演芸お好み劇場』昭和36年11月1日放送〕
※本シリーズ初収録音源
4) どどいつ/小唄
〔ニッポン放送、昭和35年5月録音〕
※本シリーズ初収録音源
【PCCG-00693】
「火焔太鼓」(かえんだいこ)[長屋噺・滑稽噺]は、
志ん生の前座時代、初代三遊亭遊三
(さんゆうていゆうざ 天保10年〔1839〕-大正3年〔1914〕)
の口演を聴き覚え、
昭和初期に自己流に仕立て直し、
現在のかたちが出来上がったそうです。
実際、志ん生の代名詞といってよい演目なので、
このほかにも数種類耳にして来ていますが、
どれも音質は今一つで、
細部が聴き取りにくいのが残念です。
それでも、繰り返し聴くに足る魅力、
愛嬌のある可笑しさにあふれていますので、
繰り返し聴いているうちに、
自然に細部も聴き取れるようになって来ます。
志ん生66歳の時(1956.9)の録音で、
多少もたつく感もあるのですが、志ん生の日常を切り取ってある、
普段着の「火焔太鼓」だと思いました。
「黄金餅」(こがねもち)[滑稽噺・圓朝作品]は、
初代三遊亭圓朝
(さんゆうていえんちょう 天保10年〔1839〕-明治33年〔1900〕)
による新作ですが、明治期までのものは古典落語に分類されるそうです。
志ん生が「黄金餅」を演るに至る経緯は、
CD解説には見えていませんが、志ん生得意の演目のようで、
これ以外にも何種類か聴いたことがあります。
人間の醜い部分を暴いている、
グロテスクな面もある落語なのですが、
飄々とした明るさを基調とする
志ん生の語り口に、
すべてを笑い飛ばす豪快さを感じる、
志ん生ならではの口演だと思いました。
志ん生68歳の時(1959.3)の録音です。
「後生うなぎ」(ごしょううなぎ)[滑稽噺・禁演落語]は、
このCDで初めて聴きました。
軽めの楽しいお噺です。
あら筋だけ聴くと、オチが残酷なので
戦時中「禁演落語」とされていたそうですが、
冗談であることがわかっているわけですから、
これくらいなら有りなのかなと。
でも確かに、
今でも小中学生を前にして、
これを演るわけにはいかない位の危なさはあると思います。
志ん生71歳の時(1961.11)の録音です。
「どどいつ」小唄[音曲噺]については、
何も知らないので何も語れません。
風流だな、と感じる小品でありました。
志ん生69歳の時(1960.5)の録音です。
※Wikipediaの「古今亭志ん生(5代目)」「初代三遊亭遊三」「三遊亭圓朝」「火焔太鼓」「黄金餅」「後生鰻」を参照。
※CDの解説(小島貞二氏)を参照。
0 件のコメント:
コメントを投稿