オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
遺作《レクイエム》ニ長調 K.626 を、
オーストリアの作曲家
カール・チェルニー(1791.2-1857.7)が、
ピアノ独奏用に編曲した版で聴きました。
楽譜はチェルニーが36歳の時(1827)に出版されています。
日本のピアニスト
小川京子(おがわきょうこ)氏による
2012年の録音です。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:
《レクイエム》ニ短調 K.626(ジュースマイヤー版)
カール・チェルニーによるピアノ独奏編曲
小川京子(ピアノ)
録音:2012年3月15日、和光市民文化センター
【WWCC7698】
モーツァルトの《レクイエム》は、
オーストリアの伯爵
フランツ・フォン・ヴァルゼック(1763.1-1827.11)の
依頼によって作曲されたものの、
未完のまま残されたため、
弟子であったオーストリアの作曲家
フランツ・クサーヴァー・ジェスマイアー(1766-1803.9)が補筆完成し、
1793年12月に初演された作品です。
モーツァルトの没後(1791.12)35年をへて、
チェルニーがピアノ独奏用に編曲(1827)した経緯は、
「1820年代半ばに戦わされた〈《レクイエム》真贋論争〉」にあるそうです。
※海老澤敏氏のCD解説を参照。
ネット散策をしている時に、
ふと目についたのがピアノ独奏版の《レクイエム》でした。
合唱とオーケストラの作品を、
ピアノ独奏に直すのでは音が少なすぎるのでは、
と思ったのですが、
モーツァルトのピアノ独奏曲は、
もともと無駄な音が削ぎ落とされたシンプルなものなので、
意外に合っているかもしれない、
と思いなおし購入しました。
その結果、
モーツァルトのもともとの独奏曲といってもおかしくない、
優れた編曲に仕上がっていて、
存分に《レクイエム》の世界に浸ることができました。
小川京子氏のピアノは、
演奏効果をねらった外面的なところがなく、
ていねいに曲の本質を掘り下げていくスタイルで、
編曲の真価を十分伝えるものでした。
真面目一辺倒ではあるので、
CDで全体を聴き通すと多少息がつまるようでもありましたが、
世界初録音で、
編曲の内容を正確に伝えるという意味では、
十分な仕事をされたと思います。
ただこれは、
ぜひほかのピアニストでも聴いてみたい曲です。
どなたか取り上げてくれないかな。
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