2014年12月7日日曜日

北原幸男&名フィルのベートーヴェン:交響曲第9番(2014.11.30)

去る11月30日(日)に、
金山の日本特殊陶業市民会館フォレストホールまで、

市民の「第九」コンサート2014

を聴きに行ってきました。


ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(1770.12-1827.3)の

《エグモント》序曲 作品84
交響曲第9番ニ短調 作品125《合唱付》

の2曲からなるプログラム。

指揮:北原幸男
管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団
独唱:ソプラノ 長屋弘子
   ア ル ト 相可佐代子
   テノール 錦織健
    バ ス  澤脇達晴
合唱:市民の「第九」コンサート2014特別合唱団

のメンバーによる演奏でした。



行動の自由が効くのは日曜だけなので
行きたいコンサートが見つかることは稀なのですが、

先週偶然、
かねてから贔屓にしている
北原幸男(きたはらゆきお 1957-)氏の指揮で「第九」が聴けることを知り、

当日券を目当てに金山まで足を運びました。

会場に30分ほど前に着いたところ、
満席で当日券は出ないと言われたのですが、

せっかく来たので開演3分前まで粘り、
直前に発生した余りの分を購入して聴いてきました。



初めの《エグモント》序曲から、

北原幸男氏の指揮と、
それに応えようとする名フィルの充実ぶりが嬉しい驚きでした。


北原氏は、
オーバーアクションでみえを張るようなところが一切なく、

楽譜から引き出される穏当な解釈を、
誠実に再現せんとする職人肌の指揮者です。

強烈な個性を放つわけではないのですが、

虚飾を排し、
音楽の中身で勝負せんとする姿勢は
若いころから一貫していて、

独特の品の良さ、格調高さの中に、
十分な充足感のある演奏が繰り広げられていました。


次の「第九」も、
北原氏と名フィルが、

穏当な解釈の中に、
中身の詰まった充実した演奏を聴かせてくれました。

3楽章までの完成度の高さを思うと、
4楽章からは、声楽の扱いの難しさを痛感しました。


ただアマチュアの合唱団が、
数ヶ月の練習でプロのオーケストラと共演されたことを思えば、

十分に健闘されていて、

北原氏の巧みな指揮のもと、
全体として感動的な演奏が繰り広げられていました。


ただソリストはプロであることを思えば、
もう少し何とかならなかったのかなと感じました。

60分近く何も声を出さなかったところへ
いきなり声を張り上げるわけなので、
それだけ難しい曲なのかもしれません。



全体としてみると、
3楽章まではそのままCDにして繰り返し聴きたくなる演奏、

4楽章は年に1度の市民の合唱団によることを考えれば
十分に楽しめる演奏でした。


楽譜に対して常に謙虚で、
あっさりしているようで実は濃い、

北原氏の真価を存分に味わうことができました。


個人的には、
オケから自然につむぎ出される音に、
もう少しだけ濃い味わいが感じられるようになれば
言うことないのですが、

恐らく数年単位でゆっくりゆっくり
良い方向に進化されていくのであろうと
今後に期待しております。


   ***

市民の「第九」コンサートは、
当日のパンフレットを参照すると、

1989年10月に開催された
 名古屋市制100周年記念「ザ・第九」1万人のコンサート
をきっかけとして、

1991年から2002年まで12回は、
 讃歌「第九」コンサート

2003年から2014年まで12回は、
 市民の「第九」コンサート

と称して毎年秋か冬に演奏会を実施されているようです。

北原氏は2002年11月と2009年11月の2回指揮されていて、
今回は3回目の顔合わせでした。


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