2016年9月26日月曜日

オーマンディ&フィラデルフィア管のシベリウス:交響曲第2番(1957年録音)

ハンガリー出身の指揮者
ユージン・オーマンディ
(Eugene Ormandy, 1899.11-1985.3)の指揮する

アメリカのオーケストラ
フィラデルフィア管弦楽団の演奏、

ソ連のヴァイオリニスト
ダヴィッド・オイストラフ
(David Oistrakh, 1908.9-74.10)の独奏で、

フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(Jean Sibelius, 1865.12-1957.9)の
交響曲第2番ニ長調作品43と、ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47を聴きました。

交響曲は指揮者57歳の時(1957.3)、
協奏曲は指揮者60歳、独奏者51歳の時(1959.12)の録音です。


ジャン・シベリウス
①交響曲第2番ニ長調作品43
②ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47

ユージン・オーマンディ(指揮)
フィラデルフィア管弦楽団
ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン②)
録音:1957年3月(①)、1959年12月(②)
【SRCR1839】※1997年6月発売

前後の作品とともに、
初演日を掲げておきます。

《フィンランディア》作品26
(1899年11月4日初演◇33歳)

①交響曲第2番ニ長調作品43
(1902年3月8日初演◇36歳)
②ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
(1904年2月8日初演◇38歳)

交響曲第3番ハ長調作品52
(1907年9月25日初演◇41歳)


  ***

オーマンディのシベリウスを、
評価するきっかけになった1枚です。

このCD、廉価盤なのですが、
原盤を変に加工しないで復刻しているからか、

わずかに残るヒス音が、
かえって臨場感を増す結果を生んでいて、

朗々と鳴りわたるオケの深い響きに身を任せているうちに、
あっという間に最後まで聴き終わる、
感動的な名演が繰り広げられていました。

廉価盤だったこともあって、
名演かどうかはあまり気にしないで、
ふつうに聴いて、感動して、時折また取り出して、
聴いては感動してを繰り返していたのですが、

オーマンディを遥かに上回る演奏に出会っていないことも確かです。

指揮者の共感度の高い、
音楽的にバランスの取れた充実した演奏であり、
シベ2の名盤の一つだと思います。

  ***

オーマンディはどんな曲でもそつなくこなす指揮者なのですが、
シベリウスの録音は、他より一歩秀でているものが多いようです。

ぜひ他の録音も聴いてみたいと思い、
いくつか購入してみたのですが、
音質に不満のあるものが多く、今のところハズレ続きです。


こちらは8枚セットで一番お買い得だったのですが、
残念ながら安かろう悪かろうで、
一昔前の国内の廉価盤CDを聴いているような、
古ぼけた感じの痩せた音質のものばかりだったので、
途中で聴くのを止めてしまいました。

魅力的なラインナップと安さにつられて、
同じシリーズから、
ハイフェッツのベートーヴェンと、
ルービンシュタインのショパンも購入してみましたが、
いずれも安っぽい残念な音質でした。


こちらの3枚セットは、上記8枚セットとは違って、
編者の意図が強く感じられる凝った作りのCDなのですが、
廉価盤のときに聴こえていたヒス音がきれいに拭い去られて、
臨場感に乏しく、硬い音に聴こえてしまうのが難点でした。

以上、ご参考までに。

2016年9月19日月曜日

マゼール&バイエルン放送響のシューベルト:交響曲全集その3(2001年録音)

フランス生まれ、アメリカ出身の指揮者
ロリン・マゼール(Lorin Maazel, 1930.3-2014.7)が指揮する

ドイツのオーケストラ
バイエルン放送交響楽団の演奏で、

オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797.1-1828.11)の
交響曲全集を聴いていますが、

今回はCD3に収録されている
交響曲第7・8番を聴きました。

マゼール71歳の時(2001年)のライブ録音です


◯CD3
フランツ・シューベルト(1797.1-1828.11)
交響曲第7(8)番 ロ短調 D.759《未完成》(18年月完成)※歳
交響曲第8(9)番 ハ長調 D.944《ザ・グレート》(18年月完成)※歳

ロリン・マゼール指揮
バイエルン放送交響楽団
録音:2001年3月18日
【BR KLASSIK 900712】※2013年発売

この全集は、
現地でのテレビ放映を録画したものを
とある動画サイトで観かける機会があって、

初期の交響曲の美しさに感動し、
CDで購入するきっかけになりました。

その時は《未完成》と《グレート》には注目していなかったので、
それほど期待していなかったのですが、

今回じっくり聴いてみて、
意外な名演に深く感動しました。


過激なデフォルメをしない、
中庸な解釈に変わりはないのですが、

曲想に合わせてスケール感が増し、
心持ち速めのテンポで一気に駆け抜けていく、
非常に充実した演奏に仕上がっていました。


《未完成》と《グレート》は、
曲への期待が大き過ぎるのか、CDで聴くと、
何かしら不満が残る演奏が多かったのですが、

今まで聴いてきた中では、
明らかにベストの出来でした。


全体を通してみると、
音質の面で、FMラジオでライブ演奏を聴いているような感じで、
ごく自然な響きではあるのですが、

あとひと押し、
最新の分離のよい録音と比べると、
細部を聴き取りにくい所があるように感じました。

過激なところはないものの、
ブロムシュテットやスウィトナーと比べれば、
はるかに自己主張のある中での「中庸な」演奏なので、
個人的に一推しの全集となりました。

2016年9月12日月曜日

広上淳一&京都市響定期演奏会:名曲ライブシリーズ3(2012-13年録音)

広上淳一(1958年5月- )氏の指揮する
京都市交響楽団第559・566回定期演奏会
のライブCDを聴きました。


広上淳一指揮
京都市交響楽団定期演奏会/名曲ライブシリーズ3

①R.シュトラウス:13管楽器のためのセレナード変ホ長調op.7
②R.シュトラウス:交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》op.28
③R.シュトラウス:歌劇《ばらの騎士》組曲
④ハチャトリアン:組曲《仮面舞踏会》

京都市交響楽団
広上淳一(指揮)
コンサートマスター:泉原隆志(②③)、渡邉穰(④)
録音:2012年7月20日(①-③/第559回定期演奏会)、2013年3月24日(第566回定期演奏会)、京都コンサートホール
【KSOL1004】2013年9月発売

広上淳一&京都市響のリヒャルト・シュトラウスを中心としたプログラム。

13楽器のためのセレナードは、
モーツァルトを聴くような可憐な美しい作品でした。

初めて聴いたので、
他と比べてどうなのかはわかりませんが、
とても充実した内容の作品に聴こえました。

《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》と、
《ばらの騎士》組曲は、
どちらも広上氏らしい個性に彩られた名演で、
今まで聴いてきたどの演奏よりも強い説得力にあふれ、
この曲の面白さにようやく気がつくことができました。

リヒャルト・シュトラウスは、
ライブだとオケの弱さを感じることが多いのですが、
3曲ともオケの状態がいいのか、
機能の面で不満を感じることは全くありませんでした。

④のハチャトリアンは、
少し長めのアンコールを聴くような印象で、
本来そこまで内容のない曲を、
深くえぐり抜いて手に汗握る演奏に仕上げていました。


広上淳一氏で個人的に好きなのはベートーヴェンなのですが、

リヒャルト・シュトラウスやレスピーギなど、
オーケストラの機能を最大限に引き出す曲目も得意なようです。

京都市響とはリヒャルト・シュトラウスに力を入れているようなので、
個人的には苦手な作曲家なのですが、この機会に聴き込んでみたいと思っています。

2016年9月5日月曜日

小澤征爾&水戸室内管のベートーヴェン:交響曲第5番《運命》(2016年録音)

小澤征爾(1935.9- )の指揮する
水戸室内管弦楽団の演奏で、

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770.12.16-1827.3)
交響曲第5番《運命》と、

オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756.1-1791.12)
クラリネット協奏曲 を聴きました。

小澤氏80歳の時
2016年3月25、27日のコンサートを録音したCDです。

体調を考慮して小澤氏の指揮は《運命》のみ。

クラリネット協奏曲は、
水戸室内管弦楽団のメンバーである
リカルド・モラレス(Ricardo Morales. 1972- )を独奏者に迎え、
指揮者なしで演奏されています。


ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
①交響曲第5番 ハ短調 作品67《運命》

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
②クラリネット協奏曲 イ長調 K.622

リカルド・モラレス(クラリネット)
水戸室内管弦楽団
指揮:小澤征爾(①)
【UCCD-1433】2016年8月発売


交響曲第5番 ハ短調 作品67《運命》は、
ベートーヴェン38歳の時(1808.12.22)に初演された作品です。

クラリネット協奏曲 イ長調 K.622 は、
モーツァルト35歳の時(1791.11)に完成された作品です。


最近の小澤征爾は凄い、
という噂が気になったので最新の録音を聴いてみました。

楽譜を誇張せずに表現していくスタイルとしては、
滅多に到達できないところまで行き着いていて、

室内オーケストラとの録音という前提つきであれば、
最高レベルの《運命》だと思いました。

ただ気になったのは、
聴きやすい音には録れているのですが、
録音を乗り越えて伝わって来るはずの情熱が、
今一歩のように感じられたことです。

情熱不足の《運命》はありか無しか。

体調が影響したのか、
録音の加減なのかは不明ですが、
聴きやすい耳に心地のよい音で録れているだけに、
とても惜しい演奏に思えました。

過去の小澤氏の《運命》とも比べてみたくなったので、
手に入りやすいものから聴いてみようと考えています。


なお、どちらかといえば、
それほど期待していなかった
リカルド・モラレス氏の独奏による
クラリネット協奏曲が期待をはるかに上回る出来でした。

飛び切りの名曲のわりに、
録音がむつかしいのか満足できるCDにこれまで出会えなかったのですが、

どこも欠点のない完璧な仕上がりで、
オケともども理想的な名演に仕上がっていると思います。

クラリネットにはそこまでこだわりがないので、
恐らく聴き逃している録音も多かろうと思いますが、
私にとっての今現在のベスト盤になりました。