高田三郎(1913.12-2000.10)
の混声合唱曲「わたしの願い」「水のいのち」「橋上の人」「心象スケッチ」「稲作挿話」「ある朝の歌」を、
作曲家ご本人が指揮する
豊中混声合唱団の演奏で聴きました。
※高田は本来「髙田」が正しいそうです。
豊中混声合唱団による 高田三郎 作品集 vol.1
混声合唱作品集Ⅰ
1) 混声合唱曲「わたしの願い」(作詩 高野喜久雄)
Ⅰ いま わたしがほしいのは
Ⅱ 雲雀にかわれ
〈第29回定期演奏会 1989年7月1日 ザ・シンフォニーホール〉
2) 混声合唱組曲「水のいのち」(作詩 高野喜久雄)
1 雨 / 2 水たまり
3 川 / 4 海 / 5 海よ
〈第30回定期演奏会 1990年7月6日 ザ・シンフォニーホール〉
3) 混声合唱組曲「橋上の人」(作詩 鮎川信夫)
一 / 二 / 三
〈第28回定期演奏会 1988年7月2日 ザ・シンフォニーホール〉
4) 混声合唱組曲「心象スケッチ[付・稲作挿話]」(作詩 宮沢賢治)
1 水汲み / 2 森 / 3 さっきは陽が
4 風がおもてで呼んでいる
・ 混声合唱曲「稲作挿話」
〈第37回定期演奏会 1997年7月12日 ザ・シンフォニーホール〉
5)「ある朝の歌」(作詩 三好達治)
〈第26回定期演奏会 1986年7月5日 ザ・シンフォニーホール〉
指揮:高田三郎
ピアノ:中村有木子 ※4)を除く。
豊中混声合唱団
【GVCS 10805】
混声合唱曲「わたしの願い」は、
髙田三郎が47歳の時(1961.11)に初演された作品です。
髙田が75歳で指揮した時(1989.7)のライブ録音です。
混声合唱組曲「水のいのち」は、
髙田三郎が50歳の時(1964.11)に初演された作品です。
髙田が76歳で指揮した時(1990.7)のライブ録音です。
混声合唱組曲「橋上の人」は、
髙田三郎が55歳の時(1969.11)に初演された作品です。
髙田が74歳で指揮した時(1988.7)のライブ録音です。
混声合唱組曲「心象スケッチ[付・稲作挿話]」は、
髙田三郎が55歳の時(1969.2)に
「水汲み」「森」「さっきは陽が」「稲作挿話」の4曲
が初演されました。
その後61歳の時(1975.11)に
「風がおもてで呼んでいる」の1曲
が初演され、「稲作挿話」に替わる終曲とされました。
髙田が83歳で指揮した時(1997.7)のライブ録音です。
この時は、
「水汲み」
「森」
「さっきは陽が」
「風がおもてで呼んでいる」
「稲作挿話」
の順で演奏されました。
「ある朝の歌」は、
髙田三郎が43歳の時(1957)に作曲された作品です。
***
高田三郎のことを知ったのは、
宇野功芳(1930.5-)氏の著書で
「水のいのち」が絶賛されているのを読んだのがきっかけでした。
早速、宇野氏の指揮するCDで、
「水のいのち」と「わたしの願い」を聴いてみると、
はじめはあまりピンと来なかったのですが、
時折、想い出すように取り出して、
繰り返し聴いていくうちに、
詩と曲の世界観がぴったり馴染んで来ると、
じっくりと心の底から揺さぶられるような、
深い感動を覚えるようになっていました。
今は自分の中で、
特別な位置を締める存在となっていますが、
よほどの難曲なのか、CDで、
素直に感動できる演奏に出会うことは稀でした。
作曲家本人の指揮による
豊中混声合唱団のCDは、
ある動画サイトで、
各曲30秒ずつ紹介しているのを聴いて、
他とは次元のちがう表現力に驚いて購入したものです。
作曲家本人が必ずしも
良い指揮者であるとは限らないのですが、
高田三郎の指揮する
豊中混声合唱団の表現力は圧倒的です。
全体的にゆったりとしたテンポで、
詩をよくよく慈しみながら、
言葉に合わせた自在な表現が実現されており、
曲の内容がどんどん心に入って来て、
深く心を動かされました。
感動の深さ、では、随一の演奏だと思います。
***
「わたしの願い」と「水のいのち」は、
宇野氏のCD以来、聴きなじんできた曲。
「橋上の人」と「心象スケッチ」と「ある朝の歌」は、
今回初めて聴きました。
この中でのベストは「水のいのち」です。
ゆったりとしたテンポで、
詩の一語一語を慈しみつつ紡ぎだされていく自在な表現に、
この曲の魅力を新たにしました。
「わたしの願い」は、
録音が少し飽和気味なところがあるのが残念ですが、
訴えかけてくる力のとても強い演奏です。
初めて聴いた中で、
「橋上の人」は、厳しい音楽です。
今の私には厳しすぎる感じがして、好きにはなれませんでした。
「心象スケッチ」も、
はじめは余りピンと来なかったのですが、
聴きなじんでくると、
宮沢賢治の独特な詩の世界がよく表現されている
名曲だと思えるようになりました。
「ある朝の歌」は、
安易な俗っぽさに逃げない、
品のある可憐な小品です。
繰り返し聴くごとに、
違った印象を聴かせてくれるのも
高田三郎の魅力の一つだと思うので、
今後もまた繰り返し聴いていこうと思います。
※Wikipediaの「高田三郎」と、CD解説を参照。
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