藤岡幸夫(1962.6-)が指揮する
イギリスの室内オーケストラ
マンチェスター・カメラータの演奏で、
1998年5月録音の
「メモ・フローラ/吉松隆作品集2」を聴きました。
吉松氏45歳、
藤岡氏35歳の時の録音です。
吉松隆(1953.3-)
ピアノ協奏曲《メモ・フローラ》Op.67(1997)*
鳥は静かに… Op.72(1997)
天使はまどろみながら… Op.73(1998)*
夢色モビールⅡ Op.58a(1993/98)
白い風景 Op.47a(1991/97)
田部京子(ピアノ)*
藤岡幸夫(指揮)
マンチェスター・カメラータ
録音:1998年5月10-11日、ニュー・ブロードキャスティング・ハウス、マンチェスター。
【CHAN 9652】
吉松隆氏の作品は、
シャンドスから一連の録音が発売された時に、
オーケストラ曲をまとめて聴いて以来、
しばらく聴いていなかったのですが、
2001年の交響曲第5番から14年をへて、
間もなく交響曲第6番のCDが出るようなので、
この機会にもう一度聴き直していこうと思います。
本当は、
交響曲第1番から順番に、
すべての交響曲を取り上げようと思っていたのですが、
最初の《カムイチカプ交響曲》は、
今ひとつまとまりに欠けている感じがして、
今回聴き直してもやっぱり良くわからなかったので、
ざっと聴き直した中から、
いちばん新鮮な印象を受けた
ピアノ協奏曲《メモ・フローラ》を取り上げます。
***
ピアノ協奏曲《メモ・フローラ》Op.67は、
発売当時に聴いた時、
自分がこれまで抱いていた
ピアノ協奏曲のイメージとかけ離れていたからか、
何だか良くわからないまま終わっていました。
今回改めて聴き直してみて、
《水》をモチーフとした作品なのかなと思い、
春の微風にゆれる水面など、
いろいろな水のイメージが浮かんで来るようになると、
ストンと理解できるようになりました。
その後、作者の曲目解説をみると、
春の「花(フローラ)についての覚え書(メモ)」とのこと、
さらに想像がふくらみました。
わかってみると実にユニークな、
でも叙情性にあふれた美しいピアノ協奏曲だと思えるようになりました。
実演だとさらに聴き映えそうな曲なので、
いずれ実演で聴いてみたいと思っています。
***
後半の4曲は、
弦楽を中心とした似た色合いの曲なので、
4曲続けて聴くと、今どれを聴いているのかわからなくなって来ます。
鳥は静かに… Op.72(1997)※弦楽のみ
天使はまどろみながら… Op.73(1998)※弦楽+ピアノ
夢色モビールⅡ Op.58a(1993/98)※弦楽+ハープ+オーボエ
白い風景 Op.47a(1991/97)※弦楽+ハープ+フルート
個人的には、
オーボエが主旋律を奏でてくれる分、
「夢色モビールⅡ」の印象が良かったですが、
1曲ずつコンサートの間奏曲やアンコールなどで取り上げたら、
まったく別の印象になる可能性が高いと思います。
※「吉松隆 交響曲工房」〈http://homepage3.nifty.com/t-yoshimatsu/〉を参照。