ドイツのピアニスト
ヴィルヘルム・ケンプ
(Wilhelm Kempff, 1895.11-1991.5)の独奏、
オランダ出身のドイツの指揮者
パウル・ファン・ケンペン
(1893.5-1955.12)の指揮する
ドイツのオーケストラ
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(Berliner Philharmoniker)の伴奏で、
ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770.12-1827.3)の
ピアノ協奏曲第2番を聴きました。
ケンプ57歳の時(1953.5)に一気に録音された全集中の1枚です。
ヴィルヘルム・ケンプ名演集
CD4
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19
パウル・ヴァン・ケンペン(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1953年5月、ベルリン、イエス・キリスト教会
ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2《月光》
録音:1956年
【Membran 10CD Collection 233479】
ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19 は、
ベートーヴェン24歳の時に初演(1795年3月)された作品です。
ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2《月光》は、
30歳の時(1801年)に作曲された作品です。
ちなみに交響曲第1番ハ長調作品21は
29歳の時(1800年4月)に初演
交響曲第2番ニ長調作品36は
32歳の時(1803年4月)に初演されています。
***
分厚くもやさしい響きのベルリン・フィルを従えて、
清楚で凛としたケンプのピアノがくっきりと浮かび上がる、
理想的な名演です。
これまで聴いてきた
アルゲリッチ&シノーポリや、
グルダ&シュタイン
よりも肩の力を抜いた自然な印象。
でもしっかりと、
ベートーヴェンの音楽そのものが主張してくる、
ケンプならではの妙技を楽しめました。
ケンペンの振るベルリン・フィルの音は、
フルトヴェングラーの時と比べて柔らかく穏やかな印象で、
強い個性は感じないのですが、
ケンプのピアノにはちょうど良い相性でした。
お薦めの名演奏です。
余白に収録されている《月光》ソナタは、
曲から一定の距離を保ちつつ、
曲の構造がよくわかるように演奏されていました。
こちらはもう一押し何か欲しいようにも感じますが、
ふつうに楽しめる模範的な演奏だと思います。
2016年5月23日月曜日
2016年5月16日月曜日
アリス=紗良・オットのショパン:ワルツ集(全曲 2009年録音)
ドイツ出身のピアニスト
アリス=紗良・オット(1988.8- )の演奏で、
ポーランドの作曲家
フレデリック・ショパン(Fryderyk Chopin 1810.3-1849.10)の
ワルツ集(全19曲)を聴きました。
フレデリック・ショパン
①《華麗なる大円舞曲》変ホ長調 作品18〔1831〕
3つのワルツ 作品34
②ワルツ 変イ長調 作品34の1〔1835〕
③ワルツ イ短調 作品34の2〔1831〕
④ワルツ ヘ長調 作品34の3〔1838〕
ワルツ 変イ長調 作品42〔1840〕
3つのワルツ 作品64〔1846/47〕
⑤ワルツ 変ニ長調 作品64の1
⑥ワルツ 嬰ハ短調 作品64の2
⑦ワルツ 変イ長調 作品64の3
2つのワルツ 作品69 遺作
⑧ワルツ 変イ長調 作品69の1〔1835〕
⑨ワルツ ロ短調 作品69の2〔1829〕
3つのワルツ 作品70 遺作
⑩ワルツ 変ト長調 作品70の1〔1835?〕
⑪ワルツ ヘ短調 作品70の2〔1841〕
⑫ワルツ 変ニ長調 作品70の3〔1829〕
⑬ワルツ 変イ長調 遺作 KK IVa-13〔1827〕
⑭ワルツ 変ホ長調 遺作 KK IVb-10〔1840〕
⑮ワルツ 変ホ長調 遺作 KK IVa-14〔1829/30〕
⑯ワルツ ホ長調 遺作 KK IVa-12〔1829〕
⑰ワルツ ホ短調 遺作 KK IVa-15〔1830〕
⑱ワルツ イ短調 遺作 KK IVb-11〔1843〕
⑲ノクターン 嬰ハ短調 遺作〔1830〕
アリス=紗良・オット(ピアノ)
録音:2009年8月、ベルリン、テルデックス・スタジオ
【UCCG-1473】2009年10月発売
ピアノを弾くことが楽しくてたまらない風の、
いくつかの動画を観てファンになりました。
アルゲリッチのように、
男勝りのド迫力で聴かせるというよりは、
自由奔放だけれども、
上品なセンス溢れる瑞々しい感性で勝負する演奏で、
音楽を聴く愉しさを再確認させてくれました。
CDで聴いてみると、
動画を観るときよりも一つ一つの表現が軽く、
上っ面だけを撫でているようにも感じられ、
そこまでは感動できませんでした。
若き日(21歳)の記録としては申し分のない内容なのですが、
ショパンで納得させるのはやはり難しいなと思いました。
日々の演奏の中でどんどん成長し、
変化して来ているようなので、
一番最近の演奏も聴いてみたいです。
最近の動画では、
サロネンとのコンビで弾いた
グリーグのコンチェルトが素晴らしい出来でした。
CDで買おうか迷っているところです。
アリス=紗良・オット(1988.8- )の演奏で、
ポーランドの作曲家
フレデリック・ショパン(Fryderyk Chopin 1810.3-1849.10)の
ワルツ集(全19曲)を聴きました。
フレデリック・ショパン
①《華麗なる大円舞曲》変ホ長調 作品18〔1831〕
3つのワルツ 作品34
②ワルツ 変イ長調 作品34の1〔1835〕
③ワルツ イ短調 作品34の2〔1831〕
④ワルツ ヘ長調 作品34の3〔1838〕
ワルツ 変イ長調 作品42〔1840〕
3つのワルツ 作品64〔1846/47〕
⑤ワルツ 変ニ長調 作品64の1
⑥ワルツ 嬰ハ短調 作品64の2
⑦ワルツ 変イ長調 作品64の3
2つのワルツ 作品69 遺作
⑧ワルツ 変イ長調 作品69の1〔1835〕
⑨ワルツ ロ短調 作品69の2〔1829〕
3つのワルツ 作品70 遺作
⑩ワルツ 変ト長調 作品70の1〔1835?〕
⑪ワルツ ヘ短調 作品70の2〔1841〕
⑫ワルツ 変ニ長調 作品70の3〔1829〕
⑬ワルツ 変イ長調 遺作 KK IVa-13〔1827〕
⑭ワルツ 変ホ長調 遺作 KK IVb-10〔1840〕
⑮ワルツ 変ホ長調 遺作 KK IVa-14〔1829/30〕
⑯ワルツ ホ長調 遺作 KK IVa-12〔1829〕
⑰ワルツ ホ短調 遺作 KK IVa-15〔1830〕
⑱ワルツ イ短調 遺作 KK IVb-11〔1843〕
⑲ノクターン 嬰ハ短調 遺作〔1830〕
アリス=紗良・オット(ピアノ)
録音:2009年8月、ベルリン、テルデックス・スタジオ
【UCCG-1473】2009年10月発売
ピアノを弾くことが楽しくてたまらない風の、
いくつかの動画を観てファンになりました。
アルゲリッチのように、
男勝りのド迫力で聴かせるというよりは、
自由奔放だけれども、
上品なセンス溢れる瑞々しい感性で勝負する演奏で、
音楽を聴く愉しさを再確認させてくれました。
CDで聴いてみると、
動画を観るときよりも一つ一つの表現が軽く、
上っ面だけを撫でているようにも感じられ、
そこまでは感動できませんでした。
若き日(21歳)の記録としては申し分のない内容なのですが、
ショパンで納得させるのはやはり難しいなと思いました。
日々の演奏の中でどんどん成長し、
変化して来ているようなので、
一番最近の演奏も聴いてみたいです。
最近の動画では、
サロネンとのコンビで弾いた
グリーグのコンチェルトが素晴らしい出来でした。
CDで買おうか迷っているところです。
2016年5月9日月曜日
ユボーのフォーレ:ピアノ作品全集 その3
フランスのピアニスト
ジャン・ユボー(1917-1992)が
71-72歳のときに録音した
フランスの作曲家
ガブリエル・フォーレ(1845.5-1924.11)の
ピアノ曲全集(CD4枚)
CD3枚目を聴きました。
舟歌全13曲が収められています。
フォーレ
ピアノ作品全集第2集より
CD1
舟歌 第1番 イ短調 作品26(1881年頃)※36歳
舟歌 第2番 ト長調 作品41(1885年)※40歳
舟歌 第3番 変ト長調 作品42(1885年)※40歳
舟歌 第4番 変イ長調 作品44(1886年)※41歳
舟歌 第5番 嬰ヘ短調 作品66(1894年9月)※49歳
舟歌 第6番 変ホ長調 作品70(1895年頃)※50歳
舟歌 第7番 ニ短調 作品90(1905年8月)※60歳
舟歌 第8番 変ニ長調 作品96(1905-06年)※60歳
舟歌 第9番 イ短調 作品101(1908-09年)※63歳
舟歌 第10番 イ短調 作品104-2(1913年8-10月)※68歳
舟歌 第11番 ト短調 作品105(1913-14年)※68歳
舟歌 第12番 変ホ長調 作品106(1915年8-9月)※70歳
舟歌 第13番 ハ長調 作品116(1921年2月)※76歳
ジャン・ユボー(ピアノ)
録音:1988年10月-89年4月、アル・アディアール、パリ
【WPCS-10984/5】2001年発売
全集の第1集(CD1・2)から少し時間が空きました。
その間に、
安さにひかれて輸入盤(2008年発売)の全集を買って、
そちらで続きを聴くつもりだったのですが、
国内盤に比べて音の芯が抜け落ちている印象で、
こんな演奏ではなかったはず、
と思っているうちにフォーレから遠ざかっていました。
今年の春に、
2001年発売の国内盤の第2集(CD3・4)を買い直し、
聴き直してみたところ、以前の記憶が甦りました。
ユボーのフォーレ:ピアノ曲全集は
ほかにも何種類か出ていますが、
2001年発売の国内盤は安心の音質です。
***
生涯にわたって13曲も
舟歌と呼ばれる作品を作曲したのはフォーレだけです。
夜想曲以上に、
フォーレの個性が色濃く出された作品群といえるのかもしれません。
ショパンにも
舟歌(嬰ヘ長調 作品60/1846年作曲)がありますが、1曲だけ。
まとめて聴くのは初めてのことで、
初めのうちはどれも似たような曲に聴こえましたが、
ほんわかとゆらゆら小舟にゆられている心持ちで、
何度か聴き通しているうちに、
ああこれが舟歌かと納得できるところがありました。
半年余りただ聴き流してきただけでは、
まだまだどれが何番なのかよくわからない状態なのですが、
全13曲で1時間近く、
明るく穏やかな空間が醸し出されていくのを、
ふつうに楽しめるようになりました。
夜想曲のように、
わかりやすいメロディはそれほどないので、
コンサートで全13曲を続けて弾いて、
飽きずに聴かせるのは困難なように思われますが、
CDで聴く分には、
春の夜長のBGMとして最適な音楽が流れていきました。
ユボーさんの演奏、
私にはテンポがとても自然に感じられます。
あまり速いと、心にひっかかることなく、
さらさら流れていってしまいますが、
あまりに遅いのも、ゴツゴツした印象で興ざめしてしまいます。
絶妙なテンポ感のもと、
和声の魅惑的なゆらぎに心動かされる
ユボーさんのフォーレ、
あと1枚分残っていますので、
聴き進めたいと思います。
※Wikipediaの「ガブリエル・フォーレ」「フォーレの楽曲一覧」「ジャン・ユボー」の各項目を参照。
ジャン・ユボー(1917-1992)が
71-72歳のときに録音した
フランスの作曲家
ガブリエル・フォーレ(1845.5-1924.11)の
ピアノ曲全集(CD4枚)
CD3枚目を聴きました。
舟歌全13曲が収められています。
フォーレ
ピアノ作品全集第2集より
CD1
舟歌 第1番 イ短調 作品26(1881年頃)※36歳
舟歌 第2番 ト長調 作品41(1885年)※40歳
舟歌 第3番 変ト長調 作品42(1885年)※40歳
舟歌 第4番 変イ長調 作品44(1886年)※41歳
舟歌 第5番 嬰ヘ短調 作品66(1894年9月)※49歳
舟歌 第6番 変ホ長調 作品70(1895年頃)※50歳
舟歌 第7番 ニ短調 作品90(1905年8月)※60歳
舟歌 第8番 変ニ長調 作品96(1905-06年)※60歳
舟歌 第9番 イ短調 作品101(1908-09年)※63歳
舟歌 第10番 イ短調 作品104-2(1913年8-10月)※68歳
舟歌 第11番 ト短調 作品105(1913-14年)※68歳
舟歌 第12番 変ホ長調 作品106(1915年8-9月)※70歳
舟歌 第13番 ハ長調 作品116(1921年2月)※76歳
ジャン・ユボー(ピアノ)
録音:1988年10月-89年4月、アル・アディアール、パリ
【WPCS-10984/5】2001年発売
全集の第1集(CD1・2)から少し時間が空きました。
その間に、
安さにひかれて輸入盤(2008年発売)の全集を買って、
そちらで続きを聴くつもりだったのですが、
国内盤に比べて音の芯が抜け落ちている印象で、
こんな演奏ではなかったはず、
と思っているうちにフォーレから遠ざかっていました。
今年の春に、
2001年発売の国内盤の第2集(CD3・4)を買い直し、
聴き直してみたところ、以前の記憶が甦りました。
ユボーのフォーレ:ピアノ曲全集は
ほかにも何種類か出ていますが、
2001年発売の国内盤は安心の音質です。
***
生涯にわたって13曲も
舟歌と呼ばれる作品を作曲したのはフォーレだけです。
夜想曲以上に、
フォーレの個性が色濃く出された作品群といえるのかもしれません。
ショパンにも
舟歌(嬰ヘ長調 作品60/1846年作曲)がありますが、1曲だけ。
まとめて聴くのは初めてのことで、
初めのうちはどれも似たような曲に聴こえましたが、
ほんわかとゆらゆら小舟にゆられている心持ちで、
何度か聴き通しているうちに、
ああこれが舟歌かと納得できるところがありました。
半年余りただ聴き流してきただけでは、
まだまだどれが何番なのかよくわからない状態なのですが、
全13曲で1時間近く、
明るく穏やかな空間が醸し出されていくのを、
ふつうに楽しめるようになりました。
夜想曲のように、
わかりやすいメロディはそれほどないので、
コンサートで全13曲を続けて弾いて、
飽きずに聴かせるのは困難なように思われますが、
CDで聴く分には、
春の夜長のBGMとして最適な音楽が流れていきました。
ユボーさんの演奏、
私にはテンポがとても自然に感じられます。
あまり速いと、心にひっかかることなく、
さらさら流れていってしまいますが、
あまりに遅いのも、ゴツゴツした印象で興ざめしてしまいます。
絶妙なテンポ感のもと、
和声の魅惑的なゆらぎに心動かされる
ユボーさんのフォーレ、
あと1枚分残っていますので、
聴き進めたいと思います。
※Wikipediaの「ガブリエル・フォーレ」「フォーレの楽曲一覧」「ジャン・ユボー」の各項目を参照。
2016年5月2日月曜日
ブレンデルのシューベルト:ピアノ作品集1 D537&575&664(1982&2000年録音)
チェコスロバキア共和国(現・チェコ共和国)
モラヴィア地方生まれのピアニスト、
アルフレード・ブレンデル
(Alfred Brendel, 1931.1- )の演奏で、
オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト(Franz Schibert, 1797.1-1828.11)の
ピアノ作品集を聴いていきます。
とある動画サイトで、
ブレンデルのシューベルト演奏をみて、
特別な相性の良さを感じました。
調べてみると、
手に入りやすいシューベルトのCDセットが2種類出ていたので、
とりあえず録音の旧いほうを手に入れ聴いていくことにしました。
今回は7枚組CDの1枚目です。
ピアノ・ソナタ
第4番 イ短調 D.537
第9番 ロ長調 D575
第13番 イ長調 D664
の3曲が収録されています。
CD1
①ピアノ・ソナタ(第4番)イ短調 D.537(op.post.164)
②ピアノ・ソナタ(第9番)ロ長調 D575(op.post.147)
③ピアノ・ソナタ(第13番)イ長調 D664(op.post.120)
アルフレート・ブレンデル(ピアノ)
録音:1982年(第4・13番)、2000年(第9番)
【Eloquence 480 1218】2008年発売
CD収録のはじめの2曲
①ピアノ・ソナタ(第4番)イ短調 D.537
②ピアノ・ソナタ(第9番)ロ長調 D.575
はシューベルト20歳の時、
1817年3月から8月にかけて作曲された
計7曲のソナタのうちの最初と最後の2曲です。
間の5曲を補って並べてみると、
◇1817年〈20歳〉
①ピアノ・ソナタ(第4番) イ短調 D.537 ◇3月 ※3楽章
ピアノ・ソナタ(第5番)変イ長調 D.557 ◇5月 ※3楽章
ピアノ・ソナタ(第6番) ホ短調 D.566 ◇6月 ※3楽章
ピアノ・ソナタ 変ニ長調 D.567 ◇6月 ※3楽章未完
ピアノ・ソナタ(第7番)変ホ長調 D.568 ◇6月 ※4楽章
ピアノ・ソナタ(第8番)嬰ヘ短調 D.571 ◇7月 ※1楽章未完
②ピアノ・ソナタ(第9番) ロ長調 D.575 ◇8月 ※4楽章
となります。D.567 に通番がないのは、
次の D.568(第7番)の異稿(初稿?)だからです。
CD収録の3曲目
③ピアノ・ソナタ(第13番)イ長調 D664
はこの後、21歳と22歳の時(1818・19年)に取り組まれた
計4曲のソナタのうちの最後の1曲です。前の3曲を補って並べると、
◇1818年〈21歳〉
ピアノ・ソナタ(第10番)ハ長調 D.613 ◇4月 ※2楽章未完
ピアノ・ソナタ(第11番)ヘ短調 D.625 ◇9月 ※3楽章
◇1819年〈22歳〉
ピアノ・ソナタ(第12番)嬰ハ短調 D.655 ◇4月 ※1楽章未完
③ピアノ・ソナタ(第13番) イ長調 D.664 ◇7月 ※4楽章
となります。
※シューベルトのピアノ・ソナタは、とくに初期の作品を中心に議論が進んでいるようですが、勉強不足でまだ全体像を把握し切れていません。作品番号等の分類については、便宜的に、音楽之友社編『作曲家別 名曲解説ライブラリー17 シューベルト』(音楽之友社、1994年11月)の記述に従いました(「ピアノソナタ 総説」の執筆は平野昭氏)。
***
CD1に収録された3曲のうち、
①ピアノ・ソナタ(第4番)イ短調 D.537
②ピアノ・ソナタ(第9番)ロ長調 D575
③ピアノ・ソナタ(第13番)イ長調 D664
第4番と第13番は、
シューベルトらしい美しいメロディに彩られた名曲で、
曲本来のあるべき姿をそのまま描き出しながら、
十分満足のいく演奏に仕上がっていて、
初めて聴く私でも飽きずに楽しむことが出来ました。
しかし第9番は今一つ共感に乏しい演奏で、
第3楽章のみそれなりに聴ける内容なのですが、
第1・2楽章は聴き通すのがつらくなるくらい退屈に感じました。
ほかの演奏をしらないので、
曲のせいなのか演奏のせいなのかはまだわかりません。
ほかの録音もいろいろ聴いてうえで、
また戻って来ようと思います。
ちなみに第4・13番は51歳の時(1982年)、
第9番は69歳の時(2000年)の録音。
ほかは41歳(1972)と44歳(1975)の時の録音です。
ブレンデルの解釈、
ベートーヴェンならそこからもう一押し
踏み込んでほしいと感じるはずなのですが、
シューベルトではこれがちょうど良く
過不足ない絶妙な解釈に聴こえます。
楽譜のすべてに歌を感じる繊細な表現なので、
ここからさらに踏み込んで、
アファナシエフのように鳴らし切ってしまったほうが
万人受けするはずですが、
そこまでしないのがブレンデルらしいところなのでしょう。
シューベルトについては、
ブレンデルの流儀は十分「あり」だと思いました。
モラヴィア地方生まれのピアニスト、
アルフレード・ブレンデル
(Alfred Brendel, 1931.1- )の演奏で、
オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト(Franz Schibert, 1797.1-1828.11)の
ピアノ作品集を聴いていきます。
とある動画サイトで、
ブレンデルのシューベルト演奏をみて、
特別な相性の良さを感じました。
調べてみると、
手に入りやすいシューベルトのCDセットが2種類出ていたので、
とりあえず録音の旧いほうを手に入れ聴いていくことにしました。
今回は7枚組CDの1枚目です。
ピアノ・ソナタ
第4番 イ短調 D.537
第9番 ロ長調 D575
第13番 イ長調 D664
の3曲が収録されています。
CD1
①ピアノ・ソナタ(第4番)イ短調 D.537(op.post.164)
②ピアノ・ソナタ(第9番)ロ長調 D575(op.post.147)
③ピアノ・ソナタ(第13番)イ長調 D664(op.post.120)
アルフレート・ブレンデル(ピアノ)
録音:1982年(第4・13番)、2000年(第9番)
【Eloquence 480 1218】2008年発売
CD収録のはじめの2曲
①ピアノ・ソナタ(第4番)イ短調 D.537
②ピアノ・ソナタ(第9番)ロ長調 D.575
はシューベルト20歳の時、
1817年3月から8月にかけて作曲された
計7曲のソナタのうちの最初と最後の2曲です。
間の5曲を補って並べてみると、
◇1817年〈20歳〉
①ピアノ・ソナタ(第4番) イ短調 D.537 ◇3月 ※3楽章
ピアノ・ソナタ(第5番)変イ長調 D.557 ◇5月 ※3楽章
ピアノ・ソナタ(第6番) ホ短調 D.566 ◇6月 ※3楽章
ピアノ・ソナタ 変ニ長調 D.567 ◇6月 ※3楽章未完
ピアノ・ソナタ(第7番)変ホ長調 D.568 ◇6月 ※4楽章
ピアノ・ソナタ(第8番)嬰ヘ短調 D.571 ◇7月 ※1楽章未完
②ピアノ・ソナタ(第9番) ロ長調 D.575 ◇8月 ※4楽章
となります。D.567 に通番がないのは、
次の D.568(第7番)の異稿(初稿?)だからです。
CD収録の3曲目
③ピアノ・ソナタ(第13番)イ長調 D664
はこの後、21歳と22歳の時(1818・19年)に取り組まれた
計4曲のソナタのうちの最後の1曲です。前の3曲を補って並べると、
◇1818年〈21歳〉
ピアノ・ソナタ(第10番)ハ長調 D.613 ◇4月 ※2楽章未完
ピアノ・ソナタ(第11番)ヘ短調 D.625 ◇9月 ※3楽章
◇1819年〈22歳〉
ピアノ・ソナタ(第12番)嬰ハ短調 D.655 ◇4月 ※1楽章未完
③ピアノ・ソナタ(第13番) イ長調 D.664 ◇7月 ※4楽章
となります。
※シューベルトのピアノ・ソナタは、とくに初期の作品を中心に議論が進んでいるようですが、勉強不足でまだ全体像を把握し切れていません。作品番号等の分類については、便宜的に、音楽之友社編『作曲家別 名曲解説ライブラリー17 シューベルト』(音楽之友社、1994年11月)の記述に従いました(「ピアノソナタ 総説」の執筆は平野昭氏)。
***
CD1に収録された3曲のうち、
①ピアノ・ソナタ(第4番)イ短調 D.537
②ピアノ・ソナタ(第9番)ロ長調 D575
③ピアノ・ソナタ(第13番)イ長調 D664
第4番と第13番は、
シューベルトらしい美しいメロディに彩られた名曲で、
曲本来のあるべき姿をそのまま描き出しながら、
十分満足のいく演奏に仕上がっていて、
初めて聴く私でも飽きずに楽しむことが出来ました。
しかし第9番は今一つ共感に乏しい演奏で、
第3楽章のみそれなりに聴ける内容なのですが、
第1・2楽章は聴き通すのがつらくなるくらい退屈に感じました。
ほかの演奏をしらないので、
曲のせいなのか演奏のせいなのかはまだわかりません。
ほかの録音もいろいろ聴いてうえで、
また戻って来ようと思います。
ちなみに第4・13番は51歳の時(1982年)、
第9番は69歳の時(2000年)の録音。
ほかは41歳(1972)と44歳(1975)の時の録音です。
ブレンデルの解釈、
ベートーヴェンならそこからもう一押し
踏み込んでほしいと感じるはずなのですが、
シューベルトではこれがちょうど良く
過不足ない絶妙な解釈に聴こえます。
楽譜のすべてに歌を感じる繊細な表現なので、
ここからさらに踏み込んで、
アファナシエフのように鳴らし切ってしまったほうが
万人受けするはずですが、
そこまでしないのがブレンデルらしいところなのでしょう。
シューベルトについては、
ブレンデルの流儀は十分「あり」だと思いました。
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