ロシア出身の指揮者
ルドルフ・バルシャイ(1924.8-2010.11)が
68歳から76歳にかけて(1992.9-2000.9)、
ドイツのケルン放送交響楽団と録音した
ロシアの作曲家
ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
(1906.9-1975.8)の交響曲全集、
3枚目を聴きました。
ショスタコーヴィチ
交響曲 第5番 ニ短調 作品47
交響曲 第6番 ロ短調 作品54
ケルン放送交響楽団
ルドルフ・バルシャイ(指揮)
録音:1995年7月3日-8日、1996年4月26日(第5番)。1995年10月17-20日(第6番)。フィルハーモニー、ケルン
【BRILIANT 6324-3】
交響曲 第5番 ニ短調 作品47 は、
ショスタコーヴィチが31歳の時(1937.1)に初演された作品です。
前年(1936年)1・2月に、
ソヴィエト共産党機関紙『プラウダ』誌上で
深刻な批判を受けたことから、
年末(1936.12)に予定されていた
交響曲第4番の初演を撤回した後、
間もなく初演されたのが交響曲第5番でした。
初演が大成功をおさめた結果、
ショスタコーヴィチは粛清の危機を免れ、
名誉を回復することになるわけですが、
この時、
共産党にべったりの陳腐な曲を書いたとしたら、
後の、芸術家としての評価に傷をつけることになりますし、
そのまま我が道を突き進んで、
逮捕、処刑されることになれば、
芸術家以前に、人としての生命を断たれるわけですから、
恐らく精神的にも肉体的にも
危機的な状況のもとで作られた1曲だったと推測されます。
そんな中、出来上がった音楽は、
複雑な経緯のもとに作られたとは思えない、
誰にもわかりやすい作品に仕上がっていて、
ショスタコーヴィチの作品中、
随一の人気を誇るのは皮肉な感じがします。
個人的には好きな曲ですが、
作曲者本人にとっては複雑な心境にならざるをえない作品だったかもしれません。
さて演奏ですが、
肩の力を抜いて、
オーケストラを過不足なく鳴らし切ることに重きをおいた
純音楽的な演奏です。
バーンスタインのように、
強い意志の力によって引き摺り回すように演奏されることの多い中、
背伸びをせずにふつうにオケを鳴らせば、
それで十分に感動させられる傑作であることがわかりました。
はじめのうち肩透かしをあったようにも感じたのですが、
曲自体の美しさを楽しめるので、こちらの方が好きになってきました。
作品本来の真価をしめす名演だと思います。
交響曲 第6番 ロ短調 作品54 は、
ショスタコーヴィチが、33歳の時(1939.11)に初演された作品です。
作曲の経緯についてはよくわからなかったので、
また勉強したら書いていきます。
今回初めて聴きました。
感想をまとめておきます。
習作的な印象のあった、
実験的な要素の多い交響曲第2・3番が、
より深化した作品のように感じました。
第2・3番の時は、
どこをどう聴けばよいのかわからなかったのですが、
第6番は一つの芸術作品として
それなりにまとまりが感じられ、
全体をふつうに聴き通すことができました。
第5番のすぐあとに第6番を聴くと、
印象が全然違うので面食らうのですが、
第2・3・4番の流れからみると、
ショスタコーヴィチの本来の姿が現れている作品のようにも思われました。
ぜひ他の演奏も聴いてみたいです。
※Wikipediaの「ルドルフ・バルシャイ」「ドミートリイ・ショスタコーヴィチ」「交響曲第5番(ショスタコーヴィチ)」「交響曲第6番(ショスタコーヴィチ)」を参照。
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