ポーランドの指揮者
アントニ・ヴィト(1944.2-)の指揮する
ポーランド国立放送交響楽団の演奏で、
オーストリア帝国生まれの作曲家
グスタフ・マーラー(1860.7-1911.5)の
交響曲第3・10番を聴きました。
グスタフ・マーラー
交響曲第3番ニ短調
交響曲第10番嬰ヘ短調
アントニ・ヴィト指揮
ポーランド国立放送交響楽団
録音:1994年11月12-16日、カトヴィツェ、ポーランド国立放送コンサートホール
【Naxos 8.550525-6】
交響曲第3番は、
マーラー35-36歳の時(1865-96)に作曲され、
41歳の時(1902.6)に全曲初演されました。
交響曲第10番は、
マーラー50歳の時(1910)に作曲が始められたものの、
翌年に亡くなったため、第1楽章以外は未完で残されました。
最近では、
補筆完成版(全5楽章)の演奏も増えてきましたが、
これは第1楽章のみの演奏です。
***
ヴィトさんのシューマン第1・3番に感動し、
ほかにどんな録音があるのかなと探していたところ、
私の大好きな
マーラーの交響曲第3番を録音していることに気がつき、
取り寄せて聴いてみました。
すると残念ながら、第3番は、
テンポを粘りすぎて停滞気味、
曲への共感も今一つで、聴き通すのが苦痛になる
期待はずれの演奏でした。
それだけならブログに書くこともなかったのですが、
カップリングされていた第10番が、
とんでもない名演でビックリしました。
同じ指揮者とオーケストラによって
ほぼ同時期に収録された演奏とはとても思えません。
わかりにくいはずの第10番の音楽が、
ひたひたと心のひだに入り込んできて、
第9番の延長線上に生まれた
マーラーの傑作の一つとして、
強い共感のもとに聴き終えることができました。
最近こそ、
金聖響&神奈川フィル
インバル&東京都響
の名演によって、
第10番の真価を理解できるようになってきたのですが、
それまでは、
バーンスタイン&ウィーン・フィル
ザンデルリンク&ベルリン交響楽団
ラトル&ベルリン・フィル
と聴いてきて、
今一つどこが良いのかわかりかねる、
不思議な印象の作品でした。
今回のヴィトの演奏、
バーンスタインより見通しがよく、
ザンデルリンク、ラトルより、
はるかに共感度の高い演奏。
金聖響とインバルを差しおいてまで
採るべき演奏かは迷うところですが、
1994年の段階で、
もっとも優れた演奏の一つであったことは間違いないと思います。
ヴィトさんのマーラー、
第3番を聴くとほかを聴くのが怖くなってしまうのですが、
第10番と同じレベルの演奏があるかもしれないので、
ゆっくりと一通り聴いていきたいと思います。
※Wikipediaの「グスタフ・マーラー」「交響曲第3番(マーラー)」「交響曲第10番(マーラー)」を参照。
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