2016年5月2日月曜日

ブレンデルのシューベルト:ピアノ作品集1 D537&575&664(1982&2000年録音)

チェコスロバキア共和国(現・チェコ共和国)
モラヴィア地方生まれのピアニスト、
アルフレード・ブレンデル
(Alfred Brendel, 1931.1- )の演奏で、

オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト(Franz Schibert, 1797.1-1828.11)の
ピアノ作品集を聴いていきます。

とある動画サイトで、
ブレンデルのシューベルト演奏をみて、
特別な相性の良さを感じました。

調べてみると、
手に入りやすいシューベルトのCDセットが2種類出ていたので、
とりあえず録音の旧いほうを手に入れ聴いていくことにしました。
今回は7枚組CDの1枚目です。

ピアノ・ソナタ
 第4番 イ短調 D.537
 第9番 ロ長調 D575
 第13番 イ長調 D664

の3曲が収録されています。


CD1
①ピアノ・ソナタ(第4番)イ短調 D.537(op.post.164)
②ピアノ・ソナタ(第9番)ロ長調 D575(op.post.147)
③ピアノ・ソナタ(第13番)イ長調 D664(op.post.120)

アルフレート・ブレンデル(ピアノ)

録音:1982年(第4・13番)、2000年(第9番)
【Eloquence 480 1218】2008年発売

CD収録のはじめの2曲
 ①ピアノ・ソナタ(第4番)イ短調 D.537
 ②ピアノ・ソナタ(第9番)ロ長調 D.575
はシューベルト20歳の時、
1817年3月から8月にかけて作曲された
計7曲のソナタのうちの最初と最後の2曲です。
間の5曲を補って並べてみると、

◇1817年〈20歳〉
①ピアノ・ソナタ(第4番) イ短調  D.537 ◇3月 ※3楽章
  ピアノ・ソナタ(第5番)変イ長調 D.557 ◇5月 ※3楽章
  ピアノ・ソナタ(第6番) ホ短調  D.566 ◇6月 ※3楽章
  ピアノ・ソナタ     変ニ長調 D.567 ◇6月 ※3楽章未完
  ピアノ・ソナタ(第7番)変ホ長調 D.568 ◇6月 ※4楽章
  ピアノ・ソナタ(第8番)嬰ヘ短調 D.571 ◇7月 ※1楽章未完
②ピアノ・ソナタ(第9番) ロ長調  D.575 ◇8月 ※4楽章

となります。D.567 に通番がないのは、
次の D.568(第7番)の異稿(初稿?)だからです。

CD収録の3曲目
 ③ピアノ・ソナタ(第13番)イ長調 D664
はこの後、21歳と22歳の時(1818・19年)に取り組まれた
計4曲のソナタのうちの最後の1曲です。前の3曲を補って並べると、

◇1818年〈21歳〉
 ピアノ・ソナタ(第10番)ハ長調 D.613 ◇4月 ※2楽章未完
 ピアノ・ソナタ(第11番)ヘ短調 D.625 ◇9月 ※3楽章
◇1819年〈22歳〉
 ピアノ・ソナタ(第12番)嬰ハ短調 D.655 ◇4月 ※1楽章未完
③ピアノ・ソナタ(第13番) イ長調  D.664 ◇7月 ※4楽章

となります。

※シューベルトのピアノ・ソナタは、とくに初期の作品を中心に議論が進んでいるようですが、勉強不足でまだ全体像を把握し切れていません。作品番号等の分類については、便宜的に、音楽之友社編『作曲家別 名曲解説ライブラリー17 シューベルト』(音楽之友社、1994年11月)の記述に従いました(「ピアノソナタ 総説」の執筆は平野昭氏)。


  ***

CD1に収録された3曲のうち、
 ①ピアノ・ソナタ(第4番)イ短調 D.537
 ②ピアノ・ソナタ(第9番)ロ長調 D575
 ③ピアノ・ソナタ(第13番)イ長調 D664

第4番第13番は、
シューベルトらしい美しいメロディに彩られた名曲で、
曲本来のあるべき姿をそのまま描き出しながら、
十分満足のいく演奏に仕上がっていて、
初めて聴く私でも飽きずに楽しむことが出来ました。

しかし第9番は今一つ共感に乏しい演奏で、
第3楽章のみそれなりに聴ける内容なのですが、
第1・2楽章は聴き通すのがつらくなるくらい退屈に感じました。

ほかの演奏をしらないので、
曲のせいなのか演奏のせいなのかはまだわかりません。
ほかの録音もいろいろ聴いてうえで、
また戻って来ようと思います。

ちなみに第4・13番は51歳の時(1982年)、
第9番は69歳の時(2000年)の録音。
ほかは41歳(1972)と44歳(1975)の時の録音です。

ブレンデルの解釈、
ベートーヴェンならそこからもう一押し
踏み込んでほしいと感じるはずなのですが、

シューベルトではこれがちょうど良く
過不足ない絶妙な解釈に聴こえます。

楽譜のすべてに歌を感じる繊細な表現なので、
ここからさらに踏み込んで、
アファナシエフのように鳴らし切ってしまったほうが
万人受けするはずですが、
そこまでしないのがブレンデルらしいところなのでしょう。

シューベルトについては、
ブレンデルの流儀は十分「あり」だと思いました。

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